日本教科教育学会誌
Online ISSN : 2424-1784
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34 巻, 3 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 竜田 徹
    原稿種別: 本文
    2011 年 34 巻 3 号 p. 1-10
    発行日: 2011/12/25
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    本稿では,「目標の二重構造化論」「二重カリキュラム的総合単元論」を中心に,目標の二重性に着目した国語科授業組織論の今日的意義と発展性を検討した。本稿の検討により,国語科授業における学習課題の設定は,子どもの主体的な言語活動のためだけでなく,主体的な評価活動のためにも大切であることが明らかになった。またその一方で,これまでの目標の二重性の議論においては,言語能力と子どもの関係が十分に問われてこなかったという課題も明らかになったといえる。この課題に対しては,評価活動を通して子どもたちに言語学習の本質や価値を考えさせていくことにより,子どもたちの自己評価力の育成や,創造的な国語科授業の成立を期することができるということを示した。このように,本稿の成果は,目標の二重性に着目した国語科授業組織論を学習評価の面から問い直すことにより,国語科授業において学習意義を自己評価する力を育成するうえでの課題と展望を明らかにしたことにある。
  • 鈴木 明子, 庄山 茂子, 三根 和浪, 神山 貴弥, 竹野 英敏, 佐々 有生, 若元 澄男
    原稿種別: 本文
    2011 年 34 巻 3 号 p. 11-20
    発行日: 2011/12/25
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    本研究では,我が国の義務教育における『ものづくり教育』に対する学習者の意識を,児童・生徒へ調査を行うことによって明らかにすることを目的としている。本報においては,小学校6年生に,「ものづくり学習」に対する好意度,有用感,日常生活におけるものづくりに対する関心及び学習効果とその背景要因を問い,結果を分析した。その結果,6年生児童は,「ものづくり学習」を好意的に受け止め,その学習に対して有用感をもち,学習効果を認識していた。また,日常生活でのものづくりに関心をもつと同時に男女差や個人差もみられ,実生活でものづくりを行っていない者も多かった。保護者の影響は,わずかにみられた。これらの結果から,個人差,男女差を考慮して,自己効力感をもたせたり,時間を保障したりする等の学習意欲につながる工夫が必要であることが示唆された。
  • 原田 大樹
    原稿種別: 本文
    2011 年 34 巻 3 号 p. 21-30
    発行日: 2011/12/25
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    本稿は,敬語指導の現状と課題について,小学校国語科を中心に検討する。これまでにも,敬語に関する先行研究は見られるが,日本語教育学や社会言語学の分野での研究が盛んであり,国語科教育においては,その必要性が叫ばれながらも定着までには至っていない。そこで,本稿では,敬語指導の現状と課題に関して,(1)答申,(2)学習指導要領,(3)教科書教材の三つから検討する。現状としては,平成20年版学習指導要領では,よりコミュニケーション能力としての敬語指導の在り方が示されていると言える。また,教科書教材においては,5社を検討した結果,敬語へ変換するという方法がとられている2社を取り上げた。この変換するという方法は,実生活に生きる敬語指導の在り方を考えれば,効果的な学習方法である。そして,これからの敬語指導では,より対人関係を意識させるような実生活に生きる指導,とりわけ敬語表現に関する指導も必要であろうと考えられる。
  • 村田 亜季
    原稿種別: 本文
    2011 年 34 巻 3 号 p. 35-39
    発行日: 2011/12/25
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    どのようにバランスをとって多様なバックグラウンドをもった児童生徒を教えながらすべての児童生徒に対し要求度の高いカリキュラムを与えるかというのは,アメリカの算数教育制度が始まって以来の深刻な問題です。スタンダードとカリキュラムの例等を通してアメリカの算数教科教育学の現状,変化と要望,そして教科書や教員教育への影響を説明し,日本の算数教育と比較しながらアメリカにおける教科教育学の多様性,どのように様々な角度からの検証がカリキュラムの役割を解明するのに役立つかを追求して行きます。
  • 小川 正人
    原稿種別: 本文
    2011 年 34 巻 3 号 p. 41-46
    発行日: 2011/12/25
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    研究目的や領域は多様であるが研究の実証的手続き・方法においては共通化・厳格化をはかっているアメリカ社会科教育研究。いっぽう厳密な研究方法論の検討よりは,学校現場が抱える問題を分析し成果をフィードバックする教材開発・授業研究を優先する目本の社会科教育研究。それらには大きな違いがあるが,アメリカ在住社会科教員養成者・研究者というユニークな立場から,国際化の時代における教員養成と教科教育の関連性と共通性,さらに日米間での共同研究の可能性について論議を進めた。
  • 高山 敬太
    原稿種別: 本文
    2011 年 34 巻 3 号 p. 47-54
    発行日: 2011/12/25
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    本稿は,オーストラリアの大学の教員養成課程における教育格差解消の取り組みを,とりわけニューサウスウエールズ(NSW)州におけるそれに焦点を当てつつ論じる。より具体的には,教育における格差の問題を専門としてきた教育社会学の動向に注目することで,オーストラリアの教員養成課程における格差への対応の現状とその限界を明らかにする。最後にこのオーストラリアの事例から,多文化化と格差化が同時進行しつつある日本における教員養成や教科教育学のこれからのあり方への示唆を導く。すなわち,教科教育学と教育社会学といった教育学内の学問的住み分けを解消することで,学力格差への対応を大学の教員養成課程の基本方針とする新しい教員養成のあり方を提起する。
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