日本教科教育学会誌
Online ISSN : 2424-1784
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5 巻, 4 号
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  • ホサイン モハマド カーン
    原稿種別: 本文
    1980 年 5 巻 4 号 p. 181-188
    発行日: 1980/10/31
    公開日: 2018/01/07
    ジャーナル フリー
    今日のような科学的時代において,われわれは常に,より少ない努力でより多くの利益を得る方法を模索している。新しい数学教育改革運動においても,この科学的時代にふさわしい教材を選択し,さらに,意味ある理解をともなう教育,効率的な学習,長期にわたる記憶,時間の節約などのための有効な方法が研究されつづけている。要するに,重要なことは,数学の構造が学習されることである。このような観点からみると,バングラディシュにおいて,現在,九九を記憶させるために用いられている方法が,適切なものであるとは決していえない。この論文の主要な目的は,九九を記憶するための修正された枠組を提案することである。ここで提案される枠組は,上述のあらゆる観点からみて,最も適切なものであると思われる。
  • 松本 勝信
    原稿種別: 本文
    1980 年 5 巻 4 号 p. 189-194
    発行日: 1980/10/31
    公開日: 2018/01/07
    ジャーナル フリー
    前報では,観察・実験活動における即物的な関係づけ・意味づけの基盤となる同一性・差違性認知の実態を時系列提示場面を用意して明らかにしようとした。本報では,前報と対比させた並列提示場面を用意し,そこにおける同一性・差違性認知の実態と両者の比較分析の結果について述べた。男子学生10人を学習者とし,指標として用いた5変量の測定方法・分析方法は前回と全く同一である。その結果本実験からは以下のことが指摘できた。(1)閉眼安静時,光刺激受容時および同一性・差違性認知時のそれぞれの場面における脳波と脈波の変化はそれぞれの場面で独自のものである。(2)閉眼安静時には脳波の変化と脈波の変化に共通性が認められるが,光刺激受容時,同一性認知時および差違性認知時には脳波の変化と脈波の変化はそれぞれ独自性を示す。(3)脳波と脈波の変化のしかたは同一性認知時と差違性認知時とて強い共通性を示すものの全く同一とは言えない。そして前報との比較においては,(4)時系列提示場面と並列提示場面のそれぞれの場面における同一性認知と差違性認知間には類似性が認められるが,(5)同一性認知においても差違性認知においても時系列提示場面と並列提示場面間では脳波と脈波の変化がそれぞれ独自性を示すという共通性以外類似性は認められない。
  • 角屋 重樹
    原稿種別: 本文
    1980 年 5 巻 4 号 p. 195-199
    発行日: 1980/10/31
    公開日: 2018/01/07
    ジャーナル フリー
    子どもの自然の事物・現象に対する認識活動は,対象を既得の知識の中に位置づけたり,あるいは,事象を既得の法則によって整理したりする説明の活動として考えられる。子どものこの説明活動の実態を発達的に調べることが本研究の目的である。このため,ローソクの長さの時間的推移を素材とした5枚の画像を子どもに提示し,配列させ,その後に説明させるという調査的面接を行った。対象は,2つの保育所の3才から5才までの子ども60名であった。子どもの説明活動は,5枚画像の配列順序と言語説明とに現れると考え,分析をこれら2つに分けて行った。結果は,次のようにまとめることができた。D:5枚画像の正順配列による説明は,年長において可能であった。2):時系列法則を用いた言語説明は,年長において可能であった。したがって,4才以下と5才以上とにおいて発達的差異があるといえる。
  • ミァ ゴラム ラスール
    原稿種別: 本文
    1980 年 5 巻 4 号 p. 201-210
    発行日: 1980/10/31
    公開日: 2018/01/07
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,バングラデシュにおける科学教育の発達を歴史的に考察することである。独立以前のバングラデシュにおける科学教育は,歴史的に2つの時期に区分することができる。(1)分割以前のインドの一地方で,ベンガル地方と呼ばれていたイギリスの植民地時代の科学教育(1854年〜1947年)(2)独立以前の東パキスタン時代の科学教育(1947年〜1971年)本研究は,(1)の時期の科学教育を取り上げ,この時期を更に2つの時期:(1)1854年〜1902年(暗黒期),(2)1902年〜1947年(黎明期)に区分し,本研究では特に(1)について考察した。バングラデシュにおける近代的教育は,1854年のWood's: EducationDespatchにより始まり,これに基づいて,公教育省やカルカッタ大学が設立されたが,この時期において,大学は本来的な教育的機能を果たさず,初等・中等教育段階においても科学教育は実践されなかった。
  • 松本 正
    原稿種別: 本文
    1980 年 5 巻 4 号 p. 211-217
    発行日: 1980/10/31
    公開日: 2018/01/07
    ジャーナル フリー
    リズムは歴史的・社会的要因に規定され発展する存在であり,音楽だけの問題でなく,広く文化の問題としてもとらえられる。したがって,その解釈も多様で一定の概念が存在していない。音楽科における研究課題の一つに具体的指導過程の組織化があるが,この課題解決へむけてのキー・ポイントの一つはこの概念をどのようにとらえるかということである。本稿では,今までリズムの概念が明確に教えられていなかったのではないかという問題意識のもとに,知的理解のレベルに焦点を当て,リズム学習のあり方について論究することを目的とする。方法としては,まず一般的に存在するリズム概念を「自然のリズム」と「創造のリズム」の二つに大きく別けて整理し,次に人間の発達の根拠である労働を,リズムが「自然のリズム」から「創造のリズム」へと発展していくうえでの本質的契機ととらえ,労働の身体的側面と集団的側面からその考察をおこなう。
  • GO TANI
    原稿種別: 本文
    1980 年 5 巻 4 号 p. 219-226
    発行日: 1980/10/31
    公開日: 2018/01/07
    ジャーナル フリー
    本研究は,知覚-運動スキルを適応過程の問題として捉えた。そこで,まず反応選択の自由度の階層性に基づいて3つの異なった学習条件を設け,その条件下でスキルの系列学習を行なわせた。そして,習得されたスキルが適応事態においてどのような適応過程を示すかを検討した。実験結果は,試行数,試行遂行時間,成功試行数,予測およびタイミングといった5つの観点から分析し,次のような結論を得た。(1)試行数,試行遂行時間,成功試行数および予測に関しては,適応事態において自由度の最も高いグループが他のグループに比較して,最も高いパフォーマンスレベルを示した。(2)タイミングに関しては,適応事態における3つのグループのパフォーマンスレベルは低下する傾向を示したが,自由度の一番高いグループにおいてその傾向は最も顕著であった。
  • Rudy Saharudin
    原稿種別: 本文
    1980 年 5 巻 4 号 p. 227-234
    発行日: 1980/10/31
    公開日: 2018/01/07
    ジャーナル フリー
    この研究は,運動学習-小筋活動-時にあらわれる電気的脳波因子を探る事を目的とする。被験者は,広島大学のインドネシアの男性10名(平均年齢36歳)である。協応動作器を用いて,被験者に40回円を描かせ,電気脳波を誘引し,電極を,被験者の左前頭後野,後頭部位に配置し,双極誘導法によって,遂行前後の安静時と遂行時10回毎に,脳波を測定した。δ,θ,α(1+2)β-1,β-2波のパワースペクトラムは,脳波因子を限定するために,主成分分析で分析された。研究の結果は,次の通りである。1.被験者の技術は,回数と共に上達する。2.安静時の因子Iは,δ,θ,α波であり,因子IIは,β-1,β-2波である。3.遂行時の因子Iは,主にα,β(1,2)波で,因子IIは,δ,θ波,因子IIIは,遂行の速さとエラーズである。
  • 森 美喜夫
    原稿種別: 本文
    1980 年 5 巻 4 号 p. 235-240
    発行日: 1980/10/31
    公開日: 2018/01/07
    ジャーナル フリー
    保健授業を,OSIAとそのサブ,カテゴリーにより,教授スキルに焦点をあて,定量的な授業分析を行った。分析の視点を講義的な展開から相互作用的なそれへの改善を計る手がかりを得ることに置いた。そこで,授業行動の内容と比率と問題場面を見出すこととした。分析した授業は,小学6年(授業A)と中学1年(同・B)の各1例で,前者は筆者が授業者となり,後者は所属校の保健体育科教師によるものである。その結果,授業Aでは,教授行動の占める割合が高過ぎること,学習者の応答を展開に活用することを主とした対応策に関する問題点が見出された。授業Bでは,ほぼ講義的な授業であり,ここでは,むしろclassrom climateの検討と改善の必要性が感じられた。また,このような基本的な教授スキルの検討を通して,「相互作用」の実践的な1測面を知ることができた。
  • 山本 紀久子
    原稿種別: 本文
    1980 年 5 巻 4 号 p. 241-247
    発行日: 1980/10/31
    公開日: 2018/01/07
    ジャーナル フリー
    調理実習における問題点として,児童・生徒の作業への参加度が低い,作業過程を部分的にのみ担当することが多い等が挙げられる。そこで,これらの問題点を少しでも改善するために調理実習における学習指導法を開発し実践・検討した。(チェーン学習)本研究は,さらに学習指導法の開発の一環として,調理計画段階の学習指導法を考え,実践した。方法:本実習前に班の代表者一名が全員の前で用具だけを使用し,学習内容を言語化・動作化して行うものである(模擬学習)教材は,小学校第六学年「ごはんとみそ汁」模擬学習に対して授業参観者に評価をもとめ有効であるという結果が多く得られた。名称については,一部授業参観者から考慮する必要があるとの意見が出された。
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