日本作物学会紀事
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57 巻 , 2 号
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  • 田中 尚道, 丹下 宗俊, 津川 兵衛
    1988 年 57 巻 2 号 p. 263-269
    発行日: 1988/06/05
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    水稲苗の素質に関して, 形態的および生理的な解析を進める上で, 苗質成立時および移植後の初期生育の2段階に分けて検討を行っている. 本報では異なる土壌水分条件下(最大容水量の70%=畑区, 90%=中間区および120%=湛氷区)で育苗した日本晴, 農林22号およびコシヒカリの苗質の判定評価を行った. 1. いずれの品種においても土壌水分含量が高いほど草丈, 生葉数, 葉面積, 茎の太さおよび乾物重ともに大きかった. 処理後日数の経過とともに処理間差は広がり, 湛水区の苗はいわゆる徒長苗の形態を呈した. 一方, 土壌水分含量の低い畑区は湛水区に比べ生育は終始抑制的であったが, 葉身は直立し, 茎は太く剛直であり, ずんぐり苗の形態を呈した. 2. 処理後の発根力, 屈起力, 溢泌液量および枯れ上り葉面積は処理後7日目では処理による影響は小さかったが, その後の生育では三者とも畑区は湛水区をかなり上まわった. また, 澱粉含量, 全窒素含有率とも畑区で大きく, 澱粉含量と発根力, 屈起力および枯れ上り葉面積との間には密接な関係がみられた. 3. 土壌水分含量がアミラーゼ活性におよぼす影響を調べたところ, 土壌水分含量が高いほどアミラーゼ活性は高くなる傾向がみられた.
  • 中元 朋実, 長戸 康郎
    1988 年 57 巻 2 号 p. 270-275
    発行日: 1988/06/05
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    米粒の大きさや形がどのように決定されるかを明らかにするために, 粒大および粒形の異なる栽培稲6品種と野生稲1系統を用い, 粒の生長解析を行った. 粒は初期から急速に生長し, やがて急激に生長を停止した. 粒長および粒の生育にともなう相対増加速度の変化は, ロジスティック生長とは異なったものであった. また粒長と粒幅の相対生長もロジスティック生長の場合にみられるような直線関係を示さなかった. このように粒は, 穎や胚と異なった非ロジスティックな生長をすることが明らかになった. 最終粒長は, その60から70%の長さに達した時期に見られる最大増加速度と密接に関係していた. 一方粒幅は, 最大増加速度との間に相関関係は認められず, 増加期間との間に高い相関を示した. このように粒大を規定するパラメータはその生長方向により異なっていた. また栽培稲では, 最終的な粒幅/粒長値が生長途中における粒幅/粒長値の最小値との間に高い相関を示した. 野生稲では生育後期における粒の肥大が見られなかった. 以上の結果から, 粒の生長は, 穎や胚の生長とは異なって, ロジスティック型の生長を示さないこと, また最終粒長や粒幅(粒大)あるいは粒幅/粒長値(粒形)はその生長途中において予測可能であることが明らかになった.
  • 池田 武
    1988 年 57 巻 2 号 p. 276-280
    発行日: 1988/06/05
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    本実験は, 1本植えないし比較的疎植に育てた稲の株を構成する稈が, 上からみるとほとんど扁円形をしていることに着目して行われた. コシヒカリを1/2000aポットに1本植えし, 基肥窒素量を3段階にして, まず稲株の長軸方向を風と平行にした場合の稲株内の位置を異にする稈の傾斜角度に及ぼす風速の影響を検討し, 次に株の長軸方向を風と直角にして, 主稗の傾斜角度に及ぼす影響を検討した. 風速は, 3~13 m/sの範囲であった. 結果は以下の通りである. 1. 株の長軸を風向と平行にした時, 稲株を構成している稗は, 稗の位置によって風速に対する反応が異なった. 稈の傾斜角度は, 風上で大きく, 風下で小さかった. また, 基肥窒素量を異にすると, 窒素量が多いほど傾斜角度が大きくなる傾向にあることが認められた. 2. 株の長軸を風向と直角にした時, 主稈の傾斜角度は, 株の長軸が平行の場合より大きくなった. また, 基肥窒素量を異にしても, 主稈の傾斜角度にほとんど差がみられなかった. 以上より, 稲株の長軸に対して, 風の吹く方向が異なれば, 稈の傾斜角度に違いがみられ, 風に対する反応の異なることが示唆された.
  • 一井 眞比古, 玉井 敬三
    1988 年 57 巻 2 号 p. 281-286
    発行日: 1988/06/05
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    赤米種イネの低温適応性を明らかにするため, その指標となる低温発芽性, 低温クロロシスおよび低温生長性について25品種を用いて検討した. 得られた結果の概要は以下のとおりである. 日本型では赤米種の低温発芽性は白米種より優れていたが, インド型では赤米種と白米種との差は認められなかった(第1図). 低温クロロシスにおいては, 赤米種が白米種より発現しにくいという傾向は認められなかった. しかしながら, 日本型はインド型より明らかに発現しにくいようであった(第2図). 幼苗期における草丈, 根長, 根数および個体重それぞれの低温生長性を求めた結果, 草丈, 根数および個体重では, 赤米種と白米種との差は日本型およびインド型のいずれの生態種においても認められなかった. 根長では, 赤米種が白米種より優れている傾向が両生態種においてみられるが, それは有意でなかった. 一方, 低温による生長抑制は根長や根数より幼苗草丈に顕著に現れた(第1表). 全供試品種をこみにして低温発芽性, 低温クロロシスおよび低温生長性における相互の関係を見ると, 低温発芽性と低温クロロシスとの間には一定の傾向を見い出せなかった(第3図). 低温発芽性は幼苗草丈の低温生長性と有意でかつ正の相関を示したが, 他形質の低温生長性とは有意な相関を示さなかった(第4図). 以上の結果から, 赤米種はそれ固有の高い低温適応性を持たないと考えられる.
  • 窪田 文武, 田中 典幸, 有馬 進
    1988 年 57 巻 2 号 p. 287-297
    発行日: 1988/06/05
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    日射量, 移植期および栽植密度を多様に変えた圃場条件下で水原258号(日印交雑稲), アケノホシ(日印交雑稲)およびレイホウ(日本稲)の3品種を栽培し, 処理に対する各品種の物質生産の反応特性を比較, 解析する中で, 水原258号の多収機構を明確にした. 水原258号の特徴の一つは, 1穂粒数が多く, しかも, 環境の変化にともなう粒数の変動が小さいことであった. このため, 単位面積当たり茎数が増加する密植条件では, 単位面積当たり粒数も顕著な増加を示した. また, この品種は分げつ数が多く, かつ, 茎数が経時的に大きく変化する特徴を有しており, 収穫期の茎数は最高分げつ期茎数の60%前後であった。なお, 本品種は直立的草型を特徴とするため, 密植条件下においても過繁茂の弊害が見られず, 登熟歩合が比較的高かった. さらに, 移植(稚苗)から出穂までの期間(80日間前後)およびこの間の積算気温(2,000℃前後)がほぼ一定となる特徴を有していた。そのため, 出穂日が移植日の早晩に平行して変動するので, 移植時期を移動することによって登熟期を最適気象条件の時期に合致させることが容易であった。水原258号は, 800kg/10aを超える玄米生産力を有する品種であることが確認された。なお, 多収穫栽培には早期移植と密植が前提条件であった.
  • 楠谷 彰人
    1988 年 57 巻 2 号 p. 298-304
    発行日: 1988/06/05
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    これまで北海道では, 登熟の良否が水稲の収量や品質に重大な影響を及ぼしてきた。このため登熟性の向上は品種の具備すべき最重要特性のひとつとされてきた. 本報では, 登熟性の品種間差の生じる機構を明らかにし高登熟品種育成のための指標を得ようとした. 稔実籾登熟歩合(Y)と出穂期後の積算日平均気温(X)との関係は次式によく適合した. Y=1-a・exp (-b・x) 常数bに明瞭な品種間差が認められたので, この値(登熟係数)により品種の登熟能力を検定した. 登熟係数は, m2あたり籾数(N)とは有意な相関を示さなかったが, 穂揃期後2週間目における稈+葉鞘中の貯蔵炭水化物量(C), 穂揃期後2週間目から成熟期にかけての乾物生産量(ΔW)および1籾あたりの炭水化物供給量〔(C+ΔW)/N〕とは有意な正の相関を示した. 穂揃期後2週間目から成熟期にかけての穂への炭水化物移行率〔穂重増加量(ΔE)/(C+ΔW)〕と登熟係数との間にも有意な正の相関が認められたが, 炭水化物移行率の品種間差は他の登熟形質に比べて小さく, 既存の北海道品種を使って大幅な転流効率の向上を実現することは困離と予想された. これらから, 登熟係数は品種の登熟能力を評価する指標として育種的に利用可能な形質であり, その向上のためには1籾あたりの炭水化物供給量を増し, その穂への転流効率を高めることが必要と考えられた.
  • 佐藤 亨, 宮内 英治, 杉本 秀樹
    1988 年 57 巻 2 号 p. 305-310
    発行日: 1988/06/05
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    サトイモの3つの型, 子イモ用品種(石川早生, 女早生), 親子イモ兼用品種(赤芽), 親イモ用品種(台湾芋)を圃場栽培し, 乾物生産およびイモ肥大特性を調査した. 1. 品種間で個体生長量に大差がみられた. イモ重の推移では, 子イモ用品種では, 子・孫イモの肥大が目立ち, 赤芽では親・子イモが, 台湾芋では親イモの肥大が生育末期まで続いた. 2. 乾物生産速度とイモ生産速度との関係は, 生育の前半と後半に分けられ, とくに, 赤芽と台湾芋では生育後半にイモ肥大によって乾物生産速度が高められた. 3. イモ生産速度と葉面積指数との関係は, 赤芽と台湾芋で葉面積指数が高くなることによってイモ生産速度が高まることが示唆された.
  • 兼子 真, 片岡 勝美, 武田 哲
    1988 年 57 巻 2 号 p. 311-315
    発行日: 1988/06/05
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    イネ籾の表面は複雑な構造を呈するところから, 成熟籾での観察では十分解明されない部分があった. そこで, 籾の形成期から収穫期にわたり試料を採取し, 走査電子顕微鏡により観察した. 内外穎の外側表皮では, 大毛の伸長や小毛の分化は出穂前15日頃に始まる. 円形突起は徐々に隆起して来るが, 不均一な厚壁化により出穂前5日頃までは表面に縞模様が見られた. この外側表皮には気孔状の細胞が外穎の鉤合部付近と内, 外穎の先端部あるいは芝に観察された. これらの細胞は形態上あるいは密度から気孔と断定した. 鉤合部付近の気孔は1~2列あり, その列には小毛はほとんど見られない. 内側表皮では, 気孔は維管束付近に小毛とともに観察され, 側脈(外穎), 中央脈の部分では気孔と小毛は同じ細胞列に混在する. 鉤合部付近では気孔と小毛の列は異なり, 気孔は鉤合部寄りに位置する. これらの気孔や小毛は籾の水分代謝に大きく関係すると思われる.
  • 中村 茂樹, 中澤 芳則
    1988 年 57 巻 2 号 p. 316-320
    発行日: 1988/06/05
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    多収性を追求する上で, 同化生産能力を高めることは重要であるが, 一方で, 同化産物を効率よく子実へ分配することも重要である. 莢実重に占める莢重の割合は30%前後もあり, 同化産物の子実への分配効率の向上を図る観点がら, 莢は軽視できない形質である. 莢重に対する粒重の比(粒莢重比)に及ぼす根, 葉及び莢の効果について, 粒莢重比に特徴のある4品種を供試し, 相互に穂木及び台木に用いて, 接木処理及び摘莢・摘葉処理を行い検討した. 粒莢重比は台木品種の特性に係わりなく, 穂木が粒莢重比の高い品種の場合高くなり, 粒莢重比が低い品種の場合低くなった(第2表). すなわち, 粒莢重比には主として穂木品種の特性が発現した. 一方, 台木は莢重に効果があリ (第3表), その結果, 粒莢重比が僅かに変動した. 粒莢重比に及ぼす穂木の葉及び莢のうち, 主に莢の効果が発現し(第4表), 葉は莢重に影響した(第5表). すなわち, 莢は粒莢重比に, 葉及び根は莢重に影響した. 以上の結果, 粒莢重比の高低要因は基本的には莢自身にあり, 同化産物の子実への分配効率の向上を目的とした選抜は, 莢を対象に粒莢重比の高低で行うことが必要である.
  • 河野 恭広, 山内 章, 野々山 利博, 巽 二郎
    1988 年 57 巻 2 号 p. 321-331
    発行日: 1988/06/05
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    9種の夏作イネ科作物を用い, 湛水と対照条件に対する生育反応を, 節根数と地上部・根部間の乾物分配に注目して, 幼植物期 (短期処理) と出穂期 (長期処理) の個体で比較した. アワを除く全ての作物の主稈からの節根数は, 処理により増加した. アワは短期処理で節根数を増加し, 長期処理で減少した. 長期処理に対する発根反応に基づき, 作物は次の群に分けえた. 1)全根数を減じた作物 (アワ), 2) 主稈からの発根数を増すが, 全根数をわずかに減じた作物 (キビ, トウジンビエ), 3) 全根数を増加した作物 (イネ, シコクビエ, ハトムギ, ヒエ, モロコシ, トウモロコシ). 第3群は分けつの有無によって, a) イネ・シコクビエ・ハトムギ・ヒエと, b) モロコシ・トウモロコシに分けえた. 長期処理で地上部/根重比は, 第2と第3-a群で減じ, 第1と第3-b群で増加した. 植物体重は第3-a群では減少程度が小さく, むしろ増加するものもあったが, 第2と第3-b群では減少した. 第1群では植物体重の減少は, 根への乾物分配の減少のみならず発根数の減少を伴なった. 全体として発根数の増減は, 根への乾物分配割合の増減を伴なった. 長期と短期処理における各作物の共通品種の発根反応を比較すると, 概して湛水期間の延長によって個体当たりでも, 主稈当たりでも節根数の増加割合が大きくなった. 唯一の例外はアワであった. このように, 湛水条件に対する発根反応は, 作物の発育段階のみならず湛水期間の長さによっても変化した.
  • 狩野 広美, 小泉 美香, 桂 直樹, 稲田 勝美
    1988 年 57 巻 2 号 p. 332-339
    発行日: 1988/06/05
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    生葉に閃光を照射すると, P700の酸化・還元による吸光度変化(700 nm 付近)が観察される. P700の吸光度変化に対する測定光(703 nm)強度の影響および, 閃光の強度と波長の影響を検討し, インゲンマメの生葉中における光化学反応と電子伝達の機構を解析し・た. 閃光照射によるP700の酸化・還元反応の光飽和曲線は双曲線となったが, 測定光強度とP700の酸化量の関係は指数関数となった. 閃光によるP700の酸化と還元の作用スペクトルは, 600 nm 以下の波長域ではほとんど同じであり, 481 nmに最小値を, そして450 nm 付近にピークを示す. しかし, 630 nm 以上の波長域では明らかに異なっている. すなわち, P700の酸化の作用スペクトルは, 621 nm にピークを示し 683 nm で一度低下するが, 700 nm にもう一つのピークを示した. 一方, P700の還元の作用スペクトルは, 660 nm 以上の波長域で低下した. なお, フラッシュ・フォトリシス法によるP700の吸光度変化の解析により, 濃厚な光合成色素を持つ作物の生葉中で起こる光化学反応について考察した.
  • 佐藤 肇
    1988 年 57 巻 2 号 p. 340-345
    発行日: 1988/06/05
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    インゲンマメの4品種とこれらの組合せによるF1およびF2雑種を用いて, 葉の調位運動における品種間の差異とその遺伝性を検討した. ポット栽培した供試個体の第1あるいは第2本葉の左側小葉に人工光を継続的に照射して, その「上下傾斜角」と「横向き傾斜角」を測定した. 得られた結果の大要は, 以下のとおりである. 4つの品種における小葉は,「上下傾斜角」が大きく, しかも入射光と葉面法線となす角度が, 著しく小さくなる方向に傾斜するものと,「横向き傾斜角」が大きく, 入射光との角度が大きくなるものの, 2つのタイプに大別された. 前者の品種を「上下傾斜型」, 後者を「横向き傾斜型」と呼ぶことにした. 「上下傾斜型」と「横向き傾斜型」の品種を両親とする2組のF1雑種は, ともに「上下傾斜型」の親と等しい葉面傾斜を示し,「上下傾斜型」の運動が「横向き傾斜型」に対して, 遺伝的に優性とみられた. 2組のF2集団における「上下傾斜角」と「横向き傾斜角」の分布によって, これらの傾斜角の変化に関わる因子は極めて密接な関係にあるが, 互いに独立的であることが示唆された. また「上下傾斜型」の小葉運動は, 大きな「上下傾斜角」と小さな「横向き傾斜角」をもたらす, 修正効果を伴う2種類の優性主働因子によって支配されているようにみうけられた.
  • 岩間 和人
    1988 年 57 巻 2 号 p. 346-354
    発行日: 1988/06/05
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    バレイショの乾物生産および収量に対する根の役割を明らかにするため, 春作と秋作ならびに秋作年次間において, 土壌表層30cmに含まれる根の乾物重と呼吸速度の生育に伴う推移を比較した. 1. 年次・作期間における葉面積指数の差異は開花始め(萌芽後30日頃)以降に明らかとなり, その最大値における差異が比較的小さかった(2.8-4.0). これに対し, 根重の差異は開花始め以前に明らかとなり, またその最大値における差異が大きかった(5.6-18.1g/m2). 2. 年次・作期間における根活力(単位根重当りの根呼吸速度)の差異は, 根重の差異に比べ小さかった. また, 根活力はいずれの年次および作期でも生育に伴い低下したため, 根重と根活力とから推定した全根活力(単位土地面積当りの根呼吸速度)は, 開花始め頃に最大となり, その後は低下した. 従って, 塊茎の肥大期間中に充分な養水分供給を維持するためには, 大きな根重を確保することが必要であると推察した. 3. 開花始めから1ヵ月間において, 年次・作期間に認められた個体群生長速度の差異は, 作物体の吸収した有効日射量の差異では充分に説明できなかった. しかし, 同期間の個体群生長速度と根重, ならびに塊茎の肥大速度および収量と根重最大値との間には, いずれも極めて高い正の相関関係が認められた. 以上のことから, 年次・作期間における根重の差異は, 塊茎肥大期間中の乾物生産ならびに収量の差異をもたらした主要な要因の一つであると推察した.
  • 山岸 順子, 石井 龍一, 玖村 敦彦
    1988 年 57 巻 2 号 p. 355-359
    発行日: 1988/06/05
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    異なる生理的条件の下で測定したダイズ個体の呼吸速度の経時変化から, 呼吸速度の決定機構を検討した. 暗期中の単位乾物重あたリCO2放出速度(RPW)は, 暗期開始直後には低下するが, 数時間後, 一時的に増加し (Midnight Rise of Respiration, MRR), その後, 再び低下し続けるという経時変化を示した. このような経時変化を示すRPWは, 全般的に植物体が若く, 窒素供給を行なった場合に高く, MRRも顕著であったが, 成熟の進んだ個体あるいは窒素供給を停止した個体ではMRRが見られなくなった. これらのことより, ダイズ個体においては, RPWの大きさおよびMRRを特徴とするRPWの経時変化は, 呼吸により生成されるエネルギーおよび中間代謝産物に対する植物体自身の需要度によって決められると考えられた.
  • 狩野 広美, 小泉 美香, 桂 直樹, 稲田 勝美
    1988 年 57 巻 2 号 p. 360-365
    発行日: 1988/06/05
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    クロロフィルbを完全に欠く水稲のクロリナミュータント, CMV-44の光化学反応の光飽和曲線を, オオムギのクロリナミュータントであるChlorina f2とともに調べた. SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動によってクロロプラストのチラコイド膜上の蛋白質を比較すると, 通常型品種に存在する集光性クロロフィルa/b蛋白複合体と光化学系Iのアンテナクロロフィル蛋白複合体がクロリナミュータントでは欠けていた. このためにクロリナミュータントのクロロフィルa/b比は高く, 光合成単位のサイズ(クロロフィル/P700比)は小さくなっていた. 水稲の単離クロロプラストを用いて, NADP還元による光化学系Iの活性と, フェリシアン化カリの還元による光化学系IIの活性を測定して光飽和曲線を求めると, 通常型品種である農林8号の方が低照度領域での活性が高く, CMV-44より低照度で最大活性に達した. 次に, 閃光分光分析器により生葉のP700の吸光度変化を測定した. 測定光によって酸化されているP700の割合(H/P)は系Iの反応効率を示すが, これを数種の水稲の栽培品種とオオムギについて測定すると, クロロフィル/P700比が大きいものほど系Iの反応効率は高かった. さらにこの吸光度変化から, 系Iの光飽和曲線をシミュレートすると, 低照度領域におけるクロリナミュータントの反応効率は通常型品種より低く, 単離クロロプラストで得られた結果が確認された. 一方, 最大活性は, 水稲ではほほ同じであったが, オオムギの場合, クロリナミュータントは通常型品種の約1/2になっていた. 本研究の結果より, クロロフィルb含量が高く光合成単位の大きな作物葉は, 葉の混み合った群落中, 施設栽培および冬期のような低照度条件下においても高い光合成活性を示すであろうと考えられる.
  • 道山 弘康, 坂 斉
    1988 年 57 巻 2 号 p. 366-370
    発行日: 1988/06/05
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    イネの葉鞘内に通気組織が発達していることおよび若い穂の穎花内に空気が入っていることに着目して, それらを水中で押し潰してガスを捕集することによりエチレンを測定する手法を確立した. この手法を用いて, 水田またはポットで生育したイネの葉鞘および穂における内生エチレンの変動を調べ次の結果を得た. 1. イネ葉鞘中のエチレンレベルは, 採取30分後まで採取直後と同程度であり, その後急激に上昇して, 採取1時間後に最高値を示した. その後は再び低下するものの, 採取後3時間の範囲では採取直後のそれより高いレベルを維持した. 2. イネ葉鞘中のエチレンレベルの日変化を見ると, 昼間に高く, 11:00-15:00 頃に最高値を示し, 夜間には低下した. 3. 出穂23日前のイネでは, 上位4葉の葉鞘中のエチレンレベルは同程度であった. しかし, 出穂開花期のイネでは, 止葉の葉鞘が最高値を示し, 葉位が下がるに伴ってエチレンレベルも低下した. しかし, 穎花中のエチレンレベルは, 葉位間では最高値を示す止葉葉鞘中よりさらに高かった.
  • 森田 茂紀, 菅 徹也, 春木 康, 山崎 耕宇
    1988 年 57 巻 2 号 p. 371-376
    発行日: 1988/06/05
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    ルートスキャナー(ライン交差法の応用機器)を用いて評価した根の長さから, 水稲根の形態的諸形質に関する指標を考案した. 実際の根の測定に先立って, 異なる直径(0.07, 0.10, および0.33mm)のナイロン糸をルートスキャナーで測定し, 機器の性能について検討した. その結果, ナイロン糸の直径が0.1mm 以上の場合に, 測定は正確であることが分かった. このことから, ルートスキャナーは, 水稲の1次根の全部および "太い" 2次根の大部分について, その長さを測定しているものと考えられた. いくつかの水稲品種について, ルートスキャナーを用いて根長(ERL)を測定するとともに, 1次根の長さ(PRL)およびFAA固定後の乾物重('DW')を実測した. これらの測定値をもとに, 根の分枝と根の太さ(直径)の指標として "分枝係数" および "太さ係数" を提案し, それぞれERL/PRL 比と 'DW'/ERL 比をもって示されるものと定義した. 本研究では, "分枝係数" は2.2から4.6 (m/m)の範囲にあり, "太さ係数" は9.18から10.81(mg/m)の範囲にあった. 植物体の生育段階や品種による違いを解析した結果, これらの "係数" は, 相対的な比較のための有用な指標であると考えられた.
  • 吉田 重方, 長谷川 浩
    1988 年 57 巻 2 号 p. 377-379
    発行日: 1988/06/05
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
  • 今井 勝
    1988 年 57 巻 2 号 p. 380-391
    発行日: 1988/06/05
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
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