日本作物学会紀事
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60 巻, 2 号
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  • 黒田 栄喜, 本庄 一雄, 平野 貢
    1991 年 60 巻 2 号 p. 213-219
    発行日: 1991/06/05
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    1988年7月中~下旬の穂ばらみ期における異常低温により著しい不稔籾が発生したので,出穂日の相違に着目し,不稔籾の発生状況および穂の部位による稔実歩合の違いを検討した. まず,水稲個体群における主茎と分げつの出穂日の相違とその品種間差異について検討した. ひと株全茎の出穂開始から完了までに要する日数には,比較的大きな品種間差異があった. 同一個体の主茎と各1次分げつの出穂日を比較すると,(1)主茎に比べ中位の分げつの出穂が早く,下位の分げつの出穂が遅れる品種,(2)主茎と中位の分げつの出穂がほほ同じで,下位の分げつの出穂が若干遅れる品種,(3)主茎にくらべてすべての1次分げつの出穂が遅れ,とくに下位および上位の分げつの出穂がかなり遅れる品種の3グループに大別された. 品種,株内の茎に着目してもわずかな出穂日の違いによって稔実歩合は明らかに異なった. 出穂日が同じでも個々の茎の稔実歩合にはかなり大きな変異がみられたが,主茎と1次分げつの稔実歩合には,明瞭な相違は認め難かった. また,一本の穂についてみると,稔実歩合は,先端部が最も低く,中央部,基部の順に高い場合と穂の各部位間で明瞭な相違がみられない場合とがあったが,各部位の稔実歩合には,主茎と1次分げつとの間で明瞭な違いはみられなかった. これらのことから,圃場における穂の部位による不稔籾発生の相違には,低温に遭遇した時の幼穂あるいは幼穂の各部位に着生する穎花の発育段階の違いに加えて,穂上位置の異なる穎花の低温感受性の相違も密接に関与していることが推察された.
  • 池田 武
    1991 年 60 巻 2 号 p. 220-224
    発行日: 1991/06/05
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    本試験は,コシヒカリを1/2000 aポットに,1株1本植で3ないし4株を配置を違えて植えた時,(1)登熟期および成熟期における稈の傾斜角度の時期による違い, (2)異なる配置による稲の株の拡がりの違い,(3)稈の曲がり方が,風速につれてどのような曲線上にのるか,などを検討した. 結果は以下の通りである. 1)稈の傾斜角度が最も小さかったのは,株の長軸が風に対して,登熟期では3株とも一直線上で平行の区(平行区),成熟期では3ないし4株とも直角の区(直角区)であった. 2)成熟期の風速に伴う株の拡がりは,平行区と直角区で収束する傾向にあったが,前者の収束が僅に大きかった. 3)風速に伴う最も風上側の稈の曲がり方は,2次曲線の一部によく当てはまることが示唆された.
  • 渡部 富男, 武市 義雄
    1991 年 60 巻 2 号 p. 225-233
    発行日: 1991/06/05
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    窒素の多量施用が障害不稔を助長する要因を明らかにするため,低温時の日照条件が異なる1982年,'83年の冷害年に,基肥窒素施用量,剪葉処理,稲株の圃場内位置と不稔の関係を検討した. (1)両冷害年とも,不稔籾指数は窒素施用量の増加に伴い直線的に高まったが,その増加傾向は晴冷型冷害年で大きかった. また,完全籾収量指数は,晴冷型の1982年では窒素施用量の増加に伴い直線的に低下した. 一方,曇雨天型の1983年では,基肥窒素施用量約11kg/10aを頂点とする二次曲線で示された. (2)窒素施肥の増量は葉面積を増加し,畦間遮光率を高め,晴天日には畦間気温,葉鞘内温度,水温,地温の昇温を阻害した. (3)冷温感受性期に剪葉処埋で受光態勢を改善すると,不稔は減少した. これは日射により葉鞘内温度が高くなるためであった. (4)受光量の多い畦畔沿いの稲株は圃場内部の株より不稔が少なかった. また,圃場西側の同一稲株内で,畦畔側の穂は圃場側の穂より不稔が少なかった. これも日射で葉鞘内温度が高くなるためであった. (5)以上から,窒素を多量に施用すると過繁茂になり,受光態勢の悪化が水稲群落内の畦間気温,葉鞘内温度,水温,地温の昇温を阻害し,これが障害不稔の発生を助長する一要因になると判断された.
  • 由田 宏一, 佐藤 久泰, 上嶋 尚, 石井 伸朗, 佐藤 導謙
    1991 年 60 巻 2 号 p. 234-240
    発行日: 1991/06/05
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    北海道各地より生産者単位で収集したアズキ(1987年産369点および1988年産203点)につき,色彩計を用いて種皮色を測定し,品種間差異,地域間差異を明らかにするとともに,収穫時期等との関係について検討した. 種皮色の測定値(Lab表色系)は,種子を布で拭いてから臍が視野に入らないように向きを調節してペトリ皿に緊密に入れ,測光部(直径8mm)を密着させて移動しながら20回測定し,これを平均して求めた. 供試した7品種において,黄味の程度(b)は34%,明度(L)は14%,赤味の程度(a)は8%の変異幅がみられ,音更小豆,エリモショウズおよび宝小豆ではbとLが高い値を示した.品種エリモショウズの種皮色は,年次によっても変動するが,色の各指標とも収穫時期の早晩および粒大と有意な正の相関関係が認められ,とくに収穫時期が遅く粒の大きい十勝産は,早く粒の小さい他の地域産のものに比べてLとbの値が高かった. 一方,収穫後の乾燥調整期間の長さは種皮色に直接関係しなかった. L,a,bの値は品種間,品種内ともに互いに正の相関をもって変動した. 品種間,地域間および生産者間における変異の実態は, アズキの種皮色が育種・栽培両面からかなり改良される余地のあることを示唆している.
  • 津田 誠, 高見 晋一
    1991 年 60 巻 2 号 p. 241-246
    発行日: 1991/06/05
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    水稲品種コシヒカリでは幼穂発育初期に水ストレスを与えると出穂が積算水ストレス(水ストレスの強さと期間の総合評価値)に比例して遅れる. 水ストレスによるイネの減収は出穂遅延を伴うことから,個体当たりの穂重もまた積算水ストレスが大きくなるほど低下すると考えられた. そこで, このことを実験的に検討するために生育期間の異なる3品種(こしにしき, コシヒカリ,農林18号)をポットに移植し,主程の幼穂が穎花分化期に達するときに2から12日間の水ストレスを与える6区,及び対照として常時湛水条件とする区を設けた. このような処理によって夜明け前の葉身水ポテンシャルが低下すると同時に,出穂が遅れ,個体当りの穂重も低下した.出穂の遅れと個体当り穂重の低下は,いずれも積算水ストレスに比例した.積算水ストレスに伴う個体当り穂重の低下程度は, コシヒカリが最も大きく,以下,農林18号,こしにしきの順であった. これは個体当り籾数のそれと同様で,幼穂発育初期の水ストレスは,主として籾数の低下を介して個体当り穂重を低下させることがわかった.
  • 長南 信雄, 松田 智明, 土屋 哲郎
    1991 年 60 巻 2 号 p. 247-254
    発行日: 1991/06/05
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    水稲葉身の老化に伴う転流機能の衰退機構を検討するため,葉緑体と師部の電顕観察を行った. 水稲の苗を第7葉完全展開直後から水耕培養液に移し,対照区(+N区) と窒素欠乏区(-N区)を設けて育てた. 第7葉身中央部を完全展開直後と展開後15および34日目に採取して,葉緑体と師部の電顕観察を行った. 葉身展開直後には,葉緑体に多量のデンプン粒が蓄積していたが, +N区の展開後15日目にはデンプン粒が消失し,内膜系がさらに発達した.展開後34日目には内膜の著しい減少と葉緑体の収縮がみられた. しかし,-N区の葉緑体では,展開後15日目にはすでにデンプン粒を残したままの状態で内膜の減少と葉緑体の収縮がみられた. 葉身展開直後には,原生師部の師管-伴細胞複合体で顕著な退化がみられたが,後生師部では退化がみられず,厚壁師管内にはP・プラスチドが観察された. +N区の展開後15日目には,後生師部の一部に退化がみられ, さらに34日目にほとんどの複合体で退化が進んでいた. しかし,-N区では展開後15日目にはすでに後生師部の全面的な退化がみられた.退化師部では師管と伴細胞における原形質分離,伴細胞におけるミトコンドリアの膨潤と破壊および好オスミウム性顆粒の蓄積などが観察された.以上の結果から,葉身の老化過程における転流機能の低下には,後生師部の退化が密接に関係しているものと考えられる.
  • 斎藤 邦行, 柏木 伸哉, 木下 孝宏, 石原 邦
    1991 年 60 巻 2 号 p. 255-263
    発行日: 1991/06/05
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    早生,中生水稲計5品種を用いて,1988,89年の2ヵ年にわたり乾物総生産量,収量および収穫指数の比較を行い,その相違する要因を穂への同化産物の分配から解析した. 出穂期以降の穂,葉身,茎の部位別乾物重の推移を品種間で比較したところ,茎葉重は出穂期以後全品種で減少し,登熟後期には再び増加することが認められ,これには明らかな品種間差があった. 茎葉重の減少は,葉鞘と稈から穂への貯蔵同化産物の移行により,茎葉重の再増加は,稈への出穂後同化産物の再蓄積によっており,以上の乾物重の変化は,全糖濃度,デンプン濃度の変化に対応していた. 以上の検討の結果,早生品種の南京11号はアキヒカリに比べて,出穂後の乾物生産はやや小さいものの,出穂前貯蔵同化産物が多く,そのほとんどが大きいシンクヘ移行することにより収量が多く,収穫指数も高いこと;中生品種では出穂前貯蔵同化産物量には大きな違いはなく,むさしこがねは日本晴に比べて,出穂後の乾物生産が高いことにより収量が多いが,シンクの容量を越えた多くの同化産物が程に再蓄積することにより収穫指数が小さいこと;密陽23号は日本晴に比べて,出穂後の乾物生産が多いことに加えて,その大部分が穂へと移行することにより,収量,収穫指数が高いこと;密陽23号はむさしこがねに比べ出穂後の乾物生産はやや小さいが,シンクが大きく出穂前貯蔵同化産物,出穂後の同化産物の大部分が穂へ移行することによって,収量,収穫指数が著しく高いことが明らかになった.
  • 高橋 清
    1991 年 60 巻 2 号 p. 264-270
    発行日: 1991/06/05
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    イネの鞘葉維管束数は通常2本である. しかし,日本型の陸稲品種‘東京藤蔵橘'では2本の通常の維管束以外に1~数本の追加維管束が存在することが知られている. 本研究では,これらの追加維管束の形成に関わる諸要因を検討した. 上記品種を材料に,低温(17/12℃,昼/夜温),高温(30/25℃),全葉身切除,1/2葉身切除,水分欠乏,根切除,無施肥の7種類の処理の影響を調査した. また,これらの外的条件と生長との間を仲介するとみられる植物生長調節物質の影響をみるため,ベンジルアデニン,ジベレリンA3,インドール酢酸,ブラシノライド,アブシジン酸, PP-333 (ジベレリン生合成阻害剤)などの7種類の植物生長調節物質処理の影響を調べた. 処理期間は,いずれも鞘葉維管束が形成される時期を含むように出穂後3日目から13日目までの10日間処理とした. 外的条件の中では,低温処理による追加維管束数の増加が顕著であった. その他の処理ではほとんど効果はなかった. 植物生長調節物質の中ではジベレリンとベンジルアデニン処理による増加が認められたが,それ以外の処理では明らかではなかった. 植物生長調節物質処理については発芽時処理の効果をも併せて検討したが, ジベレリン処理でのみ,増加の傾向が認められた,以上の結果から,主に胚形成時の低温条件が内生ジベレリンなどの植物ホルモンレベルの上昇などを通して追加維管束の形成をもたらすものと推定した. なお,これまで未調査であった浮稲16品種について調査した結果をも併せて報告する.
  • CABUSLAY G.S., BLANCO L.C., 秋田 重誠
    1991 年 60 巻 2 号 p. 271-277
    発行日: 1991/06/05
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    既存の稲品種・系統について幼植物の耐塩性評価に影響を及ぼす幼植物の生体重の頻度分布(ヒストグラム)を求めた結果,ある品種の幼植物の生体重ヒストグラムはほぼ正規分布に近い形を示すのに対し,他のあるものは複数のピークを持つヒストグラムを示した. この幼植物生体重のヒストグラムは胚重のそれと類似していた. また,生体重ヒストグラムの各ピークごとに個体をとり圃場に移して出穂期を観察したところ,各々異なる出穂日を示す場合もみられた. このことは生体重ヒストグラムの変異に遺伝的要因も関与する可能性を示すと考えられた. 稲種子を播種後1週間標準的な水耕液中にて育てた後,幼植物を標準および5, 10ds/mと塩濃度の異なる培養液中に移し30日間育て,各処理条件での生長量および植物体内のナトリウムおよびカリウム濃度を測定した. 処理30日後の標準水耕液中で育てた材料の生体重のヒストグラムと塩処理下で育てられた材料の生体重ヒストグラムは平均値の値は異なるが分布のパターンはお互いに似ていた. また,既存の品種を用いて塩処理条件下で生存する個体を選抜採種し,次世代の個体の耐塩性を評価した場合,品種によりもとの材料の耐塩性より強くなるもの,弱くなるものおよびほとんど変化しないものがみられた. これらの結果は稲幼植物の耐塩性に関与する要因は複数あり,耐塩性の比較試験を行うにあたっては少なくとも幼植物生体重についての遺伝的変異をできるだけ小さくした材料について評価がなされるべきであることを示すものと考えられた.
  • 樋口 暢宏, 前田 英三
    1991 年 60 巻 2 号 p. 278-282
    発行日: 1991/06/05
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    通常のSEM用の試料を,光顕観察用に再加工するSEM-光顕手法を確立した. この手法は,広い染色性を持つ水溶性樹脂,GMAにより包埋するもので,様々な植物試料に適用できるものと思われる.
  • 桃木 芳枝, 桃木 徳博
    1991 年 60 巻 2 号 p. 283-290
    発行日: 1991/06/05
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    植物でのアセチルコリン(ACh)の生理作用を解明するため,熱ストレス後の葉の萎凋から回復までの現象とACh含量の変化を熱帯地域(熱帯常緑降雨林地域)から導入したササゲ,キュウリおよびダイコンの品種を供試し温帯地域に適応している日本品種と比較した.熱ストレスは,ぺーパーポット内の植物をヘヤードライヤーの温風下(30℃)に2分または3分間さらした. ACh含量は熱分解装置と連結したガスクロマトグラフィーにより定量した.熱帯地域適応品種は,葉の萎凋程度が低く,萎凋からの回復も著しく速かった. また,熱ストレス前のACh含量も温帯適応品種に比べ葉,茎,節,根で2-10倍高かった. さらに,熱帯地域適応品種は熱ストレス後,葉,茎,葉枕,節,葉身,葉柄および根でACh含量が顕著に変化した. 一方,温帯地域適応品種では,熱ストレス後の萎凋に伴うAChの含量変化が小さいか, または,殆ど認められなかった. これらの結果から,熱帯地域適応品種の熱ストレス下における葉の萎凋および回復を伴う葉の敏速な反応はAChの迅速な量的変化に起因し,また, AChの含量変化には,葉枕,節,根でのACh 分解酵素の関与が示唆された.
  • LERSRUTAIYOTIN R., 重永 昌二, 宇都宮 直樹
    1991 年 60 巻 2 号 p. 291-297
    発行日: 1991/06/05
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    六倍体ライコムギ(×Triticosecale Wittmack)の麦芽製造品質を,麦芽標準作物としてのオオムギ,並びにライコムギの親作物としてのコムギ及びライムギと比較して検討を加えた. ライコムギ麦芽はライムギやコムギの麦芽よりもジァスターゼカが高く,とくにオオムギの麦芽に比して著しく高かった. 麦芽エキス及びエキス収量については,ライコムギとライムギはオオムギよりも高い値を示した. 麦芽収量率はライコムギの方がオオムギより高かった. ライコムギの浸麦時間は平均18.5時間で,オオムギの平均76.0時間に比して著しく短かった. 以上の点でライコムギは醸造原料としてすぐれた品質を備えていることが明らかになったが,全窒素含量がオオムギ,ライムギ,コムギより高く,また発芽力において劣る難点があり,更に検討を要する.
  • 松崎 昭夫, RUTGER J.Neil
    1991 年 60 巻 2 号 p. 298-305
    発行日: 1991/06/05
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    Calrose 76を中心とするアイソジェニック7品種を1985年,カリフォルニア大学(Davis)の水田で栽培し,葉齢指数と幼穂発育程度との関係,主程と分げつの出穂日を調査した. 主程と6号分げつの葉齢指数と幼穂長の関係は主稈のみの場合と同様であり,止葉の葉数が確定したあとの幼穂の発育段階は葉齢指数から高い精度で推定できることが確認された. 調査個体200株の平均値でみた場合,品種ES-201の主程の出穂日は1株の中で最初に出穂した分げつの平均出穂日とほほ同時であったが,他の6品種の出穂日は主程よりも分げつのほうが早かった. とくに,品種S-201の主程の出穂日は最初に出穂した分げつの平均出穂日よリ2週間も遅れた. 1株のなかで最初に出穂した分げつはES-201を除き1次分げつの6号分げつ(主稈の6葉から出た分げつ)であったが,2次分げつが最初に出穂した個体もみられた.これら6品種では葉齢指数85-90の時期の幼穂長は6号分げつが最大値を示し, しかも主程よりも大きい値を示していたので, これら6品種の分げつの出穂日が主程よりも早い性質はこれら6品種の特性であると考えられる. M-302とS-201の主稗の出穂日がCalrose 76とM 7に比較して低温に遭遇した場合に遅延程度が大きかった理由のひとつにこれらの品種の穂首節間の低温による伸長抑制が指摘された. また, M-101とES-201がM 7とS-201よりも出穂が早いのは, M-101では止葉葉数が少ないこと, ES-201では葉の展開速度が早いことによるものと推定された.
  • 道山 弘康, 坂 斎
    1991 年 60 巻 2 号 p. 306-311
    発行日: 1991/06/05
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    イネの葉鞘内及び穂中における内生エチレンレベルの発育に伴う変化について,押し潰し気体捕集法を用いて検討した. 葉鞘内ガスのエチレン濃度をみると,分げつ盛期にあたる田植え29日後(9葉期,出穂前59日)においては,12 nl/lから22 nl/lの範囲であった.その後は濃度が低下して,生殖生長初期の出穂前22日には6 nl/lから8 nl/lになった. その後エチレン濃度は上昇し,出穂開花期に16 nl/lから18 nl/lでピークを示した. 出穂後14日(乳熟期)になると,葉鞘内からほとんどエチレンが検出されなくなった. 葉鞘一本当たりエチレン含有量や葉鞘1g当たりエチレン含有量においても,以上に示したような発育に伴う葉鞘中のエチレン濃度の変化に見られた傾向と同様の傾向が見られた. 葉鞘中のエチレン濃度の葉位間差は,栄養生長期においてのみ見られ,新しく展開した葉から数えて四番目にあたる古い葉のエチレン濃度がその上位葉より高かった. 一方,穂においては,穂ばらみ期においてすでに葉鞘よりエチレンレベルが高いが,開花後著しく上昇するようになり,乳熟期頃にあたる開花後14日の実験終了まで上昇を続けた. 開花期のエチレン濃度は97 nl/lであり,乳熟期頃の開花後l4日には220 nl/lまで上昇した. しかし,穎花中のガス含有量が開花後減少するため,穂一本当たりエチレン含有量及び穂の生体重1g当たりエチレン含有量は出穂開花期頃にピークを示すように変動した.
  • 小柳 敦史, 佐藤 暁子, 和田 道宏
    1991 年 60 巻 2 号 p. 312-319
    発行日: 1991/06/05
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    農林登録されているコムギ133品種の種子根の屈地性を寒天培地で調査した. 発芽種子を初生種子根の出現角度が寒天面と平行になるような角度で置床し,2日後に初生種子根の伸長角度(伏角)を測定した. その結果,種子根の伸長角度には品種間差異が認められ,伏角はミナミノコムギが最も小さく4゜,農林58号が最も大きく64゜であった.品種を育成地で分類すると,北日本で育成された品種は伸長角度が大きく,南日本で育成された品種は伸長角度が小さかった. 供試品種全体では,直立型の品種に比べほふく型の品種,秋播性程度の低い品種に比べ高い品種の根の伸長角度が大きかった. なお,ミナミノコムギと農林58号の間には,根の伸長速度及び直径に大きな差異は認められなかった.
  • 翁 仁憲, 陳 清義
    1991 年 60 巻 2 号 p. 320-321
    発行日: 1991/06/05
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
  • 中谷 誠, 古明地 通孝
    1991 年 60 巻 2 号 p. 322-323
    発行日: 1991/06/05
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
  • 杉村 順夫, 戸井 直
    1991 年 60 巻 2 号 p. 324-331
    発行日: 1991/06/05
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
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