日本作物学会紀事
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60 巻, 4 号
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  • 津野 幸人, 山口 武視, 面地 理, 甲斐 宏一
    1991 年 60 巻 4 号 p. 475-483
    発行日: 1991/12/05
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    浸潤試薬で示される水稲葉の気孔開度(A)に関与する要因として, 葉色板示度(富士葉色カラースケール)による葉色(c), 日射強度(W), 飽差(d)の3要因を取り上げ, これらで圃場条件での気孔開度の日変化を総合的に説明しようとした. 1988年では慣行栽培の水稲(品種:ヤマビコ)の上位第1, 2葉の日変化を, 1989年には肥料条件を変えた試験区のヤマビコにつき上位第1~4葉の日中の気孔開度と葉色との関係を, 幼穂形成期から登熟期にわたって調査した. 朝夕の日射強度が520Wm-2以下の場合(d<6mmHg)は, AはWとcとの2要因の関数として示され, A=0.0108W (0.19c-0.40)という経験式を得た. 日中, 日射が520Wm-2以上の条件下で飽差を一定にとれば, 全期間にわたってAとcとの間には高い正の相関関係が成立し, また, 葉色を一定にとれば, Aはdと負の相関関係が認められ, その回帰式の勾配は各葉色とも0.18で A=b-0.18d で示された. この式の切片(b)と葉色との関係はb=0.93cで近似できたので, 520Wm-2以上の高日射条件下では, A=0.93c-0.18dの経験式が導かれた. これら2つの経験式より求めた計算値と実測値とは, 良好な適合を示し, Aの日変化とも合致した. 葉色示度3以下の葉身は, 日中ではわずかしか気孔が開かず, 光合成が著しく低下することが推察され, 葉色を濃く保つことの必要性を強調した. なお, 葉身N濃度が葉色に反映する程度は時期により異なり, 出穂後に高まる傾向を認めた.
  • 浅沼 興一郎, 奥村 美智夫
    1991 年 60 巻 4 号 p. 484-489
    発行日: 1991/12/05
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    生態型の異なる中間ダイズの金成1号と, 秋ダイズのアキヨシの2品種を供試し, 1982, 1983の両年度に, それぞれ5月末から7月下旬まで3回の播種期を設定して栽培し, 生育, 乾物生産, 及び子実生産について検討した. 1. 両品種とも晩播きになるほど開花迄日数, 生育日数が短縮され, それに伴って主茎長, 節数, 分枝数, 葉面積指数が小となった. 2. 結莢期における乾物生産構造からみると, 光合成系は品種ではアキヨシが大きく, 播種期では晩播きになるほど小さかった. 吸光係数は晩播きになるほど大きく, 比葉面積との間に負の相関関係が認められた. 3. 各生長パラメータは品種, 播種期をとわず同様なパターンで推移していたが, 生育後半には晩播きになるほどその低下の度合が大きかった. 4. 収量は両品種とも晩播きになるほど低くなった. これは莢数・子実数の減少によるもので, 生育量と密接な関係を有するものと考察された. 5. 本実験の範囲内では, 中間ダイズは播種期に対する反応性が低く, 播種期を適宜選定できるのに対し, 秋ダイズは播種適期が存在し, 一応, それを6月下旬と推定した.
  • 松江 勇次, 水田 一枝, 古野 久美, 吉田 智彦
    1991 年 60 巻 4 号 p. 490-496
    発行日: 1991/12/05
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    北部九州において栽培環境条件と米の食味と理化学的特性の関係を明らかにするために, 移植時期, 人為倒伏が食味と精米中のタンパク質含有率, アミロース含有率およびアミログラム特性に及ぼす影響について, 近年育成の良食味品種を供試して検討した. 移植時期の早晩の食味への影響が認められ, 移植時期が遅れるにしたがい食味は低下した. 特に晩植(7月5日植)では著しく食味が劣った. また, 品種別にみると, 移植時期の早晩による食味変動の大きい品種と小さい品種があった. 移植時期が遅れるにしたがってタンパク質含有率, アミロース含有率は増加し, 最高粘度, ブレークダウンは低下し, それらの増減程度は特に晩植で著しく大きかった. 移植時期が遅れることにより食味は低下したが, この場合タンパク質含有率, アミロース含有率の増加および最高粘度, ブレークダウンの低下がみられた. 倒伏による食味の低下程度は, 倒伏時期が早いほど大きかった. また, 倒伏によってタンパク質含有率およびアミロース含有率は増加するが, その増加程度は倒伏時期が早いほど大きく, 逆に最高粘度, ブレークダウンは倒伏によって低下し, 倒伏時期が早いほど低下程度は大きかった. 倒伏による食味低下の場合には, タンパク質含有率, アミロース含有率の増加および最高粘度, ブレークダウンの低下がみられた.
  • 松江 勇次, 水田 一枝, 古野 久美, 吉田 智彦
    1991 年 60 巻 4 号 p. 497-503
    発行日: 1991/12/05
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    栽培環境条件と米の食味と理化学的特性の関係を明らかにするために, 収穫時期が食味と精米中のタンパク質含有率, アミロース含有率およびアミログラム特性に及ぼす影響について検討した. (1)早刈や遅刈では成熟期刈に比べて食味が低下する傾向にあった. (2)成熟期に近づくにしたがってタンパク質含有率, アミロース含有率は低下し, 最高粘度, ブレークダウンは増加した. (3)成熟期前早刈による食味低下はタンパク質含有率, アミロース含有率の増加および最高粘度, ブレークダウンの低下によるものと考えられた. 成熟期後遅刈による食味低下はブレークダウンの低下が要因の一つと考えられた. (4)成熟期刈の食味と遅刈による食味低下程度の関係は品種によりさまざまであり, 供試品種は数種のタイプに分けられた. 成熟期刈の食味は高いが遅刈による低下程度が大きいもの, 食味が低く低下程度も大きいもの, 食味が高く低下程度が小さいもの, 食味は低いが低下程度も小さいものがあった. (5)遅刈によって食味と理化学的特性は変化したが, 両者の関係は明らかでなかった. (6)遅刈による理化学的特性の変化は品種により異なり, 変化の大きい品種と小さい品種とがあった.
  • 広瀬 竜郎, 星 周次, 三宅 博, 戸塚 績
    1991 年 60 巻 4 号 p. 504-509
    発行日: 1991/12/05
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    ラッカセイ個葉の光合成速度と蒸散速度を同化箱法で測定したところ, 環境条件を一定に保持したもとでも, 約50分周期の極めて顕著な周期的変化が長時間にわたって観察された. 光合成速度と蒸散速度の変動は極めてよく同調しており, 両者の周期的変化は気孔の周期的開閉によるものと考えられた. また, 地上部全体の蒸散速度も個葉の蒸散速度の周期的変化とよく同調していた. したがって, 気孔の周期的開閉は地上部全体で同調して生じていることがわかった. 個葉の蒸散速度の周期的変化は, 同化箱に低CO2濃度(10 ppm以下)の空気を導入した場合も消失しなかった. よって, この周期的変化の発現に対して, 葉肉細胞の光合成活性の変化にともなう気孔内腔のCO2濃度の変化は関与しないと考えられた. 一方, 測定に用いた個葉以外の葉の蒸散を抑制する処理を行なうと, 測定葉の光合成速度と蒸散速度の周期的変化は消失した. さらに, 蒸散速度の周期的変化とそのときの吸水速度との関係を調べたところ, 吸水速度にも蒸散速度と同様の周期的変化が観察された. しかし吸水速度の変動の位相は蒸散速度に対して10~20分遅れており, そのため蒸散速度と吸水速度の差である個体の水収支も周期的に正負に変化していた. 以上の結果から, ラッカセイの光合成速度と蒸散速度の周期的変化は, 地上部の蒸散量に対して根による吸水能力が十分ではない場合に, 個体全体の水分収支の変動により気孔が個体全体で同調的に開閉するために生じると考えられた.
  • 窪田 文武, 縣 和一, 諸隈 正裕
    1991 年 60 巻 4 号 p. 510-514
    発行日: 1991/12/05
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    カンショ葉の表皮を剥離して気孔の影響を除外し, 同化箱法により直接, 葉肉組織の光合成速度を測定した. 表皮剥離に先立ち, 個葉の表側表皮に透明テープを貼って葉の物理的強度を補強した. 裏側表皮には強粘着性の布テープを貼り, これを剥すことによって裏側表皮を葉肉組織を損傷することなく剥離することができた. 剥離面積は2.5cm×2.5cmをやや上回る大きさとした. 表皮剥離および非剥離個葉の光合成速度を小型同化箱で測定した. 表皮剥離後の光合成速度は, 剥離前に比較して大幅に上昇する場合が多く見られた. 光合成速度の上昇率は, 剥離前の個葉の気孔開度や光合成速度によって大きく異なった. 概して, 気孔開度が小さい個葉を剥離した場合, 光合成速度の上昇率は大きかった. この事実は気孔が閉鎖している場合においても葉肉組織の光合成速度は潜在的に高く維持され得ることを示唆する. 気孔伝導度と表皮剥離効果(剥離後光合成速度/剥離前光合成速度)との間には直角双曲線的関係が存在し, 気孔伝導度が0.2mol m-2s-1以下の固葉では剥離効果が極めて大きかったのに対して, 0.2mol m-2s-1以上では剥離効果はほとんど認められなかった.
  • 徐 会連, 山岸 徹, 和田 義春, 石井 龍一, 玖村 敦彦
    1991 年 60 巻 4 号 p. 515-522
    発行日: 1991/12/05
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    土壌水分欠乏, 光合成測定に先立つ生育環境の低空気湿度および両者の複合が光合成とその関連要因に及ぼす影響を葉位別に検討した. 実験は乳熟期の材料を用い, 規制環境下で行われた. 光合成低下程度の葉位間の順位からみて, 低空気湿度の影響のしかたは土壌水分欠乏のそれと異なった. すなわち, 土壌水分欠乏による光合成低下程度は, 止葉<第2<第3葉の順位であったのに対し, 低空気湿度によるそれは, 止葉>第2葉<第3葉であった. 気孔伝導度(gs), 葉肉伝導度(gm), Rubisco含量の変動は光合成の変動とほぼ並行していた. この事実から, 土壌水分欠乏および低空気湿度の上記のような葉位別光合成に対する影響は, 気孔開度と葉内光合成活性の対応する変動を基礎として起こることが示唆された. 土壌水分欠乏による葉内水ポテンシャル(ψ)の低下程度は上位3葉間ではほとんどちがわなかった. これに対し, 低空気湿度によるψの低下程度はとくに止葉で顕著であった. ψの低下に対するgs, gm, およびRubiscoの感受性は下位葉ほど大であった. これらのことから, 土壌水分欠乏による光合成低下程度の葉位間差異は主として, ψの低下に対する気孔, 葉肉光合成機構の感受性の差異にもとづくこと, 低空気湿度による光合成低下程度の葉位間差異にはこの感受性の差異に加え, ψの低下程度の葉位間差異が密度に関係することがわかった. 土壌水分欠乏と低空気湿度が複合した場合には, 両者それぞれの効果がほぼ相加的にあらわれた.
  • 佐竹 徹夫
    1991 年 60 巻 4 号 p. 523-528
    発行日: 1991/12/05
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    出穂前25~2日の期間に時期別に冷温処理を行い, 穎花の受精率と小胞子および花粉の発育を調べた. 受精率と充実花粉数との間に高い正の相関関係が認められたことから, 処理時期による受精率の差異は充実花粉数の差異に基づくものと考えられる. 冷温処理による充実花粉数の減少は, 葯分化期~4分子期の期間においては主として分化小胞子数の減少によるものであり, 小胞子前期~小胞子後期の期間においては主として退化小胞子数の増加によるものであった. 冷温による分化小胞子数の減少は4分子期に最も大きく, また冷温による退化小胞子数の増加は小胞子前期に最も大きかった. この結果, 冷温による充実花粉数の減少とそれに基づく受精率の低下は小胞子初期(4分子期と小胞子前期を合わせた時期)の処理において最も大きかった. 以上の結果より, これまで受精率によって評価されてきた小胞子初期の高い冷温感受性は, 小胞子の分化と発育の両方の冷温感受性がこの時期に最も高いことに起因している.
  • 和田 義春, 和田 源七
    1991 年 60 巻 4 号 p. 529-536
    発行日: 1991/12/05
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    国際イネ研究所の改良インディカ水稲の出穂後における葉の老化の品種間差を, シンクの大きさおよび窒素(N)施用との関連から調査した. 中生系統は葉の老化が早く, 早生系統の中には老化の早い系統と遅い系統とが存在した. 中生系統は早生系統に比して出穂期の葉面積が大であり, またシンクサイズも大きかった. 一方, 早生系統の中では大きなシンクを形成した系統ほど出穂後の葉の老化が早かった. 基肥N施用量が多い場合には大きなシンクを形成し, 同時に出穂期以降の葉の老化が早かった. また, 出穂期のN迫肥は葉の老化防止に効果があった. 実験的に穂切除や籾数制御を行ってシンクを小さくすると葉の老化が抑えられた. シンクサイズと登熟期に葉から穂に再転流したN量, およびこの時期の葉面積の減少量との間にはいずれも有意な正の相関がみられた. 以上の結果から, 登熟期の葉の老化は, 籾のN要求量と登熟期のN吸収量によって決定される葉からの再転流N量の大小に主に支配されると考えられた.
  • 松江 勇次, 水田 一枝, 吉田 智彦
    1991 年 60 巻 4 号 p. 537-542
    発行日: 1991/12/05
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    福岡県における水稲主要9品種を用いて, 玄米を1年間室温貯蔵した古米の食味および食味関連形質の品種間差を検討した. 貯蔵後はいずれの品種も食味が低下し, コシヒカリの古米の食味は, 新米の日本晴と同程度であった. 古米での食味にも品種間差があり, 新米で食味の良好な品種が古米の食味も比較的良かった. 古米での食味総合評価には, 新米同様に外観, 味, 粘りの三つの要素が強く影響していた. 古米の遊離脂肪酸の生成量は品種によって異なったが, 概して古米の食味評価の高い品種は遊離脂肪酸が少なく, 食味評価の低い品種は遊離脂肪酸が多かった. いずれの品種も古米の最高粘度が高くブレークダウンは大きくなり, その程度は品種によって異なったが, 古米の食味との関係は明らかでなかった.
  • 中元 朋実, 下田 和雄, 松崎 昭夫
    1991 年 60 巻 4 号 p. 543-549
    発行日: 1991/12/05
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    トウモロコシ2品種(ゴールドデント1106, 長野1号)とアワ2品種(虎の尾, 陸羽8号)の孤立個体を対象に, 節間位別に節根(1次根)の株近傍における伸長角度と土壌中の根系の2次元的な分布を調査した. 伸長角度は節根の伸長方向が鉛直線となす角と定義した. したがって, 伸長角度が大きい(小さい)ことは節根がより水平あるいは横(垂直あるいは下)方向に伸長することを意味する. トウモロコシの2品種では, 節根出現直後の伸長角度は上位の節間から出現する節根ほど小さかった. また1本の節根の先端方向へ向かって伸長角度は減少したが, その減少程度は上位節間の節根で著しかった. これらの原因により, 節根の最終的な伸長角度は上位節間の節根ほど小さかった. 一方アワにおいては, 中位節間の節根で伸長角度が顕著に大きかった. また, いずれの1本の節根についても, 伸長角度は基部近傍で一旦増加しその後先端に向かって減少した. このように, アワとトウモロコシでは特徴が異なっていたが, ともに主として節根の由来する節根の位置によって程度の異なる傾斜重力屈性を示すことが明らかになった. トウモロコシ, アワそれぞれについて品種を比較した場合, 伸長角度がより小さいすなわち節根がより鉛直下方向に伸長するとみられる品種(ゴールドデント1106, 陸羽8号)では, 株の直下あるいは斜下方向での根長密度が高かった. 根系の分布を規定する要因として節根の伸長方向が重要であり, それを伸長角度として定量的にとらえることが有用と考えられる.
  • PHANSIRI Salak, 谷口 武, 前田 英三
    1991 年 60 巻 4 号 p. 550-557
    発行日: 1991/12/05
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    本研究では, ダイズけん濁培養細胞からプロトプラストを分離し, 電気的方法により細胞融合を起こし, その初期反応を解析した. プロトプラストに交流電場を与えると真珠鎖のような構造を形成し, 更に直流パルスを与えると細胞融合が始まり, 5-15分後に球形になることが光学顕微鏡で観察された. 電子顕微鏡観察によると, 直流パルスを与えると, 一部のプロトプラストでは本来は滑らかであった表面に凹凸が観察された. この構造変化は2つのプロ卜プラストの接触部または向い合っている面に多く観察された. 融合はプロトプラストが接触している膜のごく狭い部分から始まり, 次に融合面が拡大し, 細胞成分が徐々に混合し, 最後に融合体は球形になった. 上記の結果から, 著者らは融合の過程が5つの段階から成ると考えた. 即ち, プロトプラストの接触, 表面の変形, 狭い部分での融合の始まり, 融合部分の拡大及び球形の融合体形成である.
  • 長谷川 浩, 金 忠男, 河野 恭広
    1991 年 60 巻 4 号 p. 558-565
    発行日: 1991/12/05
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    一般に作物の雑種強勢において根系が重要な役割を果たしていると考えられる. にもかかわらず, ジャポニカ/インディカF1雑種水稲の根系に関する研究は極めて少ない. そこで, 本研究は根系の機能が地上部の雑種強勢にどう関連しているかを明らかにするために行われた. 播種から45日間水耕栽培したF1雑種(MS1003/密陽23号, MS1003/新青矮1号)および成熟期までポッ卜で土壌栽培したF1雑種(MS(N)/密陽23号)を両親と比較した. F1雑種では茎数や節根数が両親と同程度であっても地上部乾物重は両親を上回ったが, 茎数や節根数が多かった場合には地上部乾物重のHeterobeltiosisは最高180に達した. 栄養生長期にはS/R比は両親と大差なかったが, 節根1本当たりの乾物重は生育初期から完熟期までのほとんどの場合両親より大きかった. さらに, 栄養生長期には節根1本当たりの葉面積, 地上部乾物重および窒素吸収速度が高かった. しかしながら, 根系乾物重当たりの窒素吸収速度は両親と同様の値であった. 以上の結果は, ジャポニカ/インディカF1雑種水稲では節根1本当たりの乾物分配量が多く, このことが節根1本当たりの機能を高め, 結果として根系全体の機能も高くなることを強く示唆している.
  • 王 善本, 星川 清親
    1991 年 60 巻 4 号 p. 566-573
    発行日: 1991/12/05
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    前報では, 下位節間における挫折が節間の特定位置で起こることを明らかにした.本報では, 挫折がなぜこの特定位置で起こるかについて, 節間を異なる部位に分けて, 各部位の形態的形質を比較検討した. 倒伏に弱い品種の下位節間では, 節間(葉鞘つき)が最下部の部位で最も太く, 挫折の起こる特定位置に向かって葉鞘が薄くなるとともに, 節間が急に細くなった. またこの位置では葉鞘の補強作用が急に低くなった. 挫折の特定位置における節間自身の乾物重が各部位の中で最も小さかった. これらはこの位置の節間自身の硬度が最も低いことと関連し, 特定位置の節間自身が最も弱いことを意味した. さらにこの弱さに加え. 葉鞘の巻き付けなどによって特定位置の扁平率が急に高くなった. このように, 挫折の特定位置において, 節間が急に細く, 節間自身の乾物重と硬度が最も低く, そして扁平率が急に高くなること ; また葉鞘が急に薄く, その補強作用が急に低くなること, つまり特定位置における節間自身と葉鞘との状況がともに劣っていることの総合的結果として, この位置で挫折が最も起こりやすいことになっていることが解明された.
  • 渡辺 和之
    1991 年 60 巻 4 号 p. 574-575
    発行日: 1991/12/05
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
  • 井樋 昭宏, 松尾 至身, 井之上 凖
    1991 年 60 巻 4 号 p. 576-577
    発行日: 1991/12/05
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
  • 井上 吉雄, 岩崎 和雄
    1991 年 60 巻 4 号 p. 578-580
    発行日: 1991/12/05
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
  • 天野 靖子, 谷口 武, 前田 英三
    1991 年 60 巻 4 号 p. 581-582
    発行日: 1991/12/05
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
  • 安江 多輔
    1991 年 60 巻 4 号 p. 583-592
    発行日: 1991/12/05
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
  • 吉田 智彦
    1991 年 60 巻 4 号 p. 595-596
    発行日: 1991/12/05
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
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