2種類の分光放射計を用い, トウモロコシ, ラッカセイ, ダイズおよびコムギの4種類の畑作物の着生葉および採取葉の反射スペクトルを, 3種類の測定条件で測定した ; すなわち, 着生葉を対象として圃場で太陽光下および人工光源と野外用に工夫した積分球を用いて行った測定, および採取した葉を対象とした実験室内での積分球付き分光放射計による測定である. 空気中の水蒸気による吸収のため, 1350-1480nm, 1800-2000nm, および2350-2500nmの波長域では, 晴天日の日中でも野外における葉の反射スペクトルの計測は困難であった. 相対含水率 (RWC, %) は反射スペクトル指標1n (ρ1910), ρ1430および1n (ρ1650) と, 単位葉面積当り含水量 (WC, H
2Omg cm
-2) はρ1200/ρ1430, ρ1650/ρ1430, ρ800-ρ1200およびρ1100-ρ1200とそれぞれ密接に関係していた. RWCと各スペクトル指標の間には, 個々の作物別には非常に高い相関関係があったが, 全作物に共通の回帰直線は得られなかった. WCと各指標の間には, 葉厚, クロロフイル濃度等にかかわらず作物共通の密接な直線関係が得られた. 波長1121nmにおける1次微分係数値が葉の水分状態と密接な関係にあることが見出された. また, 2010nm付近のスペクトルパターンの変曲点の位置が, 葉の乾燥に伴って2080から1880nmまで約200nmも変化し, その移動量は葉の水分状態と高い相関関係にあった. 圃場において, 土壌水分の異なる条件でのダイズ着生葉の水分状態の日変動を, 反射スペクトル計測によって非破壊で連続的に評価する試みを行った.
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