日本作物学会紀事
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63 巻, 4 号
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  • 内藤 成弘, 小川 紀男
    1994 年 63 巻 4 号 p. 569-575
    発行日: 1994/12/05
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    「新形質米」の心理的な品質を評価するために, 「白度」, 「つや」, 「型崩れ度」, 「かたさ」, 「粘り」, 「滑らかさ」, 「香り」の7項目からなる「新しい食味評価用語体系」を用いて宮能検査を行った. 各項目については, 基準試料と比較したときの「良い-悪い」や「好き-嫌い」ではなく, 心理的刺激の大小, 強弱を記録する分析型官能検査で評価した. また, 「新形質米」の用途適性を簡易な方法で把握するために, 白飯を食味した後に各々の米の用途適性アンケートを行った. そして, 新しい評価方式による評価の再現性, 項目間の相関および用途適性アンケート結果について検討し, 妥当な結果を得ることができた. ここで, 提案された食味評価用語体系は, 「新形質米」ばかりでなく, 一般の米の食味研究の場合にも十分適用できるものと思われる.
  • 大江 真道, 後藤 雄佐, 星川 清親
    1994 年 63 巻 4 号 p. 576-581
    発行日: 1994/12/05
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    水稲の分げつの出現に及ぼす深水の影響を調べるために, 深水処理期間中の水深を一定に保つ実験(第1実験)と, 主茎の葉の展開完了ごとに水深を段階的に深くして行く実験(第2実験)を行った. 第1実験では, 主茎のすべての完全展開葉の葉鞘が水面下に沈むように主茎葉齢約5.0から葉鞘の高さを水位の基準にして処理した結果, 水没した主茎の葉鞘内で生長中の分げつのうちで特に3号分げつ(T3)の出現が抑制された. しかし, T3と同様に水没した主茎の葉鞘内で生長中のT4, T5の出現は抑制されなかった. このことから, 深水による分げつの出現抑制は, 必ずしも分げつ芽を包む主茎の葉鞘の水没によって決定づけられるものでないと推定した. 第2実験では主茎のすべての完全展開葉の葉鞘が常に水面下に沈むように, 葉が一枚展開するごとに順次水深を深くする処理を主茎葉齢約5.2から10.5まで行った. その結果, T4, T5, T6の出現が抑制された. 水深を深くした時期と分げつの生長反応との関係から, 分げつ芽の深水に対する影響は生育段階によって異なり, 最も影響を受けやすい生育段階は, 分げつ芽自身が葉原基を約4枚分化して葉鞘から出現直前の時期で, その前の, 葉原基を2~3枚分化した早い時期, 及び出現を開始した生育の進んだ時期は影響が小さいことがわかった.
  • 沈 益新, 伊藤 浩司, 石井 康之, 田中 重行, 田中 典幸
    1994 年 63 巻 4 号 p. 582-588
    発行日: 1994/12/05
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    暖地型イネ科牧草グリーンパニック, 品種ペトリーの乾物生産に及ぼす植物生長調節剤処理と施肥の影響を, 処理した1番草の生長の変化と1番草刈り取り後の無処理の2番草の生長の変化との関連に着目して検討した. 1993年4月21日に播種し, 圃場栽培した材料を7月8日に次の4区に分けた. すなわち, 生長促進剤処理区(ジベレリンA3の200 ppm水溶液90 mL/m2を葉面散布, G区), 生長抑制剤処理区(パクロブトラゾールの860 ppm水溶液90 mL/m2を葉面散布, P区), 多肥区(N, P2O5, K2O各10 g/m2を増施, H区)および対照区(C区)である. 処理後26日目の8月3日に地上3 cmの高さで刈り取リ(1番草), その後の2番草は各区とも無処理で育て, 1番草の処理時から9月14日の2番草刈り取り時までの処理区の生長を対照区と比較した. 処理の直接的影響により, G区では茎数の増加が抑制され, P区では分げつの伸長生長が抑制されて, 両区ともに1番草の収量はC区より少なかった. しかし, 2番草では両区とも, 茎数増加が急速となって, 収量はC区より多くなった. この2番草の茎数増加はG区では, 1番草の茎数増加の抑制により株基部に保存された多数の分げつ芽が刈り取り後に生長したことに基づき, P区では, 1番草における分げつの伸長抑制により, 生長点を刈り残された分げつが多く, 刈り取り後はその分げつが多くの新分げつを生産したことに起因した. H区では処理の直接影響により, 1茎重の増大が促進されて1番草の収量はC区より大きくなったが, 刈り株に2番草の茎数増加を促進する要因が形成されず, 2番草の収量はC区にやや劣った.
  • 松崎 昭夫, 尤 宗彬, 町田 寛康
    1994 年 63 巻 4 号 p. 589-593
    発行日: 1994/12/05
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    同じ個体の主稈と分げつおよび分げつ相互間に幼穂発育及び出穂日の差が生ずるメカニズムを明らかにしようと試みた. イネ3品種, 農林1号, 日本晴, 農林8号を供試し, 水田土壌を詰めたa/2000ワグネルポットに直播土耕法によって野外で栽培を行った. 葉齢指数約70- 90の時期に伸長した葉を展開完了時に剪除し, 止葉の葉鞘から穂の先端が5 mm以上抽出したものを出穂と認め, その日付を止葉に記入した. 成熟期に抜き取り, 分げつ節位別に出穂日を記録整理した. 分げつの葉を展開完了時に剪除するとその分げつの出穂が遅れたが, それぞれの止葉葉位はほとんど変わらなかった. 出穂に対する分げつ葉剪除の影響はその分げつに著しく見られ, 葉を剪除しない分げつへの影響は少なかった. 剪葉による分げつの出穂遅延は早生品種で著しかった. 二次分げつと一次分げつの出穂日の関係は一次分げつと主稈の関係に類似しているが, 二次分げつ相互間の出穂日の異なることが分かった. 主稈とその二次分げつの出穂日の差は, 晩生品種より早生品種の方が大きかった. 剪葉処理により一, 二次分げつともに出穂が遅れたが, 二次分げつは一次分げつよりも更に遅れ, この傾向は早生品種で著しかった. また, 二次分げつの場合も剪葉処理の影響は剪葉処理を受けなかった分げつでは少なかった. 二次分げつの止葉葉位は一次分げつより増加する傾向を示したが, 剪葉処理の影響は認められなかった. 葉齢指数90の時期の分げつ別の幼穂長が長いほどそれの出穂日が早く,剪一次, 二次分げつの出穂の早晩は幼穂分化の早晩に基づいたものであると推察された.
  • 山岸 順子, 衛藤 邦男, 矢島 経雄, 鈴木 晴雄, 稲永 忍
    1994 年 63 巻 4 号 p. 594-600
    発行日: 1994/12/05
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    イネ8品種をポット栽培し, 1穂穎花数と茎葉諸形質に対する, 比較的低濃度(5 ppm)のジベレリン(GA3)投与の影響を調査し, 1穂穎花数の品種間差異について考察を加えた. GA3は, 栄養成長期より出穂期まで毎週1回噴霧した. 供試8品種の1穂穎花数は, 無処理の場合に, 1次枝梗あたり穎花数と最も高い正の相関関係を示し, ついで, 第1節間直径と正の相関関係にあった. そして, この関係はジベレリン投与を行った場合にも全く同様であった. 個々の品種についてみると, 1穂穎花数に対する投与ジベレリンの効果には明らかな品種間差異がみられた. 投与ジベレリンにより1穂穎花数が非常に増加した品種に共通の性質として, 第1節間直径の増加があげられ, また, これらの品種では1次枝梗あたり穎花数または1次枝梗数の増加がみられた. したがって, ジベレリン投与により1穂穎花数が増加した品種においては, 無処理の場合に1穂穎花数に品種間差異をもたらしている要因に対して, 投与ジベレリンが正の効果を及ぼし, 1穂穎花数が増加したと考えられた. 投与ジベレリンが1穂穎花数に対し全く効果を示さなかった場合もあり, 投与ジベレリンに対する1穂穎花数の反応性に品種間差異がみられたことは, 内生ジベレリンの1穂穎花数決定における役割にも品種間差異があることを示唆していると考えられた.
  • 山本 由徳, 濃野 淳一, 新田 洋司
    1994 年 63 巻 4 号 p. 601-609
    発行日: 1994/12/05
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    約1/1000aポットに直播栽培した水稲主稈の第2節から第11節の範囲で, 下位, 中位, 上位節に1次分げつを1節のみ, 2節あるいは4節残存させ, 株当り分げつ穂数を20本とし, さらに残存節数が同じ区では, それらの次位別構成を同一とした条件下で, 主稈の節位別, 次位別分げつの子実生産力について検討した. 1) 主稈の生育, 収量(穂重)は, 残存節数が少なく, 残存節位が上位であるほど優った. 2) 同一残存節数区の1次分げつの平均1穂重は, L位>中位>下位節の順に優った. 2次分げつの平均1穂重は, 1節および2節残存区では中位>上位>下位節の順に, また4節残存区では上位=中位<下位節の順に重くなった. 3(4)次分げつの平均1穂重は, 1節および2節残存区では中位>下位>上位節の順に, また4節残存区では中位=上位>下位節の順に重くなった. これらの結果, 全分げつの平均1穂重は1節, 2節および4節残存区でそれぞれ中位>下位>上位節, 中位>上位>下位節, 上位>中位>下位節の順に重くなり, 分げつの子実生産力は出現時期が早く, 栄養生長量の優る下位節ほど優るという傾向はみられなかった. 3)1次分げつの1穂重は穎花数と密接に関係し, 1穂穎花数は茎の生理活性をより直接的に示すと考えられた葉鞘からの葉身抽出速度(cm/日)と非常に高い有意な正の相関関係を示した.
  • 星川 清親, 中村 聡, 後藤 雄佐, 田中 正夫, 壁谷 雄一
    1994 年 63 巻 4 号 p. 610-615
    発行日: 1994/12/05
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    1991年にスイートソルガム14品種を用いて, 出穂期までの播種後日数(DAS-H)と収量及び収量に関与する諸形質との関係を調べた. さらにその中の8品種を1991年から3年間栽培し, 出穂期の年次変動, DAS-Hと収量との関係を解析した. 1991年の実験では, DAS-Hが多いほど, 茎乾物収量が多く, 品種間で直線的な関係が認められた. また, 収量に関与すると考えられる形質, つまり総葉数, 伸長節間数, 茎長, 茎直径についても同様な関係が認められた. 3年間の実験の結果, DAS-Hは, 品種によっては年ごとに大きく変動した. 例えばWrayの出穂期は, 1991年ではDAS-H88(8月31日, 1993年ではDAS-H125(10月5日)で, 播種後日数にして37日の差があった. これを出穂期までの積算温度(CAT-H)でみても同様で, 1991年と1993年とで585度日の差があった. また, 各品種をDAS-H順に並べると, その順位も年により変動し, 一部の品種では早生か晩生かを決定できないものもあった. すなわち, 1992年では中生品種と位置付けられるRio, Keller, Wrayは1991年では早生品種, 1993年では晩生品種に位置づけられる結果となった. 品種によって出穂期の年次変動が大きく, しかも収量及び収量関連形質の年次変動と異なるために, 3年間を通してみると, DAS-H (CAT-H)収量, または収量関連形質との相関は低かった. しかし, 年ごとのDAS-Hと収量または収量に関与する形質との間には, 高い正の相関が認められた.
  • 斎藤 邦行, 稲村 隆治, 石原 邦
    1994 年 63 巻 4 号 p. 616-624
    発行日: 1994/12/05
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    ダイズ複葉の光に対する反応を明らかにするため, 実験室内において複葉に人工光を照射し, (1)3小葉先端を結ぶ三角形ΔTの面積および小葉の傾斜角度の変化, (2)葉面受光量の変化, (3)光強度と複葉の運動との関係を検討した. 光照射後, 3小葉の傾斜角度は大きくなり, 60分後のΔTは57%まで減少した. 頂小葉の傾斜角度が大きくなるに従って葉面受光量は減少し, 60分後には水平面に比べ30~50%低くなった. 水平面光強度が大きくなり300μE・m-2・s-1になるとΔTは急速に小さくなり, さらに600μE・m-2・s-1になると葉面受光量は水平面に比べ50%以上低くなった. 野外において, ポットに生育したダイズ頂小葉に光センサーを貼り付けて, 水平面光強度を100とした相対葉面受光量(RL)の日変化を調査した. RLは早朝には100%以上を示したが, 日中は傾斜角度が大きくなるに従い50%以上低下した. 圃場栽培したダイズ個体群上層の小葉においても, RLは日中約60%まで低下した. 個体群上層における葉の木部水ポテンシャル(Ψx)の日変化を調査した結果, 前日に葉枕をアルミホイルで固定した区のΨxは対照区に比べて0.05~0.1 MPa低くなった. 以上の結果から, ダイズ複葉は光合成が光飽和に達しない程度の弱い光に反応して傾斜角度が大きくなりΔTは小さくなること, これに伴って葉面受光量は減少するものの, 日射の強い日中には個葉光合成速度は減少させていないこと, また葉面受光量を減少させることによりΨxを高く維持し, 水分ストレスを回避していることが推察された.
  • 古谷 篤, 伊藤 亮一, 石井 龍一
    1994 年 63 巻 4 号 p. 625-631
    発行日: 1994/12/05
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    アフリカイネ(Oryza glaberrima Steud.)はイネ(O. sativa L.)よりも不良環境対する耐性が強いと言われている. 本報告では, 葉の水ポテンシャル低下に対する個葉光合成速度と気孔開度の反応を, Oryza glaberrima Steud. の2系統とO. sativa L.の2品種とで比較し, O. glaberrima Steud. の有する耐干性機構に関する情報を得ようとした. O. glaberrima Steud. は, O. sativa L.に比べて, より低い葉の水ポテンシヤル条件下でも気孔を開き, 光合成を維持していた. これは, 乾燥条件下での水分維持という観点からは不利であるが, 乾燥条件下でも光合成, ひいては乾物生産を行えるという点では有利な特徴といえる. 次に, 葉の水ポテンシャル低下にともなう葉中のアブシジン酸(ABA)含量の変化を調べた. その結果, ABA含量は, 両種において, 葉の水ポテンシャルの低下とともに増加していたが, ABA含量の増加に対する気孔伝導度の減少程度は, O. sativa L.のほうがO. glaberrima Steud. よりもはるかに大きいことが判った. このことが, O. glaberrima Steud.では, より低い葉の水ポテンシャル条件下でも気孔開度が大きく維持されている原因の一つと考えられた. なお, 葉の水ポテンシャルの低下にともなう炭酸固定酵素, リブロース-1, 5-ビスホスフェートカルボキシラーゼ含量の変化を調べたが, この点については, 両種の間に明瞭な差は認められなかった.
  • 高崎 康夫, 関 陽一, 野島 博, 礒田 昭弘
    1994 年 63 巻 4 号 p. 632-637
    発行日: 1994/12/05
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    イネ属植物における1年生タイプと多年生タイプの生育の特性を知ろうとして, 1年生の1系統W492(Oryza glaberrima Steud.)と多年生の1品種コシヒカリ(Oryza sativa L.)を供試して, 出穂期以後の生育を比較した. 両系統・品種とも1/5000アールポットに個体植えし生育を調査した. 出穂期以降は1週間ごとに, 両系統・品種とも10個体ずつを堀取り, 植物体各部の乾物重とデンプン含有率を経時的に調査した. 出穂期以降の生育で, 両者の間で大きな違いがみられたのは, (1)穂への乾物集積速度(2)葉面積の減少速度(3)茎+葉鞘部分のデンプン含有率(4)登熟期前後からの新しい分げつの発生程度であった. イネ科植物の1年生と多年生の違いとしてよく指摘される収穫指数については大きな違いはみられなかった. (1)~(4)の名かで(3)と(4)はイネ科植物の1年生と多年生の違いとしてこれまでにすでに報告されている. (1)の穂への乾物の集積速度と(2)の葉面積の減少速度の二つについては1年生と多年生の違いとしてこれまでに報告されていない. イネ属における1回結実性の1年生の性質は, 穂への乾物の集積速度が速いこと, 葉面積の減少速度が速いことと深く結びついていると推論した.
  • 小葉田 亨, 原 慎一
    1994 年 63 巻 4 号 p. 638-642
    発行日: 1994/12/05
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    水ストレスを受けた植物体で作られるアブシジン酸(ABA)などの物質が気孔開閉におよぼす影響を知るための簡単な検査法を確立しようとした. 葉片の浸潰や散布のような葉面を湿潤させる方法ではポロメータ法による気孔伝導度測定はできず, また気孔の開くような光条件の基でイネ葉身は切断するとすぐに萎凋するのでさし葉への吸収法は難しく, 葉鞘への一定量の注入は組織が薄く困難であった. そこで生育したままのイネの葉身先端を切除して小型のバイアルにつけ, 試験液を吸収させポロメータで測定する方法を試みた. その結果, 葉身切除により始めの15分は葉身中央部の気孔伝導度は低下するもののその後は無切除の葉身とほぼ同じになった. バイアルからの液の吸収量は蒸散速度の増加にともない増えた. 蒸留水と10-3から10-8mol L-1までのABA溶液を吸収させると気孔伝導度は濃度に応じて低下した. ただし, はっきりした効果が現れるのには3時間以上かかり, 葉身によって吸収開始後の気孔伝導度に変動が認められた. これは浸潤法で気孔閉鎖部位を見るとバイアルを付けた葉身先端から中央に向かい徐々に気孔が閉じていくこと, 同一部位では葉身中央に比べ縁の方が閉鎖が早く, バイアルから遠いほどわずかな測定部位の変化が値を変動させるためと推定された. 従って, よりバイアルに近い部位を測定すれば, 短い時間で気孔開閉を少ない変動で測定できると考えられる. 以上から, 本方法を用いれば比較的簡単に栽培条件に近い環境でイネの気孔伝導度への各種溶液の影響を調べることができると結論された.
  • 国分 牧衛, 島田 信二
    1994 年 63 巻 4 号 p. 643-649
    発行日: 1994/12/05
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    ダイズ個葉の光合成速度の日中の低下程度(APdec:午後の値/午前の値)の品種間差に関与する生理的要因を葉の水分状態に着目して解析した. ダイズ10品種を圃場条件で3年間(1990~1992)栽培し, 葉のみかけの光合成速度(AP), 気孔コンダクタンス(Gs), 水ポテンシャル(Ψw), 浸透ポテンシャル(Ψs), 圧ポテンシャル(Ψp), 相対含水率(RWC)および茎基部からの出液速度(Ex)を午前(9-11h)と午後(13-15h)測定した. APdecはGsの低下程度(Gsdec)と9回の測定中5回品種間で有意な相関がみられた. 供試品種中APdecのもっとも大きい品種(Peking)のΨwは, 飽差(VPD)の大きい条件(1990年)では, APdecのもっとも小さい品種(宗賀在来)を含む2, 3の他の品種に比べて高く維持されたことから, Ψwの差がAPdecやGsdecの品種間差に寄与しているように思われた. 降雨遮断処理条件では, Pekingは宗賀在来に比べ, RWCが低く, Ψsが低下してΨpの低下を少なくする傾向がみられた. しかし1991, 1992年(多雨条件)には, Ψwの低下がほとんどなくてもAPが低下する場合がみられた. ExとAPdecおよびGsdecとの間には, 品種間で正の相関が認められた. これらの結果は, 光合成速度の日中の低下程度の品種間差は, 葉の水分状態や水分吸収能と密接な関係にあるが, それ以外の要因が支配的な場合もあることを示している.
  • 桃木 芳枝, 加藤 茂, 上村 英雄
    1994 年 63 巻 4 号 p. 650-656
    発行日: 1994/12/05
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    植物細胞がどのように塩ストレスに反応するかを理解するため, 自生アッケシソウ(Salicornia europaea L.)の生育期間における表皮細胞の塩化ナトリウム溶液に対する原型質分離濃度の推移を検討した. また, アッケシソウの無機イオン濃度と表皮細胞の塩化ナトリウム溶液に対する反応を, 他の塩生植物と比較した. さらに, 高濃度の塩化ナトリウム溶液に対する表皮細胞の反応をMS培地(低塩濃度)で生育したアッケシソウと比較検討した. 自生アッケシソウの茎における表皮細胞の塩化ナトリウム溶液に対する限界原形質分離濃度は, 生育期間中に1.6%から2.2%に上昇した. 生育終期のアッケシソウ体内における主な無機イオンは, 63 mM Na+イオンと107 mM Cl-イオンであった. MS培地で生育した植物の表皮細胞は, 自生アッケシソウの表皮細胞の約2倍の大きさとなり, 植物体の浸透圧は35-50%低かった. また, MS培地で生育したアッケシソウの表皮細胞における塩化ナトリウム溶液に対する限界原形質分離濃度は, 自生のものとほぼ同じであった. しかし, 高濃度の塩化ナトリウム溶液に浸漬した場合, 同処理の自生アッケシソウの表皮細胞に比べ, 過度の原形質分離を起こした. これらの結果から, 自生アッケシソウの表皮細胞は, 生育過程においてNaClを蓄積し, 蓄積したNaClを細胞内の浸透調節に役立てていることが示唆された. なお, アッケシソウの植物体内のNaCl濃度および表皮細胞の塩化ナトリウム溶液に対耐する原型質分離濃度は, 他の塩生植物よりも高いことが認められた.
  • 礒田 昭弘, 吉村 登雄, 石川 敏雄, 野島 博, 高崎 康夫
    1994 年 63 巻 4 号 p. 657-663
    発行日: 1994/12/05
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    ダイズの葉の調位運動の品種間差異について, 受光量, 葉温および蒸散速度の点から検討した. 5品種(ツルコガネ, ナンブシロメ, エンレイ, タチナガハ, ミヤギシロメ)を圃場条件下で栽培し, 登熟期に調位運動を抑えるため防雀網で群落上層を抑える処理を行った. 群落内部の2個体の全小葉の受光量を簡易積算日射計で測定した. 単位土地面積当りの受光量はいずれの品種も処理間に差はなかったが, 単位葉面積当りの受光量は品種間差異があり, ナンブシロメ, ツルコガネの最上層では処理区の方が受光量が大きくなった. 小葉面積が小さく, 葉の厚い品種ほど単位葉面積当たりの受光量が大きい傾向があった. 処理が葉温に及ぼす影響は品種間差異が大きで, ツルコガネ, ナンブシロメ, エンレイでは処理区の葉温が大きくなった. タチナガハ, ミヤギシロメでは処理間差は小さかった. 無処埋区の蒸散速度(単位葉面積当りの茎流速度)はタチナガハがもっとも大きく, エンレイが最小であった. 葉温は葉の調位運動と蒸散によって制御され, これらの要因の係わり方は品種間で異なるものと考えられた. すなわち, ツルコガネ, ナンブシロメ, エンレイは主に調位運動によって, タチナガハは両者によって葉温が制御され, ミヤギシロメでは他品種に比べ葉温は余り制御できないものと考えられた.
  • 井上 吉雄, 桜谷 哲夫, 芝山 道郎, 森永 慎介
    1994 年 63 巻 4 号 p. 664-670
    発行日: 1994/12/05
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    作物の個体群蒸散速度および植被コンダクタンスをリアルタイムで遠隔的に評価する手法を開発した. 遠隔法は個体群についての熱収支モデルに基づいており, 遠隔計測される植被温度および個体群に吸収される純放射エネルギを主要な入力とするものである. 干ばつ, 灌水, 湛水の各土壌水分条件下にあるダイズ個体群について, 同手法による推定値と茎熱収支法による測定値とを比較検討した. 茎熱収支法による個体群蒸散速度の値は, 自作した茎熱収支法ゲージによる個体蒸散速度と破壊サンプリングによる葉面積から求められた. 茎熱収支法を用いて測定した個体蒸散速度は日射強度や風速の変化によく応答して変動し, かつ反復個体の変動は非常によく同期していた. 個体間の蒸散速度の差はおもに葉面積の差に支配されていたが, 散乱光条件下よりも直達光条件で拡大する傾向があった. 遠隔法と茎熱収支法から求めた個体群蒸散速度を, 1) 同一個体群についての日変化, 2) 3つの土壌水分処理の影響が大きく現れた日の全区の10分当たり平均値, 3) 3種の土壌水分条件における全測定日の日蒸散量, の3つの角度から比較した. その結果, 多様な土壌水分ならびに微気象条件において, 遠隔法が個体群蒸散速度と植被コンダクタンスの正確な推定値を与えることがわかった. 本方法により, サンプリングや周辺環境の撹乱を伴わずに, 野外条件で植物個体群レベルの蒸散速度, コンダクタンスを連続的に評価できる可能性が示された.
  • 徐 会連, 志田 篤彦, 二谷 文夫, 玖村 敦彦
    1994 年 63 巻 4 号 p. 671-675
    発行日: 1994/12/05
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    異なる土壌水分条件下で生育したソルガムの幼植物に, 各ポットの4個体を一組として次の薬液を散布した:(1)22R, 23Rエピブラシノライド(EBR)0.1 ppm, (2)アブシジン酸(ABA)50 ppm, (3)EBR 0.1 ppm + ABA 50 ppm.結果は以下の通りであった. 1) EBR処理は, すべての水分条件下で乾物生長を促進した. このことからEBRはいろいろな水分条件下で生長促進効果を示すと見られたが, この効果の程度は小さかった. 2) ABA処理は, 良好な水分条件下で, 地上部乾物重を減少させたが, 根の乾物重を増加させた. いっぽう水ストレスがかなり続いた場合, および水ストレスが続いて後, 良好な水分条件下に戻された場合には, ABA処理区の個体乾物重は逆に対照区のそれよりも大きくなった. このことから, ABAは水ストレスによる生長抑制を軽減し, 再給水後の生長回復を速めることがわかった. 3) 良好な水分条件下でEBR + ABA処理は個体乾物重を減少させた. この減少の程度はABA単独処理の場合よりもいっそう著しかった. しかし, 強度の水ストレス下で, 或は強度な水ストレスが長く続いた後, 良好な水分条件下に移された場合には, 個体乾物重を増加させた. この増加の程度はABA単独処理の場合よりも大きかった. 4) 以上からEBRとABAとは顕著な相互効果を示すことがわかった. 要するに, ABAはソルガムの生長に対し, 水分条件によって正負両様の効果を示し, EBRはこの正負の効果をともに拡大したといえる. 5) EBRおよびABAによる処理がそれぞれ耐乾燥性を高めること, 両者の併用によりその効果がいっそう大きくなることは, 強度の水ストレス下での葉身の生存率および個体の生存率からも認められた.
  • 徐 会連, 志田 篤彦, 二谷 文夫, 玖村 敦彦
    1994 年 63 巻 4 号 p. 676-681
    発行日: 1994/12/05
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    アブシジン酸(ABA)とエピブラシノライド(EBR)の耐乾燥性増強効果の発現機構について, 蒸散低下曲線から求めた気孔(TRsm)・クチクラ(TRcc)両蒸散速度およびそれらに関係する要素から検討した. 1) EBRとABAはTRsmを減少させ, 両者を混合する場合この減少程度はいっそう大きかった. 2) ABAはTRccを減少させ, EBRは単独ではTRccを減少させなかったが, ABAと併用すると, ABAの前記の効果を強めた. 3) 葉面灰色度(Gn)に対する各処理の効果はTRccに見られた傾向と完全に対応することから, 上記薬剤によるTRccの抑制は, ワックスの沈着促進を通じて惹起されたことが示唆された. 4) 切り葉を十分吸水させたうえ無給水で3時間蒸散させた後の相対含水率(RWC3h)と水不足下の植物の着生葉の相対含水率(RWCi.s)との傾向が一致していることから, TRsmとTRccの抑制による水分損失の軽減が乾燥下で葉の水分を高く保つ原因の一部となっていると推察された. 5) 気孔が閉じる時の相対含水率(RWCs.c)が対照 > EBR > ABA > EBR + ABAであったことから, これらの処理により, 水分損失を少なくするばかりでなく, 葉内水分不足の場合にもより正常な機能を維持する能力を強めることが示唆された. 以上から, 個体あるいは器宮のレベルで見られた耐乾燥性の生理的基礎の一部は, 気孔蒸散, クチクラ蒸散による水分の損失の軽減と, 組織内水分低下に対する生理的メカニズムの耐性の強化と考えられた.
  • 三野 真布, 井上 雅好
    1994 年 63 巻 4 号 p. 682-688
    発行日: 1994/12/05
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    草丈, 種実収量などで雑種強勢を強く発現するトウモロコシF1雑種(Oh545×W22)と発現しないF1雑種(Oh545×Oh45)の間で芽生えの成長速度, 発芽種子からの二酸化炭素ガス(CO2)の排出速度を比較調査した. その結果, F1雑種Oh545×W22は芽生えの成長速度, CO2排出速度共に, その両親系統だけでなく他方のF1雑種Oh545×Oh45やその父本のOh45をも陵駕することを認めた. 一方, Oh545×Oh45は両親系統の成績と大差なかった. F1雑種の遺伝子型の違いが, 芽生え成長速度やCO2排出速度におよぼすこのような影響から, 雑種強勢が種子発芽直後から既に発現することを確認した. 次に代謝生理からこの現象をとらえる目的で, 種子発芽時の呼吸に重要な役割を果たす基質が糖であることから, [U-14C]グルコースをF1雑種Oh545×W22とその両親系統の芽生えに取り込りこませその動向を検討した. 吸水開始後の様々なステージで取り込んだグルコースが有機酸, アミノ酸, 核酸, タンバク質, 細胞壁構成成分, CO2に代謝される速度を調査した. 放射能の各画分への取り込みは, 種子吸水開始24時間目からF1雑種において両親よりも有意に高くなることから, 吸水後の胚の代謝機能がF1において両親よりも早く高まることを確認した. そしてF1雑種のこの代謝機能の特徴が, 芽生えの成長期での雑種強勢発現の重要な要因の一つであると結論した.
  • BRISIBE Ebiamadon Andi, 三宅 博, 谷口 武, 前田 英三
    1994 年 63 巻 4 号 p. 689-698
    発行日: 1994/12/05
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    アブシジン酸(ABA)および高浸透圧物質は, ともに植物の体細胞胚発生に影響を与える. しかし胚発生, 特に胚発生時の貯蔵物質蓄積に対するこれらの物質の作用の相違については明らかでない. そこでサトウキビ(Saccharum officinarum L.)の培養カルスからの胚発生に対するABAとソルビトールの作用を比較した. 胚発生促進において, ABAもソルビトールも最適濃度範囲があった. 処理開始14日目の体細胞胚の胚盤を電子顕微鏡で観察したところ, 10-5 M ABA処理では細胞のかなりの体積がプロティンボディで占められ, アミロプラストは観察されなかったのに対し, 9%ソルビトール処理では多数のデンプン粒と脂質粒が観察され, プロティンボディは認められなかった. 従って胚発生促進におけるABAとソルビトールの作用機構は異なっていると結論された.
  • 王 培武, 礒田 昭弘, 魏 国治, 吉村 登雄, 石川 敏雄
    1994 年 63 巻 4 号 p. 699-705
    発行日: 1994/12/05
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    水分ストレス条件下でのダイズの葉の調位運動が小葉の受光量に及ぼす影響を検討するため, 中国新彊ウイグル自治区石河子のコンクリート枠圃場で実験を行った. 調位運動の活発な珍珠塔2号と不活発な黒農33号を用い, 登熟期に4段階のかん水処理区を設け, 38日間処理を行った. 処理期間中に各区よリ2個体を選び, その全小葉の2日間の受光量を測定した. また, 処理終了2日後に一時的にかん水を行い群落内相対照度を測定した. 両品種の葉の調位運動には大きな差異があり, 受光量も異なった. 珍珠塔2号の上層葉は, かん水量が増えるにしたがい強い光を受光する葉が多くなり, 午前中大陽光線に対する平行運動(Paraheliotropic movement)が小さくなった. 黒農33号では, 処理間差はあまり大きくなかったが, 最も水分ストレスが強かった区では昼間葉の萎れ現象がみられ, 光の透過が悪化した. 最も水分ストレスの強かった区で, 処理終了後の一時的かん水により珍珠塔2号では午前中, 太陽光線に対する平行運動が小さくなることが認められた. 黒農33号では萎れ現象は回復したものの, 平行運動を続けていた.
  • PHANSIRI Salak, 三宅 博, 前田 英三, 谷口 武
    1994 年 63 巻 4 号 p. 706-713
    発行日: 1994/12/05
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    レタス及びダイズプロトプラストを電気的または化学的方法で細胞融合処理をしたとき, 細胞壁形成ならびに細胞分裂に対するそれらの影響を調べた. Calcofluor White染色法によると, 細胞壁形成はレタス, ダイズ両プロトプラスト共に電気的融合処理により促進された. 一方, polyethylene glycol (PEG)を用いた化学的融合法では, レタスプロトプラストの細胞壁形成に影響は無かった. レタスプロトプラストをPEGと混合して3時間後にCalcofluor Whiteで染色したところ, 細胞壁形成は非常に薄い濃度のPEGで阻害されることを確かめた. ダイズプロトプラストを電気的処理をすると, 培養3日後に細胞分裂の増加が観察された. 透過型電子顕微鏡観察によると, 電気的融合処埋をしたプロトプラストでは, 1日後に既に細胞壁が認められたが, 未処理細胞では形成されていなかった. さらに, 電気的処理をしたプロ卜プラストでは無処理に比べ小胞体が増加した.
  • Iriawati , 三宅 博, 谷口 武
    1994 年 63 巻 4 号 p. 714-720
    発行日: 1994/12/05
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    リョクトウ(Vigna radiata L. Wilczek)葉より4% Meicelase P-1, 1% Macerozyme R-10, 1% デキストラン硫酸カリウム塩および0.5Mマンニットを含む酵素液を用いてプロトプラストを効率的に分離した. 暗条件で振とう培養し, 酵素処理4時間後に新鮮重g当り約4.1×107個のプロトプラストが得られた. プロトプラストは培養後5日で分裂し始め, その分裂は継続し, 培養15日でミクロコロニーを形成した. 培養1月後に培地表面にミクロカルスが現れ, 1.5月後にカルス誘導培地に移すことのできる大きさになった. 再分化培地に移したとき, NAAとBAを含むMS培地では緑色のコンバクトカルスが生じた. 2, 4-Dを含むMS基本培地またはMS無機塩とB5ビタミンの混合培地では球状カルス生じた. このカルスから根の形成がおこった.
  • 平沢 正, 田中 一生, 宮本 大輔, 武居 理英, 石原 邦
    1994 年 63 巻 4 号 p. 721-730
    発行日: 1994/12/05
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    わが国の夏作物の生育期間には, 梅雨と盛夏の比較的乾燥する時期がある. 乾燥地や半乾燥地に比較すれば乾燥する時期でも土壌水分の減少ははるかに少ないが, この期間に夏畑作物は干ばつ害を受けることがある. 夏畑作物は栄養生長の盛んな時を梅雨期の土壌水分が多く湿度の高い条件で過ごすので, 茎葉は大きく繁茂し, 根は浅くはり根系の発達は劣る. このような作物は梅雨後の夏の比較的乾燥する条件におかれると, 表層土壌の水分が減少しただけで水ストレスを受ける, いいかえると, 梅雨期の多雨多湿条件が夏畑作物の水ストレスを助長していると考えられる. この考えを検討する試みとして, ダイズを用いて開花期まで湿潤土壌(湿潤区)と低水分土壌(乾燥区)の圃場に生育させた後, 両区とも稔実期を低水分土壌で生育させ, 乾物生産とこれに関係する生理生態的性質を比較した. その結果, 乾燥区のダイズは湿潤区に比較して稔実期の純同化率(NAR)が高いことによって乾物生産を高く維持し, 子実生産も高くなった. 乾燥区のダイズのNARが高くなったのは, (l)土壌の深くまでよく発達している根系をもち, (2)土壌の深い部分から水分を多く吸収でき, その結果, (3)日中の葉の水ポテンシャルを高く維持し, 光合成速度の日中低下が小さく, そして(4)老化に伴う光合成速度の減少が小さい, などによるものであった. 本研究により, わが国の夏畑作物の栽培においては夏のかんがいだけでなく, 梅雨期の排水などによって根系をよく発達させることが重要であることが指摘できた.
  • 小葉田 亨, 小林 経浩
    1994 年 63 巻 4 号 p. 731-733
    発行日: 1994/12/05
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
  • 武岡 洋治, 竹谷 裕之, モハメッド イサム A.W.
    1994 年 63 巻 4 号 p. 734-738
    発行日: 1994/12/05
    公開日: 2008/02/14
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