日本作物学会紀事
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65 巻, 1 号
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  • 超 東夏, 伊藤 亮一, 石井 龍一
    1996 年65 巻1 号 p. 1-7
    発行日: 1996/03/05
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    前報で, 韓国産水稲品種にNaCl処理を施し, 処理による乾物生産速度の低下程度から品種の耐塩性を評価した. 本報では, 耐塩性の品種間差の機構を, 主に器官におけるNaイオン(Na+)とKイオン(K+)の関係という面から解析した. 耐塩性が高いと同定された3品種と, 低いとされた3品種を, 参考品種の日本晴, I 8とともに, 25, 50, 75mMのNaClを含む木村氏B液で栽培した. 養液中のNaCl濃度が高くなるにつれて, いずれの品種においても葉身, 葉鞘, 根のNa+濃度は増加した. さらに, NaCl処理は, 根と葉鞘のK+濃度を低下させたが, 葉身では, ほとんどの品種において, K+濃度を増加させていた. これらのことから, 根では, K+の吸収はNaCl処埋によって抑制されるが, 一方, 葉身へのK+の移動と葉身における蓄積は, NaCl処理によって抑制されないと考えられた. 以上のように, 葉身においてはNa+蓄積によるK+蓄積の抑制が行われておらず, したがって, このことが耐塩性に関係していないと考えられた. しかし根においては, Na+濃度の増大にともなうK+濃度の低下が起きており, この程度が, 品種の耐塩性と関係している可能性があると考えられた.
  • 橘 尚明, 池田 敏久, 池田 勝彦
    1996 年65 巻1 号 p. 8-15
    発行日: 1996/03/05
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    定植後4年生の茶園を供試し, その後3年間施肥窒素量を変え, 窒素の吸収利用を堀取り法により追跡するとともに, 多肥栽培茶園(年間窒素施肥量293kg/10 a)における秋肥, 春肥, 夏肥の施肥窒素(15N)吸収量を測定した. 実験開始初年度である定植5年生樹の年間乾物生産量は, 施肥量の増大にともない多くなったが, 成園化のための仕立てにより翌年には急減し, 7年生樹の乾物生産量は5年生樹の約半分となった. 180 kgN/10 aの多肥区での年間乾物増加量は年とともに低下し, 7年生樹では施肥区間で差は認められなかった. 5年生樹の10a当たり窒素吸収量は30~43kgと多かったが, 7年生樹では成園化にともなう成長速度の低下とともに吸収量も減少し23~27kgであった. そして, これら窒素吸収量のうち10kg程度は有機物などの分解による土壌窒素に由来するものと推定した. 7年生樹の施肥窒素吸収利用率は10a当たり窒素施用量が60, 120, 180kgのとき, それぞれ21.5, 13.8, 9.6%と多施肥に伴い減少した. また深耕等の影響により, 特に秋肥窒素(15N)の吸収量は極めて少なく, 一番茶新芽への寄与率は5~10%であった. なお, 秋, 春肥窒素とも施肥量が多いほど15N吸収量は多く, 葉への蓄積が大となった. しかし秋堀取り調査時の主幹, 大根, 中細根の窒素濃度は施肥量が多いほど低い傾向が認められた. これは多肥により施肥部の畦間から株元まで広範囲にわたり根が濃度障害を起し, その後の施肥窒素の吸収が抑制された結果と考えられた.
  • 天野 高久, 師常 俊, 秦 徳林, 津田 誠, 松本 保博
    1996 年65 巻1 号 p. 16-21
    発行日: 1996/03/05
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    中国雲南省において1,500gm-2以上の籾収量をあげ得ることを実証し, 多収の成立機構について具体的な知見を得ようとした. 楡雑29号を賓川県の慣行の栽植密度(密植区: 78.5株m-2)で栽培し籾収量1,664gm-2 (700m2刈り取り)を得た. さらに, 慣行の約1/2の栽植密度(疎植区: 42.7株m-2で極めて高水準の籾収量1,982gm-2(6m2刈り取り)が得られた. 全生育期間の平均日射量は19.3MJm-2d-1と, 日本における国際生物学事業計画(JIBP)で示され5カ年の平均値16.1MJ m-2 d-1に比べ約20%多かった. 楡雑29号の全生育期間の地上部全重でみた光エネルギー利用効率(Eu)はJIBPにおける5カ年の平均値(1.25%)よりも28~50%も高かく, 子実重ではさらに高くJIBPの最高値(0.59%)よりも17~49%高かった. Euの増加のほうがはるかに大きいことから楡雑29号の多収には日平均日射量の多いことよりもEuの向上が大きく寄与していると考えられた. 楡雑29号は成熟期の地上部全重2,500gm-2以上で籾重/地上部全重は0.6以上を, また, 1,180gm-2以上のわら重で籾わら比は1.4以上をそれぞれ示した. m2当たりの籾数は71,000~87,700粒に達した. 精玄米千粒重は23.1~23.5g, 登熟歩合は76.0~76.2%であった. 楡雑29号は乾物生産と籾への乾物分配率がともに高く, また, m2当たり籾数が著しく多い割りに比較的高い登熟歩合が得られ, この特性は密植区よりも疎植区において顕著であった. 楡雑29号の疎植栽培は慣行の密植栽培に比べ省力・多収となる可能性が示唆された.
  • 天野 高久, 師常 俊, 秦 徳林, 津田 誠, 松本 保博
    1996 年65 巻1 号 p. 22-28
    発行日: 1996/03/05
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    ジャボニカハイブリッドライス楡雑29号のm2当たり70,000粒を越える籾数生産について解析した. 密植区のm2当たリ7l,000粒の籾数はm2当たり穂数487と平均1穂籾数148.8の組合せで得られた. m2当たり穂数は移植時の茎数にほぼ等しかった. 疎植区のm2当たり穂数は密植区と大差なく, 平均1穂籾数が180.9に増加して87,700粒のm2当たり籾数を得た. 有効茎終止期は密植区よりも遅れたが, 有効茎歩合は密植区よりも10%以上高かった. m2当たり籾数を増大させるためには穂数の極端な早期確保よりもむしろ有効茎歩合を高めることが重要であると考えられた. 楡雑29号のm2当たり籾数生産効率は京都の日本晴よりも明らかに高かった. 楡雑29号における著しく大きなm2当たり籾数はm2当たり籾数生産効率の向上とともに出穂期まで窒素吸収量(23.4~23.6gm-2), 出穂期葉身重(328~333gm-2)が大きいことによるものであった. 楡雑29号のm2当たり籾数生産効率は密植区よりよりも疎植区において高かった. 稈長は92.5~92.6cmで日本晴よりも10cm以上長かった. 第3節間(N3)以下の節間長の栽植密度による差は認められなかったが, 単位節間長当たり乾物重が登熟期間中に密植区において著しく減少した. その結果, 密植区のN3およびN4の挫折重が低下し, N3の倒伏指数(支点間距離5cm)は200を越えた. 疎植区の倒伏指数はN3, N4とも180に達しなかった. 楡雑29号の著しく大きいm2当たり籾数生産は賓川県の慣行の密植栽培よりもさらに疎植条件のもとで耐倒伏性と両立するものと考えられた.
  • 佐藤 暁子, 小柳 敦史, 和田 道宏
    1996 年65 巻1 号 p. 29-34
    発行日: 1996/03/05
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    灰色低地土, 赤色土, 厚層多腐植黒ボク土で生育したコムギの子実および粉の窒素(N), リン(P), カリウム(K), マグネシウム(Mg), カルシウム(Ca)およびマンガン(Mn)含有率を調べ, 灰分含有率との関係を検討した. 赤色土で生育したコムギは, 灰色低地土で生育したコムギに比べ, 子実ではN, MgおよびCa含有率が低く, Mn含有率が高かった. また, 粉ではN, PおよびCa含有率が低く, KおよびMn 含有率が高かった. 厚層多腐植黒ボク土で生育したコムギは, 灰色低地土で生育したコムギに比べ, 子実ではP, K, MgおよびCa含有率が低く, 粉ではN含有率が高く, P, CaおよびMn含有率が低かった. 灰分含有率の土壌間差異の約半分がP, K, Mg, CaおよびMn含有率の差異に基づいていた. 厚層多腐植黒ボク土では, 可給態リン酸の増加により, 子実および粉のP, KおよびMn含有率が増加し, 灰分含有率も増加した.
  • 佐藤 暁子, 小柳 敦史, 和田 道宏
    1996 年65 巻1 号 p. 35-43
    発行日: 1996/03/05
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    灰色低地土, 赤色土, 厚層多腐植黒ボク土および淡色黒ボク土で生育したアサカゼコムギと農林61号の子実の無機成分含有率と品質との関係を検討した. 千粒重およびリットル重とK含有率との間にそれぞれ-0.49*~-0.80**および-0.80**~-0.90**の負の相関関係が認められた. K含有率とリットル重の高い相関関係は, K含有率が製粉性に影響することを示唆した. 粒色の明度および彩度とN含有率との間に-0.79**~-0.95**の高い負の相関関係が認められ, N含有率が低くなるほど, 粒色の明度および彩度が高くなった. 粉色の白さとカリウム含有率との間に-0.45*~-0.64**の負の相関関係が認められた. 粉の白さは, 千粒重およびリットル重との間にもそれぞれ0.47*~0.80**および0.5*~0.78**の有意な相関関係を示した. また, 千粒重がアサカゼコムギで33g以上, 農林61号で32g以上の区に限ると, 粉の白さとカリウム含有率との間の相関は, アサカゼコムギで-0.31*の弱い相関関係が認められるだけとなった. これらのことから, 千粒重やリットル重が低下すると胚乳歩合が低下し, カリウム含肯率が増加するとともに, 製粉性が悪くなり, 粉にふすまの混入が多くなって粉の白さが低下すると考えられた. マイクロエキステンソグラムの伸長度および形状係数(R/E)とN含有率およびN・Mg/K比との間にも有意な相関関係が認められた. 黒ボク土での可給態リン酸量の改善は, 千粒重およびリットル重を低下させる傾向があることから, 製粉性を低下させる可能性があると考えられた.
  • 古沢 健太郎, 高橋 清, 星川 清親
    1996 年65 巻1 号 p. 44-50
    発行日: 1996/03/05
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    イネの倒伏後の草姿の回復機構を調べるため, それに関与するとみられる葉枕やラミナジョイント(LJ)の屈曲, 葉鞘のねじれについて調査を行った/ 実験材料は水稲品種ササニシキである. 第1実験では, イネをポットごと横転処理し, LJと葉枕の屈曲反応を経時的に調査した. 横転によってLJおよび葉枕の屈曲角度が増加した. 横転から直立ヘ戻した処理区において, 葉枕の屈曲角度は減少したが, LJの屈曲角度は元に戻らなかった. 第2実験では, 横転処理した個体の葉鞘部のねじれについて, その発生部位とその後の経過を調査した. その結果, 葉鞘は中央付近から上部では下向きに, 基部側は上向きにねじれることが示された. 第3実験では, 葉鞘のねじれを起こす物理的要因を調査した. まず, 葉身の剪葉あるいは葉身への加重処理をした結果, 加重処理でねじれの程度が大きく, 葉身重がねじれの程度に影響を与えることが示された. 次に, 直立状態のイネの葉身に横向きに力を加えた場合は, 力を除くとねじれの角度は減少した. 第4実験では, 温度処理がねじれに与える影響を調査した. その結果, 低温区では葉鞘のねじれの程度が小さく, 葉鞘のねじれは温度の影響を受ける生理的反応であることが示唆された. なお, 葉鞘基部(葉枕)-中央部-先端部(LJ)は, イネ地上部の重力に対する1つの反応単位として捉えることが妥当であるとの結論を得た.
  • 川岸 康司, 三浦 豊雄
    1996 年65 巻1 号 p. 51-57
    発行日: 1996/03/05
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    春植え食用ユリ(品種: 白銀)の生育特性を明らかにするとともに, 萌芽後と着蕾後における窒素とカリの追肥が鱗茎の肥大に及ぼす影響をポット試験と圃場試験で検討した. 春植え栽培における食用ユリの生育期は以下の4期に区分できた. 第1期は植え付けから6月の萌芽直後までであり, この時期には鱗茎の貯蔵養分により茎葉が萌芽し始めた. 第2期は茎葉展開から着蕾までであり, 茎葉が旺盛に発育するとともに, 茎葉から鱗茎への光合成産物の移動も始まった. 第3期は着蕾後から本来開花期となる8月中旬頃までで, 葉面積や茎葉乾物重が増加し続け, 主に旧鱗茎の乾物重が増加した. 第4期は8月中旬頃から収穫期までで, 茎葉部の生育はほぼ停止し, 主に新鱗茎の乾物重が増加した. 一方, 着蕾後の窒素とカリの追肥は, 根の生長を促進し, 生育後期まで養分吸収と乾物生産を持続させるため, 第4期の鱗茎肥大が旺盛になり, 増収に結び付くと推察された.
  • 吉田 智彦, 角田 幸大郎
    1996 年65 巻1 号 p. 58-62
    発行日: 1996/03/05
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    トウジンビエの雑種集団を用いて低温での発芽力, 1粒重, 出穂期について集団選抜を行った. 稈長については一穂一列法により選抜した. 遺伝獲得量から測定した遺伝率は形質別で大きく異なり, 発芽力が0.26, 1粒重が0.04, 出穂期が0.77で, 稈長は選抜効果が認められず, 出穂期についての選抜効果が最大であった. 原集団, 出穂期について1回選抜したもの, 2回選抜したものを栽植密度を変えて圃場試験したところ, 子実収量は5月播きは371~511gm-2, 8月播きは164~239gm-2であった. 原集団よりも選抜集団では穂数が多く多収であったが, 1回選抜と2回選抜間の差は明確でなかった. 選抜程度と栽植密度の間にはどの形質ともに交互作用が認められなかった.
  • 角 明夫, 岡 三徳, 箱山 晋, 森 和一, 武田 友四郎
    1996 年65 巻1 号 p. 63-70
    発行日: 1996/03/05
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    長稈型か短稈型かまた穂数型か穂重型かを表す示数としてそれぞれ稈長と1穂籾殻重を取り上げ, これらと最高分げつ期の茎数および有効茎歩合との関係を調査した. 最高分げつ期の茎数(X3)と稈長(X1)および1穂籾殻重(X2)との関係は次式によって近似することができた: X3=A-B・X1-C・X2(A, B, C; 係数). 有効茎歩合(y)とX2およびX3との間には次式の関係が認められた: y=α-(β+γlnX2) exP (δX3)(α, β, γ, δ係数). これら式から, 1) 1穂籾殻重の小さい品種では短稈化に伴って著しい穂数の増加が起こるが, ある程度大きな1穂籾殻重をもつ品種では必ずしも短稈化は穂数の増加に結びつかない, 2) 1穂籾殻重の小さい品種では短稈化が穎花容量(m2当たり籾殻重)の増大をもたらす, 3) 1穂籾殻重の増大に伴って穎花容量を最大にする最適稈長は大きくなる傾向にあるが, 1穂籾殻重がある程度以上大きくなると再び短稈化が穎花容量の増大をもたらす, ことが推定された. 韓国の「統一」系品種群にみられる大きな穎花容量は短稈化と大穂化が並行して実現された結果であったと考えられる.
  • 田中 典幸, 有馬 進
    1996 年65 巻1 号 p. 71-76
    発行日: 1996/03/05
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    水稲の根群形成ならびに地上部と地下部の相対生長に及ぼす栽植密度の影響について解析した. 栽植密度は3.3m2当たり45株, 70株, 95株および120株の4段階とした. その結果, (1) 栽植密度の増加に伴って, 水稲はT-R率を高め, 地上部に対する根の劣生長が助長された. (2) 単位面積当たりの根重は, 高密度(95, 120株)において最高分げつ期直後に最高値に達して, 単頂型の推移を示したのに対し, 低密度(45, 70株)区では, 最高分げつ期直後と出穂期に増大する2頂型の推移を示した. (3) 根群は栽植密度の増加に伴って, 土壌表層に分布する割合が高くなった. しかし, 高密度区の表層根は生育後期において根重の減少が著しかった. (4) 栽植密度の増加に伴って単位面積当たりの冠根数は増加したが, 冠根は細くなる傾向を示した.
  • 田代 豊, 谷山 鉄郎
    1996 年65 巻1 号 p. 77-86
    発行日: 1996/03/05
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    沖永良部島は日本の南西諸島における典型的な農業地域の一つである. 同島の北東半分を占める和泊町においては, 花き栽培などの集約的農業のために土地面積当たりの農薬消費量が日本全国の平均の3倍以上に達している. 同島において, 33地点の115の地下水サンプルの中の混入農薬(フェニトロチオン, ダイアジノン, プロチオホス, キャプタン)を分析した. 8地点の15サンプルからこれら4種の農薬のうちいずれかが検出された. この結果は, 日本においてもゴルフ場ばかりでなく集約的な農業のために施用される農業によって地下水が汚染される場合があることを示している. キャプタンは, 分析した農薬の中でも最も消費量が多いものであったが, 2サンプルからのみ検出された. これら2サンプルは, 集約的な花き栽培がより盛んな同町北東部からのものであった. フェニトロチオンとダイアジノンは年間を通じて様々な地点から検出された. さらに, 同町におけるこれら2種の農薬の消費量は異なる季節変動を示すにもかかわらず, 最も汚染されていた地点の一つについて, これら2種の農薬の検出濃度の比は毎回ほぼ一定であった. このことから, これらの農業は同島の地下水に比較的緩慢かつ継続的に浸透していくことが示唆される.
  • 尾形 武文, 松江 勇次
    1996 年65 巻1 号 p. 87-92
    発行日: 1996/03/05
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    北部九州において耐倒伏性を付与した直播用良食味品種を育成・選定するために, 湛水直播栽培における耐倒伏性の評価方法を検討した. 湛水直播栽培においては倒伏程度と稲体の支持力を表す押し倒し抵抗値とは相関が高く, 押し倒し抵抗値を用いて立毛状態で, 耐倒伏性の品種間差を評価できることが確認された. 湛水直播栽培における押し倒し抵抗値と移植栽培における押し倒し抵抗値の相関は高く, 移植栽培における押し倒し抵抗値と湛水直播栽培における倒伏程度の相関も高かった. したがって, 移植栽培条件下で押し倒し抵抗値を測定することにより, 湛水直播栽培条件下における倒伏程度を測定することが可能である. これらのことから, 耐倒伏性を付与した湛水直播用品種を育成する場合, 移植栽培条件下で押し倒し抵抗値を測定することにより, 直播栽培をせずに倒伏抵抗性の系統選抜が可能となり, 湛水直播用品種の育成・選抜の効率化が図られる.
  • PARDALES Jr. Jose R., ESQUISEL Celia B.
    1996 年65 巻1 号 p. 93-97
    発行日: 1996/03/05
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    活着期, すなわち植え付けから約3カ月後までのキャッサバに対する, 乾燥の時期および期間の及ぼす影響を, とくに根系発達に注目して検討した. 植え付け後9~44日に乾燥処理を与えた場合(前期乾燥処理), 44~82日に同処理を与えた場合(後期乾燥処理), いずれも土壌を湿潤に保った対照区と比べて葉数, 地上部乾物重が有意に減少した. また, 植え付け後9~82日目まで乾燥処理を与えた区(全期乾燥処理)では, 後期乾燥処理区と類似の地上部生長の減少傾向が認められた. 根系発達についてみると, 前期乾燥処理区では, 不定根数・長, 第1次・2次・3次側根数, 乾物重が減少した. しかし再灌水後, これらの値は増加する傾向を示した. 一方, 後期乾燥処理区では, 同様に不定根数・長, 第1次・第2次側根数は乾燥によって減少したが, 第3次側根数は促進される傾向を認めた. また, 不定根が太くなることによって, 根系乾物重も増加した. 全体として, これらの結果はキャッサバ活着期においては乾燥に対して感受性が高いことを示している.
  • ジュリアルニ , 星川 清親
    1996 年65 巻1 号 p. 98-102
    発行日: 1996/03/05
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    2つのアピオスの系統, 赤色茎系統と緑色茎系統を1993年に圃場条件で栽培し, その乾物生産と収量の特性について調べた. 赤色茎系統と緑色茎系統の乾物生産と収量には明らかな違いが認められた. 赤色茎系統は緑色茎系統よりも開花と塊茎形成が早かった. 両茎系とも葉面積指数(LAI)と個体群生長速度(CGR)は調査終了時まで増加し続けた. 植え付け後63日以降では, 赤色茎系統のLAIとCGRは緑色茎系統よりも高い値を示した. 赤色茎系統では塊茎生長速度(TGR)の急激な増加は, 植え付け後約98日に, 緑色茎系統では168日後に開始した. すなわち, 赤色茎系統は緑色茎系統より, 約2カ月早くTGRの急激な増加が始まった. 赤色茎系統の純同化率(NAR)は植え付け後63日では, 緑色茎系統よりやや高かったが, その後相互遮蔽によるNARの低下が緑色茎系統よりも早く見られた. 赤色茎系統の地上部は植え付け後191日に, 緑色茎系統は植え付け後217日に枯れた. 赤色茎系統のイモの収量は緑色茎系統よりも高かった.
  • 曾 富生, 侯 福分, 武田 和義
    1996 年65 巻1 号 p. 103-107
    発行日: 1996/03/05
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    湿潤地域におけるダイズ作の阻害要因としては生育期における湿害とともに, 播種から出芽に至る期間の過湿条件によって種子が死滅する問題がある. そこでダイズ種子の冠水抵抗性(25℃で4日間水浸した後における発芽率), 吸水性および芽ばえの抽出力の品種間差と, それらの特性間の相互関係を検討した. ダイズ種子の冠水抵抗性は0(死滅)から100(無被害)までの大きな品種変異があり, 特に黒粒の抵抗性が強かった. 種子の吸水速度は品種間変異が認められ, 吸水速度と種子の冠水抵抗性の間に有意な関係はなかった. 種子の芽ばえの抽出力には品種間変異があったが, 抽出力と種子の冠水抵抗性の間に有意な関係はなかった. したがって, 種子の冠水抵抗性が高く, かつ抽出力が大きい品種を育成することは可能であると考えられる.
  • 岡野 邦夫, 松尾 喜義, 広瀬 大介, 巽 二郎
    1996 年65 巻1 号 p. 108-113
    発行日: 1996/03/05
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    一番茶枝条の生長に対する越冬葉の役割を明らかにする目的で, 春期の成木茶園の光合成・物質生産構造の解析を行った. 一番茶萌芽後は, 秋整枝面上に着生する越冬葉は急速に伸長する一番茶枝条に覆われて受光量は次第に減少し, それにともない越冬葉は陰葉的な光合成特性を示し始めた. 一方, 一番茶枝条に着生する新葉の光合成活性は速やかに高まり, 摘採期頃には越冬葉の活性と等しくなった. 茶株全体への13CO2同化実験の結果は, 摘採期頃には群落光合成の約90%は生長中の新芽層で行われており, 越冬葉層の寄与率は10%に過ぎないことを示した. これらの結果から, 一番茶萌芽期頃の群落光合成は全て越冬葉層で行われているが, 新芽の生長につれてその寄与率は次第に低下し, 摘採期頃には群落光合成の大部分は新芽層によって行われていることが明らかとなった. 従って, 機械摘採茶園における一番茶枝条の生長は, 秋冬期の貯蔵炭水化物や越冬葉の光合成だけでなく, 新芽自身の光合成にも大きく依存しているものと思われる.
  • 中嶋 直子, 志田 篤彦, 遠山 益
    1996 年65 巻1 号 p. 114-118
    発行日: 1996/03/05
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    ブラシノステロイド(BR)の一種であるエピブラシノライド(EBR)が, 培養中のハクサイ葉肉プロトプラストに及ぼす影響について調べた. EBRをプロトプラストの培養液中に添加したところ, 培養中のプロトプラストの分裂率や蛋白質量が増加した. このことから, EBRがプロトプラストの細胞分裂を促進することが示唆された. 特に10-1mg/Lの濃度の添加が効果的であった. また, 培養3週間後, EBRを添加した培養シャーレには, コントロールより多数の細胞集塊(クラスター)の存在が観察された. EBRの濃度が高いほど, クラスターが多く存在した. そのクラスターを, 同様の濃度のEBRを含む寒天培地に移し, コロニー形成を観察した. その結果, 10-1mg/LのEBRの添加で明らかにコロニー形成が促進された. 以上のことから, EBRがプロトプラストの増殖に有効であることが明らかになった.
  • 鈴木 克己, 三宅 博, 谷口 武, 前田 英三
    1996 年65 巻1 号 p. 119-130
    発行日: 1996/03/05
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    幼根の先端は, 開花5日後に胚の基部で腹側に向けて発生し, イネ胚は明瞭な背腹性を示す. 茎頂と根端とは湾曲した維管束によって連絡しているが, その直線距離は約300μmであった. 幼根表皮に接して, 数列の根冠始原細胞が形成された. 根冠はさらに外側を根鞘の柔細胞でおおわれており, 幼根は内生的に発生した. 原形質連絡が幼根表皮細胞間, および根冠細胞間に見られたが, 表皮と根冠の間の細胞壁にも観察された. この時期までに胚は子房腔の下部中央部から下腹部に移動し, 腹側の珠心表皮に近づいた. 更に本論文では, イネの接合子胚と体細胞胚状体との形態学的比較を, 主に茎頂と根端の発生および胚状体の大きさに関連して論じる.
  • MIA Md. Wahiduzzaman, 山内 章, 河野 恭廣
    1996 年65 巻1 号 p. 131-140
    発行日: 1996/03/05
    公開日: 2008/02/14
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    6種のマメ科作物, すなわち, ヒヨコマメ(Cicer arietinum L.), ササゲ(Vigna unguiculata (L.) Walp.), ガラスマメ(Lathyrus sativus L.), レンズマメ(Lens culinaris Medik.), リョクトウ(Vigna mungo (L.) Hepper), ケツルアズキ(Vigna radiata (L.) Wilczek)の, 合計114品種・系統を対象に, 根系構造における種間, 種内変異を評価する目的で, グロースポーチ法によって10日間生育させた幼植物の根および地上部の計11形質を主成分分析法によって解析した. その結果, 根系構造は基本的に主根・側根長および側根発生密度によって規定されることが明らかとなり, これらの形質において種間で有意な差異が認められた. ヒヨコマメは個々の側根が長いことによって, ササゲは側根の発生数が多いことによって, 相対的に大きな根系を形成した. ガラスマメの側根長も比較的長かった. それに対し, レンズマメでは側根発生数が少なく, また, リョクトウとケツルアズキは側根が短く, それぞれ相対的に小さい根系を形成した. 各種内における変異も認められ, とくにササゲとヒヨコマメで大きかった. また, これまで高収量性, 強耐旱性, あるいは深根性と報告されてきた品種・系統は, 各種内で相対的に大きな根系を形成した. さらに, 各種より数品種・系統を選び, 円筒を用い土壌中で28~44日間生育させた. これによって得た根系諸形質の値と, グロースポーチ法で得られた値との間には高い正の相関関係が認められ, グロースポーチ法は根系形質に注目した選抜によって有効である可能性が示された.
  • EISA El Gaali, 前田 和彦, 森 信寛, 北本 豊
    1996 年65 巻1 号 p. 141-142
    発行日: 1996/03/05
    公開日: 2008/02/14
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  • 斎藤 邦行
    1996 年65 巻1 号 p. 143-144
    発行日: 1996/03/05
    公開日: 2008/02/14
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  • 姜 始龍, 森田 茂紀, 山崎 耕宇
    1996 年65 巻1 号 p. 145-146
    発行日: 1996/03/05
    公開日: 2008/02/14
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  • 中元 朋実
    1996 年65 巻1 号 p. 147-148
    発行日: 1996/03/05
    公開日: 2008/02/14
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