日本作物学会紀事
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Print ISSN : 0011-1848
72 巻 , 2 号
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研究論文
栽培
  • 難波 輝久
    原稿種別: その他
    専門分野: その他
    2003 年 72 巻 2 号 p. 133-141
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/05/28
    ジャーナル フリー
    エジプト·ナイルデルタの1980年代における水稲 (Oryza sativa) 栽培は, 大株·疎植 (株あたり苗本数19∼23本, 栽植密度15株m-2), 低窒素 (10 g m-2) による移植法が慣行的であり, 精籾収量は650 g m-2であった. しかし, 本地域の生育期間中の平均日射量は26 MJ m-2 d-1と極めて高く, 栽培方法の改善により飛躍的な増収が期待された. そこで, 品種Giza 172を供試し, 栽植密度 (17, 33, 50株m-2) と窒素施与量 (0, 5, 10, 15, 20, 25 g m-2) 処理とを組み合わせた圃場試験を実施し, 最適栽培法について検討した. 栽植密度50株m-2と窒素施与量15, 20 g m-2および33株m-2と20 g m-2の組み合わせにより, 単位面積あたり籾数は63000∼68000粒m-2, 登熟歩合は86∼93%で収量は1470∼1570 g m-2と高収であった. これらの組み合わせにおける個体群生長速度 (CGR), 葉面積指数 (LAI) および純同化率 (NAR) は, 全生育期間を通じてほぼ同等で高く推移し, とくに登熟期のCGRおよびNARは極めて高かった. 栽植密度や窒素施与量が少ない (17株m-2, 0∼10 g m-2) 組み合わせでは, CGRおよびLAIは全生育期間を通じて小さく, また, 窒素を多施与 (25 g m-2) すると, 倒伏発生により登熟期におけるCGR, NARおよび登熟歩合は著しく低下し, いずれの栽植密度でも低収となった. 以上の実験結果を総合的に判断して, 本地域において1400∼1500 g m-2の多収を得ることが可能であり, このためには栽植密度33株m-2, 窒素施与量20 g m-2が適正であると結論した.
  • 福嶌 陽, 楠田 宰, 古畑 昌巳
    原稿種別: その他
    専門分野: その他
    2003 年 72 巻 2 号 p. 142-148
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/05/28
    ジャーナル フリー
    早播きした秋播性コムギ「イワイノダイチ」における出葉過程, 茎の伸長過程およびそれに伴う葉位·節位別の葉·茎の形態変化を明らかにするために, イワイノダイチと春播性コムギ「チクゴイズミ」を11月上旬の早播きおよび11月下旬の標準播きで栽培した. 出葉過程は播種期, 品種によらず温度と密接な関係にあり, 出葉間隔 (°C) は, 生育期間を通じて一定であり, 早播区が標準播区より長く, イワイノダイチがチクゴイズミより短かった. 葉位別の葉身長·葉鞘長をみると, 早播区ではイワイノダイチはチクゴイズミより葉身·葉鞘が急に長くなる葉位が高かったが, 標準播区では品種間差異は認められなかった. 上位葉の葉身長はいずれの品種も播種期が早いほど短く, 低温によって葉身の伸長が抑制されることが示唆された. また, イワイノダイチはチクゴイズミより止葉の葉身·葉鞘が短く, 葉身幅も短いという特徴が認められた. 茎の伸長過程をみると, 早播きではイワイノダイチはチクゴイズミより茎立ち期が遅いが, 出穂期や開花期はほぼ同じであった. 稈長はいずれの品種も早播区が標準播区より長かった. これは早播区では生育期間の長期化に伴い総葉数や伸長節間数が多くなったためと推察された. また, イワイノダイチはチクゴイズミより上位節間の長さが相対的に短いという特徴が認められた.
  • 福嶌 陽, 楠田 宰, 古畑 昌巳
    原稿種別: その他
    専門分野: その他
    2003 年 72 巻 2 号 p. 149-157
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/05/28
    ジャーナル フリー
    早播きした秋播性コムギ「イワイノダイチ」における乾物生産特性, 収量構成要素, 気象要因と子実重の関連を明らかにするために, イワイノダイチと春播性コムギ「チクゴイズミ」を11月上旬の早播きおよび11月下旬の標準播きで栽培した. いずれの品種も早播区は標準播区と比較して, 低温によって葉の伸長は抑制されるが, 生育期間が長く開花期の全乾物重が大きいために, 開花期のLAIはほぼ同じであった. また, 穂数, 1穂粒数, 千粒重には播種期間の差異は認められず, その結果, 子実重にも播種期間の差異は認められなかった. 品種を比較すると, いずれの播種期においてもイワイノダイチはチクゴイズミより, 最高茎数が多いために穂数を確保しやすいが, 1穂粒数が少なく, 子実重に品種間差異は認められなかった. コムギの子実重の規定要因を解析したところ, 子実重は, 開花期のLAIおよびシンクサイズと高い正の相関関係が認められたが, 開花期以降の平均気温や日射量とは明確な関係が認められなかった. このことはコムギの子実重は開花期までの生育によって強く規定されていることを示しており, いずれの品種も早播区は, 生育期間が長く開花期の生育が十分に確保できたために, 成熟期が早いにもかかわらず標準播区と同等の子実重を得ることができたと推察された.
  • 臼木 一英, 山本 泰由
    原稿種別: その他
    専門分野: その他
    2003 年 72 巻 2 号 p. 158-162
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/05/28
    ジャーナル フリー
    温暖地の黒ボク土畑圃場において作付体系の違いが後作ダイズとスイートコーンの生育·収量に及ぼす影響についてアーバスキュラー菌根菌と関連させて検討した. 作付体系には, 陸稲を1年間栽培した跡に休閑を2年間継続する区, アブラナ科野菜を1年3作し, それを3年間連作する区, カンショを3年間連作する区, ダイズを3年間連作する区およびアブラナ科野菜とカンショ, ダイズをそれぞれ1年ごとに輪作する3通りの輪作区の計7区を設定した. アーバスキュラー菌根菌の胞子密度と後作スイートコーンへの感染は, 同菌の宿主であるダイズとカンショの連作跡とダイズ, カンショを最終年に作付けた輪作跡に比べ非宿主であるアブラナ科野菜の跡および休閑の跡で低かった. 特にアブラナ科野菜の連作跡の感染率は著しく低かった. ダイズの全重と子実重は, ダイズシストセンチュウの被害が著しかったダイズ連作跡を除くとアブラナ科野菜の跡と休閑跡で少ない傾向にあり, アブラナ科野菜の連作跡で最も少なかった. スイートコーンの全重は, アブラナ科野菜の跡と休閑跡で少なく, アブラナ科野菜の連作跡では雌穂収量も低かった. 温暖地の黒ボク土畑圃場でのアブラナ科野菜の連作跡, 休閑跡およびアブラナ科野菜の輪作跡におけるダイズおよびスイートコーンの生育量や収量の低下は, これらの跡ではアーバスキュラー菌根菌の胞子密度が低下して後作物への感染が抑制されたことに起因していると推察された.
品質 · 遺伝資源
  • 坂田 雅正, 平川 真由美, 山本 由徳, 宮崎 彰
    原稿種別: その他
    専門分野: その他
    2003 年 72 巻 2 号 p. 163-170
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/05/28
    ジャーナル フリー
    1998年に高知県内の早期栽培圃場で異常 (不時) 出穂が確認された極早生水稲品種とさぴかの出穂特性を明らかにするため, 交配親, 高知県育成品種ならびに北海道から九州地域で育成された品種など, 計50品種·系統を供試し, 早期栽培で一般的な育苗期間にあたる3月∼4月の自然日長下において, 温度に対する出穂反応を比較検討した. 2000年3月10日に1粒播した株まきポットを出芽後, 窒素成分で1.5, 3.0 g m-2施用した水田土壌入りコンテナに密着設置し, 昼夜温をそれぞれ12時間, 30°C/20°C, 25°C/25°Cおよび25°C/15°Cに設定した自然光型ファイトトロン内へ搬入して, 播種からの日平均気温の積算値が1300°C日 (以下, 播種から1300°C日) に達するまで温度処理を行った. 播種から1300°C日までに出穂した品種·系統割合は, 温度区間では25°C/25°C区, 窒素施肥量区間では1.5 g m-2区で高く, 北海道育成品種においてはこれらの区で出穂が早まる傾向がみられた. これに対し, 品種とさぴかは温度, 窒素施肥量区間で大きな出穂変動はみられず, 播種から1000°C日以上に達すると出穂し, 播種から1300°C日までに出穂した品種·系統の中でも, 播種から止葉展開までの積算温度が低く, 早く出穂した. これは最終主稈葉数が少なく, 平均出葉積算温度 (播種から止葉展開までの積算温度/最終主稈葉数, °C日 葉-1) も低かったためで, 品種とさぴかはこれら2要素に対する温度や窒素施肥量の影響は比較的小さく, 主稈の出穂時期は播種からの積算温度によって推定できることが示唆された.
  • 姜 東鎮, 石井 龍一
    原稿種別: その他
    専門分野: その他
    2003 年 72 巻 2 号 p. 171-176
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/05/28
    ジャーナル フリー
    本研究は, 酸性硫酸塩土壌を有するタイ南部ナラチワ県を研究対象地とし, 酸性土壌地域でのイネ収量を向上させることを目的として行ったものである. 第1報として, まず, 人工的に作った強酸性土壌にイネ (Oryza sativa L.) 48品種を移植し, 4週間後の個体の生存率によって14品種を選抜した. なお, 参考として, 酸性土壌に強いとされるアフリカイネ (Oryza glaberrima Steud.) 29品種もイネと同様に栽培し, 耐酸性を調べた. その結果, イネ14品種とアフリカイネ10品種が選抜された. 選抜されたイネ品種14のうち, 強酸性土壌で最も高い生長速度を示した4品種と, タイ南部ですでに耐酸性があるとされている2品種, それに本研究で耐酸性がないとされた3品種を比較することによって, イネの耐酸性機構を生理学的側面から検討した. 対照区に対する酸性土壌区の相対根長は, 耐性品種で大きく, 非耐性品種で小さかった. 葉面積においても根長と同様な傾向が見られた. さらに, 酸性土壌条件下での作物生長の阻害は, アルミニウム (Al) に起因することから, 酸性土壌条件下で栽培された植物体の葉身Al濃度を調べた. その結果, 葉身Al濃度は耐性品種よりも非耐性品種の方で高くなっていた. そこで, 葉身の光合成速度を測定したところ, 葉身の光合成速度は耐性品種の方が非耐性品種よりも有意に高い値を示した. これらのことから, Alが葉身にまで移行しにくく, その結果高い光合成能力が維持されていることが, 酸性土壌耐性の大きな原因の一つと考えられた.
形態
  • 周 紅, 森田 脩, 江原 宏
    原稿種別: その他
    専門分野: その他
    2003 年 72 巻 2 号 p. 177-184
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/05/28
    ジャーナル フリー
    湛水土壌中散播栽培において, 苗立ちの安定度がイネの生育と収量に及ぼす影響を明らかにする目的で, 酸素供給剤 (過酸化カルシウム) でコーティングしたどんとこい, コシヒカリ, ヤマヒカリを用い, 苗立ちが揃う播種後2週目の3葉期の幼苗について, 地表への根の露出程度と幼苗固定の状態によって苗立ちを分類した. 即ち, 根の一部は見えるが苗は地面にしっかり固定されている接地型, 種籾が水中に浮き上がっているが, 根によって比較的しっかり固定されている浮上りI型, 種籾は浮き上がって個体の揺れが大きかったり, 横転している浮上りII型, 土壌中に埋没した種籾から出芽している土中型の4種類に苗立ち型を分類し, 苗立ち型別に幼苗期から収穫期までの生育過程と収量を調査した. 苗立ち型の生育経過をみると, 3品種とも浮上りI型, II型は3葉期で草丈, 乾物重, 苗の充実度 (地上部乾物重/草丈) などが土中型苗より劣り, 6葉期になると接地型も各形質は土中型より顕著に小さくなった. 3∼6葉期にかけて, 接地型, 浮上りI型, II型と土中型との葉身長および葉幅の差が拡大し, 葉身が相対的に小型化した. 草丈は最高分げつ期前後に苗立ち型間で差が小さくなり, 劣勢を回復することができたが, 乾物重と茎数は3∼6葉期に生じた差が収穫期まで継続した. 接地型, 浮上りI型, II型由来の個体は, 土中型由来の個体との間に千粒重および登熟歩合の差は認められなかったが, 1株穂数は有意に少なくなり, 1株収量が減少した. このことから, 接地型, 浮上りI型, II型は幼苗期の分げつ数の減少が1株穂数に直接影響して, 1株籾収量を減少させる要因となり得ることが判明した.
作物生理 · 細胞工学
  • 平井 儀彦, 兒嶋 良夫, 沼 健太郎, 津田 誠
    原稿種別: その他
    専門分野: その他
    2003 年 72 巻 2 号 p. 185-191
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/05/28
    ジャーナル フリー
    登熟期のイネにおける暗呼吸量の抑制は乾物生産量ならびに収量の向上に貢献すると考えられる. 暗呼吸の抑制の可能性を検討するため, 籾数の多少が各器官の暗呼吸と乾物生産に及ぼす影響を調べた. イネ品種坊主を用い, 2段階の穂の部分切除, 全切除, および無切除によって籾数を変える4つの処理と4段階の日射を組み合わせる区を設け, 穂, 葉身および茎 (茎と葉鞘) の暗呼吸速度および乾物増加量を調査した. 総光合成速度 (Pg) は, 籾数が多い個体ほど高く, また光が強いほど高かった. 穂の暗呼吸速度は籾数の違いにかかわらず, 大部分が穂の乾物成長に関わっていた. 茎葉部では, 籾数が多い個体ほど炭水化物の転流速度が高まったが暗呼吸速度は増加せず, 転流速度当たりの暗呼吸速度は低下した. 一方, 籾数が多いほど, Pgに対する茎葉部の暗呼吸の比が低下し, 穂の乾物増加量が高くなった. 以上より, 籾数が多い個体では, 総光合成速度が高まるとともに, 茎葉部からの単位転流量当たりの暗呼吸が低下するため, 成長効率が改善され, 穂の乾物増加量の向上がもたらされるものと考えられた.
  • 渡邊 好昭, 三浦 重典, 湯川 智行, 竹中 重仁
    原稿種別: その他
    専門分野: その他
    2003 年 72 巻 2 号 p. 192-195
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/05/28
    ジャーナル フリー
    積雪地におけるオオムギの重要な形質である耐雪性について, 褐色雪腐病抵抗性と積雪下の低温, 暗黒, 湿潤条件に対する抵抗性とに分けて, 葉齢の違いによる抵抗性の変化を検討した. 3葉期の個体は1, 2葉期の個体よりも褐色雪腐病抵抗性と低温, 暗黒, 湿潤条件に対する抵抗性が双方とも高かった. さらに褐色雪腐病抵抗性を葉身における侵入抵抗性と拡大抵抗性に分けてみると, 両抵抗性とも葉齢の進んだ個体の上位葉の抵抗性が下位葉に比べ高かった. これらの結果から, 褐色雪腐病に対して抵抗性の高い上位葉のある葉齢が進んだ個体が, 葉齢の低い個体に比べて抵抗性が高くなると考えられた. 一方, 第1葉身展開前の個体は, 1, 2葉期の個体よりも褐色雪腐病抵抗性, 低温, 暗黒, 湿潤に対する抵抗性とも高く, 根雪直前に播種したオオムギが高い耐雪性を示すことを裏付けた.
収量予測 · 情報処理 · 環境
  • 平井 源一, 稲村 達也, 奥村 俊勝, 芦田 馨, 田中 修, 中條 博良, 平野 高司
    原稿種別: その他
    専門分野: その他
    2003 年 72 巻 2 号 p. 196-202
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/05/28
    ジャーナル フリー
    本研究は水稲と陸稲の栄養生長期の生育に及ぼす大気湿度の影響を相対湿度60%と90%で比較したものである. その結果, 低湿度条件は高湿度条件に比較して, 水稲の乾物生産を有意に減少させたが, 陸稲では乾物生産の減少は認められなかった. 低湿度下の水稲では, 単位葉面積当たり気孔密度が増大し, 気孔装置面積も大となり, 葉面積に占める気孔装置面積の割合が高湿度に比較して有意に大きかった. また, 水稲は低湿度で, 気孔開度の低下が少なく, 単位葉面積当たり蒸散量が顕著に大きくなり, 葉身の木部水ポテンシャルが大きく低下することが認められた. 一方, 陸稲では水稲に比し低湿度によって, 気孔密度, 気孔装置面積が変化せず, 葉面積の中で気孔装置面積の占める割合に湿度間で有意差がなかった. また, 陸稲では, 低湿度によって気孔開度が低下し, 蒸散量を抑制するため, 葉身の木部水ポテンシャルが低下しなかった. さらに, 低湿度による葉身の木部水ポテンシャルの低下した水稲では, 葉面積の相対生長率 (LA-RGR) が, 高湿度に比して有意に低下した. なお, 純同化率 (NAR) は低湿度によって低下したが, 高湿度との間に有意差は認められなかった. したがって, 水稲では低湿度で有意なNARの低下をまねく以前に葉面積の低下を引きおこし, 乾物生産は抑制されたが, 陸稲では湿度間で葉面積の生長速度に差を生じなかった. この点が水稲と, 陸稲の生育, 乾物生産において湿度間に差を生じさせたものと考える. 要するに, 水稲と陸稲との間には大気湿度, 特に低湿度に対する形態的生理的反応のことなることが, 湿度間で認められた乾物生産の水稲, 陸稲間差異を生じた要因と考えられる.
  • 内川 修, 福島 裕助, 松江 勇次
    原稿種別: その他
    専門分野: その他
    2003 年 72 巻 2 号 p. 203-209
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/05/28
    ジャーナル フリー
    北部九州におけるダイズの安定多収栽培技術を確立するために, 過去15年間におけるダイズの収量および収量構成要素と時期別気象との関係について解析した. 収量と密接に関係があると認められた収量構成要素は, 百粒重とm2当たり整粒数およびm2当たり稔実莢数で, なかでも百粒重とm2当たり整粒数は収量に対する寄与率が高かった. 収量および収量構成要素と時期別気象要因との間には直線的な関係は認められず, 収量, 百粒重およびm2当たり整粒数は開花期∼子実肥大初期の気温との間にそれぞれ有意な二次曲線の関係が認められ, m2当たり整粒数·百粒重ともに最適温度は25°C前後であった. さらに, m2当たり整粒数は子実肥大初期∼成熟期の多照で増加した. m2当たり稔実莢数は開花期前後1週間の降水量と曲線的な関係が認められ, 130mm以下の乾燥状態では降水量が多いほど, m2当たり稔実莢数が増加することを示した.
  • 上田 允祥
    原稿種別: その他
    専門分野: その他
    2003 年 72 巻 2 号 p. 210-215
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/05/28
    ジャーナル フリー
    北部九州におけるソルガムの計画的栽培利用計画に資するため, 播種当年の気象条件を用いて早期かつ簡易な予測法について検討した. 兼用型ソルガムの中生品種P956を用いて, まず出穂に要する積算温度の一定性を検討した. 積算温度としては単純積算温度, 生育下限温度10°C以上を積算した有効積算温度I法, および播種後日数と出穂までの単純積算温度との関係から最小二乗法により求めた生育下限温度以上を積算する有効積算温度II法の3つを調べた. その結果, 積算温度の一定性の程度を示す変動係数が9.7∼8.0%であり, 有効積算温度を用いて予測する方法では精度が低いと判断された. つぎに, 播種後の平均気温と日長を用いた重回帰式を作成し, 出穂期の予測を行った. その結果, 播種後10日間の平均気温と播種時の日長を変数とする重回帰式は, その予測値と観測値との差の標準偏差が2.8日であり, 出穂期を精度良く予測できた.
研究 · 技術ノート
  • 湯川 智行, 大下 泰生, 渡辺 治郎
    原稿種別: その他
    専門分野: その他
    2003 年 72 巻 2 号 p. 216-218
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/05/28
    ジャーナル フリー
    春播コムギを根雪前に播種する根雪前播種栽培法は多収になることや赤かび病の発生を回避できるなど多くの利点があるが, 越冬性が不安定である. これまでに越冬性の低下要因の一つに雪腐病の関与が報告されたので, 播種直後の雪腐病防除薬剤の土壌表面への散布や種子に雪腐病防除薬剤を粉衣して越冬性を向上させる方法について検討した. 雪腐病防除薬剤であるフルアジナム剤の播種直後の散布は, 越冬性が高くなった年もあったが, 効果は不安定であった. 一方, フルアジナム剤の種子粉衣により, 越冬性は明らかに高くなり効果が認められた. フルアジナム剤の粉衣濃度が種子重に対して2.5%の時に越冬性は最大となったが, 酸素発生剤との混合粉衣により濃度を低くすることができた. 雪腐病防除用フルアジナム剤の種子粉衣は, 根雪前播種栽培における越冬性を向上させる方法として有効と判断された.
  • 高橋 行継, 佐藤 泰史, 前原 宏, 石関 敏宏
    原稿種別: その他
    専門分野: その他
    2003 年 72 巻 2 号 p. 219-226
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/05/28
    ジャーナル フリー
    群馬県東毛地域の1998年, 1999年産麦類は, 2年連続して二条大麦を中心として不稔が発生した. 今回の被害は, 節間伸長期以降に氷点下の低温によって発生する幼穂凍死型の不稔とは異なり, 出穂期前後の0°C前後の低温によって花粉が障害を受け, 不稔となったものと考えられる. 小麦の被害程度はごく小さく, 二条大麦の被害発生状況には品種間差が認められた.
  • 細井 淳, 今井 勝
    原稿種別: その他
    専門分野: その他
    2003 年 72 巻 2 号 p. 227-228
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/05/28
    ジャーナル フリー
    食用カンナ (Canna edulis Ker-Gawl.) の不定根は, 地中深く貫入する垂直根と地表近くに分布する水平根とに区分できるが, 垂直根のほとんどは2本1組となって発生する不定根のうち根茎基部側の1本に由来する傾向があり, 垂直根と水平根における機能分化の視点で呼吸速度の差異について検討した. 気相型酸素電極装置を用いて, 一定の長さに切断した不定根の呼吸速度を生育時期別, 株元からの距離別, 伸長方向別に測定した. その結果, 老化した根ほど呼吸速度は低くなり, 生育初期の垂直根を除いて水平根と垂直根の間での速度の差異は認められなかった. したがって, 本作物の養分吸収については水平根と垂直根の「質的」な差よりも, むしろ地中における不定根の「量的」な差, すなわち, 多量に存在する水平根が主要な役割を担うものと考えられた.
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