日本作物学会紀事
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72 巻 , 4 号
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研究論文
栽培
  • 高橋 筆, 島内 佳奈恵, 中川 悠子, 柴田 香織, 飯山 豪
    原稿種別: その他
    専門分野: その他
    2003 年 72 巻 4 号 p. 377-383
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/05/28
    ジャーナル フリー
    圃場の乾湿がコムギ品種ハルユタカおよびダイチノミノリの粒重に及ぼす影響を検討するため, 畦立て処理により高畦区 (35cm高) と低畦区 (5cm高) とを設けて, 収量性, 乾物生産特性, 群落構造ならびに稈の可溶性炭水化物含有率と窒素含有率を調査した. 子実収量は, 両品種とも高畦区が低畦区よりも高かったものの, 千粒重は両品種とも畦立て処理間に差がみられなかった. 個体群成長速度は, 両品種, 両処理区とも開花期後が開花期前より低くなり, とくにハルユタカの高畦区では開花期後に著しく低くなった. これは, 開花期後ではハルユタカで平均緑色面積指数 (GAI) が高畦区で低畦区の2倍以上と高かったにも関わらず, 純同化率 (NAR) が高畦区でほぼ0と極めて低かったためであった. 稈の可溶性炭水化物含有率も, 乳熟期のハルユタカでは高畦区の値が低畦区の2分の1と低く, さらに開花期の値に比べても低かった. 葉身の窒素含有率および群落条件での光合成速度は, ハルユタカでは上位2葉とも高畦区が低畦区よりも高かったものの, いずれもダイチノミノリに比べて著しく低かった. このように高畦処理は, 両品種とも生育初期から個体群の乾物生産を高めたものの, とくにハルユタカでは過繁茂を招き, 開花後の同化量が著しく低下したことで, 子実収量こそ増加したものの粒重は増加しなかった.
  • 馬場 彰子, 鄭 紹輝, 松永 亮一, 井上 眞理, 古屋 忠彦, 福山 正隆
    原稿種別: その他
    専門分野: その他
    2003 年 72 巻 4 号 p. 384-389
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/05/28
    ジャーナル フリー
    西南暖地向けに育成されたダイズ新品種サチユタカの生育特性を明らかにするため, フクユタカと比較しその乾物生産特性について調査を行った. 両品種を2001年7月9日および2002年7月4日に播種し, 生育, 乾物生産, 収量および収量構成要素を測定した. その結果, サチユタカはフクユタカに比べて開花期, 成熟期ともに早く栄養成長量は小さかったが, 収量には有意な差はなかったため, 粒茎比が高くなった. 葉面積指数 (LAI), 個体群成長速度 (CGR), 地上部全重, 茎重については開花期まではサチユタカの方が高かったが, 開花期以降サチユタカではあまり増加がみられず, 最大値はフクユタカのほうが高かった. なお, 両品種の光合成速度, 純同化率 (NAR) には差異はみられなかった. 一方, 莢実重は, サチユタカでは増加開始時期は早いが成長速度には両品種間に差はみられなかった. 茎重は成熟期に近づくにつれて減少した. さらに, 茎中の非構造性炭水化物含有率は開花期においては両品種に差がなかったが, 成熟期に近づくにつれて大きく低下し, その低下率はサチユタカで65%, フクユタカで40%であった. これらのことから茎中に蓄積された炭水化物が子実肥大期に莢実に再転流されたことが考えられた. 以上の結果から, 栄養成長量の小さいサチユタカがフクユタカに匹敵する収量を得られたのは, 開花までの成長速度がやや高く, 栄養成長の停止が早いため栄養成長と生殖成長の間の同化産物の競合が弱く, さらに茎中の非構造性炭水化物の再転流が多いことで同化産物の利用効率が高まったためであると考えられた.
品質 · 加工
  • 佐藤 弘一, 斎藤 真一, 平 俊雄
    原稿種別: その他
    専門分野: その他
    2003 年 72 巻 4 号 p. 390-394
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/05/28
    ジャーナル フリー
    水稲の育種において, 良食味系統を効率的に選抜するために, 味度メーター値 (以降味度値と表記), ラピッド·ビスコ·アナライザー (以降RVAと表記) 特性値と食味官能検査との関係について検討した. 味度値, RVA特性値のコンシステンシーは食味官能検査との相関が高く, 遺伝力が高かった. 食味の優れた品種, 系統の特性を総合的に判断するために, 味度値, RVA特性値の相関行列をもとに主成分分析を行った. 第1主成分は, 最低粘度, 最終粘度, コンシステンシー, 味度値の4特性と関わりが深い因子であり, 炊飯米の老化性を表すと考えた. また, これらは遺伝力が高く, 遺伝的に安定していると考えた. 第2主成分は, 最高粘度, ブレークダウンの2特性と関わりが深い因子であり, 米飯米の膨潤性, 崩壊性を表すと考えられた. また, これらは遺伝力が低く, 環境に影響されると考えられた. 良食味品種であるコシヒカリは, 米飯米の老化性が低く, 膨潤性, 崩壊性が高いことが認められた. これらのことから, 良食味系統を選抜する場合において, 味度値およびRVA特性値の利用は有効であることを認めた.
  • 進藤 久美子, 内藤 成弘, 豊島 英親, 安井 明美
    原稿種別: その他
    専門分野: その他
    2003 年 72 巻 4 号 p. 395-408
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/05/28
    ジャーナル フリー
    玄米無機成分の穂上位置による差を明らかにするために, 日本晴, コシヒカリおよびスノーパールの3品種のそれぞれ1株内から, 3つの穂に着生していたすべての玄米について, 1品種につき計308∼368粒の乾重量およびリン, カリウム, マグネシウム, カルシウム, 亜鉛を1粒ごとに測定した. 解析する項目は, 乾重量, 無機元素濃度および1粒あたりの無機元素含量とした. 各項目とも各品種, 各穂で正規分布とならなかったため, ノンパラメトリック検定を用いた. その結果, 各項目とも, 穂による有意差が認められたので (P<0.05), 各品種毎に各穂の穂上位置による差を検討した. 1次および2次枝梗の着生位置の違いに着目して玄米を9つの群に分けた場合, 今回用いた3つの穂では, 各品種·各穂において乾重量, 無機元素濃度および1粒あたりの無機元素含量ともに, ほとんどの項目で有意差が認められた (P<0.05). 個別の位置による特徴は, 品種および選択した穂により若干異なることもあるが, ほとんど共通しており, 2次枝梗において, 乾重量と1粒あたりのリン, カリウムおよびマグネシウム含量が低く, また濃度では, 開花順序の遅い2次枝梗の先端から2番目と3番目に着生している玄米のリン, カリウム, マグネシウムおよび亜鉛濃度が高かった. 穂の頂部から基部へかけての玄米を1次枝梗別 (1枚枝梗および分枝している2次枝梗を含む) に8-13の群に分けた場合には, 各品種·各穂とも, 頂部から基部へ向かい, 乾重量は低下し, リン, カリウム, マグネシウム, および亜鉛濃度は高くなる傾向が見られ, ほとんどで有意差が認められた (P<0.05). これらの個別位置間の比較でも, 開花順序の早い頂部側と遅い基部側ほど有意差のあるものが多かった.
  • 佐藤 大和, 内村 要介, 尾形 武文, 松江 勇次, 陣内 暢明
    原稿種別: その他
    専門分野: その他
    2003 年 72 巻 4 号 p. 409-417
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/05/28
    ジャーナル フリー
    粉の色相が安定して優れる高品質コムギの生産技術を確立するために, 粉の色相の年次間変動の実態を明らかにするとともに, 粉の色相の変動要因を子実の容積重, 製粉特性および登熟期における降水量との関係から解析した. 粉の色相は容積重, 最高粘度, タンパク質含有率および登熟後期 (成熟期前1∼15日) の降水量との間に有意な相関関係が認められ, 容積重が重く, 最高粘度が高く, タンパク質含有率が低く, 登熟後期の降水量が少ないほど優れた. なかでも容積重は粉の色相との相関係数が最も大きく, 粉の色相を簡便に評価できることが示唆された. また, 容積重は登熟後期の降水量との間に負の相関関係が認められ, 雨濡れ程度を示す指標となることが判明した. さらに, 重回帰分析によって解析した結果, 粉の色相は成熟期前3∼6日の降雨によって最も大きな影響を受けた. 以上の結果から, 安定した粉の色相のコムギ粉を生産するためには, 登熟後期の耐雨性の向上が重要であることが示唆され, 登熟後期の雨濡れによる品質低下の小さい品種の選定, 成熟期前3∼6日の積算降水量の少ない5月中に収穫が可能な早生コムギ品種の作期前進化技術が有効であると考えられた.
品種 · 遺伝資源
  • 佐藤 久泰, 沢田 壮兵, 伊藤 繁
    原稿種別: その他
    専門分野: その他
    2003 年 72 巻 4 号 p. 418-423
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/05/28
    ジャーナル フリー
    品種の育成方法や育成過程については多くの報告があるが, 育成後の普及過程についての報告は非常に少ない. 本研究では大規模な畑作農業が行われている北海道におけるマメ類とコムギ品種の普及過程について分析した. 普及後の品種別作付面積が明らかなダイズ, アズキ, インゲンマメおよびコムギの4作物合計29品種を対象にした. 年次毎の普及率をロジスティック曲線にあてはめ, 天井水準 (普及率の最高値) と普及速度を求めた. 普及過程には各作物特有の傾向はみられず, 品種ごとに特徴があった. 供試した品種の普及率の推移は3つのパターンに分類された. 第1のパターンは, 普及開始とともに急激に普及し, 天井水準が43∼98%と高い値を示したグループで, 4作物の基幹品種8品種が含まれていた. 第2のパターンは普及直後の普及率が低く, また天井水準も20∼34%と低かったが, 長い寿命を保っている品種である. 第3のパターンは天井水準が5∼15%と低い品種で, しかし一部を除き長い寿命を保っていた. このグループには14品種と最も多くの品種が含まれていた. 1品種を除く28品種は普及開始後4年以内に普及率が5%に達していた. 天井水準と5%到達年数には負の相関関係があり, 普及開始後の普及率が高い品種ほど天井水準が高かった. しかし, 普及速度と天井水準には有意な相関関係はみられなかった. 寿命が12年と短い品種もあったが, ダイズでは30年以上, アズキ, インゲンマメおよびコムギで25年以上の長命品種が現在も普及している.
  • 廣瀬 拓也, 宮崎 彰, 橋本 清実, 山本 由徳, 吉田 徹志, 宋 祥甫
    原稿種別: その他
    専門分野: その他
    2003 年 72 巻 4 号 p. 424-430
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/05/28
    ジャーナル フリー
    イネ科植物 (9種) およびカヤツリグサ科シュロガヤツリを用い, 水上栽培において優れた物質生産および水質浄化作用を示す植物種の養分吸収特性を明らかにし, 自然水域での水上栽培における適種の選抜指標を得ようとした. 結果は以下の通りである. 1) 根の基部に緩効性肥料を施した場合, 乾物生産量はいずれの種においても増加したが, チッソ (N) およびリン (P) の浄化量 (植物による吸収と肥料からの溶出の収支) については増加する種と減少する種があった. このことは施肥条件下でNおよびPの吸収量に顕著な種間差が存在したことによるものであり, 施肥反応性の高い種を選抜することが重要であった. 2) NおよびPの吸収に及ぼす水中のpHおよび栄養塩濃度の影響をイネとシュロガヤツリで比較したところ, イネのNおよびP吸収量は高pH下で低下したが, シュロガヤツリのNおよびP吸収量はpHの影響を受けず栄養塩濃度に伴い増加した. このようにpHの影響は種間で明瞭に異なった. 藻類の増殖によって極度にpHが上昇した水域では, 高pH耐性種を選択する必要性が示された.
形態
  • 細井 淳, 今井 勝
    原稿種別: その他
    専門分野: その他
    2003 年 72 巻 4 号 p. 431-435
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/05/28
    ジャーナル フリー
    食用カンナ (Canna edulis Ker-Gawl.) の不定根は2本1組となって発生するが, その1組内の根の形態および解剖学的差異について調べたところ, 根茎の長軸に対して先端側に位置する1本 (頂部根) よりも基部側の1本 (基部根) の方が発生の初期から太く, 組織構造も充実していた. また, 圃場で栽培した食用カンナの根の垂直分布を塹壕法により3作季にわたって調査したところ, 生育初期は「塊状の根系」の様相を呈したが, 生育中期以降は単子葉植物には稀な「キノコ状の根系」へと推移することがわかった. キノコ状の根系形成は2本1組内で発生初期に決定される不定根の特性の差異によってなされ, 根が土塊を抱えた大きな構造 (根鉢) を形成する点や水平根と垂直根の物理的差異に基づく機能分担を発揮させる点で優れた地上部支持機能を有すると考えられた.
作物生理 · 細胞工学
  • 平井 儀彦, 山田 稔, 津田 誠
    原稿種別: その他
    専門分野: その他
    2003 年 72 巻 4 号 p. 436-442
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/05/28
    ジャーナル フリー
    登熟期の気温の違いがポット栽培したイネ個体の暗呼吸量と穂の乾物成長に及ぼす影響を定量的に検討するため, 4月, 5月, 6月の3時期に播種することで登熟期の気温を変え, 気温の差が登熟期の暗呼吸速度と乾物生産に及ぼす影響を調査した. 出穂日は4月播種では8月4日で, 5月と6月播種ではそれぞれ4月播種より14日と28日遅かった. 4月播種における出穂後6日目∼19日目の平均気温は, 5月と6月播種より約4°C高かった. 回帰法により成長呼吸と維持呼吸を推定すると, 穂の暗呼吸速度は主に穂の成長に関わっており, 穂の維持呼吸は4月播種と5月播種では高く, 6月播種で低かった. 茎葉部の暗呼吸速度は主に穂への炭水化物の転流に関わっており, 茎葉部の維持呼吸は4月播種と5月播種で高く, 6月播種で低いと推定された. つまり, 出穂期の違いによる平均気温の上昇は必ずしも維持呼吸を増大させないことが示唆され, 維持呼吸は登熟期の気温に直接影響されるだけでなく, それまでの生育前歴によっても変わると考えられた. また, 穂の乾物成長は維持呼吸の増加にともなう暗呼吸量の増大によって低下することが定量的に示された.
  • 長尾 祐一, 梅崎 輝尚, 松井 昭博, 谷山 鉄郎
    原稿種別: その他
    専門分野: その他
    2003 年 72 巻 4 号 p. 443-449
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/05/28
    ジャーナル フリー
    水稲の光合成速度に及ぼす二酸化硫黄の影響を調査する場合の設定条件について詳細な検討を行った. 二酸化硫黄処理時の環境条件や水稲の葉位, 部位, 生育時期の違いにより二酸化硫黄処理の影響が異なるか否かを, 処理開始時光合成速度と光合成阻害率および光合成回復率から検討した. 処理対象を個体とした場合, 8時から14時の間に行った二酸化硫黄処理では, 光量子束密度や同化箱内の二酸化炭素濃度が異なった条件下であっても, 光合成阻害率および光合成回復率はほぼ一定であった. 次に, 処理対象部位を個葉とした場合, 二酸化硫黄に対する反応を光合成阻害率で比較すると, 最上位展開葉が高かった. そこで, 止葉を用いて生育時期別に二酸化硫黄処理を行ったところ, 出穂期後10日目と20日目に比べ, 出穂始と出穂期の光合成阻害率が高かった. また, 播種時期や栽培方法が異なった供試材料を用いても, 出穂期後10日目の止葉に二酸化硫黄処理を行うと, 光合成阻害率が安定することから, 二酸化硫黄処理は出穂期後10日目頃に止葉を対象とするのが最適であると考えられた.
収量予測 · 情報処理 · 環境
  • 豊田 正範, 楠谷 彰人, 浅沼 興一郎
    原稿種別: その他
    専門分野: その他
    2003 年 72 巻 4 号 p. 450-460
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/05/28
    ジャーナル フリー
    温暖地におけるコムギの一穂粒数の成立過程を定量的に評価するため, 圃場で栽培したチクゴイズミの主茎の葉, 小穂および小花の分化数を走査型電子顕微鏡で調査し, それらの分化数の推移に有効積算温度を基準としたモデル式を適用した. なお, 小穂や小花の数に影響を与えると考えられる窒素の追肥処理を行ったが, いずれの調査項目にも処理間差は認められなかった. 葉と小穂の分化数の推移に線形スプラインモデルを適用した結果, 分化速度は0.0181 [葉 (°C d)-1] と0.0995 [小穂 (°C d)-1], 分化期間は葉と小穂の順に374°C dおよび149°C dと推定された. 一穂あたり分化小花数の推移には, 小花が直線的に増加する分化初期に直線回帰式を適用したのを除き, Gompertzの生長モデルを適用した. 小花の分化開始期は494°C d, 分化数の最大値は116個で, その時期は821°C dであった. 小穂別の小花の分化数と有効積算温度との関係には直線回帰式を適用し, これを基に小穂別の小花分化開始期, 小花分化速度, および最終生存小花分化期など, 小穂あたり粒数の成立に関係する諸形質を推定した. 収穫期の小穂あたり粒数は穂の中央部が多く, 穂の基部側と先端側に向けて次第に減少したが, その分布に最も密接に関係していたのは小花分化開始期であり, 小花分化開始期が早いほど小穂あたり粒数が多かった. また, 穂の基部から先端に向けて, 小花分化速度は次第に遅く, また最終生存小花分化期は次第に遅れる傾向を示したが, 小穂位置によるこれらの変異や小穂あたり粒数との関係について考察した.
  • 福岡 峰彦, 谷 英雄, 岩間 和人, 長谷川 利拡, 実山 豊
    原稿種別: その他
    専門分野: その他
    2003 年 72 巻 4 号 p. 461-470
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/05/28
    ジャーナル フリー
    群落表面温度から気温を引いた値である葉気温較差 (ΔT) は, 作物品種のかんばつ回避性を圃場条件下で簡便かつ非破壊的に推定できる指標であることが, 大気飽差 (VPD) が比較的大きい, 乾燥した国々での実験で報告されている. 本研究では, VPDが比較的小さい日本の圃場条件下においても, ΔTをかんばつ回避性の指標として用いることが可能か否かを検討した. なお, かんばつ回避性は気孔コンダクタンス (gs) と葉内水分ポテンシャル (LWP) を無灌水条件下においても灌水条件下と同様に高く保つ能力と定義した. かんばつ回避性が大きく異なることが想定されるテンサイ, バレイショおよびイネ (水稲用および陸稲用品種) を, 降雨を遮断して灌水と無灌水の2種類の土壌水分処理を行った畑圃場で供試した. 植付けもしくは移植の7週間後から5週間, サーモグラフィー装置を用いて群落のΔTを測定し, 同時にgsとLWPを測定した. 無灌水区ではΔTに有意な作物間差が認められ, イネ水稲用品種で最も高く, イネ陸稲用品種, バレイショ, テンサイの順で低くなった. また, gsおよびLWPについても有意な差異が認められ, ΔTとは逆にテンサイで最も高く, バレイショ, イネ陸稲用品種, イネ水稲用品種の順で低くなった. 一方, 灌水区では, これら3形質における作物間差は相対的に小さかった. 3形質のいずれにも, 土壌水分処理と作物との間に有意な相互作用が認められた (いずれもp<0.001). 以上のことから, 日本の圃場条件下でも, 無灌水条件下におけるΔTを用いて, 作物のかんばつ回避性を推定評価できると推察した.
研究 · 技術ノート
  • 長岡 泰良, 沢田 壮兵
    原稿種別: その他
    専門分野: その他
    2003 年 72 巻 4 号 p. 471-474
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/05/28
    ジャーナル フリー
    和菓子のあん原料に使われるアズキは, 見た目の色が食味とともに重要視されるため, 品質の重要な特性として種皮色の研究が行われてきた. 本研究では, 種皮色を色相, 明度および彩度で示すことができるXYZ表色系について検討した. 供試したエリモショウズの未熟から成熟までの種子および完熟した種子の種皮色には肉眼で著しい色の違いがみられた. 色相を表す主波長は539.8 (未成熟)∼616.0nm (完熟·濃色) に変異した. 完熟種子において, 明度を表すY値は17.01 (淡色)∼8.92 (濃色), 彩度を表す刺激純度は41.4 (淡色)∼19.8% (濃色) と濃色になるほど値が低下した. 同様の変異はL*a*b*表色系でも表すことができたが, 色相を具体的に主波長で表すことができることからXYZ表色系による表示は有用と考えられた.
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