日本作物学会紀事
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73 巻 , 1 号
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研究論文
栽培
  • 坂田 勲, 鍵谷 俊樹, 河合 靖司, 小柳 敦史
    73 巻 (2004) 1 号 p. 1-5
    公開日: 2004/05/18
    ジャーナル フリー
    水稲の湛水直播栽培において重要な形質である耐ころび型倒伏性については, 根系分布との関連が指摘されている. しかし, 具体的にどの角度に伸長する冠根が水稲の地上部の支持に寄与しているのかは明らかにされていない. そこでまず, 耐ころび型倒伏性と密接な関係にある押し倒し抵抗値が中程度の水稲品種M401を栽培し, バスケット法により出穂後10日における冠根の伸長角度別の本数を測定した. 次に冠根の伸長角度別の切断処理が押し倒し抵抗値に及ぼす影響を検討した. すなわち, 長さの異なる2種類の薄い鉄製円筒により, 出穂後10日に水平から下向き0~36°および0~54°に伸長する冠根を切断して押し倒し抵抗値を測定した. また, あらかじめ設置しておいた深根切断板により54~90°に伸長する冠根を切断し, 押し倒し抵抗値を測定した. その結果, M401では水平から下向き36~54°に伸長する冠根が最も多く, 次いで18~36°に多いことがわかった. 一方, 押し倒し抵抗値は54~90°の断根処理ではほとんど変化しなかったが, 0~36°の断根処理で明らかに低下し, 0~54°の断根処理によりさらに低下した. そこで, 耐ころび型倒伏性が弱から強にわたる6品種について0~36°および0~54°に伸長する冠根を切断して押し倒し抵抗値を比較した. その結果, 各品種とも0~54°の角度に伸長する冠根の切断によって押し倒し抵抗値は明らかに低下した. 一方, 0~36°の角度に伸長する冠根の切断処理では, 耐ころび型倒伏性が弱い品種では押し倒し抵抗値が顕著に低下したのに対し, 耐ころび型倒伏性が強い品種では押し倒し抵抗値はほとんど低下しなかった. 以上より, 耐ころび型倒伏性が強い品種では, 水平から下向き36~54°に伸長する冠根が地上部の支持に重要な役割を担っていることが明らかになった.
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  • 片野 學
    73 巻 (2004) 1 号 p. 6-9
    公開日: 2004/05/18
    ジャーナル フリー
    有効茎と無効茎からなる水稲1株の全茎数の多少は, 冠根数とどの様な関係にあるかは明らかにされていない. そこで, 1/2000aワグナーポットを用い, 全茎数の多少を著しく拡大するために, 施肥条件, 栽培品種などを変えて1株1本植えした. 有効茎および無効茎の判別ならびに伸長した冠根と“いじけ”根の識別が可能となる出穂期直後に根群を採集し, FAAで固定後, 冠根数を観察した. 1株全茎数が最小3本から最大85本に及んだ調査18株の全茎数と伸長した冠根数との間に認められた極めて高い有意な正の相関関係は, 全茎数30本を境にして異なっていた. 茎数1本当たりの伸長した冠根数の増分は, 全茎数が30本未満の場合には32.1本であったが, 30本以上の場合には9.4本であった. 全茎数30本を境にして, 2本の回帰直線の交点における1株全茎数は26.8本となり, 1株茎数が27本内外に達すると伸長した冠根数の増加が鈍化することが見出された. また, この交点における全茎数を, 上位根, 下位根およびP“要素”根別に見ると, それぞれ, 23.3本, 27.3本, および33.1本となっており, 冠根の伸長方向との関連性が見られた. さらに, 全茎数と冠根総数, すなわち, “いじけ”根と伸長した冠根の合計数との間には極めて高い有意な正の相関関係が見出され, 伸長した冠根数の場合とは異なり, 全茎数が30本の境界は認められなかった.
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  • 豊田 正範, 小林 洋介, 三好 祐介, 安村 直子, 楠谷 彰人, 浅沼 興一郎
    73 巻 (2004) 1 号 p. 10-17
    公開日: 2004/05/18
    ジャーナル フリー
    西日本の暖地 · 温暖地で栽培されるコムギ3品種 (イワイノダイチ, さぬきの夢2000, チクゴイズミ) を3播種期 (早播き, 標準播き, 遅播き) で栽培した場合の葉, 小穂および小花の分化数の成立過程の変異を解析した. 走査型電子顕微鏡, 実体顕微鏡で調査した各器官の分化数の推移と有効積算温度との関係にモデル式を適用してそれぞれの分化速度と分化期間を推定し, これらと分化数との関係を検討するとともに, 分化期間中の平均気温, 平均日長時間との関係を考察した. いずれの品種も葉数は早播きほど多くなる傾向にあった. 全品種を込みにした場合, 葉数は有効積算温度を基準とした分化速度と分化期間から同程度の影響を受けていたが, 分化速度はいずれの品種も早播きほど速く, また, 平均気温と正の相関関係にあった. 秋播性程度がIVのイワイノダイチの葉の分化期間は, 全品種中, 早播きで最も長く, 遅播きで短かったが, これは春化に必要な低温に遭遇するまでの期間が早播きほど長くなるためと考えられた. 秋播性程度がI~IIのさぬきの夢2000およびチクゴイズミの葉の分化期間は, 平均日長時間と負の相関関係にあった. 播種期による小穂数の変異の傾向は品種で異なった. 小穂の分化速度と分化期間は, いずれも小穂数に対して一定の関係を示さなかったが, 両者の間には負の相関関係が存在した. 分化小花数の最大値はいずれの品種も遅播きほど減少する傾向にあり, 全品種を込みにした場合, 分化小花数の最大値は分化期間と正の相関関係にあった. また, 分化期間と平均日長時間との間に負の相関関係が認められ, 遅播きほど長日条件下で分化が進行するために分化期間が短縮し, 分化小花数が減少したと推察された.
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  • 二瓶 直登, 丹治 克男
    73 巻 (2004) 1 号 p. 18-22
    公開日: 2004/05/18
    ジャーナル フリー
    ダイズ (品種:ふくいぶき) のポット, 枠および圃場栽培において, 肥効調節型肥料を用いた全量基肥施用を全層施肥および接触施肥で行った. ポット試験において, 被覆尿素70日タイプを接触施肥で全量基肥施用したダイズ個体では, 化成肥料を全層施肥し被覆尿素40日タイプで追肥を行った対照個体に比べ, 主根が細くなり, 根重と根粒の着生数が低下した. 枠試験の結果, 全量基肥施用の全層区と接触区の施肥窒素利用率および肥料由来の窒素吸収量は, 全層区では基肥に加え開花期に硫安を施肥した対照区と同程度であったが, 接触区では全窒素同化量が低下した. 2ヵ年の圃場試験の結果, 全層区, 接触区とも対照区より低収となった. 全量基肥施用の全層区, 接触区で減収したのは, 用いた肥効調節型肥料 (2000年は100日タイプ, 2001年は70日タイプ) では生育後半の窒素供給量が少ないこと, また接触施肥では根の生長が抑制され, 施肥以外の土壌窒素の吸収量が低下したことが原因と考えられた.
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品質・加工
  • 佐藤 大和, 内村 要介, 尾形 武文, 松江 勇次, 陣内 暢明
    73 巻 (2004) 1 号 p. 23-28
    公開日: 2004/05/18
    ジャーナル フリー
    登熟期間中の降雨に対しても安定して最高粘度が優れる高品質コムギの生産技術を確立するために, 最高粘度の年次間変動の実態と登熟期間中の降雨が最高粘度に大きく影響を及ぼす登熟ステージを明らかにした. 最高粘度は, 収穫年次, 播種時期および品種の違いによって大きく変動し, 播種時期が早いほど最高粘度が低くなる傾向が認められた. また, 品種間では秋播性程度の高いイワイノダイチは低いチクゴイズミに比べて, 年次, 播種時期にかかわらず最高粘度は安定して高かった. 最高粘度と登熟期の気象との関係では, 積算降水量との間に負の相関関係が認められ, 特に登熟後期の積算降水量の影響を大きく受けた. さらに, 登熟後期中, 成熟期前5~6日の降雨によって最も影響を受けた. 一方, 登熟前期と中期では明らかな関係は認められなかった. 以上の結果から, 登熟期間中の降雨に対して安定した最高粘度のコムギ粉を生産するためには, 登熟後期の雨濡れによる品質低下の小さい品種の育成, 選定が重要であるとともに, 成熟期前5~6日の降雨が少ない5月中に収穫が可能な早生の秋播型コムギ品種を用いた作期前進化技術が有効であると考えられた.
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  • 内村 要介, 佐藤 大和, 尾形 武文, 松江 勇次
    73 巻 (2004) 1 号 p. 29-34
    公開日: 2004/05/18
    ジャーナル フリー
    成熟期に降雨に遭遇しても小麦粉の品質低下が小さいコムギ品種育成のための基礎的知見を得る目的で, 成熟期に降雨処理を行い, 品質低下の品種間差を明らかにするとともに, 品質低下と穂の形態および小麦粉の特性との関係を考察した. コムギは成熟期の降雨処理によって倒伏程度が大きくなり, 子実の外観品質, 千粒重, 容積重およびフォーリングナンバーが低下したものの, その低下程度に品種間差が認められた. 農林61号は倒伏程度が大きかったにもかかわらず, 雨回避区に対してフォーリングナンバーの低下が認められず, 小麦粉の色相の低下程度が供試品種の中で最も小さかった. 穂の形態からみて, 農林61号は他の品種に比べて外穎と内穎との隙間が無く子実を覆っていることが, 降雨による子実の水分含有率の増加を少なくさせているのではないかと推測した. また, 農林61号は加水した小麦粉の24時間後の色相の低下が, 供試品種の中で最も小さかった. 従って, 雨濡れによる品質低下程度の品種間差異には穂の形態と小麦粉の理化学的特性が大きく関与している可能性が示唆された.
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品種・遺伝資源
  • 内村 要介, 古庄 雅彦, 吉田 智彦
    73 巻 (2004) 1 号 p. 35-41
    公開日: 2004/05/18
    ジャーナル フリー
    二条オオムギの種子の純度維持, 品種育成者の権利保護および農作物の品種の適正な取引の検査を目的として, DNAマーカーによる二条オオムギ品種の識別技術を確立した. 識別が可能な二条オオムギ品種は, 近年国内で栽培されている22品種, および外国2品種の合計24品種である. これらの品種識別は, 9種類のSTSプライマーと6種類の制限酵素の組合せによる9通りのPCR反応と制限酵素処理を行って得られた制限酵素断片長多型を, 1.8%アガロースゲルを用いた電気泳動により検出することで可能であった. さらに, 同様の24品種間において1.8%アガロースゲル (SSR分析は3.0%) を用いた電気泳動により品種識別が可能で, 視認性かつ再現性に優れているCAPSマーカー28種類, SSRマーカー1種類, RAPDマーカー5種類も選定した.
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  • 大潟 直樹, 田口 和憲
    73 巻 (2004) 1 号 p. 42-47
    公開日: 2004/05/18
    ジャーナル フリー
    テンサイ根腐病に対するテンサイ (Beta vulgaris L. ) の根冠部および地上部における部位別の抵抗性の発現を抵抗性系統と感受性系統による交配集団を用い, 圃場接種により調査した. 調査部位は, 根冠部の表皮, 縦断面から見た内部組織, また, 地上部の発病を発病面積ならびに発病指数により個体別に評価した. その結果, 表皮発病面積の広義の遺伝率は67.0%であり, F1集団およびF2集団は優性効果が認められず, 中間親を中心とした連続的分布を示したため, 表皮の抵抗性が量的遺伝形質であると考えられた. 内部発病は, 表皮発病に起因するが, 抵抗性系統を用いたF1集団およびBC1F1集団の縦断面発病面積は, 表皮発病面積にかかわらず小さく, 抵抗性側に偏る優性効果が認められた. 縦断面発病面積の広義の遺伝率は98.6%と高く, また, F1集団, BC1F1集団およびF2集団の分離検定から, 内部組織の抵抗性を支配する単一の優性遺伝子の存在が示唆された. 一方, 圃場における地上部の抵抗性は, 根冠部の表皮の抵抗性と同じ遺伝子によるものと考えられ, 地上部発病指数の調査により根腐病抵抗性に関する一次評価の可能性が示唆された.
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形態
  • 片野 學, 川浪 正治
    73 巻 (2004) 1 号 p. 48-57
    公開日: 2004/05/18
    ジャーナル フリー
    作物における病害虫発生は作物体の不健全さの結果であり, その不健全さは発生以前の作物体各器官の形態に残されていると考えられる. イネもみ枯細菌病が一筆全面にわたって発生した水田と発生しなかった2水田における水稲の収量, 収量構成要素, 穂相, 節間長, 根系形態, 冠根数, 分枝根形成等を観察した. イネもみ枯細菌病発生水田の収量は550g/m2であり, 対照田の収量:649g/m2の85%であった. 減収要因はm2当たり穂数, 1穂籾数ではなく, 登熟歩合の顕著な低下であった. 1株を構成する各茎における発病程度は様々であったが, 同一種籾から発生した1個体茎内においても, 罹病茎と罹病しなかった健全茎とが混在していた. このことは, 本病が種籾に由来するという従来の知見とは異なっていた. また, 発生水田における玄米中の全窒素含有率は有意に高くなっていた. さらに, 代表株の根群を構成する伸長した冠根数には差が見られなかったが, 発生水田のいじけ根数は対照田に比べ顕著に多くなっていた. 出根要素別に見たいじけ根率は移植3週間後には差が生じており、イネの不健全さは生育初期に認められた. 発生水田では対照田に比べ, 2次根の出現密度が高くなっていた. 以上のように, イネもみ枯細菌病発生は, 出穂期以降, 籾部分における病徴の発現として認められるが, いじけ根の多発, 作土中を伸長した冠根における高密度の2次根の出根, 加えて, わら重の増大など, 罹病状態は, 移植直後から醸成されていたのではないかと考えられる.
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  • 新田 洋司, 本多 舞, 松田 智明
    73 巻 (2004) 1 号 p. 58-64
    公開日: 2004/05/18
    ジャーナル フリー
    移植時に断根された水稲稚苗の本田移植後における冠根の原基形成および出現の経過を形態学的に明らかにすることを目的として, 葉齢3.2の苗を, 出現根を基部から切除して水田に移植し, 葉齢6.2まで経時的に個体を採取して, 主茎の連続横断切片を作製し光学顕微鏡で観察した. その結果, 断根処理によって, 移植直後の4.2葉齢個体の冠根原基数が無処理の場合よりも有意に多くなったが, これは頂端側の茎の部分 (第3“単位”以上) で冠根原基が多く形成されたためであった. また, 5.2葉齢個体では出現冠根数が無処理の場合よりも有意に多かったが, これは頂端側の茎の部分 (第3“単位”および第4“単位”以上) に形成された冠根の出現によるものであった. 一方, 断根処理によって, 冠根原基の形成が認められた茎の範囲がより頂端側にまでおよび, その結果として, 冠根が出現する茎の範囲もより頂端側にまでおよんだ. 以上より, 稚苗が断根された場合, その直後に, より頂端側の茎の部分で冠根原基が多数形成され, 出現に至ることが示された. また, 冠根の原基形成および出現が, 断根によって, 従来報告されていた出葉との間の時間的規則性よりも早く起こることが判明した.
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  • 佐々木 修, 西原 英典, 津曲 雄治, 下田代 智英
    73 巻 (2004) 1 号 p. 65-70
    公開日: 2004/05/18
    ジャーナル フリー
    塊根の肥大特性の異なる2品種のカンショ (アヤムラサキ,高系14号) を用いて, 生育に伴う塊根の肥大の特徴および形状の成立過程について検討を行った. 塊根収量および形状に関与する塊根数, 塊根長および塊根幅の3形質のうち, 塊根数と塊根長は肥大の初期 (挿苗後50日) にはほぼ決定していた. 塊根数は品種間で差は認められなかったが, 塊根長はアヤムラサキが高系14号より長い傾向を示した. しかし, 各個体に形成される塊根数および個々の塊根の長さはそれぞれ2~13個, 5~30 cmの範囲で著しく変動した. 一方, 塊根幅の増大は塊根長と密接な関係があり, 塊根長の長い塊根ほど塊根幅の増大速度は大きい傾向を示し, その程度は高系14号が, アヤムラサキより著しかった. 以上のような塊根長と塊根幅の生長特性をもとに塊根の形状 (幅長比:塊根幅/塊根長) の推移を見たところ, 肥大初期には塊根の長さにより, 形状の変動幅は大きかったが, 生育が進むに従ってその変動幅は次第に収束する傾向を示した. また, 生育に伴う幅長比の増大は高系14号がアヤムラサキより大きかったため, 最終的に高系14号は紡錘形, アヤムラサキは長紡錘形の塊根が多くなった. 以上のことから, カンショの塊根は肥大初期に決定する塊根数および塊根長の変動幅が著しいという欠点がある一方, 生育に伴う塊根の肥大はその形状が揃う方向に進むという望ましい特性を持っていることが推察された.
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  • 細井 淳, 今井 勝
    73 巻 (2004) 1 号 p. 71-76
    公開日: 2004/05/18
    ジャーナル フリー
    食用カンナ (Canna edulis Ker–Gawl.) における生育中期以降の倒伏発生の要因について, 地上部の形態形成と関連させつつ数理モデルを用いて解析した. 生育の旺盛な地上部は, 側面からみた投影面積が大きかったが, それは草高, 株元の幅および立毛角の3種類のパラメータにより決定されていた. 倒伏の発生要因は主として大型地上部の形態形成と関係があり, 風によって植物体に加わる外力に関しては大きな投影面積に, 自らの重さによって植物体に加わる内力に関しては大きな自重転倒モーメントに原因があった. 生育後期になると茎が傾斜するのは根茎の肥大によるところが大であり, 収量形成の観点からは草高を2m程度にまで短縮することがよいと結論された. このことにより, 生育中期以降に倒伏を起こす危険性を, 外力においては投影面積の縮小により約10~20%, 内力においては自重転倒モーメントの減少により約50%軽減する効果のあることがわかった.
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作物生理・細胞工学
  • 森田 敏, 白土 宏之, 高梨 純一, 藤田 耕之輔
    73 巻 (2004) 1 号 p. 77-83
    公開日: 2004/05/18
    ジャーナル フリー
    水稲の玄米1粒重は高夜温により低下し, 玄米の外観品質は高夜温でも高昼温でも低下する. 本研究ではこれらの要因を解析するため, 高夜温あるいは高昼温を穂に曝露した場合と茎葉に曝露した場合の玄米の粒重や外観品質への影響を調査した. 処理温度は, 対照を昼夜22°C一定, 高夜温を昼22°C, 夜34°C, 高昼温を昼34°C, 夜22°Cとした. その結果, 玄米1粒重は, 稲体全体に高夜温を曝露した試験区で7~11%, 穂のみに高夜温を曝露した試験区で5~6%低かったものの, 茎葉のみに高夜温を曝露した試験区では差が認められなかった. また, 玄米の粒幅と粒厚は, 茎葉ではなく穂の高夜温処理により減少することが明確となった. さらに, 玄米1粒重と個体重との間に有意な相関関係が認められなかった (r=0.241) ことから, 高夜温による玄米1粒重の低下の主因は茎葉での呼吸昂進による炭水化物量の不足ではないことが推察された. また, 玄米の外観品質については, 主に穂を高夜温あるいは高昼温にした場合に低下することが明らかになった. 茎葉のみを高夜温にした場合に玄米の外観品質の低下がほとんど認められなかったことから, 高夜温による玄米の外観品質の低下の主因は, 玄米1粒重の場合と同様に茎葉での炭水化物不足ではないと考えられた.
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  • 仲村 一郎, 東江 栄, 飛田 哲, 柳原 誠司, 野瀬 昭博, 村山 盛一, 本村 恵二
    73 巻 (2004) 1 号 p. 84-92
    公開日: 2004/05/18
    ジャーナル フリー
    我々は前報で野生種Oryza latifoliaは, 水稲の耐塩性品種として育成されたSR26Bよりも耐塩性が高いことを示した. その要因を明らかにするため, O.latifolia葉身の光合成速度, 及びチラコイド膜の酸素放出速度をNaCl存在下で測定し, 感受性品種O. rufipogonと比較した. O. rufipogonの光合成速度は, NaClによって大きく阻害され, 300mM, 及び655mM NaCl存在下では, それぞれ処理前の75%, 及び30%であった. 一方, O. latifoliaでは, 300 mM NaCl存在下では処理前とほとんど変わらず, 655mMで約60%まで低下した. チラコイド膜の耐塩性もO.latifoliaで高く, O.latifoliaでは酸素放出速度は655mM NaCl存在下で13%低下したが, O. rufipogonでは300mMで10%, 655mMで30%それぞれ低下した. チラコイド膜の耐塩性の要因を解析するために, チラコイド膜のタンパク質組成をSDS‐ポリアクリルアミドゲル電気泳動 (SDS‐PAGE) で調べたところ, O.latifoliaはチラコイド膜に20.3kDa, 及び22. 4kDaの本種に特異的なタンパク質を有していた. これらのタンパク質を二次元電気泳動 (2‐DE) でさらに調べたところ, 分子量20.3kDa, 及び22.4kDaのタンパク質はそれぞれ少なくとも二つ, 及び三つのタンパク質を含んでいた. また, スポット番号28, 29及び34の3種はまだ報告のない機能未知のタンパク質であった. これらの結果から, O.latifoliaは, チラコイド膜の耐塩性が高く, 高NaCl存在下でも光合成能力を維持することができること, またチラコイド膜に本種に特異的なタンパク質を有していることがわかった.
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  • 諸隈 正裕, 安田 佐紀子
    73 巻 (2004) 1 号 p. 93-98
    公開日: 2004/05/18
    ジャーナル フリー
    開花時における高温 · 高湿処理が日本型水稲の稔実に及ぼす影響について品種間で比較検討した. 試験を圃場条件下で行うために, まず, 水田において気温 · 湿度を制御可能な処理装置を作製した. 本装置では, 水田圃場において比較的安定した気温 · 湿度の制御が可能であった. そこで, 気温35°Cの条件下で, 相対湿度59%, 72%及び88%の3段階の湿度処理が日本型水稲4品種 (黄金晴, ヒノヒカリ, ササニシキ, ひとめぼれ) の稔実率及び柱頭上受粉数に及ぼす影響について比較検討した. 4品種とも相対湿度88%の高湿条件下で稔実率が低下したが, その程度は品種により異なり, 黄金晴とヒノヒカリで低下程度が大きかった. また, 相対湿度が高いほど柱頭上受粉数の少ない穎花の割合が多くなる傾向がみられた. この傾向は黄金晴において特に顕著であった. さらに高湿条件下では, 気温31°C処理においても受粉に関しては35°C処理と同様な品種間差異がみられたが, 稔実率に有意な品種間差は認められなかった. 以上から, 日本型水稲の開花期高温不稔に対する湿度の影響には品種間差異があり, 高湿条件下で柱頭上受粉数の少ない穎花の割合が増加した品種ほど稔実率が大きく低下することが判明した.
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収量予測・情報処理・環境
  • 長屋 祐一, 梅崎 輝尚, 松井 昭博, 谷山 鉄郎
    73 巻 (2004) 1 号 p. 99-102
    公開日: 2004/05/18
    ジャーナル フリー
    水稲14品種を供試し, 止葉の光合成速度に及ぼす二酸化硫黄濃度1.0μL L-1, 15分間処理の影響について品種比較を行なった. 各品種の二酸化硫黄による光合成速度の低下程度を光合成阻害率として表すと, 1998年は30.1%から65. 2%, 1999年は42.8%から65.9%の範囲に分散しており品種間差異がみられた. 供試品種の育成年度から, 1909年以前の4品種 (愛国, 亀ノ尾, 京都旭, 竹成) を旧品種群, 1945年以降の10品種 (あきたこまち, 秋晴, アキヒカリ, コシヒカリ, ササニシキ, 初星, 晴々, 日本晴, 農林29号, ヤマヒカリ) を新品種と区別して両者を比較すると, 葉色 (SPAD値) には有意差がみられなかったが, 旧品種群の光合成阻害率は新品種群より有意に高かった.
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  • 梅崎 輝尚, 佐藤 邦夫, 高木 滋樹
    73 巻 (2004) 1 号 p. 103-106
    公開日: 2004/05/18
    ジャーナル フリー
    物理的な病害虫防除方法としてレーザ利用の効果を検討する研究の一環として, 水稲葉身の外観に及ぼすレーザ照射の影響を調べた. レーザ照射処理は緑色光 (波長532nm) を用い, 照射強度は342×4GW m-2であった. レーザ照射処理の影響は照射部位に限定され, 照射後数日で安定し, その後は進行しなかった. 主稈葉位別にみると出葉後間もない上位葉ほど影響は小さかった. また, 幼穂分化期の処理が出穂期の処理よりも影響は小さく, 出葉後日数の短い若い葉ほど影響は小さかった. これらの傾向に品種間差異はみられなかった.
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研究・技術ノート
  • 西村 富生, 長谷川 幸子, 目黒 あかね, 葭田 隆治, 久能 均
    73 巻 (2004) 1 号 p. 107-113
    公開日: 2004/05/18
    ジャーナル フリー
    北米原産の花木カルミアの園芸品種オスボレッドを組織培養で大量増殖し, 矮化剤 (パクロブトラゾール) 処理により3ヵ年 (馴化開始から27ヶ月) で小型鉢物を生産する技術を開発した. 温室内で風雨を避けて生育させた親株から新しく伸長した新芽を, 初代培養のための採芽に用いた. 継代培養に適した増殖用培地は天然型サイトカイニンである2iP[(N6‐(2‐isopentenyl)‐adenine)]を1mg/L添加したWPM (Woody Plant Medium) 培地であった. 馴化容器として128穴セルトレイが適していた. 馴化開始時の発根促進のためにはインドール酪酸 (IBA) 100 mg/Lの3時間処理が適していた. 小型鉢物生産には, 冬期に切りつめた株から春期に伸長する新芽にジベレリン生合成阻害剤であるパクロブトラゾールを20mg/Lおよび200mg/Lの濃度で約20日間間隔で2回処理すると, 苗の伸長抑制と花芽の形成促進に有効であることが明らかとなった. 施肥はN:P:K=10:18:15の元肥で十分で, 追肥をすると花芽形成が抑制され, 萎縮葉の発生を助長することが明らかとなった. パクロブトラゾール処理により, 処理後1年目まで矮化している苗にジベレリン (GA3) 200mg/Lを散布すると春芽が再伸長した. 本研究で得られた, 各種の植物ホルモン類と矮化剤を適宜組み合わせた組織培養法は, チャやコウゾなどの他の木本性作物の人工増殖にも応用可能であると思われる.
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