西日本における夏ソバ栽培(春まきソバ)への緑肥レンゲ利用技術の確立に資するため,レンゲの播種量,播種時期およびすき込み時期が,夏ソバの生育・収量に及ぼす影響について検討した.実験1では1998年10月下旬に3 g/m
2のレンゲを播種し,すき込み時期をソバ播種の20,10,2日前と変えた.すき込み時のレンゲ生重はすき込み時期が遅くなるほど増えたが,ソバ収量に有意差はみられず,ソバの播種20日前にレンゲ生重がおよそ2000 g/m
2以上あれば,すき込み時期を特に考慮する必要はないことがわかった.実験2,3では肥沃度の異なる圃場でレンゲ播種期を1999年10月中旬に設定し,播種量を1.5,3.0,6.0 g/m
2と変えた.すき込みに際しレンゲ地上部を刈り取った処理区も設けた.レンゲ生重,ソバ収量とも肥沃度の劣る圃場で小となったが,両圃場とも刈り取りの有無にかかわらず播種量3.0 g区と6.0 g区はソバ収量がほぼ等しく,1.5 g区は低かった.実験4ではレンゲ播種量を1.5,3.0,6.0 g/m
2とし,播種期を2000年11月下旬に設定したところ, いずれの播種量でもレンゲ生重は著しく少なくソバの生育・収量も実験2,3と比較して顕著に劣った.実験2,3,4より,レンゲ播種の適量は3 g/m
2であること,播種は10月中には終える必要があることが明らかになった.また,ソバの播種2日前にレンゲ生重が5000 g/m
2以上あった実験2では刈り取りの有無にかかわらずソバ収量がほぼ等しかったことから,地上部を飼料や他の作物の緑肥として利用しうることが明らかになった.
抄録全体を表示