日本作物学会紀事
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77 巻 , 1 号
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総 説
  • 森田 敏
    77 巻 (2008) 1 号 p. 1-12
    公開日: 2008/02/08
    ジャーナル フリー
    近年, 登熟期の高温により米の品質や玄米1粒重が低下する, いわゆる高温登熟障害が頻発していることが指摘されている. 地球的規模の温暖化の進行にともない今後の被害の拡大と甚大化が懸念される. このため高温登熟障害の克服に向けて, メカニズムの解明と対策技術の開発が喫緊の課題である. 本稿では, イネの高温登熟障害の実態, 背景を示すとともに, 主な症状である白未熟粒, 充実不足, 胴割れ粒の発生と玄米1粒重の低下, 食味の低下のメカニズム, 耐性品種など発生回避技術の開発に関する知見を整理し, 今後の研究方向を論じる.
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研究論文
栽培
  • 森 静香, 松田 裕之, 柴田 康志, 藤井 弘志
    77 巻 (2008) 1 号 p. 13-21
    公開日: 2008/02/08
    ジャーナル フリー
    山形県庄内地域で発生した2004年台風15号の潮風害による水稲の枝梗枯れ・登熟状況を品種別に調査し, 精玄米重・品質に及ぼす影響, および減収メカニズムを検討した. 枝梗枯れ数歩合は, 1穂塩化ナトリウム量が1mgまでは塩化ナトリウム量が多いほど高くなり, 1穂塩化ナトリウム量が1mg以上では枝梗枯れ数歩合は概ね80%以上であった. 登熟歩合と整粒歩合は各品種とも枝梗枯れ数歩合が高いほど低下した. 玄米タンパク質含有率は, 枝梗枯れ数歩合が高くなると高まる傾向であった. 精玄米重は枝梗枯れ数歩合が高いほど低下し屑米重が増加する傾向で, 「ササニシキ」・「ひとめぼれ」(平年比82), 「はえぬき」(平年比66), 「コシヒカリ」(平年比54)の順であった. 精玄米重との相関係数の高い要素としては, 屑米重, 1.9mm以上粒厚歩合で、逆に低い要素はm2籾数であった. 以上より, 潮風害による精玄米重の低下のメカニズムは, 塩分が穂へ付着して枝梗枯れが発生し, 登熟歩合が低くなり屑米重が増加し, 精玄米重が低下するという一連の流れになることが確認された. また, 精玄米重と枝梗枯れ数歩合との関係から減収率の推定を試みた. 同じ枝梗枯れ数歩合でも減収率は, 「はえぬき」が「ササニシキ」・「ひとめぼれ」に比べて高くなる傾向であり関係式が2本になった. この要因としては, 台風襲来時における出穂後日数よりも登熟歩合に大きく左右された結果であると考えられた.
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  • 濱田 千裕, Graeme D Batten, Judith M Dunn, 谷 俊男, 井澤 敏彦, 釋 一郎
    77 巻 (2008) 1 号 p. 22-32
    公開日: 2008/02/08
    ジャーナル フリー
    著者らが開発した水稲の不耕起V溝直播栽培(以下, V溝直播)は, 近年普及拡大しつつあるが, 2006年現在, 愛知県の稲作面積に占める割合はまだ3%にすぎない. 省力性に優れ生産コストの低減が可能な本直播を慣行栽培法と置換するレベルにまで普及させるには, その収量性が高いことを実証することが不可欠であると考え, 直播のみで世界一の単収を得ている豪州の直播栽培と比較検討した. まず, 豪州NSW州南部の稲作地帯に展開する3種の播種様式, Aerial Seeding, V溝直播に類似したCombine Seeding及びSod Seedingについて農家圃場において生育収量を調査し, 3者とも収量性は同等であることを明らかにした. また, Yanco Agricultural Institute(以下, ヤンコー)において, V溝直播の施肥播種様式を模してコシヒカリ及びAmarooを栽培してヤンコーの慣行様式と比較したところ, 慣行様式ではAmarooの生育収量がコシヒカリより優ったが, V溝直播の様式では両品種ともに同等の生育収量が得られ, コシヒカリの生育収量は慣行様式よりも有意に優った. さらに, 豪州に特有の栽培条件のうち, 多い播種量, 多い施肥量, 深い湛水深と落水しない水管理(以下, 深水無落水)を, 愛知県でV溝直播に適用したところ, 深水無落水は有効茎歩合を高めたが, いずれの条件も収量改善の効果は小さかった. これらのことから, V溝直播は世界一の単収を得ている豪州の直播技術と置換しうる収量性が得られると結論づけた.
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  • 田澤 純子, 山本 泰由, 臼木 一英, 三浦 重典
    77 巻 (2008) 1 号 p. 33-40
    公開日: 2008/02/08
    ジャーナル フリー
    ダイズの作付拡大, 特に連作の増加に伴いダイズシストセンチュウの被害の拡大が懸念されており, 耕種的防除法の確立が望まれている. そこで, 耕起法の違い(普通耕:ロータリ耕深15cm, 浅耕:同5cm)と, 石灰窒素, 牛糞堆肥の施肥, またはダイズシストセンチュウの非宿主作物や対抗植物の導入との組合せが, ダイズシストセンチュウ卵密度推移に及ぼす影響を4年連続で調査した. 耕起法と施肥処理の組み合わせでは, ダイズシストセンチュウの卵密度は浅耕を継続した場合, 普通耕に比べ低く推移し, 土壌攪乱が少ないこととシストや卵に寄生する天敵微生物の検出率が高いことがその抑制要因として示唆された. 一方, 耕起法の違いに関わらず石灰窒素, 牛糞堆肥による密度抑制効果は明らかではなかった. 耕起法と作付体系の組み合わせでは, 耕起法より前作の影響の方が大きかったが, トウモロコシの後作ダイズでは普通耕によって卵密度が著しく増加したのに対し, 浅耕を継続した場合には低く抑えられた. またアカクローバを浅耕した跡地に浅耕で作付したダイズ収穫時の卵密度は被害許容水準を下回った. ダイズの収量は石灰窒素や牛糞堆肥の施用により増加が認められた. 以上の結果から, 継続した浅耕栽培がダイズシストセンチュウの密度抑制に効果的であり, また非宿主作物や対抗植物を前作とするときも浅耕栽培を継続することはそれらの持つ密度低減効果を増進する可能性が示唆された.
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  • 曹 鉄華, 礒田 昭弘
    77 巻 (2008) 1 号 p. 41-47
    公開日: 2008/02/08
    ジャーナル フリー
    密植栽培に適応した品種特性を解明するため, ラッカセイ(Arachis hypogaea L.)日中多収性品種(日本品種:関東83号, ナカテユタカ, 中国品種:花育16号, 魯花11号)を3年間(2002, 2003, 2005年)密植条件下で栽培し, 受光量, 成長パラメータ, 光エネルギー変換効率(RUE)から乾物生産特性を検討した. 平均葉面積指数(LAI)は, 2002年, 2005年で比較的高い値となり, 特に2005年では最高で5前後となった. 2003年は6月下旬からの低温, 日照不足により生育全般を通じ低く推移した. 3年間を通じLAIは関東83号が高い傾向があった. 子実収量は2003年を除き, いずれの品種も10a当たり450kg以上となり, 特に関東83号, 花育16号は500kgを越える極めて高い収量を示した. ラッカセイにおいても基本的には全乾物生産量, 子実収量の年次間差異は受光量によって変動していたが, 年次ごとの乾物生産, 子実収量の品種間差異および8月以降の各期間ごとの乾物生産はいずれも主にRUEによって変動していることが分かった. 2002年, 2005年は花育16号の生育期間中のRUEが最も高くなり, 両年での乾物生産量および子実収量が大きくなったものと考えられた. 2002年, 2005年で高収量を示した花育16号と関東83号は, 生育初期の葉面積の展開が早いこと, RUEが高いこと, ならびに莢数および子実数が多くシンク能が大きいことが高収の要因として挙げられた.
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  • 曹 鉄華, 礒田 昭弘
    77 巻 (2008) 1 号 p. 48-53
    公開日: 2008/02/08
    ジャーナル フリー
    多収性ラッカセイ(Arachis hypogaea L.)日中4品種(日本品種;関東83号, ナカテユタカ, 中国品種;魯花11号, 花育16号)の密植条件下での群落の受光態勢, ならびに個葉の光合成関連形質を測定し, 生育後半の光エネルギー変換効率(RUE)の向上の面からラッカセイの多収性品種の特性を検討した. 日本品種は草高が低く, 葉面積の垂直分布は上部2, 3層目に大きい葉面積が分布する葉群構造であった. 中国品種は日本品種に比べ, 草高が高く, 各層に小さい葉面積が分布していた. 層別小葉面受光量はいずれの層においても花育16号が大きな値となった. 日本品種のうち関東83号は, 草高が低く葉面積が密に分布するものの, 複葉面積が小さく吸光係数も小さかった. 中国品種では葉面積指数は小さいが, 小葉面受光量が大きいため, 群落全体の受光量は日本品種に比べて大きくなった. 生育後期におけるCO2同化速度, 光化学系IIの量子収率は, 高収を示した関東83号, 花育16号が比較的大きな値であった. 特に高収量を示した花育16号は, 優れた受光態勢によって生育後半の高いRUEを維持したことが高収量につながったものと考えられた.
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  • 福澤 康典, 川満 芳信, 小宮 康明, 上野 正実
    77 巻 (2008) 1 号 p. 54-60
    公開日: 2008/02/08
    ジャーナル フリー
    サトウキビの初期の生長速度は他のC4植物に比べて遅く, 糖収量及び原料茎重を上げるためにはその改善が重要である. 本研究では, サトウキビ属(Saccharum spp. Hybrid, S. edule)及び近縁種(Erianthus spp., Pennisetum purpureum)を用いて極初期の生長の支配要因について検討した. 調査は発芽後, 2ヶ月目と本葉が7枚出るまでの2種類の時期に着目して行った. 2ヶ月目の植物体を比べた場合, サトウキビ雑種KRSp93-30の茎乾物重及び葉面積は高く, 茎根数の割合も高かった. しかし, 葉位を7枚に固定して比較した場合, KRSp93-30における茎根数の割合は他の系統とほぼ同じであった. 生育初期におけるKRSp93-30の効率的な生長は早い出葉速度と高い純同化率によってもたらされるものと考えられる.
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品質・加工
  • 大澤 実, 井上 直人
    77 巻 (2008) 1 号 p. 61-68
    公開日: 2008/02/08
    ジャーナル フリー
    米のα-アミラーゼによる消化性と食味に関して総合的な品種評価をするために, 多変量解析法の一つである主成分分析を用い, IRRIコアコレクションを含む58品種・系統について検討した. 解析には推定グリセミック・インデックス(EGI)などのデンプン消化関連形質および糊化特性, 粗蛋白質含量などの食味関連形質を選んだ. 分析の結果, 4つの主成分が検出され, 第1主成分だけで全変動の約50%, 第1~第4主成分で全変動の約90%を説明することができた. 第1主成分は消化速度に関係すると同時に米飯の粘りの強さにも関係する変動成分であることが因子負荷量から明らかになった. また, 第2主成分は米飯の老化性に関わる主成分, 第3主成分は米のα-アミラーゼによる消化の全体量に関わる主成分, 第4主成分は米の粗蛋白質含量に関わる主成分であると評価された. 第1および第2主成分に基づいて, 米デンプンのα-アミラーゼによる消化性と米飯の物性について同時に評価することができた. さらに, EGIと要因との相関関係から, アミロース含量やRVAの最高粘度がEGI推定の際に優れた指標となることが明らかとなった. これらのことは, 低GIと食感の良さを兼ね備えた品種の育成に応用できる.
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形態
  • 乙部 和紀, 吉岡 邦明
    77 巻 (2008) 1 号 p. 69-77
    公開日: 2008/02/08
    ジャーナル フリー
    「石豆」と一般的に呼称される非吸水(または難吸水) 性のダイズ種子は, ダイズの食品加工上および栽培上の障害となる. 既往の知見においてダイズの石豆は物理的休眠の一種であり, 種皮表面の微細構造の違いにより生じると推察されてきた. しかし, 従来の研究は定性的な解析にとどまっていたことから, 石豆の非吸水性機序の解明や機器測定による選別につながる知見は依然として得られていないのが実情である. 本研究では, レーザ走査型三次元微細形状計測顕微鏡を用いて, 水への浸漬処理後のダイズ種皮表面の三次元微細構造を直接計測・定量化することにより, 石豆と正常粒との種皮微細構造の違いを明らかにした. 石豆の発生が確認された平成17年埼玉県産のタチナガハを供試して調査した結果, 正常粒では種皮表面積0.35mm2あたりに存在する直径10μm以上, 深さ10μm以上の深い凹み (pore) が平均44.8個であったのに対し, 石豆では平均3.2個であった. 以上の知見から, 石豆の非吸水性機構における種皮微細構造上の特徴は, 単位表面積あたりの深いpore数が極端に少なく, 水に対する障壁となる柵状細胞組織層にporeが十分陥入していない点にあると推察された. この推察を裏付けるために, 種皮表面に深さ20μm程度の微小孔を多数形成する処理を石豆に施して吸水試験を行い, 吸水量が正常粒の40%程度まで回復することを確認した.
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作物生理・細胞工学
  • 渡邊 好昭, 三浦 重典, 湯川 智行, 竹中 重仁
    77 巻 (2008) 1 号 p. 78-83
    公開日: 2008/02/08
    ジャーナル フリー
    7種類の植物ホルモンをオオムギに葉面散布し, 葉身における褐色雪腐病拡大抵抗性に及ぼす影響を調査した. 散布した植物ホルモンはアブシジン酸(ABA), サリチル酸(SA), ジャスモン酸, エチレン発生剤のエテホン, ジベレリン(GA3), オーキシン(ナフタレン酢酸)及びサイトカイニン(ベンジルアデニン)である. ABA, SAに抵抗性を増加させる効果が認められたが, 他の植物ホルモンでは抵抗性を増加させる効果は認められなかった. ABA及びSAの散布直前に, 病害抵抗性に関与していると考えられるフェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)の阻害剤アミノオキシ酢酸を散布した場合, ABA及びSAの効果は認められなくなった. この結果からABA, SAによる抵抗性の増加はPALと関係していることが示唆された.
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研究・技術ノート
  • 高橋 行継, 吉田 智彦
    77 巻 (2008) 1 号 p. 84-93
    公開日: 2008/02/08
    ジャーナル フリー
    1993年から群馬県東毛地域の稲麦二毛作地帯で栽培されてきたゴロピカリは良食味品種ではあるが, 栽培特性や収量・外観品質面での問題点が早くから指摘されており, 代替品種の要望が出されていた. そこで2000年に代替品種として「あさひの夢」を東毛地域限定で普及に移した. 本品種については多収高品質栽培のための施肥技術については十分な検討がなされていなかった. そこで, 東毛地域における「あさひの夢」の施肥方法について検討した. 2000年~2002年の3か年, 早植と普通期の2つの作期を対象に試験を実施した. その結果, 両作期共に基肥に窒素成分で0.5 kg/a, 追肥を概ね出穂20日前に0.2kg/a施用することによって本品種の多収高品質栽培が可能であることが明らかになった.
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情 報
日本作物学会ミニシンポジウム要旨
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