日本作物学会紀事
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77 巻 , 2 号
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研究論文
栽培
  • 大谷 和彦, 吉田 智彦
    77 巻 (2008) 2 号 p. 133-141
    公開日: 2008/05/23
    ジャーナル フリー
    数10年間の栃木県内の現地試験結果から, 玄米外観品質の変動要因と, 県内の水稲栽培の地域間差異を検討した. 播種期, 出穂期, 成熟期, 基肥窒素量, 稈長, 倒伏, 穂いもち病, 玄米重, 玄米千粒重及び日照時間が, 地域間差異を生じる要因であった. 外観品質の変動要因は調査地により異なり, 播種期を遅らせるか成熟期を早めると外観品質が向上する調査地や, 通常は高品質で安定した品種が不安定に変動する調査地があった. 倒伏や玄米重は適正域がありその前後では品質が不安定になっていた. いくつかの隣接調査地間で類似性を認めた.
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  • 五十嵐 俊成, 古原 洋
    77 巻 (2008) 2 号 p. 142-150
    公開日: 2008/05/23
    ジャーナル フリー
    寒冷地北海道の最近の品種「きらら397」におけるアミロース含有率の変動要因について, 登熟温度, 年次, 移植時期, 苗の種類, 出穂日および枝梗着生位置について検討した. アミロース含有率と登熟温度には有意な負の相関があり, 登熟温度(出穂後40日間の日平均気温積算値)が800℃以下の温度域ではアミロース含有率の温度反応性が大きいことが明らかとなった. また, アミロース含有率は移植時の苗の葉数と有意な負の相関が認められた. アミロース含有率は同一出穂日であっても標準偏差で0.38~1.34%の変動が認められた. 枝梗着生位置別のアミロース含有率は, 一次・二次枝梗粒とも上位で高く下位で低かった. 一次枝梗粒のアミロース含有率は二次枝梗粒より高かったが, これは二次枝梗粒の澱粉の充実度が一次枝梗より劣るためと考えられる. 一方, 乳白・腹白歩合は, 下位の枝梗粒や二次枝梗粒で高く, 乳白・腹白歩合とアミロース含有率には有意な負の相関が認められた. 以上のことから, 二次枝梗粒を少なくすることが品質向上のために重要であり, 品種育成においては, 一次枝梗比率の高い穂相を有する品種の開発が北海道米の食味向上および品質向上にとって必要であることが判明した.
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  • 原 貴洋, 照屋 寛由, 塩野 隆弘, 生駒 泰基, 手塚 隆久, 松井 勝弘, 道山 弘康
    77 巻 (2008) 2 号 p. 151-158
    公開日: 2008/05/23
    ジャーナル フリー
    南西諸島に適した普通ソバ品種の導入,開発に資するために,沖縄本島の名護市において国内の普通ソバ5品種を11月上旬,12月下旬,3月上旬の3時期に播種して栽培し,成熟期に農業関連形質を調査した.いずれの作期においても,150粒 m-2 とした密播処理区の子実収量は50 粒m-2 とした粗播処理区に比べて1.3~3.4倍高かった.主茎長,初花節位,主茎花房数,花房あたり開花数は,日本の他地域での試験栽培で報告された値に比べて少なく,その一因として,栽培期間中の短日条件の影響が考えられた.主茎長,主茎花房数,花房あたり開花数,千粒重についての品種間差は,日本の他地域での試験栽培で報告された順序とほぼ一致していたため,他地域において認められる形質の品種間差は南西諸島においても類似していると考えられた.生育期間中に極度の短日条件が続く11月上旬播種,12月下旬播種の作期においては,子実収量と,主茎花房数および個体当たり花房数との間に有意な正の相関が認められた.
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品質・加工
  • 伊藤 美環子, 西尾 善太, 谷尾 昌彦, 船附 稚子, 田引 正, 山内 宏昭
    77 巻 (2008) 2 号 p. 159-166
    公開日: 2008/05/23
    ジャーナル フリー
    中華麺においては, 明るく黄色みのある麺色が重要な品質項目の1つである. これまでの研究で, 中華麺生地色の変化量は小麦種子のポリフェノールオキシダーゼ(PPO)活性との間に高い相関関係が認められることが報告されている. 種子のPPO活性の簡易評価法であるL-DOPA(3, 4-Dihydroxy-L-phenylalanine)法によって北海道の硬質コムギ品種・系統のPPO活性の変異が推測できることを明らかにしたが, 種子のPPO活性と中華麺色の変化の関係は, 小麦粉におけるPPO活性に比べて相関は小さかった. そこで, より効率的な選抜をするために以下のような小麦粉のPPO活性の簡易評価法を開発した. 平底の培養試験管に小麦粉0.2gと10mMのL-DOPA溶液 を4mL入れ, 1時間振とう後18時間室温に放置し, 色彩色差計によって着色した懸濁液のL*, a*, b*を測定した. この簡易評価法で得られたL*値と従来法である酸素電極法による小麦粉のPPO活性値の間には高い負の相関関係が認められ, 反応液のL*値が高い系統を選抜することにより, PPO活性が低く, 中華麺の変色が少ない系統の選抜が可能であると考えられた.
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品種・遺伝資源
  • 後藤 明俊, 笹原 英樹, 重宗 明子, 三浦 清之
    77 巻 (2008) 2 号 p. 167-173
    公開日: 2008/05/23
    ジャーナル フリー
    冷害常襲地に適応しうるインド型の多収品種を育成する目的で, 北陸研究センターで育成された多収品種・系統, および, その系譜上にある品種・系統を用い, 耐冷性の評価を行った. 「上344」, 「北陸193号」, 「桂朝2号」はインド型イネでありながら, 穂ばらみ期耐冷性が強かった. 「上344」の育成過程において, 耐冷性が強い方向に超越する現象が生じており, インド型イネに含まれる穂ばらみ期耐冷性に関わる遺伝的因子の中には, 相補的で, かつ, 強く効果が現れる因子の組み合わせが存在することが示唆された. 「水原258号」, 「上344」は開花期耐冷性が強く評価された. 「水原258号」は「上344」の親系統であることから, 両者には開花期耐冷性にかかわる遺伝的因子が存在すると推測された. この因子を見つけることはインド型イネの開花期耐冷性を改良していく上で有用であると考えられた. また, 各品種の穂ばらみ期耐冷性と開花期耐冷性との間に一定の関係はなかった.
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  • 五月女 敏範, 河田 尚之, 吉田 智彦
    77 巻 (2008) 2 号 p. 174-182
    公開日: 2008/05/23
    ジャーナル フリー
    オオムギ縞萎縮病(BaYMV)抵抗性遺伝子のrym5rym3を集積した品種を選抜した. rym5と密接に連鎖しているエステラーゼアイソザイム遺伝子Est1-Est2-Est4の遺伝子型Ca-null-Nz/Ca-null-Nz(木石港型)を持つビールオオムギ品種と, Pr-Fr-Su/Pr-Fr-Su(Prior型)でrym3を持つ品種との交雑後代において, Est1-Est2-Est4の型と, 異なるBaYMV系統により汚染された圃場における抵抗性・罹病性の反応からBaYMV抵抗性遺伝子型を推定した. BaYMV I型系統(rym5及びrym3を持つオオムギ品種がBaYMV抵抗性を示す系統)汚染圃場で抵抗性を示しかつエステラーゼアイソザイムがPr-Fr-Su/Pr-Fr-Su(Prior型)の品種を選抜することによりrym3を持つIII型系統(rym5を冒すBaYMV系統)抵抗性品種, エステラーゼアイソザイムがCa-null-Nz/Ca-null-Nz(木石港型)でIII型汚染圃場にて抵抗性を示す品種を選抜することによりrym5rym3とを集積した複合抵抗性遺伝子集積品種を選抜することが可能で, その誤選抜率は約4.9%であった. また, これらの交雑後代において農業形質で選抜を行うことにより, rym3の出現頻度が有意に低く歪んだ.
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形態
  • 塩津 文隆, 劉 建, 辺 嘉賓, 豊田 正範, 楠谷 彰人
    77 巻 (2008) 2 号 p. 183-190
    公開日: 2008/05/23
    ジャーナル フリー
    水稲における形態形質と登熟性との関係を, 中国および日本産の日本型品種と日印交雑型などの多収性品種を用いて調査した. さらに, 得られた結果を基に重回帰分析を行い, 形態形質によって登熟性がどの程度評価できるか検討した. 形態形質との単相関関係を調べたところ, 登熟歩合(R)は収量キャパシティや穂の構造に関わる形質との関係が強く, 精籾比重(S)は乾物生産に関わる特性との相関が強かった. さらに調査した形態形質の中から, 1穂籾数(X1), 穂首節間長(X2), 穂数(X3), 穂首節間直径(X4), 成熟期の止葉角度(X5)を選び, RにはX1とX2, SにはX3, X4およびX5をそれぞれ説明変数とする重回帰分析を行った. その結果, Rに対しては0.584***, Sに対しては0.539***の重相関係数が得られ, 用いた形態形質によってそれぞれの品種間差の30~35%程度が説明できた. また, RにはX1とX2が約9 : 10, SにはX3, X4, X5が約5 : 4 : 3の割合で影響していると推測された. これらより, 本試験で選んだ形態形質は, 登熟性に関する初期段階での大まかな選抜指標として役立つものと判断した.
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作物生理・細胞工学
  • 寺井 謙次, 眞崎 聡, 川本 朋彦, 松本 眞一, 小玉 郁子, 山下 清次
    77 巻 (2008) 2 号 p. 191-197
    公開日: 2008/05/23
    ジャーナル フリー
    イネ4品種を用いて, 1穂内の穎果の粒重変異と穎花の穂上位置や開花時期との関係について検討した. 1次枝梗では, 登熟中期までは上位の枝梗ほど粒重成長は旺盛であるが, 後期には差異が消滅した. しかし, 2次枝梗では, 上位の枝梗と下位の枝梗の成長差が後期まで持続した. 各穂軸節位の最終粒重は2次枝梗より1次枝梗で明らかに大きかった. 穎花の開花時期と最終粒重との関係では, 2次枝梗において有意な相関関係が認められ, 相対的に早く開花した穎花ほど粒重が大きくなる傾向があった. しかし, 1次枝梗では差異が明瞭ではなく, 1次枝梗と2次枝梗とでは粒重成長と穂上位置との関係において, 明らかに異なる傾向が認められた. 地上部部位別乾物重の変化において, 稈重は登熟前期に減少したが後期には再び増加し, 稈への同化産物の再蓄積が認められた. 登熟後期における2次枝梗での粒重変異は, 同化産物不足に直接起因するものではなく, 分枝構造上の特徴や器官の老化等が関与していることが考えられた.
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  • 田畑 美奈子, 飯田 幸彦, 奥野 員敏
    77 巻 (2008) 2 号 p. 198-203
    公開日: 2008/05/23
    ジャーナル フリー
    近年, 夏期の高温により, 背白米, 基白米および乳白米などの白未熟粒が多発し, 玄米品質が著しく低下することが全国各地で深刻な問題となっている. 本研究では, 高温条件下において背白・基白米の発生が顕著に異なる6品種を供試し, 登熟初期に水稲の根群の一部を切除する処理を行うことによって, 玄米品質がどのような影響を受けるか, また登熟歩合, 千粒重, 玄米の粒長・粒幅・粒厚, 生葉枚数にどのような変化がみられるかを調査し, 水稲の登熟期における根の活力と玄米品質との関係について検討した. その結果, 登熟初期に根切除処理を行うと, 背白米の発生が有意に増加し, 背白米発生率には著しい品種間差異がみられた. 登熟歩合, 千粒重および玄米の大きさには処理区間に有意差はみられなかったが, 成熟期に残存した生葉枚数は根切除処理によって有意に減少した. 従って本研究の結果から, 登熟期に根系機能が著しく低下した場合には, 玄米の登熟が不良となり, 背白米発生率が増加することを明らかにした.
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日本作物学会シンポジウム記事
情 報
連載ミニレビュー
  • 大江 真道
    77 巻 (2008) 2 号 p. 229-232
    公開日: 2009/07/02
    ジャーナル フリー
    イネ科作物の分枝は分げつと呼ばれる.植物学的には側芽が発達した分枝であるが,わが国ではこのように呼ばれ,学術用語として位置づけられている.
    分げつの出現や成長,つまり分げつ性は種や品種によって特徴があり,その特徴が草型を特徴づけている.また,作物生産においては子実収量,バイオマス生産に直結する要素で,その消長は栽培の良否,施肥の適期,生育相を知る主要な手段として活用されている.一方,研究分野においても,その推移,規則性,他分げつとの相互関係の解析は,品種の特性,生育の特性,生育の良否を知る手段として重要な意味を持つ.分げつに関しては,分化発達,種や品種と分枝構造との関係,環境条件や栽培条件との関係など,興味深い側面を多々含むが,本稿では主にイネの分げつについて,基本となる表記や呼称,生育の様相,規則性,調査方法を述べることとした.
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  • 井上 吉雄
    77 巻 (2008) 2 号 p. 233-235
    公開日: 2009/07/02
    ジャーナル フリー
    染色された組織細胞やモザイク上に分布する農地などさまざまな対象について,顕微鏡システムや衛星センサなどによりとらえられる分光画像は,生化学的・生理生態学的・耕地利用学・地球科学的な特徴量を検出・定量化する上できわめて有用な情報源である.顕微鏡,タワー,航空機,衛星等のプラットフォーム類もセンサ類も日進月歩であり,過去に困難と考えられていた新規センサが次々と利用可能になりつつある.リモートセンシングにおいては,すでに衛星にもハイパースペクトルセンサや高周波マイクロ波センサが搭載されており,精密な実測データを取得できる地上計測や航空機計測による研究は,広範な観測研究をリードする重要な役割を果たしている(Inoue 2003,Inoue and Olioso 2006).リモートセンシングは地表面の分類や作物・生態系の量・機能・成分の評価に有用で多くの先進的な研究があるが(Ustinら2004,Inoueら2008),本シリーズのテーマである形態情報に関しては比較的研究が少ない(井上2006,芝山2006).そこで本稿では分光画像からの形態情報抽出と計数化に有用な新規手法について解説する.
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