日本作物学会紀事
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Print ISSN : 0011-1848
80 巻 , 1 号
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総 説
  • 鴨下 顕彦
    2011 年 80 巻 1 号 p. 1-12
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    急増するイネの耐乾性改良に関する研究の最近の動向を紹介する.天水栽培条件下での作物改良による増収は,トウモロコシ,コムギ,エンバクの他,ブラジルと日本の陸稲においても認められており,育種や形質の寄与について評価されてきた.2009年の時点で,イネの耐乾性改良の育種を組織的に行っている主要な組織は,国際稲研究所などの国際農業研究協議グループ(CGIAR),インド,タイ,中国の政府系研究機関である.メコン地域では,ターゲット環境での多地点試験の遺伝環境交互作用の解析により,広域適応性を高めるように天水田イネ育種が改良されている.フィリピンと東インドでは,乾季の開花期の旱魃スクリーニングでの収量の直接選抜により多収系統・品種が開発され,普及拡大が計画されている.一方,根系を介したストレス回避機構をはじめとして,様々な耐乾性候補形質が評価され,重要な量的遺伝子座の集積する領域が列挙され,インドでは分子マーカー選抜育種による深根性で早生多収の品種が開発された.耐乾性遺伝子の同定,ストレス応答性転写因子や耐乾性遺伝子を過剰発現した組換え体の圃場での評価も報告されてきた.分子生物学的手法においても,圃場評価と表現型の同定(フェノタイピング)は重要であり,表現型科学進展のための最新施設も造成されている.
研究論文
栽培
  • 千葉 雅大, 松村 修, 寺尾 富夫, 高橋 能彦, 渡邊 肇
    2011 年 80 巻 1 号 p. 13-20
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    水稲を深水栽培すると,減収を伴わず白未熟粒の発生が抑えられる.本試験では,深水栽培による白未熟粒発生抑制の生理的機構を,高温登熟耐性の異なる3品種(初星とササニシキ:弱,コシヒカリ:中)を用いて,シンクである籾と稲体のソース機能に着目して解析した.白未熟粒は胚乳のデンプン粒の充実不足により発生するため,その発生抑制には,子実への炭水化物転流量の増加が有効である.分げつ盛期から最高分げつ期に,水深18 cmの深水処理を行うと,穂揃い期における籾あたりの葉鞘と稈の非構造性炭水化物(NSC)量は増加した.また,穂揃い期における籾あたりの葉身窒素含有量は深水処理により増加した.さらに,深水処理をした水稲は,登熟期に枯死する葉身が少なく,登熟期の後半も葉面積が確保された.以上のことから,深水栽培では出穂前に茎葉に蓄積される炭水化物が多く,また登熟期間を通して葉の光合成機能が高く維持され,籾へ転流される炭水化物が増加し,白未熟粒の発生が抑制されると考えられた..
  • 加藤 雅康, 田澤 純子, 澤路 聖之, 島田 信二
    2011 年 80 巻 1 号 p. 21-28
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    ストロビルリン系殺菌剤の一種であるピラクロストロビン剤がダイズの生育,収量構成要素および病害発生に及ぼす効果を異なる散布の時期および濃度条件下で解析した.2006年にピラクロストロビン剤をダイズの開花初期と開花終期に1333倍希釈(150 g成分量ha-1)で散布したところ,対照薬剤のイミノクタジンアルベシル酸塩水和剤の1000倍希釈(400 g成分量ha-1)散布区と比較して,開花終期散布区では成熟期の遅延と百粒重の増加が認められたが,開花初期散布区では明瞭な差は認められなかった.2007年に開花終期にピラクロストロビン剤を1500倍(133 g成分量ha-1),3000倍(67 g成分量ha-1),5000倍希釈(40 g成分量ha-1)で散布したところ,成熟期の遅延は認められなかったが,散布濃度の増加に伴い百粒重が増加する傾向にあり,同時に粒径の大きい子実の割合が高くなった.また,散布時期や散布濃度に関わらず,ピラクロストロビン剤散布は対照薬剤のイミノクタジンアルベシル酸塩剤散布と比較して紫斑粒の発生を有意に抑制した.さび病,葉焼病および褐紋病の発生量は処理区間で差が認められなかった.これらのことから,ピラクロストロビン剤の開花終期散布は紫斑粒発生の抑制のみならず,子実の百粒重と粒径増大にも効果があると考えられる.
  • 熊谷 成子, 松田 英之, 吉田 晴香, 阿部 陽, 佐川 了, 星野 次汪
    2011 年 80 巻 1 号 p. 29-34
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    栽培ヒエの最適な収穫時期を明らかにするために,2003年は栽培ヒエ5系統を用いて,出穂期後日数20日から40日,2004年は栽培ヒエ4系統を用いて,出穂期後日数20日から45日,2008年は2系統1品種を用いて,出穂期後日数25日から40日までの間に5日毎にサンプリングを行った.調査項目は,水分含有率,千粒重,発芽率,粗タンパク含有率,α-アミラーゼ活性,アミロース含有率,糊化特性を調査した.その結果,穂水分含有率は,降雨による影響がなければ,系統・年次が違っても出穂期後日数が進むにつれて低下した.千粒重,発芽率,α-アミラーゼ活性は出穂期後日数25日から40日の間には有意な差異は認められなかった.粗タンパク含有率は,出穂期後日数が進むにつれて徐々に減少し,40日に若干上昇する傾向がみられた.アミロース含有率はウルチ性の「軽米在来(白)」は,出穂期後日数25日から40日の間には,有意差は認められなかったが,低アミロース系統の「ノゲヒエ」は出穂期後25日に対し40日が有意に高かった.70%精白粉の最高粘度は,出穂期後日数25~30日で高くなる傾向を示したが,各特性値は,出穂期後日数25日から40日の範囲内では,統計的有意差は認められなかった.しかし,出穂期後日数20~25日の早刈りは水分含有率が高く,また,出穂期後日数40~45日の遅刈りは降雨によるα-アミラーゼ活性の上昇により,最高粘度が低下して,品質低下を招くおそれがあるため,早刈り,遅刈りは避け,適期収穫は出穂期後日数30~35日と結論できる.
  • 原 貴洋, 荒川 祐介, 竹内 誠人, 住 秀和, 塩野 隆弘, 高嶺(山口) 典子, 照屋 寛由, 生駒 泰基
    2011 年 80 巻 1 号 p. 35-42
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    南西諸島の国頭マージと称される酸性の赤黄色土壌地域においては赤土等流出が大きな環境問題となっており,その対策としてサトウキビやパイナップルとの輪作に活用でき農地地表面の被覆保護に資する新規作物が求められている.本研究は,新規輪作作物としてのソバ栽培の可能性を検討するために,土壌pH3.9~4.2の極強酸性土壌において家畜ふん堆肥および苦土石灰の施用が収量および茎葉重に及ぼす影響を検討した.家畜ふん堆肥も苦土石灰も施用しない条件におけるソバの子実収量ならびに茎葉重はそれぞれ75~104 g m-2ならびに95~100 g m-2 であったが,1~3 kg m-2 の家畜ふん堆肥施用により有意に増加し,それぞれ171~235 g m-2 ならびに 174~291 g m-2と既存ソバ産地に相当する水準となった.その茎葉を農地地表面の被覆に用いると想定すると,本実験で得られた茎葉は,赤土等流出を大幅に低減することを期待できる量と考えられた.苦土石灰200 g m-2 および500 g m-2 の施用による子実収量および茎葉重の有意な増加効果は認められなかった.pH7以上の土壌ではパイナップルの生育障害が発生しやすいとされるが,家畜ふん堆肥施用による土壌pHの上昇は有意ではあるものの,pH7を大きく下回っていた.
  • 松田 裕之, 柴田 康志, 森 静香, 藤井 弘志
    2011 年 80 巻 1 号 p. 43-48
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    山形県庄内地域でのダイズ品種「タチユタカ」の作況試験結果 (1989年~2008年) を用いて,百粒重低下の実態および登熟期間の気温と百粒重の関係を解析した.この間の平均百粒重は23.9 g,平均気温は22.1℃であり,1990年代後半以降は平均百粒重を下回る年次および平均気温を上回る年次が多く出現した.単位面積当たり莢数が平均値 (772 莢 m-2) 未満の試料では莢数と子実重には有意な正の相関 (r=0.690*) が,単位面積当たり莢数が平均値 (772 莢 m-2) 以上の試料では百粒重と子実重には有意な正の相関が認められた (r=0.917**).このことから,山形県庄内地域において百粒重の低下は単位面積当たり莢数が平均値 (772 莢 m-2) 以上で子実重に影響を与えていることが明らかとなった.さらに,登熟期間 (開花期~成熟期) の気温と百粒重には有意な負の相関が認められた.気温と百粒重に負の相関がある理由として,気温日較差 (8月1日~9月1日) が小さいと乾物重増加量 (8月1日~9月1日) が少なく,そのことが莢当たり乾物重増加量の減少に繋がり百粒重に負の影響 (r=−0.435*) を与えると考えられた.以上のことから,寒冷地である山形県庄内地域において,登熟期の高温が百粒重を低下させていることが明らかになった.
  • 丹野 久, 竹内 徹, 木内 均, 芝池 博幸
    2011 年 80 巻 1 号 p. 49-58
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    イネ種子親の不稔発生条件下での種子親と花粉親間の距離と交雑発生との関係を解明するために,うるち花粉親圃場から風下側に,2006年には2 m,26 m,150 m,300 m,2007年には150 m,300 m,450 m,600 mに,もち種子親を各63~69ポット (2~3 個体/ポット) で設置した.種子親には穂ばらみ期に冷水を処理し (冷水区,各不稔率25,43%),2007年のみ無処理 (不稔率26%) も設け,花粉親は無処理 (不稔率10~13%) とした.種子親の稔実種子からキセニア粒を目視で選別し,次にPCR分析により花粉親品種を判別した.種子親の交雑率は,隔離距離が短い順に2006年の冷水区で1.136,0.529,0.068,0.024%,2007年の冷水区で0.084,0.023,0.012,0.035%,無処理区で0.017,0.014,0.002,0%で,2007年では各距離とも無処理区に比べ不稔率が高い冷水区で交雑率が高く,また2007年の冷水区を除き長距離ほど交雑率が低下したが,最長600 mでも交雑が認められた.この長距離での交雑発生要因として,(1) 種子親と花粉親の出穂期の重複 (両年とも4~6日間),(2) 種子親の花粉親より高い不稔率,(3) うるち花粉源の大きい圃場面積 (花粉親圃場2.3 haの他,近接の同一品種2.7 ha,種子親と交雑が生じた他の品種が2方向に2.4 ha,2.9 ha),(4) 開花期間の風向 (70~79%は花粉親から種子親への方向) と大きな平均風速 (3.6~4.0 m/s) の4点が考えられた.
  • 岩渕 哲也, 浜地 勇次, 宮崎 真行, 内川 修
    2011 年 80 巻 1 号 p. 59-64
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    近年の北部九州におけるコムギの子実タンパク質含有率の低下要因を明らかにするために,1993~2008年において同一条件で栽培されたコムギ品種「チクゴイズミ」の子実タンパク質含有率と気象および収量,収量構成要素との関係について検討した.子実タンパク質含有率と千粒重および収量との間に負の相関が認められ,子実タンパク質含有率は千粒重が重く,収量が多くなるほど低くなる傾向にあった.さらに,千粒重は登熟期間の降水量との間に負の,千粒重や収量は日照時間との間に正の相関関係が認められ,登熟期間の少降水および多日照の条件下で千粒重が重く,多日照で収量が多くなる傾向にあった.以上のことから,近年の北部九州産コムギにおける子実タンパク質含有率の低下要因は登熟期間における少降水および多日照によって,千粒重が重く,収量が多くなることによるものであると考えられた.
  • 古畑 昌巳, 足立 一日出, 大野 智史
    2011 年 80 巻 1 号 p. 65-72
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    排水が不良で湿害が助長されやすい強グライ土の占める面積割合が高い北陸地域において,排水良好転換畑と排水不良転換畑を用いて,ダイズ畝立て栽培を3ヶ年行って比較した結果,排水不良転換畑では,排水良好転換畑に比べて低収となった.主な要因について,排水不良転換畑では,排水良好転換畑に比べて作土層の土壌水分が高く推移することによって開花期以降の地上部・地下部乾物重,窒素吸収量およびLAIの増加が抑制され,根の活性は低く推移すること,開花以前より分枝節数が少なく推移して,個体当たりの花蕾数,稔実莢数が少なくなったことが考えられた.
品種・遺伝資源
品質・加工
  • 谷中 美貴子, 高田 兼則, 池田 達哉, 石川 直幸
    2011 年 80 巻 1 号 p. 77-83
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    タンパク質含量がポリマータンパク質の量と分子量分布に及ぼす影響を,生地物性の異なるコムギ4品種を用いて,サイズ排除高速液体クロマトグラフィーにより分析した.タンパク質含量の増加に対し,主にグリアジンを含む,可溶性モノマータンパク質が最も増加した.ポリマータンパク質の中では,重合度の低い可溶性ポリマータンパク質が,重合度の高い不溶性ポリマータンパク質よりも増加した.生地物性の強さの指標となる,不溶性ポリマータンパク質の全タンパク質,全ポリマータンパク質に占める割合(UPP(%),UPP/TPP(%))や,タンパク質含量の増加に対するSDS沈降価の増加程度は,品種間で有意に異なり,タンパク質含量の増加に対する生地物性の向上程度が品種間で異なることが示唆された.これらの品種間差異は,タンパク質含量の増加に対して,可溶性あるいは不溶性ポリマータンパク質の増加程度が品種間で異なることに起因すると考えられた.ふくさやか,ニシノカオリでは,ミナミノカオリ,農林61号と比べて,全ポリマータンパク質の全タンパク質に占める割合や,UPP(%),UPP/TPP(%)が有意に低く,また,タンパク質含量の増加に対し,可溶性ポリマータンパク質の増加程度が大きく,不溶性ポリマータンパク質の増加程度が小さい傾向にあった.これらの品種ではGlu-A1座のグルテニンサブユニットが欠失しており,増加したタンパク質におけるグルテニン重合度の違いは,主にGlu-A1座のグルテニンサブユニットの有無に由来する可能性が考えられた.
  • 崔 晶, 松江 勇次, 楠谷 彰人, 丁 得亮, 張 欣, 森田 茂紀
    2011 年 80 巻 1 号 p. 84-89
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    中国における水稲ジャポニカ型良食味品種の開発の一環として,中国人の中国産水稲ジャポニカ型品種の食味に対する嗜好性に裏打ちされた食味官能評価方法を確立するために,中国華北地域産品種を用いて日中両国のパネル構成員が異なる場合での食味評価の比較検討を行った.総合評価では,日本人パネルと中国人パネルとの間には有意な正の相関関係が認められ,パネルが異なっても中国産水稲ジャポニカ型品種の総合評価の傾向は同じであった.しかし,品種別に総合評価をみると,日本人パネルでは劣ったにもかかわらず中国人パネルでは優れる品種の存在が認められた.評価が異なった理由としては,日中両国間のパネルで総合評価における外観,味,粘りの評価が著しく異なったことが考えられた.これらの知見から日本人の嗜好性とは異なる良食味品種育成の方向性と可能性が示唆された.次に外観,味および粘りについても日本人パネルと中国人パネルとの間には有意な正の相関関係が認められ,パネルが異なってもこれら評価項目における値の傾向は同じであった.一方,硬さについては日中両国パネル間で有意な相関関係は認められなかった.総合評価に対する各評価項目の寄与は日中両国間のパネルで異なり,日本人パネルでは粘り,外観が,中国人パネルでは硬さ,粘りの寄与が大きかった.特に,硬さについては日本人パネルは軟らかさを,中国人パネルでは硬い方をより好むという硬さの嗜好性に大きな違いが認められた.
収量予測・情報処理・環境
  • 佐藤 三佳子, 五十嵐 俊成, 櫻井 道彦, 奥村 正敏, 鈴木 和織, 柳原 哲司
    2011 年 80 巻 1 号 p. 90-95
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    春まきコムギの子実タンパク質含有率を推定するために,穂揃期の生育診断法について検討した.試験は北海道立上川農業試験場と近隣市町農家圃場で3~4か年行った.まず,成熟期の窒素吸収量,収量,子実タンパク質含有率の関係を精査した.その結果,成熟期の窒素吸収量を窒素吸収量2 g m-2水準別に区切り,各区切り毎に子実タンパク質含有率と収量との関係をみると,窒素吸収量が8 g m-2以上14 g m-2未満の範囲では両者に高い負の相関関係が認められた.次に,これら成熟期の形質と,穂揃期の草丈,展開第2葉葉色値,穂数およびそれらの積との関連を検討した.成熟期の窒素吸収量は,「穂揃期の草丈×展開第2葉葉色値」との相関が高かった(r=0.872,P\<0.01).収量は,「穂揃期の草丈×展開第2葉葉色値×穂数」との相関が高かった(r=0.826, P\<0.01).これらの結果から,子実タンパク質含有率適正化のための穂揃期の生育診断法を策定した.すなわち,穂揃期の生育から成熟期窒素吸収量と収量を推定し,そこから子実タンパク質含有率を推定する.この推定法は,収量の予測が必要なのでこれに伴う推定誤差が生じる.しかし,子実タンパク質含有率の高低を穂揃期に予測する必要がある場合や追肥要否を穂揃期に検討する場合に,圃場で簡易に使用する実用的な推定法として利用できる.
  • 宮﨑 成生, 高橋 行継, 吉田 智彦
    2011 年 80 巻 1 号 p. 96-102
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    栃木県内有数の畑作地帯である壬生台地の農業用地下水の水質を調査した.地下水の硝酸態窒素は環境基準値10 mg L-1を満たしていたが高い値を示した.地下水の水質は安定同位体を用いた方法(δ15N値利用法)および過去の土地利用状況から,化学肥料の影響を大きく受けていると推測した.ユウガオを標準栽培および多肥栽培し,果実の収量と硝酸態窒素の地下への浸透を調査した.多肥栽培による果実の収量は標準栽培の1.1倍であり,増収分は肥料購入費の増加分とほぼ同じで経済的メリットはなかった.作土に施用した窒素のうちユウガオに吸収されなかった窒素は,硝酸態窒素として降水により地下に浸透した.施用した窒素のうち地下へ溶脱した割合は,標準栽培が19.6%,多肥栽培が39.6%であり,多肥栽培は地下水の硝酸態窒素濃度の上昇に影響を与える可能性があることを示した.
研究・技術ノート
情 報
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