日本作物学会紀事
Online ISSN : 1349-0990
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81 巻 , 4 号
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研究論文
栽培
  • 村田 資治, 井上 博茂, 稲村 達也
    81 巻 (2012) 4 号 p. 397-403
    公開日: 2012/10/31
    ジャーナル フリー
    水田転換畑において,異なる降水条件下で生育した不耕起ダイズの乾物生産過程を耕起ダイズと比較することで,不耕起ダイズの生育特性を降水量の多少と関連付けて検討した.試験は播種から開花期までの降水量が大きく異なる 2009 年と 2010 年に行った.2009 年は,2010 年と比較して,播種から開花期までの降水の頻度が著しく高く総降水量も多かった.2009年は,耕起と比較して不耕起で,播種から開花期まで土壌水分含量が高く維持された.不耕起ダイズの主茎長,主茎節数,開花期以降の地上部乾物重は,2009 年には耕起ダイズと比較して抑制されていたが,2010 年は耕起ダイズと比較して旺盛であった.特に,地上部乾物重の増加が著しい開花期から着莢期の個体群成長速度 (CGR) および純同化率 (NAR) に,年次と耕起法間で有意な交互作用が認められた.その要因のひとつとして,2009 年は不耕起で土壌の過湿が著しかったため,耕起と比較して不耕起で,開花期の葉身窒素含有率が有意に低くなったことが考えられた.一方,2010 年では,開花期と着莢期の葉身窒素含有率および根粒の窒素固定活性は耕起法間で変わらず,CGR および NAR が耕起と比較して不耕起で有意に高かった理由は明らかではなかった.以上のことから,播種から開花期までの降水量が少ない年には,開花期以降の不耕起ダイズの生育は耕起と比較して旺盛となるが,播種から開花期までの降水量が多い年には,開花期以降の不耕起ダイズの生育は耕起と比較して抑制されることが示された.
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  • 菊池 健太郎, 小林 輝和, 田中 拡, 池田 拓真, 中丸 康夫, 伊藤 博武, 笠島 真也, 吉田 穂積
    81 巻 (2012) 4 号 p. 404-413
    公開日: 2012/10/31
    ジャーナル フリー
    土壌中の有効態リン酸と交換性カリウムの含有量が北海道の畑地土壌診断基準値以上である淡色黒ボク土壌において,リン酸とカリウム肥料をともに無施用とした場合のバレイショ生育と収量およびジャガイモそうか病発病に与える影響について2007年から3カ年にわたり現地生産圃場を用いて検討を行った.その結果,圃場の土壌水分状態に関わらずリン酸・カリウム無施肥区の有効態リン酸と交換性カリウムの含有量は,リン酸・カリウム施肥区に比べて低く推移したが,年間減少量はそれぞれ –6 mg kg-1,88 mg kg-1であり,土壌診断基準値を大幅に低下することはなかった.リン酸・カリウム無施肥区の茎長,茎数,塊茎数,塊茎重量およびテンプン含有率は,リン酸・カリウム施肥区に比べて有意な低下は認められなかった.一方,リン酸とカリウム肥料の無施用によるジャガイモそうか病の有意な発病抑制効果は認められなかった.以上の結果から,有効態リン酸と交換性カリウムの含有量が土壌診断基準値以上にある淡色黒ボク土壌においては,リン酸肥料とカリウム肥料をともに無施用としても現在の収量を低下させることなく,低投入型のバレイショ生産が行えることが明らかとなった.さらに,最低2年間のリン酸肥料とカリウム肥料の無施用によっても有効態リン酸と交換性カリウムの含有量を土壌診断基準の最低値以上に維持できることが示唆された.
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  • 向山 雄大, 本林 隆, 帖佐 直, 大川 泰一郎, 古畑 昌巳, 東城 清秀, 平沢 正
    81 巻 (2012) 4 号 p. 414-423
    公開日: 2012/10/31
    ジャーナル フリー
    エアーアシスト条播機を用いて湛水直播した水稲 (以下,エアーアシスト水稲) の収量,乾物生産特性を倒伏抵抗性水稲品種タカナリを用いて2009年~2011年の3ヶ年にわたって検討した.苗立ち時のエアーアシスト水稲個体の分布は点播や慣行移植した水稲と大きく異なり,条の周囲に個体が分散し,散播に近い状態であった.エアーアシスト水稲は,点播水稲や慣行移植した水稲に比較して乾物生産が大きくなったことによって収量が高くなった.エアーアシスト水稲は,点播した水稲に比較して出穂期以後,そして慣行移植した水稲に比較して全生育期間を通して,個体群成長速度 (CGR) が高かった.エアーアシスト水稲のCGRが大きかった要因として,エアーアシスト水稲は,(1) 分げつ期は慣行移植した水稲に比較して茎数の増加が著しいことによって,葉面積指数 (LAI)が大きく,ひいては個体群受光率が大きかったこと,(2) 出穂期以降は慣行移植した水稲や点播した水稲に比較して,個体群吸光係数が小さいことがあげられた.そしてさらに,エアーアシスト水稲は慣行移植した水稲や点播した水稲に比較して主茎に着生する冠根数が多く,地上部窒素蓄積量が大きいことによって,葉身の葉緑素含量が高く維持され,純同化率が高く維持されたことも出穂期以後のCGRが大きくなった要因と考えられた.
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  • 小久保 敏明, 宮崎 彰, 吉田 徹志, 山本 由徳, 井上 洋子, 岡崎 秀昭, 岩永 泰大, 黒田 翔平, 居 静, 王 余龍
    81 巻 (2012) 4 号 p. 424-431
    公開日: 2012/10/31
    ジャーナル フリー
    中国における水稲の多収穫多施肥栽培において施肥窒素(N)吸収率の向上を目的とし,多収性水稲品種のN吸収に及ぼす緩効性肥料の施用効果を調査した.緩効性肥料の施用は,中国産多収性品種の揚稲4号(YD)および武育粳3号(WY)において幼穂形成期までの肥料由来N吸収量を有意に増加させた.この結果,施肥N吸収率が有意に増加し,YDでは成熟期N含有量の有意な増加も認められた.YDは幼穂形成期から出穂期にかけてのN吸収量が高かったが,WYはより早い時期のN吸収量が高く,YDに対してはWYより肥効の長い緩効性肥料の施用が有効であると推察される.YDの施肥N吸収率は,シグモイド型緩効性肥料(S区)>リニア型緩効性肥料(L区)>塩安の分施(C区)の傾向があり,施肥N量の増加に伴いC区では有意に増加したが,S区およびL区では有意な変化は認められなかった.以上のことから,YDへの緩効性肥料,特にシグモイド型肥料の施用は施肥N吸収率が高いこと,それにより施用量の削減が可能であることから,環境負荷の軽減に有効であると考えられた.
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作物生理・細胞工学
  • 吉永 悟志, 長田 健二, 白土 宏之, 福田 あかり
    81 巻 (2012) 4 号 p. 432-440
    公開日: 2012/10/31
    ジャーナル フリー
    寒冷地の水稲湛水直播栽培(直播栽培)では,出穂の遅れにともなう登熟条件の変化が大きいため,品質や食味への影響が大きいことが想定されるが,穂相や玄米粒形の変化を介した品質や食味への影響についての詳細な検討は行われていない.そこで,東北地域における4ヵ年にわたる移植および直播の作期試験データをもとに,直播水稲の品質関連形質の特徴とその変動要因について検討を行った.食味関連成分については,直播水稲で玄米タンパク含有率が低く,白米アミロース含有率が高くなる傾向が認められたが,ともに栽培法間差は小さいため,食味への影響は軽微であると推察された.一方,移植および直播栽培の普通期栽培での外観品質を比較すると,直播栽培で千粒重が増大して整粒歩合も有意に高くなり,年次間の変動も小さいことから,品質が安定して高いことが示された.直播水稲の品質向上要因を解析した結果,移植栽培と比較して出穂期が遅れて登熟前半の気温が低下すること,1穂籾数が減少して2次枝梗着生籾割合が低下することに大別された.このうち,出穂期の遅れについては,高温登熟の回避による白未熟粒発生の抑制,籾殻形成期の気温上昇および登熟初期の気温低下による玄米粒形の増大が,直播水稲の品質向上要因であると考えられた.また,直播栽培では穂数の増加にともない1穂籾数が減少しやすいが,これにともない,粒形が小さく,整粒歩合も低い2次枝梗着生籾の割合が減少することも外観品質の向上に貢献しているものと推察された.
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研究・技術ノート
  • 下野 裕之, 熊谷 悦史, 君成田 陛, 伊藤 美穂, 高橋 好範, 佐々木 信広, 洞井 翔
    81 巻 (2012) 4 号 p. 441-448
    公開日: 2012/10/31
    ジャーナル フリー
    東日本大震災に伴う津波被害を受けた水田における除塩の基礎的な知見を得る目的で,現地圃場試験ならびに温度応答試験を実施した.現行の除塩基準で除塩を行なった岩手県の被災水田 (土壌:水=1:5抽出法電気伝導率 (EC) 0.1~0.6 mS cm-1の範囲の6水田) に,岩手大学構内で育苗した水稲品種「あきたこまち」の苗を同一日に移植した.その水田間の生育の変動を気象影響(同一の市販培土を充填して各被災水田に埋め込んだポットでの生育と比較)と土壌影響(岩手大学構内で各被災水田の土壌を充填したポットにおける生育と比較)から解析した.圃場での開花期における地上部乾物重は,23~52 g 株-1と大きな変異がみられた.その変動は,気象影響よりも土壌影響に強く依存したものの,本研究の範囲の土壌ECや表面水ECと圃場での地上部乾物重との間では有意な関係性は認められず,塩類濃度が関与しないことを示した.温度応答試験では,塩類濃度による水稲の栄養成長の抑制に温度が及ぼす影響を,2段階の気温条件 (20.9,25.4℃) と6段階の塩類濃度 (NaCl濃度0~0.8%,0~137mM=EC 0.1~7.3 mS cm-1) で評価した.最上位展開葉の蒸散速度は,高温条件において低温より高く,NaCl濃度の上昇につれて低下した.地上部乾物重は高温に比べ低温条件で約50%小さかったが,高濃度塩類による地上部乾物重の低下は,高温条件では0.8~2.3 mS cm-1にかけて大きくなるのに対し,低温条件では2.3 mS cm-1まで低下がみられなかった.以上の本研究結果は,現行の除塩基準EC 0.6 mS cm-1は寒冷地においても適切であるが,蒸散要求量が少なく低温の寒冷地では緩和することができる可能性を示した.
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  • 大久保 和男
    81 巻 (2012) 4 号 p. 449-452
    公開日: 2012/10/31
    ジャーナル フリー
    岡山県における黒ダイズ品種「丹波黒」の優良系統「岡山系統1号」のセルトレイ育苗において,種子の置床方向が出芽日数と出芽率に及ぼす影響を,ヘソを横向きと下向きで比較した.種子の置床方向以外の条件は,床土に含水率55%のヤンマーナプラ養土Sタイプ (ヤンマー農機社製) を,覆土にバーミキュライトを用い,播種深度は2 cm (覆土の厚さ1 cm) とし,播種24時間後に最初の灌水を行った.いずれの置床方向でも播種3日後から出芽が始まり,播種7日後に出芽を終え,出芽揃いに実用上の差異はなかった.出芽率はヘソを横向きに置床した場合に98.4%であり,下向きの96.1%よりも2.3%高かった (1%水準で有意差あり).以上の結果から,「岡山系統1号」のセルトレイ育苗において,ヘソを横向きに置床する方法は,限られた種子からできるだけ多くの苗を得るためには有用な方法と考えられた.
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日本作物学会ミニシンポジウム要旨
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