日本作物学会紀事
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82 巻 , 2 号
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研究論文
栽培
  • 岩渕 哲也, 松江 勇次, 松中 仁
    82 巻 (2013) 2 号 p. 135-140
    公開日: 2013/04/11
    ジャーナル フリー
    本研究では,北部九州におけるパン用コムギ品種「ミナミノカオリ」において,追肥労力の低減を前提とした,製パン適性を向上させるための窒素追肥技術を確立するために,出穂期前後の窒素追肥時期や尿素の葉面散布が生地物性に及ぼす影響を検討した.窒素追肥時期の試験では,止葉期区は出穂後10日区と比較すると,湿グルテンが低い傾向がみられ,バロリメーターバリューが小さく,生地物性が劣った.出穂後25日区は出穂後10日区と比較して,子実タンパク質含有率や湿グルテンが低く,バロリメーターバリューが小さい傾向で,生地物性が劣る傾向がみられた.尿素の葉面散布の試験では,尿素1回区では硫安区と比較して,葉焼け程度が大きかった.尿素1回区は尿素2回区と比較して,グルテンインデックスが低い傾向で,バロリメーターバリューが小さく,生地物性が劣った.尿素1回区の方が2回区より生地物性が劣った理由は,1回区の方が尿素濃度が濃く,グルテンの合成が不完全で,グルテンの質が劣る傾向があることが考えられた.
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  • 新田見 浩由, 佐藤 朋和, 松波 寿典, 伊藤 亮一, 池田 武
    82 巻 (2013) 2 号 p. 141-149
    公開日: 2013/04/11
    ジャーナル フリー
    本研究は開花期の水ストレスがポットおよび圃場栽培した無限伸育型品種(Clark,Williams 79)と有限伸育型品種(エンレイ,農林2号)の収量および収量構成要素に及ぼす影響について比較検討した.開花期において灌水を制限することで葉の水ポテンシャルを−1.1から−1.5 MPaの範囲にまで低下させた水ストレスを受けた場合,有限伸育型では莢数,種子数の減少が著しく,一莢内粒数と百粒重も減少する傾向がみられた.一方,無限伸育型についても有限伸育型と同様に,莢数,種子数は減少する傾向がみられたが,減少程度が軽微であり,加えて一莢内粒数あるいは百粒重を維持する傾向がみられた.その結果,水ストレスによる減収程度は,有限伸育型よりも無限伸育型で軽微となる傾向がみられた.また,異常高温年であった1999年においては灌水停止直前の開花期から再給水後しばらく経過した着莢期にかけての水ストレスを受けた区のCGRとNARは有限伸育型よりも無限伸育型でより高く維持される傾向がみられ,このようなNARの維持能力は減収程度と関係していた.さらに,水ストレス解除後,8月の日照時間が多いほど,無限伸育型では収量の補償作用がより発揮される可能性が示唆された.
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  • 鎌田 英一郎, 高橋 肇, 金岡 夏美, 荒木 英樹, 丹野 研一
    82 巻 (2013) 2 号 p. 150-155
    公開日: 2013/04/11
    ジャーナル フリー
    本試験は,山口県においてコムギの早播栽培を確立するために,1998年から2010年の11作期にわたり,早播栽培による生育初期の温度が秋播性程度の異なる3品種の二重隆起期と頂端小穂分化期にどのように影響しているかを調査した.品種は,秋播性程度IIの農林61号,秋播性程度IVのイワイノダイチ,秋播性程度Vのあきたっこを供試した.早播栽培は,10月上旬に播種し(早播栽培区),11月から12月上旬までに播種したものを慣行播栽培区とした.生育日数は,播種期から二重隆起期まで,頂端小穂分化期までのいずれも,早播栽培区が慣行播栽培区よりも農林61号では短く,イワイノダイチではほぼ同じであり,あきたっこでは長かった.積算温度は,いずれも早播栽培区が慣行播栽培区よりも3品種とも大きかったが,その程度は農林61号で小さく,あきたっこで大きかった.農林61号のような春播性品種は,早播栽培すると生育初期の高温により生育が促進されて幼穂分化までの日数が短くなり,あきたっこのような秋播性程度の高い品種は,早播栽培しても春化を終了するまでにより多くの日数を必要とするため,幼穂分化が3月になっても終了しなかった.しかし,イワイノダイチのような秋播性程度が中程度の品種では,早播栽培における生育初期の高温に続く6℃付近の温度帯で春化を終了した結果,厳冬期を過ぎてから幼穂分化を終えることができ,なおかつ慣行播栽培よりも早く頂端小穂分化期を迎えることができると考えられた.
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  • 名越 時秀, 宇都 静恵, 松嶋 賢一, 平野 繁, 玉井 富士雄, 池田 良一
    82 巻 (2013) 2 号 p. 156-166
    公開日: 2013/04/11
    ジャーナル フリー
    深水処理および基肥窒素少量施肥による過度の分げつ抑制が高位分げつの出現に及ぼす影響とその施肥による変動を検討するため,極早生の北海道水稲品種きらら397を用いて試験を行った.試験区は,深水処理を行う深水区と深水処理を行わない標準区を設け,この両区それぞれに基肥と出穂36日前の追肥のm2当たり窒素量を異にし,穂肥窒素は全区に3 g/m2とした区を設けた.すなわち,基肥が2 gで出穂36日前の追肥が0 gの区(2・0・3区),基肥が2 gに加えて出穂36日前に追肥を2 gとした区(2・2・3区)および基肥が4 gで出穂36日前の追肥が0 gの区(4・0・3区)である.その結果,出穂期前後には,全ての試験区で高位分げつが出現し,深水区は標準区に比べ多く,また施肥区間では2・0・3区が最も出現数が多かった.通常の分げつ数との関係は,特に,主稈+1次分げつ数と高位分げつ数との間に有意な負の相関関係が認められた.また,2・2・3区では2次以上の分げつが増加し高位分げつの出現が抑制された.以上のことから,通常の分げつを過度に抑制するような栽培条件下では高位分げつの出現を助長することが明らかとなり,また分げつが抑制されても幼穂分化期直前の窒素追肥は高位分げつの出現を抑制することが示唆された.
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品質・加工
  • 山村 達也, 永畠 秀樹, 中川 博視, 蛯谷 武志, 塚口 直史
    82 巻 (2013) 2 号 p. 167-175
    公開日: 2013/04/11
    ジャーナル フリー
    乳白粒の発生に対しては高温だけでなく炭水化物不足条件が関与する.胚乳断面がリング状に白濁するリング型乳白粒は主に炭水化物供給の影響を受ける一方,胚乳の中心部分が白濁する中心型乳白粒は気温の影響を強く受ける.コシヒカリ/Kasalath染色体断片置換系統(CSSLs)から乳白粒発生抑制に関する有望系統を選抜し,これらの系統がコシヒカリより低炭水化物供給条件および高温登熟条件下で乳白粒発生を抑えられるどうかを検証することを目的とした.2006年および2007年にCSSLs 36系統を圃場栽培し,成熟期の乳白粒発生率を調査した.SL204およびSL236の乳白粒発生率が低かったので,これらを用いて以下の実験を行った.2008年および2010年は圃場実験を行い,2008年は穂揃期に止葉を切除する剪葉処理,株数を半分にする間引き処理および対照区を設けた.2009年はポット栽培し穂揃期後に温度勾配温室(TGC)により高温処理を与えた.各年とも成熟期に玄米の外観および胚乳断面の調査を行い,2008年および2010年には収量を,2008年には登熟期間の乾物生産量および穂揃期の蓄積炭水化物量を調査した.高温条件および剪葉処理区でSL204およびSL236の乳白粒発生率がコシヒカリに比較して低く,高温条件では中心型乳白粒の発生率が,剪葉処理区ではリング型乳白粒発生率が低かった.これらの系統においてリング型乳白粒発生率が低いことに関しては,SL204では炭水化物供給可能量がコシヒカリよりやや多いこと,SL236ではリング型乳白粒発生の抑制に必要な炭水化物量が少ないことが示唆された.
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作物生理・細胞工学
  • 阿部 陽, 及川 あや, 下野 裕之
    82 巻 (2013) 2 号 p. 176-182
    公開日: 2013/04/11
    ジャーナル フリー
    岩手県の恒温深水圃場(水深30cm,水温18.5℃)に,耐冷性の異なる3品種(ひとめぼれ,アキホマレ,トヨニシキ)を,4年間,2つの冷水処理期間で供試した.穂首分化期(出穂前37~34日)から冷水処理を開始する標準処理とさらに約1週間前から開始する長期処理について耐冷性検定を行ない,不稔発生の年次と冷水処理期間による変動要因を解析した.誘導された不稔は,耐冷性の強い「ひとめぼれ」が他の2品種より有意に少なく,年次間では2005年と2006年が2007年と2009年より多かった.冷水処理期間については,長期処理が標準処理より不稔歩合を有意に増加させた.すなわち,年次と冷水処理期間の違いにより,同一の冷水処理水温にも関わらず,「ひとめぼれ」では29~61%,「アキホマレ」では77~93%,「トヨニシキ」では63~95%の不稔歩合の変動がみられた.この不稔歩合の変動を出穂前49日~出穂後7日における7期間(14日間平均)の気温,水温,日射量から解析した結果,いずれの品種についても,出穂前42~28日の期間の水温により多くの部分を説明できた.すなわち,出穂前42~28日の期間をより長く含む長期処理は標準処理に比べて出穂日を3日遅延させるものの,不稔歩合の年次間での標準偏差が5ポイント小さく,より優れた穂ばらみ期耐冷性の選抜手法であると考えられた.
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  • 中園 江, 大野 宏之, 吉田 ひろえ, 中川 博視
    82 巻 (2013) 2 号 p. 183-191
    公開日: 2013/04/11
    ジャーナル フリー
    登熟期間中の気象がコムギの穂発芽の発生に及ぼす影響について,ガラス室および圃場で栽培した穂発芽耐性の異なる農林61号とシロガネコムギを対象に解析した.開花期から成熟期の間に採取した穂を吸水させ,15℃,10日間過湿状態に置いた時の穂全体の発芽率を穂発芽率として解析の対象とした.ガラス室において開花期から成熟期までの気温を13℃から25℃の範囲で一定に制御した結果,登熟期間中の平均気温と成熟期の穂発芽率には有意な正の相関が認められた.圃場では年次や作期により登熟期間中の気温および降水日数,積算降水量は変動し,登熟期間中の平均気温と成熟期の穂発芽率の相関はガラス室と比較して低かった.開花から成熟までの登熟段階を,気温から推定した子実含水率により10%毎に区分し,段階別の気象と成熟期の穂発芽率との関係について解析した結果,2品種に共通して子実含水率50%から生理的成熟期までの平均気温と穂発芽率に有意な正の相関が認められた.農林61号では,同じ登熟段階の降水日数と穂発芽率との間にも正の相関が得られた.また積算降水量はいずれの段階においても穂発芽率との相関は認められなかった.これらのことから,子実が急速に乾燥する直前の時期の高温と雨ぬれの継続により,成熟期の穂発芽の発生危険度が高まることが示唆された.
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研究・技術ノート
  • 小林 和幸, 城斗 志夫, 福山 利範
    82 巻 (2013) 2 号 p. 192-196
    公開日: 2013/04/11
    ジャーナル フリー
    紫黒米の生産現場で一定量発生する粒厚1.85 mm未満の米粒(一般には篩い下米あるいは屑米と称される)を,米加工食品産業界へ安価に提供することを前提とし,新潟県が開発した紫黒糯米品種「紫宝」を用い,粒厚別にポリフェノール含量と熱糊化特性を調査して,その加工特性を評価した.「紫宝」の米粒1粒あたりのポリフェノール含量は,粒厚1.85 mm以上の精玄米に比べ,1.85~1.70 mmの米粒で26.1%,1.70 mm未満の米粒で54.3%低下した.したがって,粒厚1.85 mm未満の篩い下米を一般食用米に添加して利用する場合,精玄米並のポリフェノール含量を確保するためには,通常量より30~50%程度増量する必要があると考えられた.単位重量あたりに換算した場合,1粒あたりより,ポリフェノール含量の低下率が低く,篩い下米を米粉として利用する場合には,10~25%程度の増量で精玄米並のポリフェノール含量を確保できると考えられた.一方,玄米のタンパク質含有率は,粒厚が薄くなるにつれて高まり,粒厚1.70 mm未満の米粒では8.6%に達した.また,精玄米に比べ,粒厚1.85 mm未満の篩い下米の糊化開始温度および各種粘度特性値は低く,餅生地の硬化性や澱粉の膨潤能,ゲル強度,老化性は低いと推定され,加工利用時に注意を要すると考えられた.生産現場で一定量発生する篩い下米を原材料として米加工食品産業界に提供するためには,こうした加工利用上の留意点を製造現場にあらかじめ十分に伝達すること,生産流通体制を整備することが重要と考えられた.
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