日本作物学会紀事
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82 巻 , 4 号
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研究論文
栽培
  • 平井 康丸, 猿田 恵輔, 河合 憲三, 首藤 大比古, 山川 武夫, 望月 俊宏, 井上 英二, 岡安 崇史, 光岡 宗司
    82 巻 (2013) 4 号 p. 325-336
    公開日: 2013/11/05
    ジャーナル フリー
    近年,水稲生産におけるコスト・環境負荷・エネルギー消費低減の観点から,し尿や汚泥を原料として製造される好気発酵液肥(液肥)の利用促進の気運が高まっている.そこで本研究では,稲わらの腐熟促進剤および窒素肥料としての液肥の施用効果を2009年と2010年の2年間の連用試験により評価した.腐熟促進剤の施用効果は,稲体の地上部乾物重,全窒素含量(T-N),窒素保有量の面からは確認されなかった.窒素肥料としての効果は,基肥として全層施用する場合は,アンモニア態窒素(NH4-N)の割合が7割程度あれば,化学肥料と同等であり,穂数は同程度確保された.一方,NH4-Nの割合が低い場合は,乾物重,T-N,窒素保有量が低下し,穂数が減少する傾向であった.追肥として表面施用する場合は,NH4-Nの揮散損失を伴うため窒素保有量が小さくなり,籾数の減少を招くことが示唆された.また,NH4-Nの割合が低い場合は,窒素吸収が緩やかになり登熟期の窒素栄養状態が低下した.これにより,2010年の出穂後20日間の平均気温が26.7℃の高温条件において,千粒重が低下したと推察された.以上の収量構成要素の低下により,精玄米重は小さくなる傾向であった.液肥の窒素肥料としての効果は,NH4-Nの割合に依存するため,その成分変動は利用上の問題と考えられる.
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  • 小久保 敏明, 宮崎 彰, 吉田 徹志, 山本 由徳, 浅木 直美, 上野 秀人, 居 静, 王 余龍
    82 巻 (2013) 4 号 p. 337-344
    公開日: 2013/11/05
    ジャーナル フリー
    中国産多収性水稲品種の吸収窒素(N)利用効率(吸収N量当たりの精玄米収量,NUEg)に及ぼす緩効性N肥料(シグモイド型Sおよびリニア型L)の施用効果を調査した.緩効性肥料の施用により中国産多収性水稲品種,揚稲4号(YD),武育粳3号(WY)およびヒノヒカリ(HH)の地上部乾物重および吸収N量は有意に増加した.吸収N量の増加に伴いNUEgは低下したが,同じ吸収N量で比較すると,NUEgはYDおよびWYのS単独施用区で通常肥料区(C)より高い傾向があった.これは,吸収N量に対して登熟歩合が高く維持されたことに起因していた.YDでは未登熟籾の割合がHHより有意に低く,これは粒の比重が大きいことによるものと考えられる.また,YDでは高いシンク要求に対して出穂後の籾当たり茎葉乾物重減少量(ΔT)がHHより有意に高かった.これらの形質が安定して高い登熟歩合をもたらしていると考えられる.
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  • 鈴木 利和, 一家 崇志, 森田 明雄
    82 巻 (2013) 4 号 p. 345-352
    公開日: 2013/11/05
    ジャーナル フリー
    チャの樹体内炭水化物含量と一番茶の生産性との関係を明らかにするため,成木茶園において冬期の異なる時期に,遮光率85%の資材を用いて遮光(直接被覆)処理を行い,部位別の可溶性糖およびデンプン含量を経時的に測定し,新芽生育や収量・品質との関係を解析した.冬期に遮光を行わなかった場合には,光合成産物である糖の供給が十分に行われ,デンプンは2月下旬には太根,中根での蓄積が増加し,その後萌芽期までに枝部へも蓄積された.これに対し,冬期に3ヶ月(1月上旬~4月上旬)遮光した場合には,光合成の抑制により葉からの糖の供給量が不足し,太根に続いて中根や枝部でもデンプンの蓄積が遅れた.遮光時期を1ヶ月半にした場合,前半(1月上旬~2月下旬)被覆区と比較して,後半(2月下旬~4月上旬)被覆区では,萌芽期における各部位の可溶性糖およびデンプン含量が減少し,一番茶の新芽生育と摘採時期の遅れ,摘芽数の減少,芽揃いの悪化が生じた.以上のことから,枝や根の炭水化物の蓄積に対しては厳冬期(1月上旬~2月下旬)よりも萌芽期前(2月下旬~4月上旬)の光合成生産の影響が大きく,萌芽期における樹体内炭水化物の不足は一番茶の収量性や品質の低下をもたらすことが明らかになった.
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  • 浅井 辰夫, 平野 清, 前田 節子, 飛奈 宏幸, 西川 浩二
    82 巻 (2013) 4 号 p. 353-359
    公開日: 2013/11/05
    ジャーナル フリー
    静岡大学農学部附属地域フィールド科学教育研究センターの水田において,緑肥レンゲを利用した水稲の無農薬栽培試験を早生品種を用いて17年間継続して実施した.試験区として,基肥に緑肥レンゲをすき込み,農薬を使わないレンゲ無農薬区(1993~2009年),レンゲをすき込むが農薬を使うレンゲ有農薬区(1999~2009年)および化学肥料と農薬を使用する化学肥料区(1993~2009年)を設定した.レンゲ無農薬区は,1993~2000年までの8年間は気象災害とニカメイチュウの被害が頻発して,水稲部分刈り平均収量は409 g m-2であったが,同被害がない2001~2009年の9年間の平均収量は466 g m-2 へと向上した.同期間のレンゲ有農薬区の平均収量が468 g m-2であり,無農薬でも有農薬と比べて遜色のない収量が得られた.化学肥料区は,1993~2000年の平均収量が517 g m-2,2001~2009年が539 g m-2で,試験期間中における収量の変動はレンゲ無農薬区ほど大きくはなかった.両レンゲ区では,2006,2007年および2009年に外来害虫のアルファルファタコゾウムシが多発したことによりレンゲ生産量が減少したことから,この3年間のレンゲ無農薬区の平均収量は414 g m-2と他の年より低かった.一方,アルファルファタコゾウムシが発生しなかった6年間の平均収量は493 g m-2で,化学肥料区の93%の収量が確保された.また,レンゲ生産量と水稲収量との間には,高い正の相関関係が認められた.レンゲすき込み区の生育の特徴は,化学肥料区に比べて初期生育が緩慢であることが明らかになった.
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  • 和田 義春, 大関 文恵, 小林 朋子, 粂川 春樹
    82 巻 (2013) 4 号 p. 360-368
    公開日: 2013/11/05
    ジャーナル フリー
    高温登熟障害発生の栽培技術的防止策として冷水灌漑の効果を検討した.移植時期の違いによる登熟期の気温条件と冷水灌漑の水口からの距離による水温条件の組み合わせが水稲コシヒカリの玄米外観品質に及ぼす影響を2ヵ年の圃場試験から検討した.乳白粒,腹白粒と背白,基白粒とでは移植時期と水口からの距離に対する発生の様相を異にし,背白,基白粒は出穂後20日間の平均気温が高いほど発生が多かった.これらの発生は,水口に近い区では低地温によって抑制される傾向にあった.また,心白,背白,基白粒の発生率と出穂前20日間の地温に有意な相関がみられ,出穂前の地温低下による根圏環境の改善が白未熟粒発生抑制に効果があることが示唆された.ポット栽培したコシヒカリを用い,冷水かん水処理を行ったところ,対照区では乳白粒の発生が14%であったのに対し,水温17℃の冷水かん水処理区では2%まで低下した.このことには,株あたりの出液速度で示される根系の生理活性の低下抑制と葉の老化抑制が関与していると考えられた.
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収量予測・情報処理・環境
  • 角 明夫, 郡山 朋子
    82 巻 (2013) 4 号 p. 369-377
    公開日: 2013/11/05
    ジャーナル フリー
    甘藷の生育や収量を気象経過から動的に評価・予測するモデルを構築する目的で,甘藷個体群に吸収された短波放射と乾物生産との関係を2004年から2008年にかけて調査した.供試品種はいずれもコガネセンガンである.2005年と2008年に入射,反射および透過放射を連続測定し,葉面積指数(LAI)とアルベド,日射透過率および植被による日射吸収率との関係を調査した.両年において,吸収日射量と乾物生産量の間には比例関係が認められ,吸収日射-乾物変換効率として5.51 g kWh-1を得た.LAIは全乾物重(Wt)に葉重比(LWR)と比葉面積(SLA)を乗ずることによって算出できる.LWRは10℃を基準温度とする有効積算温度(∑T10)の増加に伴って指数関数的に低下した.塊根乾物重(Wr)はWtに収穫指数(HI)を乗ずることによって求まる.この両者の間には相対生長関係が認められたが,その量的関係に関わるパラメータは植付け後5週間の平均地温(5 cm深)によって変化した.これらの結果に基づいて,植付け時の全乾物重を起点とし,日々の日射量と気温および植付け後5週間の平均地温からLAI,全乾物重および塊根乾物重の推移を動的に予測するアルゴリズムを構築し,予測モデルの作成に関わらなかった3実験に適用したところ,その予測値は全乾物重と塊根乾物重の動態を比較的良く追尾した.
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研究・技術ノート
  • 大井 崇生, 笹川 正樹, 谷口 光隆, 三宅 博
    82 巻 (2013) 4 号 p. 378-385
    公開日: 2013/11/05
    ジャーナル フリー
    ローズグラスは体内に取り込んだ塩類を排出する塩腺を有し,耐塩性が高いことが知られるイネ科牧草である.本研究では,津波被災農地の土壌を用いてローズグラスの耐塩性および塩排出能力を検討した.福島県いわき市において,2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震に伴う津波被災のなかった地点,あった地点の農地より土壌を採取して実験に用いた.採取地のうち四倉町の津波あり地点では,土壌EC値および土壌中交換性Na+量がともに高い値を示した.この土壌を用いてローズグラスおよびイネを人工気象室内で21日間生育させた.両作物ともに津波あり地点の土壌において生育阻害が現れたが,ローズグラスでは地上部乾物重の減少率はイネよりも小さく,また可視障害も少なく,さらに長期間の生育が可能と考えられた.葉身内のイオン含有量を測定すると,ローズグラスでは津波の有無に関わらず高いNa+含有量を示した.加えて津波あり地点の土壌において,ローズグラスでは葉身や葉鞘の表面に水滴または結晶状の排出物が観察された.1週間あたりの葉身からのイオン排出量を測定すると,葉身の含有量の4倍のNa+が排出されることが確認された.また,生育後の土壌中交換性Na+の減少量はイネよりもローズグラスの方が大きい傾向があった.以上より,ローズグラスは津波被災農地における転作利用や除塩に役立つ可能性が示唆された.
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  • 松波 寿典, 井上 一博, 工藤 忠之, 伊藤 信二, 長沢 和弘, 柴田 康志, 神崎 正明, 千田 洋, 二瓶 直登, 荒井 義光, 小 ...
    82 巻 (2013) 4 号 p. 386-396
    公開日: 2013/11/05
    ジャーナル フリー
    2010年は夏季を中心とした高温により東北地域における大豆の作柄は91%となり,1等比率も過去10年間で最も低い9.9%となった.2010年の気象の特徴として,6月中旬から9月中旬にかけて,気温は平年よりも2℃から3℃高く経過し,特に,7月下旬から9月上旬までは記録的な高温に見舞われた.このため,東北地域では開花が早まり,播種から開花迄日数は平年より短くなった.開花期と同様に成熟期も早まる傾向がみられたが,結実期間は,一部の品種を除いて,平年よりも長くなった.青森,岩手県北では,平年よりも増収し,品質も平年並となった.これに対して,秋田,岩手県南,宮城,山形,福島では平年よりも減収し,裂皮,紫斑,虫害,未熟,しわ粒等の障害粒の発生が多く,品質も劣る傾向がみられた.そこで,異常高温による減収要因を解析した結果,夏季の真夏日日数が多かった地域では,平年に比べ百粒重が減少する傾向がみられ,特に,少雨,高温,多照を伴う条件下で百粒重は平年よりも著しく減少した.そして,このような高温乾燥条件に遭遇した期間が長かった地域では,結実期間は平年よりも短縮され,莢数も平年より減少する傾向がみられた.
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  • 金勝 一樹, 三田村 芳樹, 岡崎 直人, 佐野 直人, 山田 哲也, 村田 和優
    82 巻 (2013) 4 号 p. 397-401
    公開日: 2013/11/05
    ジャーナル フリー
    水稲種子の温湯消毒法は,化学農薬を使用しないクリーンな農業技術である.この消毒法の防除効果を向上させるためには,できるだけ高温で処理することが重要である.そのためには多くの品種において種子の高温耐性を強化する必要がある.本研究では,種子の水分含量を低下させることによる高温ストレス耐性の変化を調査した.それぞれ乾もみの水分含量が14.7%および15.0%の「日本晴」と「こがねもち」の種子を66℃で10分間処理すると発芽率は90%を大きく下回った.これに対して種子の水分含量を9~10%程度まで低下させておくと,どちらの品種の種子も同じ温湯処理条件で90%以上の発芽率を示した.さらに,種子の水分含量低下によるこのような発芽率の向上効果は,「ひとめぼれ」や酒米品種である「富の香」の種子でも認められた.以上のことから,温湯消毒を行う前に種子を乾燥させることは,高温耐性の改善に効果的であることが示唆された.
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  • 古畑 昌巳, 原 嘉隆
    82 巻 (2013) 4 号 p. 402-406
    公開日: 2013/11/05
    ジャーナル フリー
    寒冷地における湛水直播栽培では,気温が低い条件で播種した場合,出芽・苗立ちが遅れた結果,最終的な出芽・苗立ち率は低下して,生育量不足によって低収となることがある.これまで,寒冷地における湛水直播栽培の出芽・苗立ち確保の目安となる播種早限は,平均気温から推定されていたが,今後は地域の気象条件に対応して,よりきめ細かい播種早限の提示が必要である.本研究では,北陸地方の湛水直播栽培において安定した出芽・苗立ちを確保する目的で,アメダス気象データとアレニウス式を利用して,北陸各地点における湛水直播栽培の播種早限を新たに推定した.その結果,日平均気温から推定した播種早限と気温日較差から推定した播種早限は異なった.また,内陸部では高標高地点を除いて播種早限は早まり,沿岸部周辺では播種早限は遅れる傾向となった.
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