日本作物学会紀事
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85 巻 , 3 号
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総 説
  • 松波 寿典, 児玉 徹, 佐野 広伸, 金 和裕
    2016 年 85 巻 3 号 p. 231-240
    発行日: 2016/07/05
    公開日: 2016/07/26
    ジャーナル フリー
    米の食味は,品種,環境,栽培技術が相互に作用しながら,水稲の生育および収量形成過程に影響した後,適正な収穫および乾燥・調製が行われ,決定される.そのなかでも,極良食味米は,品種が遺伝的に備えている米の食味官能特性や理化学的特性などの食味ポテンシャルが生産者の栽培管理技術により最大限発揮された生産物であると考えられる.本総説では,美味しい米を作るための栽培技術要素に関するこれまでの知見を整理するとともに,さらなる美味しい米作りに向けた栽培学的アプローチの方向性について検討した.美味しい米を作るためには,健全な根を発達させるための土をつくり,活着が良好となる健苗の育成や高温登熟を緩和できる適期に適切な栽植密度で移植を行い,低タンパクな玄米を生産する低次位・低節位分げつを確保した後,深水管理や中干しにより速やかに過剰な分げつを抑制する.また,幼穂形成期の栄養診断に基づく穂肥施用で籾数を適正に制御し,出穂期以降は良好な登熟に向けて高温対策と根の機能維持のための水管理(掛け流し,間断灌漑)を行い,適期収穫した後は,低めの温度設定で素早く乾燥調製することが重要であるとまとめられた.そして,さらなる美味しい米作りに向けた今後の栽培学的アプローチとしては,良食味米産地の中でも極上の米を生産する地域や篤農家圃場の地理的,気候風土的な条件と食味ポテンシャルを発揮させる個々の技術要素が水稲の生育や収量形成過程,食味関連特性に及ぼす影響を解析することが重要である.

研究論文
栽培
  • 田中 英彦, 山崎 信弘
    2016 年 85 巻 3 号 p. 241-245
    発行日: 2016/07/05
    公開日: 2016/07/26
    ジャーナル フリー
    湛水直播水稲実生の低温感受性が最も高い時期を特定するために,ほぼ11℃で一定の冷水を掛け流した冷水田を用い,播種直後,出芽揃い期,第2葉抽出期の3処理開始時期について,各7日間と14日間の冷水処理を行った.種籾は水稲マット苗用育苗箱に播種し,無処理水田と冷水田を適宜移動して処理を行った.冷水処理期間中の平均水温は,各処理とも12℃未満であった.苗立ち率は,出芽揃い期からの処理で最も低く,次いで第2葉抽出期からの処理で低かった.処理前後の出芽個体を出葉程度ごとに分類して,各処理による苗立ち率の低下の要因について検討した.その結果,播種直後からの処理における苗立ち率の低下は,主に出芽率の低下によると考えられたのに対して,出芽揃い期からの処理では出芽した個体が第1葉を抽出できるかどうかが,第2葉抽出期からの処理ではそれに加えて本葉を抽出した個体の生存率がそれぞれ苗立ち率の低下に影響したと考えられた.以上から,低温処理を行った場合に最も苗立ち率が低下したのは,出芽個体の第1葉抽出率が低下した場合であり,低温に対する感受性が最も高い時期は,出芽後第1葉の抽出前,すなわち鞘葉の伸長期と判断された.
  • 前里 和洋, 中原 麻衣, 小宮 康明, 上野 正実, 川満 芳信
    2016 年 85 巻 3 号 p. 246-252
    発行日: 2016/07/05
    公開日: 2016/07/26
    ジャーナル フリー
    リン溶解菌を含むバガス炭とバガス施用による難溶性無機リン酸の可溶化が沖縄県宮古島の暗赤色土で栽培したサトウキビの生育および養分吸収に及ぼす影響を明らかにするために,リン溶解菌の同定,栽培試験および土壌分析を行った.リン溶解菌として供試した菌株22は,Bacillus thuringiensisと同定した.バガスの炭化物であるバガス炭の物理性について検討したpF-水分曲線の結果から,バガス炭は木炭に比べ保水性が大きく,多量の水分を空隙に保持することが示された.このことからバガス炭は菌株22が増殖する上で好適な環境をもたらすと推察された.菌株22接種バガス炭とバガスの混合資材を施用した土壌で栽培した株出しサトウキビの生育は促進され,リンの吸収も高まった.したがって,易分解性のバガスとともに,リン溶解菌をバガス炭に定着させて土壌に施用することによって,難溶性無機リン酸の可溶化を促進し,株出しサトウキビによるリンの吸収量が高まると結論づけた.
  • 田中 英彦, 古原 洋, 今野 一男
    2016 年 85 巻 3 号 p. 253-259
    発行日: 2016/07/05
    公開日: 2016/07/26
    ジャーナル フリー
    北海道における播種後落水管理の有効性を検証するため,温度処理(昼/夜,21/13℃と18/10℃),土壌還元処理(稲わら添加の有無),および水管理(常時湛水区と播種直後から落水区)を組み合わせて室内実験を行った.メチレンブルーによる酸化還元状態の調査で,湛水区では土壌と種籾近傍で土壌還元の進行を認め,とくに稲わら有区で顕著であったのに対し,落水区では,土壌,種籾近傍とも還元の進行はほとんど認められなかった.出芽率は,各処理ともに湛水区で抑制がみられ,とくに低温・稲わら有区で抑制が大きかった.苗立ち率は,すべての処理で稲わら有区で低下したが,いずれの処理でも湛水区に比べ落水区で苗立ち率は明らかに高かった.出芽から第1葉抽出までの日数は,湛水区で7日以上要したのに対し,落水区では2~3日と短く,このことが苗立ちの安定化に結びついたと考えられた.圃場試験において,出芽と種子根の土中への伸長を確認してから入水した落水区 (播種後の落水期間は12~13日)と播種後湛水管理した慣行区を比較したところ,苗立ちは落水区で良好で,苗の生育,収量とも慣行区に優った.圃場における地表下1 cmの日最低地温は湛水区で高かったが,日最高地温はむしろ落水区で高く,日平均地温は落水区で1℃低い程度であり,低温の影響は小さいと考えられた.以上から,播種後の落水管理は,北海道のような寒地においても出芽と苗立ちの安定化に極めて有効な技術であると考えられた.
  • 内田 果世, 大江 真道
    2016 年 85 巻 3 号 p. 260-265
    発行日: 2016/07/05
    公開日: 2016/07/26
    ジャーナル フリー
    水稲再生二期作栽培の一期作における減肥および深水による生育制御が,再生茎の出現と収量に与える影響を調査した.再生茎数は,減肥を行った減肥区と深水栽培を行った深水区で,無制御区 (無処理再生二期作区) よりも多くなった.出穂日は早い順に一期作で無制御区=深水区>減肥区となったが,再生二期作で深水区>減肥区>無制御区の順となり,一期作とは異なったことから,一期作の生育制御が再生二期作の出穂を早める可能性が示唆された.再生二期作での1株玄米重は,一期作もみわら比と有意な負の相関があり,すなわち再生二期作の収量は一期作もみわら比が大きいほど少なくなると考えられた. 以上の結果から,再生二期作の生育,出穂期および収量構成要素は,一期作の生育による影響を受けることが明らかとなり,再生二期作栽培において出穂期を早期化することや収量改善につながる知見を得ることができた.
  • 細谷 啓太, 杉山 修一
    2016 年 85 巻 3 号 p. 266-273
    発行日: 2016/07/05
    公開日: 2016/07/26
    ジャーナル フリー
    無施肥栽培は収量の著しい低下を招くと考えられているが,長期間無施肥でも慣行栽培に匹敵する収量を安定的に生産している農家が存在する.本研究では,無施肥条件におけるイネの生育と収量成立過程を明らかにすることを目的とし,青森,岩手,宮城,新潟の計16の無施肥農家水田の収量と収量形成要因を解析した.2011年から2013年までの過去3年間の全国の無施肥農家水田の平均収量は約300 kg/10aだったが,一部の水田においては420~480 kg/10aの収量が毎年安定的に生産されていた.収量解析の結果,収量はm2当たり籾数に強く依存し,特に穂数との間には高い正の相関関係 (r=0.92***) が認められた.また,穂数と最も高い相関を示したのは移植日から出穂43日前までの日平均気温 (r=0.66**) であった.無施肥水田土壌を用いて異なる移植日でイネのポット栽培試験を行った結果,分げつ増加速度は日平均気温 (r=0.92***) と高い正の相関を示した.重回帰分析に基づくパス解析の結果,日平均気温が分げつ増加速度に与える影響は,気温の生育促進効果と,気温による土壌無機態窒素の供給増加効果がほぼ等しく貢献していることが分かった.これらのことから,北日本の無施肥栽培では栄養成長期の気温が高くなることを通じた穂数確保が高い収量を達成するために重要であることが示された.
  • 浅井 辰夫, 飛奈 宏幸, 前田 節子, 西川 浩二
    2016 年 85 巻 3 号 p. 274-281
    発行日: 2016/07/05
    公開日: 2016/07/26
    ジャーナル フリー
    静岡大学農学部附属地域フィールド科学教育研究センターの水田において,堆肥を連用した水稲の有機栽培試験を早生品種を用いて15年間継続して実施した.試験区として,基肥に籾殻堆肥と菜種油粕を用い,農薬を使用しない籾殻堆肥区(1996~2010年)および基肥に牛糞堆肥を用い,農薬を使用しない牛糞堆肥区(1996~2010年)の2種類の有機栽培と,基肥に化学肥料と農薬を使用する化学肥料区(1996~2010年)および基肥無しで農薬を使用する無肥料区(1998~2010年)を設定した.堆肥を連用する牛糞堆肥区で5年目以降,籾殻堆肥区で6年目以降に堆肥の連用効果が認められた.2006~2010年の5年間の平均収量は,籾殻堆肥区437 g m-2,牛糞堆肥区430 g m-2,化学肥料区523 g m-2および無肥料区329 g m-2であった.食味分析計で測定した食味値は,籾殻堆肥や牛糞堆肥を施用する有機栽培が,化学肥料を施用する化学肥料栽培より高い傾向にあることが確認された.また,連用水田の土壌分析から,堆肥連用の有機栽培区は,化学肥料区と比べて全窒素量が増加することが確かめられた.
  • 田中 英彦, 丹野 久
    2016 年 85 巻 3 号 p. 282-287
    発行日: 2016/07/05
    公開日: 2016/07/26
    ジャーナル フリー
    過酸化石灰剤被覆種子を用いた落水出芽法において,最適な入水日 (播種粒数の30%程度の出芽と種子根の土中への伸長が確認された日) を気温から推定する目的で,播種後入水当日までの期間で,日最高最低平均気温から基準温度を差し引いた値を積算する方法 (積算気温法) と,1日当たり発育速度 (DVR) を日平均気温 (T) の関数 (DVR=1/(1+exp(-A(T-Th)))/G) として算出した値を積算する方法(DVI法,入水日が1) を検討した.積算気温法では,基準温度を1~10℃の範囲で変化させた場合での積算気温の変動係数を比較したところ,基準温度が6℃で最も変動係数が小さく,この積算気温が85.9℃を超えた日が最適入水日と考えられた.DVI法では, A=0.1908,Th=16.06,G=4.118が最適値となった.落水日数の実測値に対する推定値の二乗平均平方根誤差は,積算気温法で1.4日,DVI法で1.2日であった.上述の知見に基づき,生産コストを低減する過酸化石灰剤無被覆での催芽籾播種 (催芽籾区) の最適入水日を検討したところ,過酸化石灰剤被覆区 (CAL区)の最適入水日 (標準区) では,CAL区の苗立ち率が70.9%であったのに対して,催芽籾区では52.2%と有意に低かった.しかし,標準区よりも約3日入水を遅くすると,催芽籾区の苗立ち率は60.9%に向上した.このことから,催芽籾播種における最適入水日は,積算気温法で105℃,DVI法で1.3を超える日と考えられた.
  • 鎌田 英一郎, 高橋 肇, 池尻 明彦, 内山 亜希, 金子 和彦, 松永 雅志, 荒木 英樹, 丹野 研一
    2016 年 85 巻 3 号 p. 288-293
    発行日: 2016/07/05
    公開日: 2016/07/26
    ジャーナル フリー
    裸麦品種トヨノカゼを用い,登熟期間における器官別の乾物重ならびに窒素含有量の推移を調査した.試験は2012/2013年と2013/2014年に行い,施肥処理区は基肥−分げつ肥−穂肥の分施法で2012/2013年,2013/2014年ともに窒素成分 (g m-2) で4–2–6とした穂肥を増施した区を含む3処理区を設けた.有効茎1本あたりの器官別乾物重および窒素含有量は2012/2013年,2013/2014年ともにいずれの処理区も同様に推移した.乾物重は,地上部全体では両年次とも穂揃期後4週目にかけて増加し,子実では2012/2013年では穂揃期後2週目から成熟期にかけて,2013/2014年では穂揃期後2週目から5週目にかけて増加した.窒素含有量は,地上部全体では2013/2014年では登熟期間を通じて増加しなかったのに対して,2012/2013年では穂揃期後4週目から成熟期まで増加した.子実では2013/2014年では穂揃期後5週目以降は増加しなかったのに対して,2012/2013年では穂揃期後5週目以降もさらに増加した.このことから2012/2013年では登熟後期において,栄養器官からの転流だけでなく地中からの吸収によっても子実で増加したことが推察され,登熟後半で子実生長や窒素の吸収のしかたが年次によって異なっていた.

品質・加工
  • 島崎 由美, 渡邊 好昭, 関 昌子, 松山 宏美, 平沢 正
    2016 年 85 巻 3 号 p. 294-301
    発行日: 2016/07/05
    公開日: 2016/07/26
    ジャーナル フリー
    水田で栽培されたコムギ (水田のコムギ) は,畑で栽培されたコムギ (畑のコムギ) に比べ製パン性が劣ることが知られている.その主な要因は,小麦粉のタンパク質含有率が畑のコムギに比べ水田のコムギで低いことにあると考えられている.小麦粉のタンパク質含有率は,開花期に窒素を追肥することで高められる.そこで本研究では,開花期窒素追肥により水田のコムギの小麦粉タンパク質含有率を高めることが,製パン性に及ぼす影響を調査した.その結果,開花期に窒素を8 g m-2追肥することで,水田のコムギの小麦粉タンパク質含有率を畑と同程度の13%にまで高めることができた.しかし,製パン性を評価するバロリメーターバリュー (VV) は,畑のコムギでは75以上あったのに対して水田のコムギでは60程度と低かった.水田のコムギは畑のコムギに比べて吸水率が高く,小麦粉タンパク質含有率が13%と高いときは,生地形成時間 (DT) が短かった.パンの柔らかさを示すコンプレッションは水田のコムギの方が畑より小さく,パンは柔らかかった.小麦粉タンパク質中のSDS可溶性モノマー画分 (EMP) に対するSDS不溶性ポリマー画分 (UPP) の比は,水田のコムギで畑より有意に小さかった.なお,水田のコムギは,開花期に窒素8 g m-2を追肥して子実タンパク質含有率を高めても,原粒灰分が高く,容積重が小さいために,ランク区分はBやCだった.一方,畑のコムギは開花期に窒素を追肥しなくてもランク区分はAであった.
品種・遺伝資源
  • 大潟 直樹, 加藤 晶子
    2016 年 85 巻 3 号 p. 302-308
    発行日: 2016/07/05
    公開日: 2016/07/26
    ジャーナル フリー
    国産ゴマの振興に向けて生産性の優れる高リグナン含有ゴマ品種の開発が求められている.その効率的,効果的な品種開発には,セサミンおよびセサモリン含量の遺伝性を解明することが有効である.本実験では,7種のゴマ遺伝資源を片側ダイアレル交配したF1植物およびF2植物について圃場栽培を行い,稔実した種子のセサミンおよびセサモリン含量を分析し遺伝性を検討した.その結果,F1とF2のダイアレル分析結果に大きな相違は認められず,Vr/Wrグラフの解析からセサミンおよびセサモリン含量にはエピスタシスの影響が無いと推定でき,相加・優性モデルが適合した.両含量ではともに相加分散が優性分散を上回り,平均優性度が0.58から0.88と部分優性であった.優性効果は,含量が少ない方向に作用した.狭義の遺伝率は0.859から0.903と推定され,ゴマの他形質と比較して高い値であった.セサミンおよびセサモリン含量の遺伝性は多くの点で一致し,また各世代のセサミン含量とセサモリン含量との間には統計的に有意な正の相関関係が認められたことから,両成分含量の多少は同じポリジーン系で制御されていると考えられた.一方,異なる花粉親によって受精させたF1種子のセサミンおよびセサモリン含量は,F1種子ではなく専ら種子親の遺伝子型に依存していた.以上のことから,セサミンおよびセサモリン含量がともに高い品種の開発には,初期世代から表現型に基づいた選抜育種が有効と考えられた.

研究・技術ノート
  • 前里 和洋, 中原 麻衣, 小宮 康明, 上野 正実, 川満 芳信
    2016 年 85 巻 3 号 p. 309-315
    発行日: 2016/07/05
    公開日: 2016/07/26
    ジャーナル フリー
    サトウキビの登熟期にバガスの炭化物製造時に発生するキビ酢液を株元土壌へ施用し,その後の生育や養分吸収に与える影響を明らかにするために栽培試験および土壌分析を実施した.キビ酢液の処理が水に対して難溶性を示すリン酸三カルシウムの溶解に及ぼす影響について調査した結果,リン酸のイオン化が促進され,難溶性無機リンの可溶化が認められた.栽培試験の結果から,施用濃度100,50,10倍区および原液区の茎生体重および収量は対照区に比べ高くなる傾向にあった.甘蔗糖度は,対照区および施用区間で差異は認められなかったが,100倍区で高い値を示した.産糖量は,施用濃度100倍区が,他の施用濃度区および対照区に比べて有意に高かった.キビ酢液を施用した土壌の可給態リン酸は,対照区と比較して有意に高かった.搾汁液のリン含量およびケイ素含量は,キビ酢液を施用することで高まり,搾汁液のリン含有率およびケイ素含有率と甘蔗糖度とは正の相関関係が認められた.以上の結果,サトウキビの登熟期にキビ酢液を株元の土壌に施用することで,サトウキビのリン酸の利用率が改善され,甘蔗糖度など品質が向上することが示された.
  • 森山 真久
    2016 年 85 巻 3 号 p. 316-326
    発行日: 2016/07/05
    公開日: 2016/07/26
    ジャーナル フリー
    ハウス栽培 (雨よけ) ホウレンソウは,東北地方北部における野菜作の主要品目のひとつであり,冬季を除いて年間4作から5作される.このうち,7月から9月に作付けられる夏期作 (2作) は収量が低く,その要因の一つには連作障害があると思われる.そこで,連作を避ける作付体系によって夏期作の収量性を改善させる方法を検討した.すなわち,慣行の連作体系で夏期作の「前作」となっているホウレンソウの春期作 (4月から6月の2作) の代替として,野菜類5品目 (エダマメ,サヤインゲン,ゴボウ,ニンジン,コマツナ) と休閑とを組み合わせた8つの作付体系を設定し,それらの導入が夏期作ホウレンソウの生育に及ぼす影響を調査した.その結果,次のことが明らかとなった.第一に,夏期作ホウレンソウ2作のうち,1作目の地上部乾物重は,春期作をエダマメ,サヤインゲン,ゴボウ,ニンジンおよび休閑とする5体系で,連作体系より増加した.第二に,同じく夏期作ホウレンソウ1作目の地上部乾物重は,ホウレンソウの春期作を2作から1作に減らし,残りの1作分の期間をコマツナあるいは休閑とする3体系では,連作体系と同等であった.第三に,夏期作ホウレンソウ2作目の地上部乾物重は,生育初期の一部を除き,8体系と連作体系との差異は認められなかった.
  • 川村 富輝
    2016 年 85 巻 3 号 p. 327-333
    発行日: 2016/07/05
    公開日: 2016/07/26
    ジャーナル フリー
    九州北部の麦作において問題となっている除草剤抵抗性スズメノテッポウやカズノコグサの総合的防除技術の確立を目的として,2009年に圃場試験を実施して部分浅耕播種とグリホサートカリウム塩液剤処理の組み合わせが,スズメノテッポウとカズノコグサの発生量に及ぼす影響について検証した.その結果,グリホサートカリウム塩液剤が無処理では,部分浅耕播種は「農家慣行」に比べてスズメノテッポウの生体重が202〜321%,残草個体数が117〜185%に,カズノコグサの風乾重が190%,残草個体数が183%に増加したものの,グリホサートカリウム塩液剤処理と部分浅耕播種を組み合わせた場合は,「農家慣行」に比べて,スズメテッポウの生体重を22~24%,残草個体数を25~53%に,カズノコグサの風乾重を5%,残草個体数を13%に低減できた.
日本作物学会ミニシンポジウム要旨
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