日本作物学会紀事
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86 巻 , 3 号
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研究論文
栽培
  • 福嶌 陽, 横上 晴郁, 津田 直人
    86 巻 (2017) 3 号 p. 219-228
    公開日: 2017/07/27
    ジャーナル フリー

    東北農研育成8品種を含む水稲18品種の低温発芽性,低温伸長性,および低温出芽・苗立ち性を評価した.発芽に要する日数 (発芽日数) は乾熱処理によって短縮されたことから,供試品種は春先の播種時期においても休眠性を有していると推定された.休眠性がほぼ消失した条件の低温発芽試験において,発芽日数には品種間差異が認められた.低温水中伸長試験においては,鞘葉の伸長性に品種間差異が認められた.催芽無の条件では,発芽日数が短い品種ほど,鞘葉の伸長が明らかに早く,催芽して,その程度を揃えた条件においてさえも,発芽日数と鞘葉長の間に有意な相関関係が認められる場合があった.湛水土中播種試験においては,発芽日数の短い品種は,鞘葉の出現に要する日数 (出芽日数) が短く,特に極低温条件下においては,出芽日数が短いほど,苗立ち率が高かった.以上の結果から,本研究の供試品種においては,発芽日数が短い品種ほど,苗立ち性が優れる傾向にあると推察された.供試品種の中では,「Arroz da Terra」,「Ta Hung Ku」,「ヒメノモチ」が,発芽日数が短く,出芽・苗立ち性が優れていた.東北農研育成品種に関しては,主食用品種の「萌えみのり」,「えみのあき」,「ちほみのり」,糯品種の「ときめきもち」は,休眠性がやや強いために,場合によっては出芽・苗立ちがやや遅れる危険性があること,および飼料用品種の「べこあおば」,「いわいだわら」,「べこげんき」は,発芽日数がやや長く,出芽・苗立ち性がやや劣ることを指摘した.

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  • 田中 貴, 北脇 由布子, 広岡 博之, 稲村 達也
    86 巻 (2017) 3 号 p. 229-235
    公開日: 2017/07/27
    ジャーナル フリー

    日本の食料自給率向上のために,ホールクロップサイレージ(WCS)用飼料イネの栽培による飼料増産が期待されている.そこで,土地利用率や収益を向上し,生産コストや作業の競合を低減させるために,水稲−麦類の二毛作体系において,WCS用飼料イネの晩期直播栽培の導入が有効と考えられる.WCS用飼料イネは,籾のみならず茎および葉鞘(茎部)に多くの非構造性炭水化物(NSC)を蓄積することが消化性の向上のためにも重要であり,直播栽培においては耐倒伏性も重要となる.そこで,WCS用飼料イネの実用品種を含む8品種の栽培試験を2年間行い,晩期乾田直播条件下での,収量,NSC蓄積,耐倒伏性の品種特性を調査した.地上部乾物重に占める穂重の割合が小さい品種では,黄熟期には子実への同化産物の蓄積が停滞するため,高濃度のNSCを茎部に蓄積すると考えられた.一方,そのような品種は,在圃期間が長いため,冬作である麦類の作期と競合する可能性がある.しかし,品種によっては,糊熟期に収穫することにより,在圃期間が短くとも,茎部に高濃度のNSCを蓄積する可能性があると考えられた.さらに,糊熟期では, 地上部乾物重に占める穂重の割合が小さいことからも,黄熟期に比べて倒伏が起きる危険性は低くなると考えられた.

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品種・遺伝資源
  • 福嶌 陽, 横上 晴郁, 津田 直人
    86 巻 (2017) 3 号 p. 236-242
    公開日: 2017/07/27
    ジャーナル フリー

    東北地域の水稲生産力検定試験において,1穂籾数,登熟歩合等を新たに測定し,従来の測定項目に追加することにより,延べ108の品種・系統について,収量・品質に関与する要因を解析した.多収品種の「ふくひびき」と同等以上に多収であり,かつ普及品種の「あきたこまち」,「ひとめぼれ」と同等以上に品質の優れる品種を育成するため,精玄米重725 g/m2以上,品質4.5以下を目標値に設定した.精玄米重は,1穂籾数および25.0 g以下の範囲の千粒重との間に有意な正の相関関係が認められたが,穂数あるいは登熟歩合との間に有意な相関関係は認められなかった.精玄米重が725 g/m2以上の品種・系統は1穂籾数が77以上,千粒重がやや大粒の22.9 g~24.3 gの範囲であった.一方,精玄米重が725 g/m2以上の品種・系統の穂数の範囲は334本/m2~540本/m2と広かった.品質は,1穂籾数との間には有意な相関関係は認められなかったが,千粒重との間に有意な相関関係が認められた.1穂籾数が80と多い系統,あるいは千粒重が23.0 g~24.0 gとやや大粒の系統の中にも品質が4.5以下と優れる品種・系統が存在した.しかし,延べ108の品種・系統の中には,精玄米重が725 g/m2以上に多く,かつ品質が4.5以下に優れる品種・系統は存在しなかった.今後,1穂籾数や千粒重などの形質に着目して交配・選抜を行うことにより,東北地域における多収・高品質の品種を育成することが可能と推察した.

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  • 赫 兵, 豊田 正範, 楠谷 彰人
    86 巻 (2017) 3 号 p. 243-250
    公開日: 2017/07/27
    ジャーナル フリー

    乾田直播栽培に適した深播耐性品種の育成に役立つ知見を得るために,日本の水稲50品種を供試し,種籾を7 cmの深さで播種した場合の出芽性を比較した.出芽率は94%~0%(平均59%),平均出芽日数は18.8日~11.4日(平均15.6日),出芽係数は7.19~0.56(平均4.04) に変異し,いずれにも有意な品種間差が認められた.出芽率と出芽係数との間には正,平均出芽日数と出芽係数との間には負の有意な相関関係が認められたが,平均出芽日数と出芽率との間に有意な相関関係はみられなかった.播種後日数(X) と出芽率(Y) との関係を検討したところ,両者の関係はY=100–a・exp(–b・X)の指数関数式によく適合した.そこで,常数b×103を出芽率増加指数,X切片を出芽開始期として品種間で比較した結果,品種による有意差が認められた.出芽開始期と出芽率増加指数を説明変数,出芽率と平均出芽日数を目的変数とする重回帰分析の結果,出芽開始期と出芽率増加指数の貢献割合は,出芽率に対しては25:75,平均出芽日数に対しては92:8であった.すなわち,出芽率には出芽率増加指数,平均出芽日数には出芽開始期が強く影響すると推測された.中茎長,第1節間長および第2節間長を説明変数,出芽開始期,出芽率増加指数,出芽率を目的変数とする重回帰分析の結果,中茎長,第1節間長,第2節間長の貢献割合は,出芽開始期に対しては56:40:4,出芽率増加指数に対しては18:32:50,出芽率に対しては6:40:54であった.これらより,日本品種において深播耐性品種を育成する上で最も重視すべき特性は第2節間長であり,次が第1節間長で,中茎長の意義は小さいと考えられた.

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  • 山田 哲也, 羽鹿 牧太, 船附 秀行, 高橋 浩司, 平田 香里, 菱沼 亜衣, 田中 淳一
    86 巻 (2017) 3 号 p. 251-257
    公開日: 2017/07/27
    ジャーナル フリー

    国内のダイズの主力品種である「フクユタカ」および「サチユタカ」の遺伝背景に,難裂莢性遺伝子pdh1と強連鎖するDNAマーカーを利用した連続戻し交雑により,難裂莢性を導入した「フクユタカA1号」および「サチユタカA1号」が育成されている.本研究では,これらの2品種を用いて,2012年から2014年の3ヵ年に,岡山県,兵庫県,愛知県および千葉県の一般圃場および,作物研究所の試験圃場において,コンバイン収穫機を用いた大規模な栽培試験 (計7試験) を実施し,機械化栽培におけるpdh1がもたらす難裂莢性による減収軽減効果を評価した.その結果,難裂莢性品種は原品種に比べて裂莢損失が有意に軽減され,コンバイン収量も難裂莢性品種の方が多かった.難裂莢性による減収軽減効果は試験によって異なり,収穫が遅れた場合など,裂莢損失の多発した試験ほどその効果は大きく,原品種と比較して40%以上の多収となった.また,pdh1による難裂莢性は,自然裂莢損失と,収穫時の裂莢損失の両方を軽減したが,自然裂莢損失を抑制する効果の方がより大きかった.難裂莢性の欠点として,コンバイン内でも裂莢せず,排出口から未脱粒なまま子実が排出される損失が想定されるが,本研究では排出損失は裂莢性の難易に対して一定の傾向が認められず,全子実量の3%以下であった.一般的な収穫条件では難裂莢性品種を原品種と置き換えることで,栽培や加工における対応の必要性を最小限に抑えながら実質的な収量の増加と安定に寄与することが期待できる.

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研究・技術ノート
  • 高橋 行継, 栗田 春奈, 柴田 一輝, 戸塚 悠介, 矢口 真幸
    86 巻 (2017) 3 号 p. 258-266
    公開日: 2017/07/27
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    水稲育苗箱全量基肥技術と水稲疎植栽培は,共に育苗の省力・低コストを狙った栽培技術である.水稲疎植栽培では単位面積あたりに必要な育苗箱数は減るが,その一方で同時に水稲育苗箱全量基肥技術を用いると,育苗箱内の1箱当たりの施肥量を増やす必要性が生じる.しかし,水稲育苗箱全量基肥技術による育苗箱内の施肥量は通常1 kgを超えない範囲とされており,施肥量の上限を見極める必要がある.そこで,水稲育苗箱全量基肥専用肥料「苗箱まかせ」NK301-100を用い,ビニールプール育苗条件下で育苗箱内の肥料投入量を箱当たり600 gから最大2500 gまで変化させて苗の生育やマット強度,移植精度などについて3か年検討した.その結果,育苗期間が概ね3週間程度の条件で,育苗箱内の施肥量は1300 gまでであれば,苗の生育やマット強度,移植精度に実用上の支障がないことが明らかになった.

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  • 赫 兵, 豊田 正範, 楠谷 彰人
    86 巻 (2017) 3 号 p. 267-275
    公開日: 2017/07/27
    ジャーナル フリー

    香川県の基幹品種である中生の「コガネマサリ」,「おいでまい」,「ヒノヒカリ」を供試し,2015年に香川大学農学部内実験水田において,不耕起乾田直播栽培における播種期の違いが収量,食味,品質に及ぼす影響を検討した.播種期は4月23日(Ⅰ区),5月7日(Ⅱ区),5月21日(Ⅲ区) の3処理とし,比較のために「コガネマサリ」の6月10日移植栽培区を設けた.播種期別の収量はⅢ区,Ⅱ区,Ⅰ区の順に多い傾向を示した.移植栽培の「コガネマサリ」を基準にした食味官能試験の総合評価は,収量とは逆にⅠ区,Ⅱ区,Ⅲ区の順に高い傾向があった.玄米の未熟粒や被害粒などを除いた整粒歩合はⅡ区とⅢ区の差は小さく,Ⅰ区で大きく低下する傾向がみられた.播種期によるこれらの違いを決定づけたのは出穂期から成熟期までの平均気温(登熟気温) であった.すなわち,Ⅲ区は登熟気温が21.4~22.4℃で収量に対する適温(22℃) とほぼ一致したが食味に対する適温(25℃) よりは低過ぎたために多収であるが食味不良となる傾向を示し,Ⅰ区は登熟気温が24.2~24.5℃で食味適温に近かったが収量適温より高過ぎたために良食味であるが低収となった.さらに,Ⅰ区は登熟温度が白未熟粒増加開始温度(24℃) を超えたために玄米品質も低下する傾向がみられた.これらより,Ⅲ区は収量面では好ましいが食味が劣り,Ⅰ区は食味面では優れるが収量が低く,品質も劣る傾向にあることが判明した.したがって,収量,品質,食味を総合してみた場合,香川県における中生品種の不耕起直播栽培の播種適期は,現行より2週間から20日程度早い本試験におけるⅡ区の前後と考えられた.

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  • 大潟 直樹, 加藤 晶子
    86 巻 (2017) 3 号 p. 276-281
    公開日: 2017/07/27
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    早生でリグナン含量が多いゴマ品種「まるひめ」を用い,農研機構(つくば市)の試験圃場において2014年と2015年の2カ年試験した.7月播種は6月播種に比べて開花までの日数が短かったが,登熟期間は長くなった.「まるひめ」の収穫適期は,採種量および千粒重が最大となる播種後日数85日から95日と判断した.7月播種は6月播種よりオレイン酸含有率が低く,リノール酸含有率が高かった. 6月播種における登熟期間の平均気温は7月播種より約3℃高く,オレイン酸含有 率とリノール酸含有率との間には負の相関関係がみられたため,登熟気温が高いとオレイン酸によるリノール酸への不飽和化が抑制されると考えられた.セサミン含量は6月播種の方が7月播種より高いため,「まるひめ」には6月播種が適すると考えられた.収穫期を遅くするに従いセサミンおよびセサモリン含量は減少する傾向を示し,セサミン含量は最大で78%まで減少した.主茎および分枝を部位別とした蒴果の脂肪酸組成の違いは明らかではなかった.一方,セサミン含量は先端部で多 く,下位節で少なく,従来品種と同様の傾向を示した.

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  • 伊田 黎之輔, 伊田 眞澄
    86 巻 (2017) 3 号 p. 282-286
    公開日: 2017/07/27
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    登熟が不良な場合における水稲粗玄米の粒厚分布の調査法は,粗玄米約200 gを8分間振盪し,各粒厚別の重量比率で示す方法が定法として適用されている.本研究では登熟が不良な場合における粒厚分布調査の省力化を目的として,「コシヒカリ」(2015年東京都産) を用い,粗玄米供試量(約200 g,約100 g)と振盪時間(2分,5分,8分)との関係について,2×3要因計画を3ブロック乱塊法配置により実験を行なった.解析の結果,主効果では粒厚2.2 mmおよび1.7 mmにおける粗玄米供試量のみが有意であったが,粗玄米供試量約200 gと約100 gとの水準間における重量比率の差は極めて小さかった.一方,すべての粒厚において,粗玄米供試量と振盪時間との間には交互作用は認められなかった.以上のことから,登熟不良な場合の粒厚分布調査法として,粗玄米約100 gを2分間振盪する方法が策定され,定法 (粗玄米約200 gを8分間振盪) と同等な結果が得られる省資源・省力化調査法として活用が期待される.

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日本作物学会ミニシンポジウム要旨
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