我が国の高等教育及び図書館情報学の研究領域において,「司書官」という官職における専門職の在り方についての研究は少なく,史的に論じた研究は見られない。
そこで,本稿では,司書官制度が存在した明治期から戦前期を対象に,帝国大学における司書官の専門性について考察し,戦後,官制の変更により司書官制度が消滅した要因を考察した。
結果,明治期においては,官僚任用制度における恣意性の存在と,試験を経ずして地位に就き,客観的評価がみられなかった背景と,研究活動自体が一部の人が行っていたに過ぎず,専門職制度には至っていなかったことを指摘した。
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