大学図書館研究
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55 巻
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
コンソーシアム特集号
  • 松下 鈞
    1999 年 55 巻 p. 1-6
    発行日: 1999/03/31
    公開日: 2018/01/19
    ジャーナル オープンアクセス

    TAC(多摩アカデミック・コンソーシアム)は東京の多摩地区にキャンパスを置く,それぞれ異なる学部学科構成を持った四大学,国際基督教大学,国立音楽大学,津田塾大学と東京経済大学が,あたかもひとつの総合大学であるかのように,それぞれの大学の主題分野と個性とを生かしつつ相互に依存しあう「共生」する大学を目指して結成された連携組織である。TAC図書館の相互協力はそれぞれの図書館が見えざる総合大学の分館として機能することを目標として教育・研究環境の整備と相互補完を行うため,学術情報の流通だけでなく運営面での協力をも積極的に進めている。また学術社会と地域住民とを結ぶ情報機関としても機能することを目指している。本稿では,得意な経緯創設されたTACのコンセプトと図書館相互協力の概要について紹介する。

  • 甲斐 重武
    1999 年 55 巻 p. 7-16
    発行日: 1999/03/31
    公開日: 2018/01/19
    ジャーナル オープンアクセス

    大学図書館の電子図書館化に際し,人事と予算及び制度といったソフト環境の共同整備を図るために,コンソーシアムというキーワードが歓迎されている。九州地区の国立大学では,1998年3月から5月にかけて,地域共同サーバを設置し引用情報のデータベースWeb of Scienceを格納して,15の大学の教職員,学生が自由に利用できる実験を行った。この実験のために設置した地域共同サーバワーキング・グループという管理運用組織に,マシンの管理運用,出版社との交渉,関係機関への説明,各大学のユーザヘの対応,各図書館員の研修等を付託することによって,協力機関において効果的にデータベースを利用することができた。これら一連の活動はコンソーシアム的活動とみなされた。財源を同じくする国立大学の共同事業が,さらに拡大して設置種別を越えたコンソーシアムヘと発展できるかどうかは電子図書館を実現しようとする大学図書館に課せられた試練である。

  • 関根 三則
    1999 年 55 巻 p. 17-23
    発行日: 1999/03/31
    公開日: 2018/01/19
    ジャーナル オープンアクセス

    学術情報電子化の嵐は大規模図書館のみならず,小規模図書館にとっても大きな試練である。しかし,見方を変えれば,大学図書館が直面している研究・教育支援活動における様々な限界を打ち破る絶好の機会でもある。例えば,大学図書館が個々に着手している電子図書館化推進計画を,コンソーシアムによってさらに大きく推進させることができれば,予算の有効利用,サービスの向上に大きく貢献することができる。

    コンソーシアムの定義,そのメリット・デメリットについて論じられる際に,必ずといってよいほど指摘されるのが,主として契約に関わる会計的な問題である。確かに,大学図書館も出版社も,まだ各々の諸条件を明確に整理できる時期ではない。しかし,そのような状況であっても,会計規則に則り,ケースバイケースで取り組んでいくことは必ずしも不可能ではない。

    その一例として,現時点で長岡技術科学大学が参加しているいくつかのコンソーシアム型共同利用を紹介する。コンソーシアムを積極的に検討しながらも,実務面での壁に直面している大学図書館の参考になるよう,特に契約における実務を中心として紹介する。

  • 中谷 俊介
    1999 年 55 巻 p. 24-27
    発行日: 1999/03/31
    公開日: 2018/01/19
    ジャーナル オープンアクセス

    インターネットの広がりと共に電子ジャーナルの数は急速に増えつつあるが,実際に電子ジャーナルを有料で購入している機関ユーザーの数は,特に日本においてはまだ極めて少ない。電子ジャーナルが本格的に普及するためには,「ハード」,「ソフト」,「価格」,「運用」,「バックファイル」,「統合サービス」の各領域で,解決すべき問題が残されている。

  • 小倉 久男
    1999 年 55 巻 p. 28-37
    発行日: 1999/03/31
    公開日: 2018/01/19
    ジャーナル オープンアクセス

    ここ数年間に国立大学における情報通信ネットワークの環境は充実し,各大学では電子図書館の構築に積極的に取り組んでいる。では,どのような電子図書館の構築が考えられるであろうか。エルゼビアという一学術出版社の立場から,ScienceDirectという同社が出版している約1000誌をカバーする電子ジャーナルを例にあげて,ローカルとリモートでのアクセス,コンソーシアムや著作権等を含め,その現況と今後の課題を大学側と出版社側の両方に焦点をあてて述べる。

論文
  • 増田 元, 高橋 努, 米澤 誠, 村田 輝
    1999 年 55 巻 p. 38-53
    発行日: 1999/03/31
    公開日: 2018/01/19
    ジャーナル オープンアクセス

    大学図書館の過去のデータをNACSIS総合目録データベースヘ遡及入力する際の方式を比較し,オンライン自動登録方式の特徴,問題点およびその有効性について考察した。遡及入力ツールとしての自動登録システムの有効性を検証するため,国立大学図書館協議会次期電算化システム専門委員会が開発した新目録所在情報システム対応目録自動登録クライアント(CATP-Auto)を用いて,カード目録データおよび機械可読データによる遡及入力実験を行い,その結果を分析した。最後に各大学図書館が効率的に遡及入力を進めるための指針を示した。

  • 稲葉 洋子
    1999 年 55 巻 p. 54-64
    発行日: 1999/03/31
    公開日: 2018/01/19
    ジャーナル オープンアクセス

    神戸大学附属図書館では阪神・淡路大震災関連資料を網羅的に収集,整理,保存の上,平成7年10月から「震災文庫」として一般公開をしている。この文庫では震災資料を保存するとともに,これらの資料を震災からの復旧・復興計画や地震研究・防災対策に役立てていただくために収集を続けているものである。平成10年12月末で資料タイトル数は14000件を越えている。集まった資料は図書,雑誌,写真,地図,抜刷,レジュメ,チラシ,CD,点字資料,ビデオとあらゆる形態をしている。「震災文庫」では,さまざまな形態の資料に対して保存と公開を兼ねた整理方法を考え,また書誌情報のデータベースを構築して,インターネットで提供している。写真資料のデジタル化保存やインターネットによる写真画像の提供,一枚もの資料の画像イメージの提供など,原資料の電子化にも取り組んでいるところである。また,画像提供においては,著作権の許諾作業も進めている。本稿では,「震災文庫」を中心に他の資料収集機関とのネットワークを紹介するとともに,震災資料の電子図書館化をめざす動きについても述べてみたい。

  • 石村 恵子, 福井 恵, 岡部 幸祐, 兼松 泰文, 栗山 正光
    1999 年 55 巻 p. 65-74
    発行日: 1999/03/31
    公開日: 2018/01/19
    ジャーナル オープンアクセス

    筑波大学附属図書館では平成9年度,文部省から電子図書館推進経費の配分を受け,電子図書館システムを導入し,サービスを開始した。大学図書館が事業として行う電子図書館は世界的に見てもあまり前例がなく,システムの構築にあたっても運営体制を整えるにも試行錯誤の連続で,まだまだ発展途上の段階である。本稿では導入から半年を経過した現在,システムの運営やデータ作成の現場がどのような状況にあり,どのような課題を抱えているかについて報告する。

編集後記
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