MyLibraryとは図書館ポータルの一種で利用者個人個人がカスタマイズできるサービスを提供するものである。1998年頃からアメリカでサービスが開始され,近年日本の大学図書館にも導入されつつある。他大学に先駆けて運用を開始した京都の3大学(京都大学・同志社大学・立命館大学)での経緯・サービス内容・問題点などを紹介し,比較検討を行った。またこれらの実例を踏まえて今後のMyLibraryサービスの新たな展開の可能性について取り上げた。
九州大学附属図書館は,大学統合と国立大学法人化という大きな変革期のなかで図書館ポータル「My Library」を開発し運用してきた。これはサービスの一元的窓口として従来の蔵書検索やサービス依頼を統合する形のものであるが,システム的には必ずしも完成されたものではなく,マニュアル業務を活用して柔軟に対応してきた。2005年末には大学の新キャンパスヘの移転が開始され,新しい図書館が開館することに加え,図書館システムの機種更新も予定されている。これを機に図書館ポータルとしての総合的な完成度を高めようとしている。
法政大学大原社会問題研究所は,社会・労働問題の研究所であると同時に公開の専門図書館・文書館としても機能している。研究所のWeb-siteでは,ポスター・書簡などの画像資料,非図書資料の内容リスト,刊行物の全文情報などをユーザーの利便性を考えデータベースや一覧リスト,内容を小分けしたファイルなど様々な形式で公開している。主なコンテンツをその考え方とともに述べる。
大学図書館における電子資料の浸透は,ここ数年飛躍的に高まり,従来の図書館のあり方を根本的に変えるほどのインパクトを持ってきた。ハーバード大学での事例を中心に,現在大学図書館で進行中の電子資料サービスを紹介する。
電子ジャーナルのオープンアクセスは,電子ジャーナル価格の高騰や商業出版社の寡占に抗議する運動として起こったが,同時にこれは権利者による過度な保護に対して知的資産の共有をめざす運動,研究情報の共有化を目指す運動などとの関連がある。これらオープンアクセスをめぐるさまざまな運動について議論し,またオープンアクセスに関する対立する議論を紹介し,問題点の理解を助ける。
本稿は,米国のACRLが進めてきた情報リテラシー教育の活動を概観し,わが国での情報リテラシー教育の理論構築と概念化を図ろうとするものである。平成8(1996)年度から3年間実施した新潟大学をはじめとして,大学図書館が授業との関わりで組織的な取り組みをはじめて約10年が経過しようとしている。大学全入時代をきっかけに,大学図書館が教育に貢献していくための方策を検討する必要がある。そこで情報リテラシー教育の現時点での課題等を明確にし,わが国独自の状況も考慮に入れた理論構築とモデル開発や今後のあり方等を提言する。
2004年春に開学した国際教養大学は,図書館の「24時間オーブン,年中無休」を実施している。全国でも類例のない制度を導入したのは,理想の大学づくりの象徴とするためであった。幸い,学生からは圧倒的な支持を得て,常に深夜,未明まで学生が勉学にいそしんでいる。新制度導入に至る背景から,2005年夏までの実績,職員の勤務体制や管理運営上の配慮などについて,その実態を館長としての体験を基にできるだけ詳細に報告し,全国の大学図書館の参考にしていただきたいと願っている。
江戸川大学総合情報図書館は平成16年6月より,現場に専任職員が1人もいない全面業務委託図書館がスタートし1年が経過した。業務委託計画から業務委託後の図書館運営について具体的事例を交えながら報告をし,大学図書館の業務委託について,実際にこのプロジェクトに参加した立場から所見を述べる。
筑波大学附属図書館は,平成7年6月に国立大学としては初めて大学図書館ボランティアの受入れを開始し,今年で10周年を迎えた。平成17年6月には,「筑波大学附属図書館ボランティア10周年記念式典」も盛大に開催され,同時に記念誌「筑波大学附属図書館ボランティアのあゆみ-10周年を記念して-」も刊行された。10年を迎えた現在,大学図書館ならではのボランティア活動が活発に行われ,図書館の中においてもその活動は定着してきている。これまでの10年の歩みをふりかえり,その活動成果を検証することにより,これからの課題をふまえたボランティアの今後の展開について考える。
本会合への参加は,わが国の大学図書館界として,北米会合の第12回(ナッシュビル大会),14回(ラホーヤ大会),15回(ニューオリンズ大会),欧州会合の第6回(バルセロナ大会)に続くものである。今回は,文献情報データベース,電子コンテンツの保存や管理,各館のコレクション分析,紙媒体資料の共同保存あるいは保存書庫問題,利用者の満足度調査の意義など,幅広いテーマが取り上げられ,また,電子ジャーナルを中核とする学術文献を取り巻く環境の変化,特にオープンアクセス化の動向などについての議論が行われた。ここに,その概略を報告する。
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