日本歯科医学教育学会雑誌
Online ISSN : 2433-1651
Print ISSN : 0914-5133
40 巻, 1 号
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原著
  • 守下 昌輝, 福田 晃, 村岡 宏祐, 中村 太志, 吉岡 泉, 小野 堅太郎, 粟野 秀慈
    2024 年 40 巻 1 号 p. 3-10
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/04/19
    ジャーナル フリー

    抄録 近年急速に発展した大規模学習モデルの開発は目覚ましく,歯科教育分野への応用が模索されている.本研究では,OpenAI社が開発したChatGPT-3.5とGPT-4に歯科医師国家試験を解答させ,正答率を比較・評価した.

     厚生労働省のホームページから歯科医師国家試験問題を入手し,図表,画像などを含む問題以外を対象とした.ChatGPT-3.5およびGPT-4にプロンプトと問題を入力して,必修問題,一般問題(領域A,領域B,領域C)の正答率を評価した.

     必修問題:288問,一般問題:500問,領域A:314題,領域B:92問,領域C:94問について,ChatGPT-3.5とGPT-4との正答率に大きな違いを認め,すべての問題・領域でGPT-4が有意に高い正答率を示した.問題文の指示する正答数別において,「すべて選べ」以外は,GPT-4の正答率がGPT-3.5よりも有意に高いことが示された.

     ChatGPTによる歯科医師国家試験の問題解決能力について,GPT-4はGPT-3.5を凌駕しており,画像や図表を含まない問題において,領域Bを除き,歯科医師国家試験に合格できる能力を有しており,歯学教育支援ツールとなりうる可能性があることが示唆された.

  • 田谷 雄二, 田中 とも子, 田代 有美子, 石黒 一美, 長田 敬五
    2024 年 40 巻 1 号 p. 11-19
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/04/19
    ジャーナル フリー

    抄録 LBP(LTD based PBL)は協同学習の技法であるLTD(learning through discussion)とPBL(problem based learning)を組み合わせた教育方略である.2020~2022年度のLBPを活用した授業として「話し合い基盤型問題解決演習」(以後,LBP授業)は日本歯科大学生命歯学部1年生全員を対象に,オンライン,対面または両方の授業形態で実施した.本研究では,LBP授業における学生の自己評価の結果についてそれぞれの授業形態間で比較検討を行った.2020年度はLTDとPBLともにオンライン型のLBP(以後,オンラインLBP),2021年度はLTDがオンライン型でPBLが対面型のLBP(以後,ブレンドLBP),2022年度は両方とも対面型のLBP(以後,対面LBP)で実施した.学生の自己評価の解析から,「学習項目の抽出」や「適切な情報収集」「学習内容の整理」「傾聴」ができたかという質問項目では,オンラインLBP・ブレンドLBP・対面LBPの間で有意な差はみられなかった.これに対して,「わかりやすい発表」「積極的な話し合い参加」「良好なコミュニケーション」「グループへの貢献」ができたかという対話の深化に強く関連する質問項目では,オンラインLBPと比べた場合,対面LBPまたはブレンドLBPとの間で肯定的な回答をした学生の割合が有意に高いという結果を得た.

     以上のことから,活発な討論や良好な対話を促すにはオンラインLBPに比べてブレンドLBPや対面LBPのほうが適していることが示唆された.

紹介
  • 加藤 功一, 谷本 幸太郎
    2024 年 40 巻 1 号 p. 20-23
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/04/19
    ジャーナル フリー

    抄録 広島大学歯学部では,豊かな人間性を有し,国際的に活躍できる歯科医療人の育成を目的として,この10年あまりの間,教育の国際化に力を注いできた.とりわけ日英両言語授業法を歯学専門プログラムにおけるすべての授業科目で採用した2012年は,国際関連事業の拡大にとって重要なターニングポイントとなった.それを契機に,海外協定校からの学生受け入れが常時可能になり,教育現場の国際化が大いに促進された.実際,海外からの留学生を短期・長期に受け入れる各種のプログラムを毎年実施した.この取り組みは,国際的教育環境の充実に役立つだけではなく,歯学教育を通した国際貢献という点でも重要な意味をもつ.また,国際的環境のなかで日本人学生らの海外留学に対する意欲が年々高まり,海外で多様な経験を積みたいと考える学生が増加して,実際,毎年多くの学生を協定校へ派遣できるようになり,学生らの視野を広げる機会の提供につながった.本稿では,このような教育国際化の経緯,現状,展望について紹介する.

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