口腔衛生学会雑誌
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21 巻, 4 号
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  • 佐藤 正明, 佐藤 誠司, 竹内 貢, 井下田 滋忠, 岸田 隆, 森本 基
    1971 年 21 巻 4 号 p. 279-285
    発行日: 1971年
    公開日: 2010/03/02
    ジャーナル フリー
    歯牙酸蝕症の予防抑制に関する研究は少なく, 局所的立場からの研究が, アルカリ剤の含嗽, 防毒マスク, 弗化物の歯面塗布、抗酸チューイングガム等がある程度である。そのなかで馬場の抗酸チューイングガムを除いては, 資料を示した研究報告はなく, 文献的に抗酸チューイングガムのみが有効ということになる。そこで, 著者らは, 齲蝕予防の目的で使用されている弗化物の歯牙酸蝕症に対する抑制効果がどうであるか, 抜去歯牙を用い若干の基礎的検討を行なった。
    実験はBrudevold酸性弗素燐酸溶液の歯面塗布法により, (1) 歯の表面硬さの変化, (2) 歯の厚径の変化と重量の変化, (3) 酸浸漬による歯面の光学顕微鏡的変化について求めた。教室にて開発した引掻き硬さ試験機により, 弗化物塗布前後の表面の硬さを比較し, 実験装置内で酸溶液を歯牙に1時間噴霧し, 1時間水洗し, Replica採取, その後, 水を浸ませたフォームラバー (5g荷重) にて1時間歯面の摩擦, 水洗後再びReplica採取し, 100時間の実験を行なった。
    厚径の変化, 重量の変化は10時間の酸噴霧ごとに, 厚径はマイクロメーター, 重量は化学天秤にて求めた。弗化物塗布は, Brudevold第1法, 第2法により, 酸噴霧1時間毎に, 10時間毎に行なった。酸浸漬による歯の表面の変化については, pH4.0のHCl, H2SO4, HNO3について行ない, 1時間浸漬, 1時間水洗を40時間繰り返し, そのつどReplica採取し, 光学顕微鏡下にて, 歯の表面変化を観察した。
    成績は, (1) 弗化物塗布 (Brudevold第1法, 第2法) による歯の表面硬さの変化については第1法塗布の場合, 前値平均146.2, 後値平均172.2で差は26.0, 第2法塗布の場合, 前値平均182.6, 後値平均194.2, 差11.6が認められるが, この間に有意な差はなく, 塗布後硬化があるとは考えられない。 (2) 歯の厚径重量の変化は, 時間の経過とともに若干の減少を示したが, すべての実験条件の間には有意な差は認められず, 弗化物が有効であったとは言えなかった。 (3) 酸浸漬による歯の表面変化は, 各酸により若干の進行速度に差異は認めるが, いずれも5時間位から脱灰像が認められ, 弗化物の有効性を証明することはできなかった。
  • 吉田 太一
    1971 年 21 巻 4 号 p. 286-324
    発行日: 1971年
    公開日: 2010/03/02
    ジャーナル フリー
    歯周疾患の疫学的研究をするには, その疾患に関係あるIndexを使用するのが効果的である。
    そこで, 東京都内の成人女子70名を対象とし, Debris Index (DI), Calculus Index (CI), Oral Hygiene Index (OHI), PMA Index (PMA-I), Periodontal Index (PI) の5 Indexについて検討をおこなった。
    まず, 対象70名を検診して個人個人の各Indexの平均値を求めると, DIは1.92, CIは0.35, OHIは2.26, PMA-1は4.71, PIは0.51であった。
    次に, さきに検診した対象をA, B, C群にわけ, A群にはAllantoin, B群にはIpsilon, C群にはDihydrochlesterolをそれぞれ添加した歯磨剤を用いて歯ブラシで歯口清掃し, 1週間ごとに4回検診した。そして, 検診5回の延べ350名の個人個人の各Indexを求め, 2つのIndex間の相関係数 (r) を求めたところ, いずれもrはともに高度に有意なる相関関係にあることを認めた。また, それぞれ求めたrを各Index別に比較すると, OHIのrは他のIndexより高い値を示した。しかし, OHIはDIとCIとを合わせたものであるから, OHIとDI, OHIとCIのrを比較すると, 前者の方が高い値を示した。そこでDIを基として, 他のIndexを求める回帰方程式を作成した。
    さらに, A, B, C 3群おのおのの延べ5回検診人員の各Index相互間のrはいずれも有意であった。これを3群別に各検診回数から次回の検診回数までの, 個入個人における各Indexの差を求めた。そして, 各回数間別に, DIを基として他の各Indexとのrを求めたところ, 3群ともDIとOHIはいずれも高度に有意なるrを得た。しかし, DIはOHIを除く他のIndexとは異なった相関関係があった。
    以上, 歯周疾患における各Indexの現状, 各Index算出の簡易化ならびに各Indexによる3薬剤の特性について知見を得ることができた。
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