放射性の
18F,
113Snで標識したNa
18F,
113Sn
2P
2O
7を配合したフッ化物水溶液および歯磨剤を作り, 健全エナメル質表面に作用させた場合の, とりこみフッ素量, スズ量を測定し, その耐酸性効果を比較検討した。
使用した薬液の組成は, (a): 0.2%NaF水溶液 (pH7), (b): 0.2%NaF-0.1M・H
3PO
4水溶液 (pH4.2, 3.5, 3.0), (c): (b) の歯磨剤 (pH4.2), (d): 0.2%NaF-0.1M・H
3PO
4-1%Sn
2P
2O
7水溶液 (pH4.2), (e): (d) の歯磨剤 (pH4.2), (f): 0.2%NaF-0.1M・H
3PO
4-0.1%Sn
2P
2O
7水溶液, である。なお, (c), (e) の歯磨基剤はIMP (不溶性メタリン酸ナトリウム) である。
その結果, 中性NaF水溶液を作用させた場合に比べて, これにリン酸を加えてpHを低くした場合は, フッ素のとりこみ量が著るしく増加した。このNaF-H
3PO
4に歯磨剤成分を配合した場合およびSn
2P
2O
7を加えた場合は, NaF-H
3PO
4水溶液作用の場合に比べてフッ素のとりこみ量は減少した。しかし, エナメル質の耐酸性はSn
2P
2O
7を添加した場合には増強された。Sn
2P
2O
7をNaF-H
3PO
4水溶液または歯磨剤に配合した薬液では, 調製後日数を経過した薬液を作用させると, スズのとりこみ量の減少がみられ, 耐酸性も減弱することが認められた。これらの水溶液または歯磨剤を反復作用させることにより, フッ素, スズのとりこみ量は増加の傾向が認められた。
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