口腔衛生学会雑誌
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30 巻, 5 号
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  • 山田 茂, 郷 義明, 多島 仁, 堀内 和夫, 升谷 佐代子, 小野 房子
    1981 年 30 巻 5 号 p. 406-414
    発行日: 1981年
    公開日: 2010/03/02
    ジャーナル フリー
    小学校3学年の児童40名を対象として, B社製エリスロシン含有歯垢染出錠を用いて, 4つの方法で歯垢染色を行なった。エリスロシンの口腔内残量は, 1分間用いる2つの方法 (第1法および第2法) では, エリスロシンのおよそ40%, 20秒問用いる場合 (第3法および第4法) は, およそ37~34%であった。これらのうち歯垢染出錠を3回噛んで, 口中にゆきわたらせ, 20秒後吐出す第4法は, 1分問用いるどの方法よりも, 有意差をもって少なかった。20秒間用いる方法は, 1分間用いる方法よりも, いくぶん染色状態の劣る場合もあったが, 小学校などで, 歯垢の附着状態を判定するには十分な程度であった。使用時間が20秒以下では染出程度は不良であったので, エリスロシンの口腔内残量を少なく, かつ歯垢の附着状態を判定するには, 第4法がまさっていると考えられた。一般に行なわれている歯垢染出錠の応用方法でも, 安全性は高いものと考えられるが, その使用にあたっては, 口腔内残量を可及的に少なくするための配慮が必要と考えられる。
  • 三宅 洋一, 小林 暁, 山田 博, 深田 英朗
    1981 年 30 巻 5 号 p. 415-422
    発行日: 1981年
    公開日: 2010/03/02
    ジャーナル フリー
    カラーフィルムを用いた歯肉色の測定に関しては, これまでにも数多くの論文が報告されている。しかしながらフィルム上の再現色は, 撮影, 現像等の多くの要因によって変動するため十分な成果をあげることができなかった。
    本論文では, カラーフィルムを用いる三色帯測光法により, 歯肉色を表わす値として色判別値 (Color Discrimination Index) を提案し, この値が従来の再現色, 色度値に比べて, カラーフィルムの再現色に影響を与える諸因子による変動が少ないことを明らかにし, 歯肉色の測定に応用することが意義あることを述べている。
    また, 色判別値を用いた歯肉カラー写真のディジタル画像処理の手法および処理結果の例も示し, 電子計算機を用いる画像の処理法が歯肉色の測定や解析にきわめて有効であることを明らかにしている。
    本論文は, 第1報として歯肉色測定と解析の基礎的方法論を述べたものであり, 具体的な応用に関しては第2報以降で報告される。
  • 長澤 誠二, 岸本 悦央, 奈良 美夫, 幡田 成美, 森田 恵美子, 河野 一典, 柴田 治雄, 薬師 寺毅, 花岡 美那子, 森崎 弓子 ...
    1981 年 30 巻 5 号 p. 423-431
    発行日: 1981年
    公開日: 2010/03/02
    ジャーナル フリー
    保健所で実施されている3歳児歯科検診を通じてアンケート調査を行い, 離乳前の栄養方法, 哺乳ビン使用状況, 間食習慣などの要因と乳歯う蝕罹患状態との関係を調べた。対象は3歳児1,319名とその保護者である。う蝕罹患者率は75.5%, 一人平均う歯数は4.5であった。以下の5群において, 罹患者率が有意に高かった、すなわち, 母乳栄養群, 哺乳ビンを2歳以上まで使用した群, 就寝時に哺乳ビンを度々使用した群, 間食を不規則に与える群, および乳酸菌飲料を週2, 3回ないし毎日飲む群である。母乳栄養群について他の要因との関連を調べた結果, 就寝時の哺乳ビン使用頻度, 間食習慣, 乳酸菌飲料の飲用状態に関して, 他の2つの栄養群と比較して特に差はなかった。A|Aの罹患者率は全乳歯の罹患者率の関係をよく反映していた。
  • 高橋 昭記, 荒川 浩久, 浅井 康年, 飯塚 喜一
    1981 年 30 巻 5 号 p. 432-442
    発行日: 1981年
    公開日: 2010/07/27
    ジャーナル フリー
    モノフロを配合させた歯磨剤からのフッ素のとり込み量を, 牛の下顎前歯を使って測定した。
    はじめに, モノフロをフッ素として1000ppm含む歯磨剤409と水409の1: 1の懸濁液中へ, 牛歯10本を37℃, 2時間処置した。
    フッ素濃度を測定する為の歯牙のEtching法として, 不織布法を採用し, 連続的に表層よりEtchingを行なった。
    対照として, フッ素処置しない牛歯10本も同様にEtchingして, フッ素濃度を測定した。
    その結果, モノフロ含有歯磨からのフッ素uptakeは, エナメル表層より6μ程度に限局され, その量は2μで1200ppm, 3μで900ppm, 4μで600ppm, 5μで500ppm, 6μで300ppm程度であった。 (Fig. 1)
    第2の実験として, モノフロ水溶液からの牛歯エナメルへのフッ素とり込みに対する, 歯磨剤に使われる主要な研磨剤5種の影響度合いを検討した。
    その結果, 非カルシウム系の研磨剤である不溶性メタリン酸ソーダ, シリカが, 研磨剤を加えなかった水のみのもの (control) とほぼ変らないフッ素とり込み量を示し, これらがフッ素とり込みを妨害しないことがわかった。
    一方, カルシウム系の研磨剤である炭酸カルシウム, 第2リン酸カルシウム・2水塩は, フッ素とり込みを大きく妨害することが判明した.
    以上のことから, たとえモノフロ・カルシウムが水に比較的可溶であっても, モノフロを歯磨剤に配合するときには, 非カルシウム系の研磨剤を使った方が, 良い結果を示しうることが示唆された。
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