口腔衛生学会雑誌
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31 巻, 1 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
  • 大西 正男, 志村 則夫, 中村 千賀子, 佐藤 誠
    1981 年 31 巻 1 号 p. 13-19
    発行日: 1981年
    公開日: 2010/03/02
    ジャーナル フリー
    日本で最も安価な番茶のうち, 可溶性フッ素を適当に含むものをえらび, 新潟県守門村須原小学校児童298名に, 毎給食後, 1975年12月から1976年11月にわたる1カ年間に, 毎回コップ一杯の茶 (約0.49mgF) を約250日与えた。この間に被検児童のう蝕好発部に表われた病変数を, 対照とされた上條地区の3小学校児童185名に表われた変化に比較した。小窩裂溝で52.7%, 隣接面で56.6%の減少率を得たが, 歯肉寄り唇面では影響がみられなかった。
  • 野中 秀樹, 佐治 靖介, 菊地 景, 山本 洋一, 中村 亮, 常光 旭
    1981 年 31 巻 1 号 p. 20-23
    発行日: 1981年
    公開日: 2010/07/27
    ジャーナル フリー
    Endo型のα-1-3-glucanaseであるmutanase (α-1-3-glucan, 3-glucanohydrolase) を含有する洗口剤が, 歯垢の付着抑制に効果が認められるかどうかを二重盲検法により検索した。
    Mutanase含有洗口剤とPlaceboを1対としてcode (暗号) を控えてのちblindとし, その一方を用いて歯口清掃を完壁に行った志願歯科学生に毎食後1日3回1週間洗口させ歯垢付着の状態を記録した。その後通常の歯口清掃を2週間行わせたのち再実験開始前に再び歯口清掃を完壁に行い, 他方の洗口剤を用いて上記と同じ実験を行った。なお, 洗口期間中は他に一切の歯口清掃を行わせなかった。
    1週間の実験期間中に形成された歯垢付着の状態をscoring法により評価し統計的処理を行うと, mutanase含有洗口剤による洗口は, 上下顎全歯面の歯面当りの歯垢付着の抑制に効果があり, 統計的にp<0.02で有意の差が認みられた。また, 部分的には下顎臼歯部を除いていずれも舌側面の歯垢付着の抑制に効果が認められたが, 唇側および頬側面では効果が認められなかった。今後, 酵素の活性を高めるか, dextranase等との併用により, さらに良い結果が期待出来るものと思われる。
  • 熱海 智子
    1981 年 31 巻 1 号 p. 24-40
    発行日: 1981年
    公開日: 2010/03/02
    ジャーナル フリー
    口腔内常在性の偏性嫌気菌であるVeillonellaは, 口腔内微生物の中で最も強い硝酸還元作用を示す。著者はヒト唾液から分離したVeillonellaを, V. alcalescensおよびV. parvulaに分類し, これらの分離菌について, 硝酸塩添加培地における亜硝酸イオン (以下NO2-で表わす) 濃度の経時的変化と菌の成長曲線との関係, 並びに硝酸および亜硝酸還元力を求め, 両菌種問の硝酸還元作用の差異を比較検討した。
    その結果, 対数増殖期では両菌の硝酸還元作用に明確な差は認められなかったが, 定常期ではV. alcalescensにだけ亜硝酸還元作用が認められた。また, V. parvulaにおいても, 好気培養条件下では, V. alcalescens型 (NO2-を還元する) に移行することが判明した。そして, V. parvulaV. alcalescens型への移行にはcatalase作用が関与するものと推定した。
    また, Veillonellaの硝酸還元酵素活性は主として膜結合成分に存在し, これは対数増殖期でも定常期でも, ともに認められた。しかし, 細胞質成分に存在する酵素活性はV. alcalescensの定常期においてのみ特異的に増加した。
    以上の結果から, V. parvulaは呼吸型の硝酸還元作用を示すが, V. alcalescensは呼吸型および同化型の硝酸還元酵素を持ち, 対数増殖期には両方の酵素が, また定常期には同化型が働くものと結論した。
  • 望月 廣
    1981 年 31 巻 1 号 p. 41-58
    発行日: 1981年
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
    日本人開業歯科医師のB型肝炎について, その罹患状況および感染源としての唾液について調査, 研究を行なった。
    調査方法および対象は, 3つの段階に分けて行なった。
    1. 肝炎に関するこれまでの既往について全国の30歳~60歳までの男子開業歯科医師を対象としたアンケート調査を実施した。抽出率は1/10である。
    2. 現在の肝炎の既往について, 東京都内あるいは近郊に在住する25歳~60歳までの開業歯科医師の血清中のHBV関連抗原, 抗体について検索を加えた。対象者数は209名であり, 対照者群としては, 東京都内一般事務系職員290名の血清とした。
    3. 感染源としての唾液についてHBs-Ag, HBe-Agの検索を行なうことで, 唾液がB型肝炎の感染に占める度合を検討した。対象は血清中のHBs-Agが陽性な者36名の口腔底貯留唾液と耳下腺純唾液である。
    その結果, 日本人開業歯科医師は, 一般入に比べ, 不顕性にB型肝炎に罹患している率が高く, その経路は, 歯科患者の治療の際の唾液あるいは血液による可能性が高いことが判名した。さらに, 血清学的追跡調査によれば, 一人の開業歯科医師が年間に接触するHBs抗原陽性者の数は35~40名程度であると推計された。又, 唾液中のHBV関連抗原は血液による潜血の可能性が高く, HBe-Agの検索結果, 唾液による感染の可能性のあることが立証された。又, 各国の歯科医師との比較によれば, 日本人歯科医師は最もB型肝炎に感染している率が高いことが判名した。
  • 小沢 亨司, 橋本 良幸, 長谷川 泰啓, 福原 幹二, 杉本 源衛, 高橋 陸雄, 相良 徹
    1981 年 31 巻 1 号 p. 59-65
    発行日: 1981年
    公開日: 2010/03/02
    ジャーナル フリー
    歯科診療において, 使用頻度の高いものの一つに, エァーコンプレッサーがあるが, それから吹きだされる空気は, 口腔内の治療に使用されるため, 清浄でなければならない。しかし, 我々の研究ではその空気は清浄とはいい難く, また清浄でないという報告もなされているし, その対策についての報告も少ない。今回我々は2箇所においてエアーコンプレッサーから吹き出される空気中に含まれている, 粉塵, 細菌, 水分等を除去し, 歯科用ユニットに清浄空気を供給するピュアトロンを入手する機会を得たのでその効果について若干の検討を行なった。除塵効率についてはRoyco 202 airborne particle moniterによって大きさ別に15段階にわたって測定し, 除菌効率はSY式pin hole sarnplerをもちいて行ない, 除湿効果についても測定した。
    その結果, 1) 実験室内における粉塵粒子の除塵効率は, 1.5μ以上で100%を示し, 歯科診療室では, 2.0μ以上で100%を示した。2) 除菌効率は, 実験室内では99.6%を示し, 歯科診療室では100%を示した。3) Serratia marcescens菌噴霧時の除菌効率は, ピュアトロン吸込み口のコロニー数が3.60±0.34個/1の時に100%を示した。4) 除湿効果については, ピュアトロン通過後の湿度はすべて36%を示した。
    今後ますます口腔内の治療という点からこの様な器材の必要性が高まることが予想されるが, より高い除塵, 除菌効率を示す高性能な器材の開発をしていかなければならないと思う。
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