口腔衛生学会雑誌
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33 巻, 1 号
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  • 第1編 現症との関係について
    河野 知弘, 杉山 義祥, 松尾 敏郎, 正木 久秀, 山本 明, 奥寺 元, 木本 椿作, 金子 信雄, 鹿谷 実, 木下 藤朗, 池沢 ...
    1983 年 33 巻 1 号 p. 6-17
    発行日: 1983年
    公開日: 2010/10/27
    ジャーナル フリー
    plaque中のStr. mutansを比色定量法により, 間接的に測定し, う蝕活動性試験に応用することを試みた。
    用いた培地は, 新たに開発したStr. mutans選択培地-KKY培地-である。この培地は, グラム陰性菌発育阻止剤として, 0.1%Phenethyl Alcohol, 0.0075% Sodium Azideを含み, pH指示薬としてBromocresol Purpleを含む。また, C源にMannitolを用いた。
    KKY培地のStr. mutansに対する選択性を血清型a~g群のStr. mutans各株を用い, 検討した結果, KKY培地はMS培地に比べ, Str. mutansに対し発育阻止の認められないこと, および, agar plate上に黄色円形のsmooth型のコロニーの得られることが明らかとなった。また, これらのコロニーが直径3mmの大きさを示すのに対し, その他の口腔細菌はKKY agar上で全く発育しないか, 発育しても直径1mm以下のコロニーであった。
    また, ヒトのplaqueを滅菌生理的食塩水で適当な濃度に希釈し, KKY agar上に接種した結果, Str. mutansは大きな黄色コロニーとして選択されることが解かった。
    そこで, このKKY培地の寒天濃度を下げ, 培地に流動性を与えたものをう蝕活動性試験液とし, う蝕罹患状況との関係を検討した。その結果, KKY testの判定結果は, 市販の二製品と比べ, う蝕の現症を表現する上において優れた成績をおさめた。
  • 第2編 予測性に関して
    河野 知弘, 豊山 洋輔, 南野 博行, 矢島 康二, 榊原 敬次郎, 相原 道男, 木本 椿作, 金子 信雄, 木下 藤朗, 松原 潔, ...
    1983 年 33 巻 1 号 p. 18-26
    発行日: 1983年
    公開日: 2010/10/27
    ジャーナル フリー
    新たに開発したStr. mutans選択培地を用いたう蝕活動性試験 (KKY test) の予測性について検討した。
    神奈川県下の幼稚園児436名を対象に, 初診時のう蝕活動性試験の判定結果と6ヵ月後のう蝕の増加について調査した。
    また, Snyder test, Cariostatを同時に実施し, 比較検討を行なった。
    その結果, KKY testでは, 判定が陽性のものほど6ヵ月後のう蝕増加の多いことが認められた。
    しかも, KKY testは従来のSnyder test, Cariostatとは異なり, 判定結果とう蝕増加の様式がPoisson分布に近似した型で高い予測性が得られることが明らかとなった。
    以上のことから, KKY testの臨床上の有用性が示唆された。
  • 古山 公英, 桃木 三郎, 黒岩 茂, 金子 芳洋
    1983 年 33 巻 1 号 p. 27-38
    発行日: 1983年
    公開日: 2010/10/27
    ジャーナル フリー
    歯の白斑 (とくに歯牙フッ素症) を視診または撮影した写真上で判定する場合, 歯表面の反射光により判定に困難を生ずることが多い。そこでダイクローム偏光フィルターを使用した写真撮影法 (無反射撮影) を考案し, 某小学生集団の口腔内撮影を行い, 同時にメディカルニッコールによる撮影 (普通撮影), 視診による白斑症度判定を実施し, その3者の結果を比較検討した。
    無反射撮影により歯表面の白斑はその存在と形態がより明瞭に認識されるようになった。その結果, 視診判定, 普通撮影写真判定と比較して無反射撮影写真判定ではより重症度判定される例があった。しかし, 視診, 普通撮影, 無反射撮影の結果を症例ごとに総合的に判定することにより, より客観性のある白斑の判定が可能と考えられる。また本撮影法は, 他の生物資料へも応用可能である。
  • 北村 中也, 森口 早紀, 森田 高光, 桐原 仁子, 寺田 恵美子, 斉藤 邦男
    1983 年 33 巻 1 号 p. 39-47
    発行日: 1983年
    公開日: 2010/10/27
    ジャーナル フリー
    臼歯咬合面が齲蝕の好発部位であることから, 臼歯咬合面での清掃度が問題となる。そこで著者らは, 臼歯咬合面歯垢指数 (Molar Occlusal Plaque Index, MOPIと略す) を設定し, 某事業所における口腔衛生指導の機会を得たので, 試用を行い検討した。それ故, 従来から広く用いられているOHI, PMAIとの関係について観察したところ, 次のような結果を得た。
    1) 約2週間における口腔衛生指導効果は, 初回値を基準とすると, DIは52.3%, CIは76.6%, 総合としてのOHIは64.3%の減少効果があった。
    2) MOPIの1ヵ月間における減少効果は31.5%であった。さらに6ヵ月後においての観察では, 1ヵ月後の値とほぼ同じであったことから定着性が認められた。
    3) 臼歯咬合面の清掃度を分析した結果, 歯垢付着量は, 下顎より上顎の方が大きい傾向があり, また中央部が近遠心部より極度に高い値を示した。
    4) MOPIと他のIndexとの相関性ではDIとの相関が最も強かった。
    これらのことは, 某事業所56名を対象とした成績であるので, さらに人数をふやして検討を加え, 普遍性の高いものにしてゆきたい。今回はその第一ステップと考えている。
  • 佐藤 誠, 尾崎 文子, 鶴水 隆
    1983 年 33 巻 1 号 p. 48-53
    発行日: 1983年
    公開日: 2010/10/27
    ジャーナル フリー
    Streptococcus mutans NCTC 10449より誘発変異により生じたう蝕誘発能の異なる2つの変異株, mutatienal phase Iとphase III, を用いて, それら両株の2, 3の性状について検索し, S. mutansのう蝕原性発現に関与する因子について検討を行なった。
    両株を50mMグルコース加Trypticase soy brothで培養し, 培養上清のpH変化とグルコース醗酵産物の比較を行なったところ, 両株とももっばら乳酸のみを産生し, 24時間で終末pH4.3に達し, 差は認められなかった。
    次に両株をBrain Heart Infubion brothで培養した後, 培養上清画分と菌体画分とに分け, pH6.5の反応液中でカゼインを基質としてプロテアーゼ活性を測定した。その結果, 両株とも菌体画分にプロテアーゼ活性が認められ, phase Iの方に強い活性のあることが認められた。
    次いでWarburg検圧計を用いて, 両株による牛歯質粉末の利用性を調べた。pH7.0における4時間の間の各菌体蛋白1mgに対するO2-uptake量は, phase Iの方が高い値を示した。このことから, phase Iの方が歯質利用性が高く, 歯質内増殖能の大きいことが推測された.
  • 石上 和男
    1983 年 33 巻 1 号 p. 54-78
    発行日: 1983年
    公開日: 2010/10/27
    ジャーナル フリー
    1974年から1981年まで7年間, 新潟県牧村の小・中学生を対象として・フッ素洗口を中心とするう蝕予防プログラムを継続実施し, プログラム開始前後のう蝕り患状況を比較検討するとともに, コスト・ベネフィット分析及びコスト・エフェクティブネス分析により経済効果分析を行った。
    小・中学生全体で, う蝕り患者率は87.2%から54.7%に, DMFT指数は3.68から1.51に低下し, う蝕り患状況の著しい改善がみられた。
    コスト・ベネフィット分析においては, コストの要素としてフッ素洗口に要する直接経費 (第1次コスト) と, 事業の推進, 継続のための基盤づくりの経費 (第2次コスト) が挙げられ, 第1次コストは1人1年間当たり62.8円, 第1次コストと第2次コストの合計は同じく255.5円であった。ベネフィットの要素は, 歯科医療費及び交通費の軽減額とした。歯科治療費は, すべてのう蝕り患経験歯を治療するものとし, 歯科保険点数に基づき1件当たりの治療費を標準化して求めた。歯科治療費の軽減額は1人1年間当たり1455.4円, 同じく交通費の軽減額は53.5円, 合計1508.9円がベネットとなった。したがって, 第1次コストとベネフィットの比は1: 24.0, 第2次コストを加えたコストとベネフィットの比は1: 5.9であった。
    コスト・エフェクティブネス分析において1人1年間当たりの健全歯面の増加数は0.54歯面であり, 第1次コストとエフェクティブネス比は, 1歯面を救うために116.3円, 第2次コストを加えたコストとエフェクティブネス比は, 同じく473.1円であった。
    これらの経済効果分析の結果, 牧村におけるフッ素洗口法を中心とするう蝕予防プログラムの経済効果は, 極めて大きいものであった。
  • 筒井 昭仁, 小林 清吾, 野上 成樹, 境 脩, 堀井 欣一
    1983 年 33 巻 1 号 p. 79-88
    発行日: 1983年
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
    4つの小学校からの卒業生が進学する新潟県燕市立燕中学校の1年生計502名を対象に, 1980年5月, 検査者盲検法 (Blind Recerding Method) によりう蝕の状況と歯牙不潔度を調査した。
    その結果, 4つの小学校からの卒業生を, それぞれA, B, C, D群とした時, 小学校において特記すべき歯科保健対策の採られてこなかったA群はDMFS index 8.24 (SE=0.54), B群8.70 (0.54) であった。これに対し, 歯科保健対策として毎給食後の歯みがきを学校で実施してきたC群歯みがき群は7.99 (0.47) であり, 小学校入学時よりフッ素洗口法を行なってきたD群フッ素洗口群は4.56 (0.41) であった. C群のDMF Sindexは, A, B群を合わせた対照群に比べ5.8%少なかった。しかし, この差は統計学的に有意ではなかった。一方, D群のDMFSindexは, 対照群に比べ46.2%少なく, この差は統計学的に高度に有意であった。
    各群単位でみた歯牙不潔度, 治療歯率は, それぞれの群の間に統計学的な有意差は認められなかった。
    また, 別に調べたD群の出身小学校6年生のDMFT indexは, フッ素洗口法を開始した1973年の6年生が4.84 (SE=0.26) であったが, 8年後の1981年の6年生では3.00 (0.27) で, その差は38.0%であり, 統計学的に有意であった。
    以上, 小学校における毎給食後の歯みがきの励行は, 中学1年生時のう蝕り患状況の改善には有意に作用しなかった。一方, 小学校における週3回のフッ素洗口法の実施は有意に作用し, 同年齢の非フッ素洗口群に比べ口腔全体で40%前後のう蝕抑制効果をもたらした。
    これらの歯口清掃群およびフッ素洗口群の結果から, 学校歯科保健対策として採るべき方策について考察した。
  • 第1報 ハムスター実験う蝕について
    嶋田 一夫, 須藤 正美, 秋山 正尊, 久保 隆, 天野 恒久, 井上 公蔵
    1983 年 33 巻 1 号 p. 89-98
    発行日: 1983年
    公開日: 2010/10/27
    ジャーナル フリー
    本研究は, ハムスターの実験う蝕系を用いて, Pseudomonas sp. 菌が産生するmutanase及びCorynebacterium pseudediphtheriticum菌が産生するdextranase, これら両酵素, 各々単独又は混合投与によるう蝕抑制並びに進行抑制効果につき検討した。
    所定濃度に酵素粉末をう蝕誘発飼料Diet 2000に添加混合及び飲料水に溶解し, 酵素投与した。効果判定は, 酵素無投与対照群と酵素投与群との間のcaries scoreの有意差検定で行った。Streptococcus mutans (S. mutans) OMZ 176株感染直後から酵素を投与したう蝕抑制実験において, mutanase, dextranase共に, 単独投与群では統計的に有意なう蝕抑制効果が認められた。さらに, 両酵素混合投与群 (両酵素それぞれ1単位1g飼料及び1ml飲料水) ではう蝕抑制効果は著しく, 両酵素の相加作用が認められた。なお, 両酵素共に酵素投与量の増加に伴い, う蝕抑制効果が増大する傾向が認められた。一方, S. mutans OMZ 176株を感染させ, う蝕を誘発させた後, 酵素を投与したう蝕進行抑制実験において, mutanse, dextranase共に, 単独投与群では, 対照群に比べ高い信頼度でう蝕進行抑制効果を認めた。特に, 両酵素混合投与 (両酵素それぞれ1単位1g飼料及び1ml飲料水) では, う蝕進行抑制効果を促進し, その効果は阻止的にまで及ぶ傾向を示した。
    以上の結果から, う蝕予防の手段として, 作用機序の異なるmutanaseとdextranse, 両酵素の併用がより効果があると示唆される。
  • 歯肉の局所血流量ならびに酸素利用能の検討
    埴岡 隆, 雫石 聰, 常光 旭, 佐藤 信紘, 鎌田 武信
    1983 年 33 巻 1 号 p. 99-100
    発行日: 1983年
    公開日: 2010/10/27
    ジャーナル フリー
  • 1983 年 33 巻 1 号 p. 107
    発行日: 1983年
    公開日: 2010/10/27
    ジャーナル フリー
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