口腔衛生学会雑誌
Online ISSN : 2189-7379
Print ISSN : 0023-2831
ISSN-L : 0023-2831
最新号
令和2年1月
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
原著
  • 川西 順子, 神 光一郎
    原稿種別: 研究論文
    2020 年 70 巻 1 号 p. 11-18
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/02/15
    ジャーナル フリー

     「他律的健康づくり」から「自律的な健康づくり」への移行期である学齢期は,歯科口腔保健領域においても,自ら主体的に適切な予防行動を実践するスキルを身につける重要な時期である.一般に人々の健康行動を形成するには,その行動に関わる要因を明らかにし,その要因に対して適切な働きかけをする必要がある.そこで本研究は,中学生のための効果的な学校歯科保健教育プログラムを開発するために,歯科口腔保健行動と心理社会的要因であるセルフエスティーム(以下SE)および健康統制感との関連について検討することを目的とした.平成27年に大阪府S市の中学校1校に在籍する3年生を対象に調査した(分析対象者152名).調査項目は,歯磨き回数,主観的歯磨き行動「留意点」・「確認」,甘味食品・飲料の摂取回数,SE,健康統制感等であった.その結果,男子では,「確認」と内的統制との間に有意な正の相関が認められた.また,甘味食品摂取回数と内的統制との間に有意な関連が認められた.女子では,菓子を食べ続ける頻度と内的統制との間に有意な関連が認められた.また,主観的歯磨き行動および甘味飲料摂取回数とSE(家族)との間において統計学的に有意差は認められなかったものの,一定の傾向が認められた.以上のことから,中学生期において,SE 形成を促進する学校歯科保健教育の導入や健康統制傾向を考慮した介入の重要性が示唆された.

  • Amir BAIGI, Kjell RANDOW, Rose-Marie WIDOLF-KROON, Masaki KAMBARA, Lar ...
    原稿種別: 研究論文
    2020 年 70 巻 1 号 p. 19-26
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/02/15
    ジャーナル フリー

     各種補綴処置が必要な成人患者のう蝕リスク評価では,う蝕に罹患するあらゆるリスクがある.この研究の目的は,各種補綴処置を受ける成人のう蝕リスクに関連するリスク項目を明確にすることにある.明確に固定式補綴処置が必要な30から88歳の患者127名(男性61名,女性66名)のう蝕データに関し振り返り調査を行った.各種要因のう蝕リスクへの関与度について多変量回帰分析を行った.その結果,健康,態度,技術の質,唾液,細菌および歯科医療サービスの6要因が重要であることがわかった.Cronbach’s alpha値は0.66と0.93の間であった.健康(OR 0.90; CI 0.82–0.99)および細菌(OR 1.12; CI 1.02–1.23)の要因はう蝕罹患状態(DMFS)と有意に関連していた.相対的リスク度を検討したところ,DMFSと関連がみられた.健康および細菌項目は,固定式補綴処置を受ける成人う蝕リスクに重要な役割を果たす可能性のあることがわかった.

  • 尚 爾華, 野口 泰司, 中山 佳美
    原稿種別: 研究論文
    2020 年 70 巻 1 号 p. 27-34
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/02/15
    ジャーナル フリー

     本研究は,現在歯数が20本未満であることの関連要因について,名古屋市における地域在住高齢者を対象に検討することを目的とした.2016年7~8月にかけて,名古屋市内の体操教室へ参加する高齢者に自記式無記名質問紙「健康状況および生活習慣に関する調査票」を用いて調査を行い,65歳以上女性493人を解析対象とした.ロジスティック回帰分析により,現在歯数が20本未満であることの関連要因について,身体,心理,栄養,社会的側面から検討した.対象者の平均年齢は75.1歳(標準偏差± 5.7)であった.「20本未満」の者は「20本以上」の者と比べ,平均年齢が高く,独居であり,更衣動作(立ったままで服を着ることができるか)が困難な者が多かった.ロジスティック回帰分析の結果,現在歯数が「20本未満」と,「肥満である」こと(OR=1.83,95%CI: 1.01‒3.30),「独居である」こと(OR=1.67,95%CI: 1.12‒2.50),「更衣動作ができない」こと(OR=2.32, 95%CI: 1.46‒3.68)と関連していた.高齢女性における現在歯数が20本未満の関連要因として,肥満,独居,更衣動作が困難であることが示された.

  • 中野 恵美子, 吉田 直樹, 葭原 明弘
    原稿種別: 研究論文
    2020 年 70 巻 1 号 p. 35-43
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/02/15
    ジャーナル フリー

     本研究の目的は,てんかんの治療としてケトン食療法を行っている小児患者の歯科保健に関する課題を明らかにすることである.対象は静岡てんかん・神経医療センターに外来通院または入院中のてんかん患者とし,2015年7月から2016年8月に調査を実施した.対象者に対し,生活習慣および歯科衛生に関する面接調査,口腔内観察および臨床情報の収集を行った.小児51名(男児27名,女児24名,1‒14歳,平均年齢6.7歳)を分析対象とした.てんかんの治療としてケトン食療法を行っている小児(食事療法群)15名と食事療法以外の方法でてんかんの治療を行っている小児(対照群)36名の比較において,う蝕疑い歯の有無,歯肉の炎症所見の有無,歯肉増殖の所見の有無,かかりつけ歯科医の有無,口腔保健行動に関して統計的な有意差は認められなかった.歯ぎしりは食事療法群で有意に割合が高かった(p=0.030).「歯の色が気になる」という保護者の訴えは食事療法群の40%,対照群の16.7%にみられたが,統計的な有意差は認められなかった(p=0.079).本研究においては歯の着色の詳細な調査はしておらず,歯の着色の状況および原因を明らかにすることはできなかったが,今後解決すべき課題であると考える.また,食事療法群において甘味料を理由に歯磨剤の使用を避けている保護者が1名みられ,安心して使用できる歯磨剤に関する情報提供の必要性が示唆された.

feedback
Top