環境化学
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1 巻, 3 号
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  • 玉川 勝美, 関 敏彦, 角田 行
    1991 年 1 巻 3 号 p. 509-524
    発行日: 1991/12/05
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    環境中の極微量の試料の変異原性を調べるには, 高感度な試験法が必要となる。本報では, Amesテストの変法で高い感度の得られるmicrosuspension法についてについて概説し, その応用例を紹介した。
    microsuspension法は試験菌を10倍濃縮し, 試料と菌との接触確率を高め, 感度の上昇を計ったものである。この方法はAmesテストと比べ, 約10倍程度高感度であり, それだけ試験に用いる試料の量も少なくて済む。また, S9mix量が1/10~1/5で済むことから, 経済性にも優れている。しかし, 最も大きな利点は, microsuspension法がAmesテストの変法であるという点で, これまで, 世界各国で行われてきたAmesテストの膨大なデータベースを活用することができる。
    本法によって, 大気浮遊粉塵の変異原性の時間計測, 粒系分布や室内空気汚染計測が可能になり, さらに, 種々の個人暴露量調査を行うことが可能になった。特に, 尿中変異原を指標とした個人暴露量調査では, microsuspension法が重要な役割を果たしている。
    変異原性試験の高感度化法は, 現在, 開発途上にあるが, さらに信頼性の高い方法が開発されれば, 発癌関連物質のリスクアセスメントを行う上で大きなメリットを持つと考えられる。
  • Akio YASUHARA, Hiroyasu ITO
    1991 年 1 巻 3 号 p. 525-528
    発行日: 1991/12/05
    公開日: 2010/12/08
    ジャーナル フリー
    Main combustion products of poly (vinyl chloride) were polynuclear aromatic hydrocarbons. Formation of chlorine-containing compounds was little. Formation of polychlorinated dibenzo-p-dioxins and dibenzofurans was confirmed. Temperature of maximum PCDDs and PCDFs formation was 600°C. Essential profiles of PCDDs and PCDFs formation at various temperatures were similar. Formation amounts of PCDFs were more than those of PCDDs.
  • 大崎 靖彦
    1991 年 1 巻 3 号 p. 529-534
    発行日: 1991/12/05
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    環境試料及び生物試料中の微量ピリジン, キノリンを同時に分析する方法を種々検討し, その方法を確立した。即ち, 水質試料は内標準を加え, アルカリ性とした後蒸留し, 留出液を酸性で採取後減圧濃縮し, 濃縮液を強アルカリ性とし, n-ヘキサンで抽出した。これをガスクロマトグラフー質量分析計 (GC-MS) で測定し, クロマトグラムのピリジン, キノリンと内標準の面積比及びあらかじめ作成した標準と内標準の濃度比及び面積比を示す検量線から, 試料中のピリジンとキノリンを定量した。底質試料及び生物試料については試料に蒸留水を加え, 少量のシリコンオイルを加え, 以下, 水質試料と同様に操作した。この方法によるピリジン及びキノリンの検出限界はそれぞれ水質試料で0.09, 0.08μg/l, 底質試料で1.6, 1.6μg/kg, 生物試料で2.9, 1.3μg/kgであった。
  • 横山 ひろみ, 川田 邦明, 尾崎 邦雄
    1991 年 1 巻 3 号 p. 535-541
    発行日: 1991/12/05
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    鳥屋野潟に流入する合成洗剤量を把握する目的で, 潟内に直接流入する11排水路, 潟内及び対照地点 (信濃川) で, 水質中のLASを測定した。その結果から次のようなことがわかった。
    (1) 各排水路では季節によるLAS濃度の差はみられなかったことから, LAS濃度は, 鳥屋野潟に対する各排水路からの生活系排水の負荷の指標として有効と考えられた。
    (2) 潟入口ではLAS濃度に明確な季節差は認められなかったが, 潟出口, 潟内及び対照地点では, 夏季には秋季や冬季の十分の一程度の濃度であり, 水温がLASの分解に関与していると考えられた。
    (3) 主に生活系排水の流入すると考えられる7排水路においては, LAS濃度は, 主に農業系排水が流入すると考えられる2排水路に比べ, 約十倍~百倍程度高濃度であり, 鳥屋野潟に対する生活系排水による負荷量の76~80%を占めた。また, 生活系排水と農業系排水がともに流入する排水路では両者の中間的な濃度であった。
  • 水野 勝
    1991 年 1 巻 3 号 p. 543-548
    発行日: 1991/12/05
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    環境試料 (水質, 底質) 中のシマジン, クロルニトロフェン, クロロタロニル等の6種類の農薬について, キャピラリーカラムを用いたGC/MS法による一括の分析法の検討を行った。水質試料はジクロロメタンで抽出し, 脱水濃縮後, ヘキサンに転溶して測定した。底質試料はアセトンで抽出し, ジクロロメタンに転溶後, さらにヘキサンに転溶し, これをフロリジルカラム処理し, 濃縮して測定した。
    本法では環境試料中のppbレベルのこれらの物質を定量することができ, 添加回収率は水質試料で85%以上, 底質試料でクロロタロニルを除いて70%以上であった。この測定方法は, 他の類似した構造の農薬の分析にも適用できると考えられた。
  • 月岡 忠, 小沢 秀明
    1991 年 1 巻 3 号 p. 549-552
    発行日: 1991/12/05
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    A method is described for the determination of triethylamine in environmental samples such as river water and bottom sediment. Triethylamine was distilled from an environmental sample under basic condition, extracted under. The same condition with diethylether, and determined by capillary gas chromatography-selected-ion-monitoring (GC-SIM) . The detection limits from river water and bottom sediment were 0.15 μg/1 and 0.94 μg/kg, respectively. The recoveries from river water and bottom sediment were over 80% with coefficient of variation below 4%. This method have sufficient sensitivity, selectivity, and accuracy to be applicable to environmental samples.
  • 北嶋 永一, 村山 等, 小林 哲也, 家合 浩明
    1991 年 1 巻 3 号 p. 553-557
    発行日: 1991/12/05
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    トリクロロエチレン (TCE) には優れた脱脂能力があるため金属製品製造業で広く用いられているが, 使用されるに従いTCEは徐々に環境へ排出されている。TCEの主な排出先である大気中では比較的短期間で光分解を受けることが知られてはいるが, TCEには発ガン性が認められているため, 金属製品製造工場からのTCEを含むガスの排出を抑制することは重要である。
    ここでは, 金属製品製造業の工場で使用されている溶剤回収装置の効果を見積るため, 事例的に新潟県内のA工場について様々なTCE排出経路別に排出状況とTCE移動量の収支を調べた。
    金属製品洗浄装置の上部から集められたTCEを120-460ppm含む排ガスを溶剤回収装置で処理した場合, 処理後の排ガス中TCE濃度は2ppm未満となり, TCEの捕集効率は99%以上と良好であった。溶剤回収装置を付けたA工場の排出経路別TCE移動量の収支を調べたところ, TCE使用量のうち30%は溶剤回収装置によって回収されていた。系外に排出される割合は, 強制換気によって11%, 廃TCEとして7%, 溶剤回収装置の稼働に伴って発生する分離水によっては1%未満であった。残りの約50%は自然換気によって失われていると考えられた。
    これらの結果から, 金属製品洗浄装置周辺の密閉を良くし, TCEの保存時の揮散を防止することでTCEの回収効率はあがると考えられる。
  • 高田 久美代, 岡本 拓
    1991 年 1 巻 3 号 p. 559-565
    発行日: 1991/12/05
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    環境試料中のアクリルアミドの定量法を開発した。アクリルアミドに臭素を付加し2, 3-DBPAを生成させ, フロリジルカラムクロマトグラフィーによるクリーンアップの後, トリエチルアミンを加えて脱臭化水素させ, 2, 3-DBPAを2-BPAに変換した。これをGC-ECD, あるいはGC/MS (NCI) に注入して定量を行った。本法の水質, 底質, 生物における検出限界はそれぞれ0.02μg/1, 0.13μg/kg, 0.30μg/kgであり, 添加回収試験の平均回収率は95%, 85%, 84%, 相対標準偏差はそれぞれ2.9%, 6.8%, 5.1%となり, 環境試料へ適用することが可能となった。
    なお, 本研究は平成2年度化学物質分析法開発調査として環境庁の委託を受けて実施したものである。
  • 神浦 俊一, 中土井 隆
    1991 年 1 巻 3 号 p. 567-570
    発行日: 1991/12/05
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    キャピラリーガスクロマトグラフィー/マススペクトロメトリーを用いた大気中のピリジン, 2-ビニルピリジンの分析法を開発した。大気試料はCarbotrapTMに吸着捕集され, TCT装置によりGC/MSに導入される。大気30Lをサンプリングした時の検出限界は, ピリジン, 2-ビニルピリジンとも0.3ng/m3であった。本法によるピリジンの実大気の濃度範囲は, N.D.-16.0ng/m3であり, 2-ビニルピリジンは検出されなかった。
  • ―N-ニトロソジエタノールアミン分析の精製濃縮法―
    石橋 亨, 松居 正己
    1991 年 1 巻 3 号 p. 571-574
    発行日: 1991/12/05
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    環境中のN-ニトロソ化合物は動物実験において発癌性があることが報告され, それらの化合物が環境中での存在する可能性について関心がもたれている。N-ニトロソジエタノールアミン (NDELA) はエタノールアミン類と亜硝酸との反応により生成され, 切削油, タバコ, および化粧品などの生活環境中ですでに見出されている。
    今回, 難揮発性NDELAの分析において, N-ニトロソアミンの蒸留/濃縮装置を用いて試料に対してNDELA5ppbレベルの分析可能な精製濃縮法について検討したので報告する。
    試料 (化粧品) 10gに0.5gのスルファミン酸アンモニウムを加えたものを減圧蒸留装置で, アセトン蒸留を100℃においてNDELAを試料中の他の化合物と分離し, 蒸留を1時間 (留出液約100ml) 行い, その留出液をとり, 濃縮ののち, GC-TEA分析のためにBSTFAでシリル化した。
    この方法は従来法よ迅速性や検出感度に優れているばかりでなく, 他の揮発性N-ニトロソ化合物の分析にも適用できる。
  • 藤森 一男, 沖 典男, 中野 武, 辻 正彦, 奥野 年秀
    1991 年 1 巻 3 号 p. 575-581
    発行日: 1991/12/05
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    大気中農薬の分析法について検討し, 次の結果を得た。
    (1) 吸着管としてSEP-PAKC18を用い, 24時間で10001の大気を採取して, 80~100%の農薬を捕集できる。
    (2) 被検物質をn-ヘキサンで抽出, 0.1mlまで濃縮しGC-MS (SIM) によりng/m3のレベルで定量することが可能である。
    上記の方法を用い, モデルとしたゴルフ場において大気調査を実施した。
    1991年6月から8月までに採取した89試料のうち82試料からダイアジノン (最高140ng/m3) , 80試料からフェニトロチオン (最高150ng/m3) , 79試料からベンフルラリン (6ng/m3) , 34試料からクロロタロニル (最高8ng/m3) , 25試料からフルトラニル (最高17ng/m3) を検出した。また検出頻度は低いが, トルクロホスメチル (最高14ng/m3) , ペンディメタリン (最高1ng/m3) , イソプロチオラン (最高0.7ng/m3) , クロルピリホス (最高110ng/m3) も検出された。
    これらのことから, 本研究により開発した分析方法は, ゴルフ場における大気中農薬の分析に有用な方法であると思われ, 今後のモニタリングに応用する予定である。
    この研究の一部は, 平成2年度環境庁委託調査研究でなされたものである。
  • ―トリブチルスズ化合物, トリフェニルスズ化合物の分析―
    千葉 久子, 加藤 丈夫, 関 敏彦, 角田 行
    1991 年 1 巻 3 号 p. 583-588
    発行日: 1991/12/05
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    トリブチルスズ化合物 (TBT) , トリフェニルスズ化合物 (TPT) を分析する方法として, 1) 臭化水素酸処理カラム使用のECD・GC法, 2) アルキル化によるFPD・GC法の2法を比較検討した。両方とも回収率は90%前後で, CV%も2~5%と再現性も高かった。中でも, 使用カラムの前処理を十分に行うと, 1の方法は分析操作も簡易で良い方法と思われた。
    仙台港地先海域の有機スズ汚染を把握する目的で, 1の方法を用いて調査を行った。結果は, 仙台港内港, 外港共にTBT, TPTが検出され, 外港と比べると内港は, 船舶塗料由来と思われる高い濃度が検出された。
  • 相島 鐵郎
    1991 年 1 巻 3 号 p. 589-597
    発行日: 1991/12/05
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    An attempt to discriminate food aromas using a multisensor array was described by focused on the utilization of semiconductor gas sensors. Other similar attempts such as utilizing a quarts resonator array followed by subsequent pattern recognition analysis using neural networks were briefly reviewed.
    Although response properties can be somewhat controlled by doping noble metals into metal oxides (SnO2), responses of semiconductor gas sensors are nonselective in nature. However, our olfaction system discriminate aroma differences based on the nonselective signals emitted from receptor cells locating at the olfactory epithelium by applying a kind of pattern recognition to the signals. Therefore, responses from a gas sensor array composed of six semiconductor gas sensors were integrated in order to discriminate food aromas using chemometric pattern recognition techniques. The problems to be answered before making such a system were as follows; the minimum number of gas sensors needed for discriminations, methods for standardization of gas sensing conditions and for removing excess amount of ethanol in fermented products, and appropriate pattern recognition techniques.
    A semiautomatic headspace concentrator installing a Tenax TA trap was effective to standardize aroma introduction for sensing besides removing excess amount of ethanol from headspace vapors in fermented products. All six sensors in the array responded immediately when thermally desorbed aroma components were introduced into a flask installing the gas sensor array. Response patterns for different samples were similar but the slight differences were well reproduced in every measurement. Chemometric pattern recognition analyses such as factor analysis, cluster analysis and linear discriminant analysis (LDA) were applied to the resulting six dimensional data matrix. LDA suggested that only three gas sensors were sufficient enough to discriminate most sample aromas. Coffee samples, liquors and essential oils were reasonably classified and were discriminated into correct sample groups. Thus facile novel methodology utilizing semiconductor multisensor array and the subsequent pattern recognition analysis showed the capability for discriminating food aromas.
  • 1991 年 1 巻 3 号 p. e1a
    発行日: 1991年
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
  • 1991 年 1 巻 3 号 p. e1b
    発行日: 1991年
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
  • 1991 年 1 巻 3 号 p. e1c
    発行日: 1991年
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
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