環境化学
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12 巻, 2 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 中村 嘉利, 沢田 達郎, 武 春美, 加納 重義, 小森 正樹
    2002 年 12 巻 2 号 p. 325-331
    発行日: 2002/06/26
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    固定化菌による銅イオン含有フェノールの処理の効果をゲルビーズ内へのフェノールおよび銅イオンの浸透の動的挙動などから検討した。ゲルビーズ内のフェノールと銅イオンの濃度分布を測定した結果, ゲルビーズ中心部では銅イオン濃度が低いためにフェノール菌の増殖阻害のない領域が存在し, この領域ではフェノールが比較的容易に処理できることがわかった。固定化菌は1~10mg/lの比較的高濃度の銅イオン含有フェノールをほぼ完全に分解した。固定化ゲルビーズ内の菌の増殖やフェノールの処理を表す数式モデルが提出され, 回分処理における計算値が実験的に検証された。固定化菌は回分処理だけでなく連続処理でも銅イオン含有フェノールを効果的に処理できることが示唆された。
  • 吉永 淳, 松脇 崇晃, 長谷川 陽一, 柳沢 幸雄, 貴田 晶子, 松江 秀明, 米沢 仲四郎
    2002 年 12 巻 2 号 p. 333-342
    発行日: 2002/06/26
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    飛灰, 焼却灰, 廃ガラス, 廃陶磁器類を試料として, 溶出液のpHとホウ素溶出濃度との関係を調べた。溶出液のpHが低いほどホウ素の溶出濃度は高く, また一度溶出したホウ素は, 溶出液のpHを上昇させると再吸着か水酸化物への吸着・共沈によって液相から失われることが判明した。ホウ素の溶出・吸着にはpHが大きな影響をもつことが再確認されたが, そのメカニズムは不明である。
    逐次抽出法とICP発光法・即発ガンマ線分析を組み合わせて各種廃棄物に含まれるホウ素の分画 (「イオン交換態」, 「炭酸塩結合態」, 「Fe-Mn酸化物結合態」, 「有機物結合態」, 「ケイ酸塩結合態」) を行った結果, 飛灰などはもっとも溶出しやすい「イオン交換態」に, ガラス・溶融鉱滓は最も溶出しにくい「ケイ酸塩」分画に, それぞれ多くのホウ素を含む傾向があった。しかし同じカテゴリーの廃棄物でも試料によって5分画の相対存在度が異なり, カテゴリーごとに一般化することはできなかった。告示46号試験法による溶出量は「イオン交換態」分画に存在するホウ素量をよく説明できたが, 潜在的に溶出可能なホウ素量を予測するには不十分であった。鉱滓以外の廃棄物は, 高温 (1300℃) 処理によって試料中ホウ素が「ケイ酸塩」分画に移行し, 溶出しにくくなり, 試料を溶融後に埋め立てることでホウ素溶出を低減できることが示唆された。
  • 飯村 文成, 佐々木 裕子, 津久井 公昭, 吉岡 秀俊, 東野 和雄, 竹田 宜人, 葛西 孝司
    2002 年 12 巻 2 号 p. 343-352
    発行日: 2002/06/26
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    東京湾のうち湾奥部 (都内湾) における魚類, プランクトン, 海水, 底質のダイオキシン類及びPCBsを測定し, 汚染実態, 汚染源, 汚染経路を検討した。このうち魚類のダイオキシン類濃度は4.5~18pg-TEQ/g-wet, PCBs濃度は<100~460ng/g-wetの範囲にあり, 環境省が調査した全国の結果と比べ, 都内湾の濃度レベルが高いことが認められた。魚類及びプランクトン中のダイオキシン類濃度 (TEQ) の70~92%はCo-PCBが占めたが, この割合は同一魚種の全国平均と比べかなり高かった。また, 魚類や底質中のPCBs濃度とCo-PCB濃度との間には相関性が見られ, いずれの媒体でもCo-PCBの組成はPCB製品の組成に類似していた。底質のダイオキシン類の組成からは, 焼却に加え, 農薬不純物の影響が認められたが, 都内湾の魚類, プランクトンのダイオキシン類汚染にはPCB製品が大きく影響していることが示唆された。東京湾の中でも都内湾の底質や魚類の汚染レベルが高い原因としては, この地域に河川が集中し, 過去に環境中に排出されたダイオキシン類, PCBsが河川から流入・堆積しているためと推定された。
  • Sukeo ONODERA, Masashi SAKOTA, Minoru KUWAHARA, Yasuaki MORI
    2002 年 12 巻 2 号 p. 353-360
    発行日: 2002/06/26
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    The diethyl ether extracts from aqueous 4-alkylphenol solutions after treatment with chlorine were mutagenic to the Ames Salmonella tester strains TA98 and TA100 in the absence of rat liver homogenate. Gas chromatography/mass spectrometry (GC/MS) showed the occurrence of chlorinated products in the extracts; chloro-4-alkylphenols, chloro-4-alkylquinones and chlorinated 4-alkylphenol dimers. The diethyl ether extracts were fractionated into several fractions by polyamide thin-layer chromatography (TLC) . The fractionated components were examined for mutagenicity by means of Ames assay, and were identified by GC/MS. TLC fractionation of the extracts revealed that two components present in the extracts are mutagenic. GC/MS analyses indicated the presence of 2, 6 -dichloro-4-hydroxy-4-alkylcyclohexa-2, 5-dien-1-ones as the major mutagen and chlorinated 4-alkylphenol dimers as minor mutagenic compounds in the chlorinated 4-alkylphenol solutions.
  • 内原 博, 吉田 智至, 池田 昌彦, 中原 武利
    2002 年 12 巻 2 号 p. 361-365
    発行日: 2002/06/26
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    環境負荷の少ない抽出溶媒を用いた迅速且つ高感度な油分測定装置の開発を行った。ヘキサンで抽出した試料100μlを酸素気流中 (0.8l/min) で放冷した石英ボートに注入した後, 酸素気流中 (0.8l/min) で80℃に加熱し, ヘキサンを石英管の試料挿入開口部から系外に揮散させた。ヘキサンを揮散後, 直ちに850±20℃の燃焼炉に石英ボートを挿入し試料を燃焼させた。発生した二酸化炭素をNDIRで測定し得られた信号強度から油分量を求めた。この方法における検出限界は, 油分量で0.1μgであった。油分量が10μg時の繰り返し再現性は相対標準偏差で0.8~1.8%であり, 回収率は90.3%~99.7%であった。
  • 牧田 礼子, 伊東 琢史, 中村 基
    2002 年 12 巻 2 号 p. 367-373
    発行日: 2002/06/26
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    浜松市内の環境水中に含まれる腐植物質及びその他の蛍光物質を三次元蛍光スペクトルを測定して検討した。励起波長345nm, 蛍光波長430nm付近の蛍光ピークの蛍光強度と250nmの吸光度との間には相関性が認められた。種々の孔径のろ紙及びメンブランフィルターによる環境水のろ過について検討した結果, 蛍光物質によってろ過処理効果が異なるので, 環境水をろ過処理する場合, 三次元蛍光スペクトルを比較して適当なろ紙又はメンブランフィルターを選択することが必要である。8種類の固相抽出用カートリッジを用いて固相抽出処理を検討した。固相抽出処理では蛍光物質の種類, 溶存状態に関係なく蛍光物質を除去でき, AC2カートリッジを用いると, ほぼ100%蛍光物質を除去できた。
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