環境化学
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12 巻, 3 号
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  • 川田 邦明, 及川 紀久雄
    2002 年 12 巻 3 号 p. 551-562
    発行日: 2002/09/26
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    有害性や残留性などが指摘されている化学物質のうち, PCB類, DDTと分解物 (DDE及びDDD) , HCH類, ペンタクロロフェノール (PCP) 及びヘキサクロロベンゼン (HCB) , ダイオキシン類及び多環芳香族炭化水素 (PAH) 類を対象として, 中国国内における底質中の分布に関する報告をとりまとめ, 日本における報告値と比較した。その結果, PCBについては一部の地域を除き, 日本における濃度範囲に入っていた。総DDT類及びHCH類は日本における濃度範囲にあったが, 日本に比べてより広域的に分布していると考えられた。PCP及びHCBは中国における報告例は極めて少ないが, 広域的に分布している可能性が考えられた。また, ダイオキシン類及び代表的なPAHであるBaPについても, 日本と同レベルにあると推測された。しかし, 中国におけるこれらの化学物質に関する報告例は極めて少ないため, 今後, 広域的に分布を調査する必要があるものと考えられる。
  • Jae-Won CHOI, Masatoshi MORITA
    2002 年 12 巻 3 号 p. 563-569
    発行日: 2002/09/26
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    The standard analytical methods for polychlorinated dibenzo-p-dioxins (PCDDs), polychlorinated dibenzofurans (PCDFs) and coplanar polychlorinated biphenyls (Co-PCBs) in flue gas used in Japan (JIS K 0311) and Korea (The Korean Standard Method for Air Pollution, KS method) were compared. No significant differences from sampling to the identification and quantification steps were found. However, adoption of Co-PCBs and the TEF model should be unified in JIS K 0311 and the KS method in order to compare the toxic equivalents (TEQs) . We believe that this study will contribute to the standardization of an international method for dioxin analysis.
  • 尾崎 宏和, 渡邉 泉, 久野 勝治
    2002 年 12 巻 3 号 p. 571-583
    発行日: 2002/09/26
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    県道上高地公園線と国道158号線で, 道路わきの表層土壌と粉塵を採取し, Cr, Mn, Fe, Ni, Cu, Zn, Cd, Pb濃度とpHを測定した。
    Cr, Ni, Cu, Zn, Cd, Pb濃度は山岳部から都市部に向けて上昇したが, 県道で上高地バスターミナルと釜トンネルが高濃度を示した。このことは頻繁な停発車やアイドリングと関連する, 自動車の交通量に起因すると考えられた。
    また上記6元素は, 月間交通量または累積交通量と関係した濃度上昇がみられ, 高い土壌pHの影響も推察された。
    以上から, 自動車の過剰利用は山岳部においても都市部に匹敵するCr, Ni, Cu, Zn, Cd, Pb汚染を現出させることが示された。
  • 茨木 剛, 家合 浩明, 田辺 顕子, 川田 邦明
    2002 年 12 巻 3 号 p. 585-591
    発行日: 2002/09/26
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    環境試料中のTBBP-Aの分析法として, 水試料については固相抽出の後, BSTFAによりTMS化してGC/MSで測定する方法, 底質及び生物試料については, メタノールで抽出し, ジエチル硫酸によりエチル化してGC/MSで測定する方法を検討した。その結果, 水試料で89%から101%, 底質試料で91%, 生物試料で82%と良好な回収率が得られた。
    (この研究は平成10~11年度環境庁環境保健部環境安全課の「化学物質環境汚染実態調査」の一環として行ったものである。)
  • 古市 裕子, 神浦 俊一, 藤田 忠雄
    2002 年 12 巻 3 号 p. 593-598
    発行日: 2002/09/26
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    キャピラリーGC/MSを用いて大気中のメタクリル酸の分析法を開発した。大気試料をポリアミドカートリッジに捕集し, アセトン溶出液をPFBBr誘導体化試薬で誘導体化し, GC/MSによって測定した。本法によりng/m3レベルの大気中メタクリル酸の定量が可能である。
  • 川中 洋平, 王 寧, 尹 順子, 坂本 和彦
    2002 年 12 巻 3 号 p. 599-607
    発行日: 2002/09/26
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    アンダーセンハイボリュームエアサンプラーで分級捕集した大気浮遊粒子について, 1-ニトロピレン (1-NP) および9種の多環芳香族炭化水素 (PAHs) を測定し, それらの粒径分布および季節変動を調べた。調査は2001年7~8月 (夏季) と2002年1~2月 (冬季) に, それぞれ3週間ずつおこなった。1-NPの定量には液体クロマトグラフィー/タンデム質量分析法 (LC/MS/MS) を, PAHsの定量にはガスクロマトグラフィー/質量分析法 (GC/MS) を用いた。1-NPの大気中濃度は夏季に4.17pg/m3, 冬季に30.2pg/m3と冬季に7倍程度高濃度であった。PAHsについては, PAHs総濃度で夏季に1.44ng/m3, 冬季に5.27ng/m3と1-NP同様に冬季に高濃度になる傾向が見られた。一方, これらの物質の粒径分布は夏季と冬季で大きな違いはなく, 1-NPについては夏季および冬季ともにおよそ80%が, PAHsについては夏季に70%, 冬季に80%近くが, 肺胞領域への沈着率が高い粒径1.1μm以下の微小粒子中に存在していることが明らかになった。
  • Shoji TAGASHIRA, Isamu FUJIWARA, Katsuhiko OCHI, Yoshiko MURAKAMI, Yos ...
    2002 年 12 巻 3 号 p. 609-614
    発行日: 2002/09/26
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    The extraction of metal complexes with pyrrolidinedithiocarbamate (PDTC) and stripping methods were investigated in the cationic surfactant systems of cetylpyridinium chloride (CPC) . The complexes of Cu (II), Zn (II) and Pb (II) with PDTC were extracted into the CPC phase and separated from Be (II) which could not form a complex with PDTC. The extracted metals were successively recovered into the aqueous phase by stripping after the acid decomposition of their complexes. More than 90 % of the metals were separately recovered by heating at 30°C in 0.1 M HNO3 for Zn (II), at 60°C in 0.1 M HNO3 for Pb (II) and 90°C in 1.0 M HNO3 for Cu (II) . This method was used to separately recover the metals in a beryllium-copper alloy.
  • 舟川 将史, 高田 誠, 新居田 真美, 細見 正明
    2002 年 12 巻 3 号 p. 615-620
    発行日: 2002/09/26
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    劣化したPCB含有安定器からPCBが揮発する可能性を明らかにする為, PCB含有安定器を使用している室内と使用していない室内に含まれるPCBを測定し, 比較すると共に, PCB含有安定器をチャンバーに入れて通気し, PCB揮発の有無を確かめた。その結果, PCB含有安定器を使用していない室内の空気ではPCBは検出されなかったのに対し, PCB含有安定器を使用している室内では26~110ng/m3のPCBが検出された。これより, PCB含有安定器からのPCBの漏洩の可能性が確認された。一方, チャンバー実験からは, PCB含有安定器からのPCBの揮発が認められ, さらに検出されたPCBの組成は安定器を使用していた室内のPCBの組成と類似していた。これより, PCB含有安定器が室内PCB汚染の原因の一つである事が推定された。
  • 磯部 友彦, 中田 典秀, 間藤 ゆき枝, 西山 肇, 熊田 英峰, 高田 秀重
    2002 年 12 巻 3 号 p. 621-625
    発行日: 2002/09/26
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    プラスチック製の食器等について, 油脂性食品疑似溶媒であるn-ヘプタンを用いた溶出試験を行なった。50種の製品の分析から, 16試料で有意にノニルフェノールが溶出し, そのうち5試料で特に高濃度 (21~2485ng/cm2) で検出された。ポリスチレンおよびポリプロピレン製品からの溶出が最も大きかったものの, 検出量には大きな変動が認められ, その変動には明確な傾向は認められなかった。今後さらに密で広範囲な調査を行ない, プラスチック製食器に起因する内分泌撹乱化学物質の人体への曝露量を評価すると共に, リスクを軽減するための施策を講じる必要があると思われる。
  • ―下流域での長期変動―
    岩下 正人, 大塚 佳寿, 島村 匡
    2002 年 12 巻 3 号 p. 627-641
    発行日: 2002/09/26
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    相模川水系下流部から採水した試料について, その溶存成分の長期的変動を解析した。試料は1993年5月から2000年4月までの7年間, 毎月1回, 11の採水地点で集められた。ICP-MSにより24元素 (Li, Mg, Al, Ca, V, Mn, Fe, Co, Ni, Cu, Zn, As, Rb, Sr, Mo, Ag, Cd, Sb, Cs, Ba, W, Tl, Pb, U) , およびpH, 電気伝導度, 流量 (1995年4月より) について計測した。また原子吸光法によりNa, K, イオンクロマト法により主要陰イオンを計測し, 参考値とした。長期傾向変動は12ヶ月の移動平均を取ることにより解析した。
    長期的水質変動をまとめてみると, 相模川左岸から流入する小河川では汚濁が進んでおり, Mn, Ni, Mo, Tl等の元素が本流の30~100倍の濃度で観測された。従って流量が少ないにも関わらず, 本流での濃度に大きな影響を及ぼしていた。しかしながらこれらの元素を含めて多くの元素濃度は減少傾向にあり, 少なくとも微量元素については汚濁は軽減される傾向にあった。これは (1) 排水基準が改定され工場などでの排水処理が高度化された, (2) 下流の都市部での下水道普及率が高くなった, (3) 近年の不況で工業生産活動が下がってきた, 等の理由が考えられる。
    相模川本流ではLi, V, Asは不規則な変動, 季節変動を伴いながら移動平均はほぼ一定値を保っていた。しかし支流の影響が大きいMn, Ni, Mo, W等は減少傾向を示した。一方Mg, Cu, Rb, Sr, Sb, Cs, Ba, Uは振幅の小さい月間変動を伴いながら1995年から1997年にかけてなだらかな山を形成していた。この時期近傍の海老名市での降水量はやや少なかったものの, 降水量と濃度との相関は明瞭ではなかった。
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