本研究では, わが国の環境試料のポリクロロジベンゾチオフェン (PCDTs) を分析し, PCDTsのレベルを明らかにすると共に, PCDTsのAhレセプターに対する結合能や光分解性を評価した。PCDTsは, 焼却飛灰や土壌において検出されたが, その濃度はPCDDsやPCDFsよりも低かった。一方, Ahイムノアッセイキットを用いて2, 3, 7, 8-位に塩素を有する5種のPCDTsのAhレセプターへの結合力を評価した結果, 2, 3, 7, 8-TeCDT, 1, 2, 3, 7, 8-PeCDT, 1, 2, 3, 7, 8, 9-HxCDT, 1, 2, 3, 4, 7, 8, 9-HpCDTにAhレセプターとの結合能が認められ, PCDTsはダイオキシン類様の内分泌攪乱作用を引き起こす可能性が明らかとなった。PCDTsは脱塩素化を伴って分解されたが, PCDTsの分解速度はPCDFsよりも小さく, PCDTsはPCDFsよりも光に対して安定であることが示された。
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