環境化学
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14 巻, 4 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 滝上 英孝, 鈴木 剛, 野馬 幸生, 酒井 伸一
    2004 年 14 巻 4 号 p. 791-803
    発行日: 2004/12/17
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    製品PCB (カネクロール) , 保管PCB試料全33試料について, 簡易迅速にPCBを検出する観点から抗PCB#118モノクローナル抗体を用いたELISAを, また, ダイオキシン様物質の測定を目的としてDR-CALUXを適用した。DMSO分配, 44%硫酸シリカゲル加熱還流処理を組み合わせた前処理を行うと, ELISA測定値とPCB総濃度, DR-CALUX結果 (CALUX-TEQ) とWHO-TEQの間にそれぞれ線形相関がみられた。また, ELISAでは, 高濃度 (PCB30~100%) の保管PCB油試料について試料希釈のみにより測定値が得られ, かつ, 対応するカネクロールの検出特性との間に一致性がみられた。
  • 岩本 真二, 松枝 隆彦, 黒川 陽一, 大野 健治, 飛石 和大, 桜木 建治
    2004 年 14 巻 4 号 p. 805-815
    発行日: 2004/12/17
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    ダイオキシン類のデータを集約し, 解析するためにデータベースを構築した。データベースは, 採取地点, 採取日時などの付帯項目, 118異性体項目, 同族体項目, TEQ異性体濃度などで構成されており, 過去の調査で分析された700サンプル以上が納められている。このデータベースから解析したいグループを抜き出し, 異性体パターン, 同族体パターン, 選択した成分のレーダーチャート, TEQ構成などのグラフを作成する。また, ダイオキシン類の土壌, 大気などの汚染地域分布をみるために県地図の上に円グラフで表示し, その違いを観察する。また, 統計ソフト, ケミカルマスバランス (CMB) 計算ソフトを使い, 発生源種の推定や寄与率の予測計算を行う。
    このデータベースを基に, 重回帰分析, CMB法で発生源の予測を行ったところ, おおむね似た結果となり, 大気では廃棄物焼却炉が60%以上, 土壌・河川水ではCNP, PCPの農薬が60%以上寄与していることが推定できた。
  • 高久 雄一, 秋場 俊介, 古川 郁, 久松 俊一, 稲葉 次郎
    2004 年 14 巻 4 号 p. 817-823
    発行日: 2004/12/17
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    Stir bar sorptive extraction法を用いたTDS-GC-MS法による水中の微量有機スズ化合物の分析手法を開発した。本手法を用いることにより使用試料量を低減 (100ml) する事ができると同時に, 前処理の簡便化により前処理時間を大幅に短縮 (約3時間) する事ができた。又, 本法のブランク濃度 (BEC) は, TBTで0.19, TPTで0.14pgml-1であり, 海水中の微量有機スズ化合物を分析するのに十分な値である。本法を用いて, 実海水試料の分析を行った結果, TBTで1pg ml-1以下, TPTで0.1pg ml-1以下の濃度領域での分析を行うことができた。
  • 鳥山 成一, 近藤 隆之, 水畑 剛, 奥村 秀一, 水上 昭弘, 神保 高之, 山崎 敬久, 木戸 瑞佳, 日吉 真一郎, 溝口 俊明, ...
    2004 年 14 巻 4 号 p. 825-834
    発行日: 2004/12/17
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    40℃~100℃で1.3mg/m3~2.7mg/m3の濃度のホウ素化合物を数時間発生させることができる装置を作製した。
    ゼラニウムの入った人工植物曝露装置ヘホウ素化合物を導入したところ, 葉の先端部等に障害が現れ, 過去に発生した植物被害状況と同じであった。その葉中のホウ素濃度は160~5, 000μg/gであった。大気中ホウ素化合物による植物被害が実証された。
  • 中井 智司, Maria P. ESPINO, 野村 祐吾, 細見 正明
    2004 年 14 巻 4 号 p. 835-844
    発行日: 2004/12/17
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    本研究では, わが国の環境試料のポリクロロジベンゾチオフェン (PCDTs) を分析し, PCDTsのレベルを明らかにすると共に, PCDTsのAhレセプターに対する結合能や光分解性を評価した。PCDTsは, 焼却飛灰や土壌において検出されたが, その濃度はPCDDsやPCDFsよりも低かった。一方, Ahイムノアッセイキットを用いて2, 3, 7, 8-位に塩素を有する5種のPCDTsのAhレセプターへの結合力を評価した結果, 2, 3, 7, 8-TeCDT, 1, 2, 3, 7, 8-PeCDT, 1, 2, 3, 7, 8, 9-HxCDT, 1, 2, 3, 4, 7, 8, 9-HpCDTにAhレセプターとの結合能が認められ, PCDTsはダイオキシン類様の内分泌攪乱作用を引き起こす可能性が明らかとなった。PCDTsは脱塩素化を伴って分解されたが, PCDTsの分解速度はPCDFsよりも小さく, PCDTsはPCDFsよりも光に対して安定であることが示された。
  • 高橋 保雄, 小野寺 祐夫, 森田 昌敏, 寺尾 良保
    2004 年 14 巻 4 号 p. 845-853
    発行日: 2004/12/17
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    TE河川水中の界面活性剤不純物・分解生成物濃度は, 採水地点により異なっているが, LABは約0.01~約0.20μg/l, t-BPは不検出~約0.010μg/l, t-OPは約0.005~約0.050μg/l, NPは不検出~約0.50μg/l, NPE (1) は不検出~約0.10μg/l, t-BPECは不検出~約0.02μg/l, t-OPECは約0.02~約0.07μg/lであり, 塩素化物とn型のAP類は不検出であった。
    TE河川水中の陰イオン界面活性剤濃度はLAB濃度の約2000倍であり, 非イオン界面活性剤濃度はNP及びt-OP合計濃度の約200倍と推定した。
    なお, 界面活性剤の不純物・分解生成物は全て, 水道水から検出されなかった。これは塩素と反応して, 副生成物を生成していることに起因している。
  • 北見 秀明, 渡辺 哲男, 北原 滝男, 石原 良美, 高野 二郎
    2004 年 14 巻 4 号 p. 855-859
    発行日: 2004/12/17
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    本研究では, 分析対象物質を含窒素環状化合物のピリジン, キノリン, インドール, アクリジン及びカルバゾールの5種類として, 高分子膜でシリカゲル担体を被覆した低表面極性のポリメリック型C18分離カラムを使用し, 汎用性の高い紫外分光光度検出器を用いたイソクラティックHPLC法による分析の検討を行った。また, 試料前処理として溶媒抽出を行い, その後にHPLCに注入し定量を行った。その結果, 溶媒抽出法とHPLC-UV法を併用することにより, これらの物質において各試料における添加回収試験の結果から, 試料前処理を含めて試料濃度1μg・l-1程度の分析が可能であることを示した。
  • ―有害大気汚染物質の分析に関する共同実験 (第7報) ―
    今村 清, 江口 正治, 大平 修平, 白國 忠志, 竹中 規訓, 田代 恭久, 立花 茂雄, 西本 ゆかり, 福西 朋子, 矢坂 裕太
    2004 年 14 巻 4 号 p. 861-869
    発行日: 2004/12/17
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    室内空気汚染物質を対象とした分析法として吸着・溶媒脱離-ガスクロマトグラフ/質量分析 (GC/MS) 法が採用されている。室内空気汚染物質および有害大気汚染物質優先取組物質の中からトルエン, エチルベンゼン, p-キシレン, o-キシレン, スチレン, p-ジクロロベンゼン, トリクロロエチレン, テトラクロロエチレンの8成分について, 吸着・溶媒脱離法による分析精度の共同実験を行った。このRound robin試験には15の分析機関が参加した。試料としては3種類の溶液試料を配布した。試料Aの場合はガラス製容器に気化, ガス試料として捕集剤 (活性炭) に添加する方法である。試料Bの場合は試料溶液を直接捕集剤に添加する方法である.試料Cは対象物質の二硫化炭素溶液である。捕集剤に添加した試料は二硫化炭素で抽出した後, 内標準物質 (トルエンーd8) を添加し, GC/MSで分析した。
    異常値を棄却した後のスチレンおよびp-ジクロロベンゼンを除いた6成分の各測定値の平均値は理論値 (計算値) とよく一致した。試料A, Bのスチレンおよびp-ジクロロベンゼンの比 (活性炭からの回収率に相当) はそれぞれ0.34~0.57, 0.51~0.66であった。理論値 (計算値) に対する各測定値の比の機関内相対標準偏差 (RSD) は0.74~12%の範囲に入った。また, 機関間RSDは試料Cでは2.8~8.0%の範囲に入り, 試料Aおよび試料Bについてスチレンでそれぞれ49, 33%, p-ジクロロベンゼンでそれぞれ33, 22%であり, その他の成分はそれぞれ8.5~12%, 14~19%の範囲にあった。
    以上の結果から, スチレンおよびp-ジクロロベンゼンを除く6成分についてはこの方法を用いて精度良く分析できることが分かった。これら8成分を精度良くかつ同時に分析するためには, 検量線の作成方法或いは捕集剤からの回収率の検討が必要であることが示唆された。
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