環境化学
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6 巻, 3 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 中西 成子, 西尾 高好, 日野 隆信
    1996 年 6 巻 3 号 p. 329-337
    発行日: 1996/09/13
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    水中のTHM類測定のための二つの外部精度管理の結果について考察した。用いられた試料水は, 一つは水, 河川水および人工海水に標準溶液を添加したものであり, もう一方は水道の蛇口水であった。THM類の濃縮法としては, P&T法, HS法および溶媒抽出法が検討され, ガスクロマトグラフの検出器としては, 質量分析計, 電子捕獲型検出器および水素炎イオン化検出器が比較検討された。データの信頼性は測定環境からの汚染の有無と, 分析方法の違いに大きく影響されることが明らかになった。内容を要約すると以下の通りである。
    (1) クロロホルムの測定において, 測定環境からの汚染のために空試験値を補正する必要がある場合は, 空試験値を補正しても, 測定値にほとんど信頼性がないことが確認された。
    (2) MSの応答値は, 測定時間の経過と共に減少する特性があることが示された。この経時変動は, 内標準法を用いることにより補正が可能であった。
    (3) P&T法において, 内標準法と絶対検量線法による測定値に有意差が認められた。絶対検量線法による値が低い理由としては, (2) のMSの応答値の経時的変動を補正できないためと考えられる。内標準法による測定値の変動係数が大きい要因の一つとして, 標準液の添加の際の誤差が考えられる。
    (4) HS法と同様に, P&T法によるTHM類の測定でも, 塩濃度の高い試料水への適用は測定値に正の誤差を生じる。試料水と標準液に塩化ナトリウムを飽和状態まで添加することが必要である。
    (5) 溶媒抽出法による測定値は他法に比べて低かった。その原因は, 抽出率が不十分なためであり, 検量線を作成する際にも抽出操作を行う必要があることが明らかになった。
  • 西村 貴司, 多田 桂子, 今村 清
    1996 年 6 巻 3 号 p. 339-346
    発行日: 1996/09/13
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    環境大気中のクロロニトロベンゼン類 (クロロニトロベンゼン, ジクロロニトロベンゼン) 及びクロロベンゼン類 (ペンタクロロベンゼン, ヘキサクロロベンゼン) の分析法を開発した。試料空気はTenax TAを充填した捕集管に採取し, TCT装置により再濃縮してGC/MSで分析した。対象物質のTenax TA 130mg当たりの破過容量は20℃で3.6~380m3であった。添加回収率及び変動係数はそれぞれ76.3~129%, 4.0~11.6%で, 本法における定量下限は5.20~6.23pg/lであった。また, 捕集管中の試料の保存性も良好であった。
  • 鷹野 洋, 肥塚 加奈江, 劒持 堅志, 荻野 泰夫
    1996 年 6 巻 3 号 p. 347-356
    発行日: 1996/09/13
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    揮発性有機化合物の分析に同位体希釈法の適用を試みた。同位体希釈法の場合, 試料水の汚濁に関係なく良好な分析を行うことができた。
    4-BFBは清涼な水質試料の場合のみ内部標準として使用可能であった。
    底質, 魚類の場合も, 同位体希釈法により安定した分析結果が得られた。
    塩析物質として硫酸ナトリウムが塩化ナトリウムよりも優れることを認めた。
  • 高橋 保雄, 中川 順一, 細川 奈津子, 森田 昌敏
    1996 年 6 巻 3 号 p. 357-362
    発行日: 1996/09/13
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    ある地域の同一水道水を用いて, 試料水中のTHMを各分析方法で測定し, 定量値を比較した。
    その結果, 分析方法により総THM定量値は異なっていた。即ち総THM定量値の比はHS-GC/ECD法を1.00にすると, P&T-GC/MS法0.90, HS-GC/MS法0.80, HE-GC/ECD法0.68であることが判明した。
    HE-GC/ECD法の定量値に回収率で補正した値が真値に近いと推測されるので, P&T-GC/MS法の総THM定量値は真値より大きかった。
  • 高橋 保雄, 森田 昌敏
    1996 年 6 巻 3 号 p. 363-373
    発行日: 1996/09/13
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    固相抽出法及び溶媒抽出法による水中フェノール類の分析方法を検討した。
    SPE-UNI/154カートリッジを使用した固相抽出法は試料水のpH値を4.0~6.8, 通水量を250ml以下, 通水速度を毎分5ml以下にして抽出すれば, アルキルフェノール, クロロメチルフェノール, ハロゲン化フェノール, メトキシフェノール, ブチルクレゾール, ナフトール, o-及びm-ニトロフェノールに適用できる。しかし, ニトロ系フェノール類であるp-ニトロフェノール, メチルニトロフェノール, 2, 4-及び2, 6-ジニトロフェノール, 2, 6-ジニトロpクレゾール及びヒドロキシ基が2個以上ついたフェノール類に適用することは困難であった
    溶媒抽出法では, 試料水を塩酸で酸性化した後, 塩化ナトリウムを35%添加すれば, 固相抽出法とほぼ同種類のフェノール類が抽出できた。しかし, 溶媒抽出法の回収率は固相抽出法に比較して, 10%弱低下していた。
    同一水道水を用いて, 固相抽出法と溶媒抽出法でフェノール類を分析したところ, メチルニトロフェノール, メチルイソプロピルフェノール, o-プロモフェノールの定量値は抽出法により, 大きく異なっていた。
    固相抽出法を用いて, 水道水及び河川水中のフェノール類を分析したところ, アルキルフェノール, クロロメチルフェノール, ハロゲン化フェノール, メトキシフェノール, ブチルクレゾール, 0'ニトロフェノールが検出され, それらの濃度は水道水では検出せずから数十ng/Lレベルにあり, 河川水では検出せずから数百ng/Lレベルにあった。
    河川水中のフェノール類は6月に採水した河川水は10月に比較して, 高濃度で検出され, また多種類の物質が検出されていた。また河川水とその河川水を水道原水とした水道水中のハロゲン化フェノール類を比較した結果, 塩素処理によってハロゲン化フェノール類が副生成されたとは認、められなかった。
  • 高橋 保雄, 森田 昌敏
    1996 年 6 巻 3 号 p. 375-400
    発行日: 1996/09/13
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    著者らはパルプ工場排水、環境水中及び著者ら未発表の有機物の一覧表を基に、水道水及び水道原水中の微量有機化合物の一覧表を作成した。
    但し、一覧表には中沸点及び高沸点である香料、多環芳香族、有機金属化合物、ダイオキシン及び関連物質、有機リン酸トリエステル、フタル酸エステル、アジピン酸エステル、農薬等の化学物質等は未記載である。
  • 1996 年 6 巻 3 号 p. 401
    発行日: 1996年
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
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