環境化学
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7 巻, 1 号
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  • ―クロロエチレン―
    多々野 秀二, 平石 俊英, 服部 幸和, 牧 定雄
    1997 年 7 巻 1 号 p. 1-5
    発行日: 1997/03/25
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    排ガス中のCEの測定方法について検討した。CEを含む排ガスを, アルミニウム箔をコーティングしたポリエチレンフィルムバッグ及びテドラーバッグに捕集した。排ガス中のCEをGC/MSにより分析した。本測定方法における定量下限値及びR.S.D.は0.27ppm及び5.77%と良好な結果が得られた。本測定方法で用いた捕集バッグ中でのCEの減衰は7日間で5%以下であり, CEの保存性に優れていることがわかった。本測定方法は排ガス中のCEの測定に適用できることが明らかとなった。
  • 河野 公栄, Jerzy FALANDYSZ, 辻 聡志, 北村 清司, 脇本 忠明
    1997 年 7 巻 1 号 p. 7-13
    発行日: 1997/03/25
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    ポーランドの土壌・底質試料を対象に有機態ハロゲン (Extractable organic halogen: EOX) と環境残留性を有する主な人工有機塩素化合物 [PCBs, DDTs, HCHs, HCB, クロルデン化合物 (CHLs) ] を分析し, 両者の濃度関係を明らかにした。その結果, 比較的高い濃度のEOXを検出し, 濃度の順位は高い濃度から順にEOCl, EOBr, EOIであった。特に, EOClに占める人工有機塩素化合物の割合は, 多くの試料で10%以下であった。このことは, 環境中における存在が確認され, 挙動が解明されている有機塩素化合物はごく一部に限られ, それ以外に未検討の化合物が多く存在することを示している。その構成成分のかなりの部分は人工化合物であることが示唆された。
  • Yoshiteru TSUCHIYA, Mariyo F. WATANABE
    1997 年 7 巻 1 号 p. 15-22
    発行日: 1997/03/25
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    The chlorination by-products from a chlorinated culture of Microcystis aeruginosa strain TAC51 were identified and their mutagenicities were studied. A hypochlorite solution was added to the culture of TAC51 until about 0.5 mg/l of free chlorine was detected, and the mixture was stood for 60 min at the room temperature. Low molecular weight organic chlorine compounds such as chloroform, bromodichloromethane, chloral hydrate, dichloroacetonitrile, formaldehyde and isopropyl sulfonyl chloride were detected in the chlorinated culture at, ag/l levels. An AED-GC analysis detected 55 peaks, and showed 7 chlorinated substances and 7 oxidized substances which were produced by chlorination of the culture. Twenty-two compounds, including seven aliphatic hydrocarbons (e.g., hexadecane, heptadecane, methyl heptadecanes, eicosane), five fatty acids (e.g., tetradecanoic acid, hexadecanoic acid) and phytol were identified or characterized to be present in the chlorinated culture. Mutagencity assays of the chlorinated culture using Salmonella typhimurium TA100 without S9 mix showed to be mutagenic with a dose response relationship from 10.6 to 42.4 ml /plate. The mutagenicity of TA100 without S9 mix obtained by strain TAC51 is similar to the mutagenicity of tap water supplied in Japan. We found that the culture containing metabolites from M. aeruginosa strain TAC51 produced oxidized and chlorinated substances and mutagenic substances by chlorination.
  • 松居 正巳, 後藤 武, 石橋 亨, 西川 雅高
    1997 年 7 巻 1 号 p. 23-30
    発行日: 1997/03/25
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    HPLCを用いた環境水中のアンモニア, 亜硝酸, 硝酸などの化合物の同時分析法を開発した。
    この方法はイオン交換カラムによる陽イオンからの亜硝酸, 硝酸イオンとインドフェノール反応によるアンモニアの検出を基にしている。
    HPLCキャリヤー流路において, 陰イオン化合物は電気伝導度検出器で検出し, アンモニアはポストカラムでインドフェノール反応を用いて可視・紫外検出器640nmの波長で0.01ppmが選択的に検出された。
    この方法は湖沼, 河川, 排水, 雨などの環境試料中のアンモニア, 硝酸, 亜硝酸, 硫酸イオンなどの測定に適用できることがわかった。
  • Sukeo ONODERA, Kei-ichiro YOSHIMATSU, Masanori YONAHA
    1997 年 7 巻 1 号 p. 31-37
    発行日: 1997/03/25
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    Some of chlorinated o-benzoquinones (o-BQs) have been shown to be mutagenic in Ames Salmonella assays. However, no study has been reported on the quantitative estimate of such compounds in aqueous solution. These mutagenic chemicals present in chlorine-treated aqueous solutions of mono- and dihydric phenols were, therefore, quantitatively determined by GC-MS as their phenazine derivatives.
    Chlorination of aqueous catechol solution was shown to produce a series of chlorinated compounds, including Chloro-o-BQs, and Chloro-hydroxy-o-BQ, in addition to o-BQ. No Chloro-o-BQs were found to be present in chlorine-treated resolcinol and hydroquinone solutions. After treatment with chlorine of aqueous chlorophenol solutions, dichloro-o-BQs were detected in these solutions. Production of chloro-o-BQs in water is dependent on the equivalents of chlorine per mole of compound, the reaction pH and the presence of lignin or humic acid. These results show that treatment with chlorine of water and wastewater contaminated with phenolic compounds leads to the production of mutagenic chlorinated o-BQs.
  • 姚 元, 柿本 幸司, 尾川 博昭, 加藤 安彦, 馬場 謙三, 花田 喜文, 篠原 亮太, 吉野 栄一
    1997 年 7 巻 1 号 p. 39-46
    発行日: 1997/03/25
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    本研究は, PCBの紫外線照射による光分解経路を解明することを目的とし, アルカリ性2-プロパノール中での, 2, 4, 4'-TriCBなど数種のPCB同族体について, それぞれの紫外線照射による光分解経路を決定し, しかも, PCBの紫外線分解は, パラ位, メタ位塩素よりオルト位塩素の脱離の方が容易であることを確認した。また, 実験の結果から, アルカリ性アルコール系において, 紫外線照射によるPCBの還元的脱塩素化経路は, 紫外線波長, 反応溶媒によらず同一であることが示唆された。さらに, 塩素の置換位置によりPCB異性体の光分解速度に大きな相違があることをも確認した。
  • 鳥羽 峰樹, 石黒 靖尚, 大野 健治, 近藤 紘之
    1997 年 7 巻 1 号 p. 47-52
    発行日: 1997/03/25
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    ゴルフ場農薬による環境水の汚染に関する調査において, ゴルフ場内の井戸水から数種類の農薬が検出され, 特にテルブカルブは検出率が60%と特異的に高かった。この原因を明らかにするために5種類の農薬について, 土壌吸着係数及びカラム法による溶出実験を行った。その結果, 有機物をより多く含むフェアウエイ表層の土壌ではテルブカルブとシマジンの挙動に大きな差は見られなかったが, フェアウエイ下部の有機物が少ないマサ土ではテルブカルブの移動速度がシマジンより速いことが認められ, これが, テルブカルブが井戸水からしばしば検出される原因であると推定された。
  • 渡辺 正敏, 鎌田 敏幸, 山守 英朋, 伊藤 英一
    1997 年 7 巻 1 号 p. 53-59
    発行日: 1997/03/25
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    地下水中のPCE, TCE, TCAの分解物であるVCやCAに対する分析法をHS/GC/MSを用いて検討した。VOCとメタノールのピークを分離するために, GC/MSのカラム恒温槽の初期温度を-20℃から, またバックグランドノイズを減らすために測定質量範囲をM/Z: 35~200に設定することにより分析できた。cis-1, 2-DCEが多い地下水からVCやCAが検出された。浅井戸と深井戸を比較すると浅井戸の方がVCの検出率が高かった。PCEで汚染された土壌のコアサンプルを分析したところ, PCE, TCE, やcis-1, 2-DCEは砂層より粘土層やシルト層に多く含有され, PCEは上部の粘十層に下部のシルト層より多く含まれ, またcis-1, 2-DCEは二つの層にほぼ同量含まれていた。PCEとcis-1, 2-DCEは土壌中での挙動が異なり, また, PCEの分解は有機質が多く比較的浅い土壌中で進むと考えられた。
  • 東 俊一, 岸野 令, 片山 誠二, 赤堀 幸男, 松下 秀鶴
    1997 年 7 巻 1 号 p. 61-67
    発行日: 1997/03/25
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    Salmonella typhimurium TA102は, 通常の変異原性試験に用いられている他の菌株では検出できない変異原の検出菌株として期待されている。しかし, その取り扱いに難点があり, 自然復帰コロニー数が極めて多く, 研究所問での変異原性の差異が大きい。そこで, TA102を用いる変異原性試験の規格化検討の一助として, その変異原性に及ぼす前培養時間の検討と, 前培養によって得た菌液の試験開始までの時間の変異原性に及ぼす影響の検討をbleomycin (-S9) , methyl methanesulfonate (-S9) および2-aminoanthracene (+S9) について行なった。
    Bleomycinでは, 前培養6時間で最も高い変異原比活性を示し, 前培養9時間の4倍, 前培養16時間の12倍であった。methyl methanesulfonateにおいても, 前培養6時間で最も高い変異原比活性を示し, 前培養9時間の2倍, 前培養16時間の4倍であった。2-aminoanthracene (+S9) では, 前培養6時間以降の培養時間では, 前培養5時間より高い変異原比活性を示した。前培養6時間の菌液において, bleomycinの変異原性は前培養後の放置時間の影響が認められたが, methyl methanesulfonateおよび2-aminoanthraceneでは影響はほとんど認められなかった。
    以上のことから, TA102を用いて変異原性試験において高感度かつ良好な再現性を得るためには, 前培養6時間の菌液を用いて, 前培養終了から試験までの時間を短くかつ一定幅の時間に規定する必要があると考えられる。
  • 田辺 顕子, 川田 邦明, 水戸部 英子, 坂井 正昭
    1997 年 7 巻 1 号 p. 69-79
    発行日: 1997/03/25
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    ヘッドスペースGC/MS法による河川水中のVOCスクリーニングを行うため, アルキルベンゼン類, 塩素化アルカン類, 塩素化アルケン類, 及び塩素化芳香族炭化水素類, 計53化合物を対象として, 分析条件を検討した。その結果, ヘッドスペース法において, 試料12mlに塩化ナトリウムを3.6g加え, バイアルを70℃で20分間加熱することにより, 最適な分析が可能であった。添加回収試験における回収率は90~113%, 相対標準偏差は10%以内と, いずれも良好な結果が得られ, 定量下限値は0.04~0.17μg・l-1であった。
    本法により新潟県内の河川, 夏季19地点 (16河川) 及び冬季16地点 (13河川) においてVOCスクリーニング調査を行った結果, ベンゼン, sec-ブチルベンゼン, エチルベンゼン, イソプロピルベンゼン, n-プロピルベンゼン, スチレン, トルエン, 1, 2, 4-及び1, 3, 5-トリメチルベンゼン, o-, m-及びp-キシレン, 1, 1-及び1, 2-ジクロロエタン, cis-及びtraps-1, 2-ジクロロエタン, ジクロロメタン, 1, 2-ジクロロプロパン, テトラクロロエチレン, 1, 1, 1-及び1, 1, 2-トリクロロエタン, トリクロロエチレン, トリクロロメタン, クロロベンゼン, o-及びp-クロロトルエン, 1, 2-, 1, 3-及び1, 4-ジクロロベンゼンが0.04~30μg・l-1の濃度範囲で検出された。夏季と冬季を比較すると, 検出された化合物の数は冬季の方が多く, 特にトルエン, キシレン等のアルキルベンゼン類が多く検出された。さらに, 対象とした53化合物の他に2-クロロ-1, 3-ブタジエン, 酢酸メチル, 酢酸エチル, 及び4-メチル-2-ペンタノンが検出された。
  • 近藤 秀治, 中嶋 敏秋
    1997 年 7 巻 1 号 p. 81-89
    発行日: 1997/03/25
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    ヘッドスペース・クライオフォーカス・ガスクロマトグラフィー質量分析法による水環境中の54VOCsについて, 分析条件を検討した。
    検出限界 (MDL) は, 0.005~0.035μg/lの範囲であった。河川水を用いた添加回収実験では, ほとんどの物質で90%以上の回収率が得られた。
    GossettらのEPICS法を用いて54VOCsのHenry's constantsを25.4℃から60℃の範囲で測定した結果, 0.014~1.339の範囲の無次元のHenry's constants (Hc) が測定された。この測定精度は, 低いHenry's constants (例えば, Hc<0.1) では悪くなる傾向であった。
    イオン強度が見掛けのHenry's constantsに与える影響を評価するため, 無水硫酸ナトリウムをゼロから2.82mol/lの間で使用した結果, 0.097~0.216l/mol (60℃) の範囲で塩析係数 (k) が得られた。
  • 望月 宏明, 後藤 純雄, 渡辺 征夫, 矢島 博文, 石井 忠浩, 田辺 潔
    1997 年 7 巻 1 号 p. 91-94
    発行日: 1997/03/25
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    環境空気中の有機塩素系化合物 (テトラクロロエチレン, 1, 1, 1-トリクロロエタン, トリクロロエチレン, 四塩化炭素, クロロホルム) の正確な人体への暴露状況を把握するために, クリーンエアーチャンバー内で呼気と吸気を採取し, その濃度の経時変化をGC/ECDを用いて測定した。その結果, クリーンエアーチャンバーを用いて, 当該物質濃度を環境濃度以下にした場合には, 当該物質すべてにおいて, 呼気濃度が吸気濃度より高くなることを認めた。この傾向は測定時間 (4時間) にわたり連続して認められた。以上の結果から, 当該物質の吸収及び排出は呼気中の濃度に依存することが示唆された。
    一方, 現在のクリーンエアーチャンバーの限界を示すデータも得られた。
  • 安部 明美
    1997 年 7 巻 1 号 p. 95-100
    発行日: 1997/03/25
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    1, 4-ジオキサンは河川水, 特に汚染された地下水でしばしば検出されている。しかし, 従来の方法では水試料からの抽出が煩雑で試料を多数処理するには適していなかった。本研究では, 抽出操作を簡易化するため, 固相抽出法を適用した。即ち, スチレンジビニルベンゼンポリマーカートリッジと活性炭カートリッジを連結したものに試料水100mlまたは200mlを通水し, 活性炭カートリッジから1, 4-ジオキサンを1mlのアセトンで脱離した。脱離液を濃縮することなく直接GC/MS分析を行うことにより, 検出下限値0.1μg/lと感度よく, 迅速に分析することができた。本方法を, 1995年から1996年にかけて神奈川県内で採取した環境水に適用した結果, 河川水でnd~16μg/l, 海水で0.3~0.9μg/l, 地下水でnd~79μg/l, 水道水で0.2~1.5μg/lが検出され, 本分析法の有効性が示された。
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