環境化学
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7 巻, 4 号
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  • Md. Masud KARIM, Yasukazu KOMORI, Monira ALAM
    1997 年 7 巻 4 号 p. 783-792
    発行日: 1997/12/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    Both soil and underground water of the southwestern Bangladesh has already been threatened with arsenic contamination affecting health of millions of people. An estimated 44% of total area of Bangladesh (34 districts) and 53 million rural people are at risk of arsenic poisoning. In the southwestern and some parts of eastern Bangladesh, arsenic content in soil and underground water has identified higher contamination. The experts at Bangladesh Council for Scientific and Industrial Research (BCSIR) found the highest contamination, 14mg/l of shallow tube well water in Pabna, a northern district and 220mg/kg of soil in Sylhet area of Bangladesh. The World Health Organization (WHO) standard for arsenic in drinking water is 0.01mg/l . However, the maximum permissible limit of arsenic in drinking water of Bangladesh is 0.05mg/l. Worsening contamination of groundwater aquifer and sufferings of the millions of people demand extensive research in this field.
    This study is a preliminary evaluation of our ongoing research on current state of the subsurface contamination of arsenic in Bangladesh. Last decade water resources management has been analyzed to cope with the problem in the source level. Possible geo-hydrological and geo-chemical occurrences of arsenic in subsurface are discussed. The concentration of arsenic and the stratigraphic occurrence are presented. It is observed that arsenic concentration in tubewell water of 31 districts of Bangladesh contain above the maximum permissible limit. And the concentration of arsenic in tubewell water decreases with the depth of subsurface.
  • 有泉 彰, 大塚 哲郎, 神山 昌士, 細見 正明
    1997 年 7 巻 4 号 p. 793-799
    発行日: 1997/12/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    化学処理法の一つである, 金属ナトリウム分散体 (SD) を用いた処理法により, 1000ppmのPCB処理原液について, デカリンを溶媒として100℃以下の低温での処理を行った。その結果, 残留PCBはGCでは検出されなかった (<20ppb) 。
    SD法によりPCBは100%脱塩素化され, 分解生成物として, ビフェニル, ビフェニル二水素化体及びビフェニル四水素化体をGC-MSにより同定した。溶媒として用いたデカリンを水素源として, ビフェニルナトリウム等が更に還元されたものと推定された。GPC分析からビフェニル重合体の生成は僅かであり, ほぼ100%の分解生成物が得られた。
  • 菅谷 なえ子, 中川 友夫, 山本 親男, 高橋 保雄, 森田 昌敏
    1997 年 7 巻 4 号 p. 801-808
    発行日: 1997/12/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    ハロアセトニトリル及び抱水クロラールの分析法を検討した。SPB-1を用いたGC-ECD法では, 水道水中に含まれるプロモジクロロメタンとジクロロアセトニトリルのピークが重なり, また, VOCOLカラムを用いたGC-ECD法では, プロモジクロロメタンと抱水クロラールのピークが重なって測定を妨害した。ハロアセトニトリルの分析はGC-NPD法, 抱水クロラールはGC/MS法で分析を行うことにより, 良好な結果が得られた。
    加熱実験の結果, 今回水道水から検出されたジクロロアセトニトリル, 抱水クロラールは, トリハロメタンと同様に, 煮沸により消失することが明らかになったが, 水温が100℃に達した後, 急激に減少することから, 煮沸による消失は, 揮散だけでなく分解も関与しているものと考えられた。また, ジクロロアセトニトリル, 抱水クロラール, トリハロメタンは, 40℃から80℃の濃度変化が複雑なパターンを示していることから, 前駆物質等が加熱されたことにより, これらの物質の生成が起こっていることが推察された。
  • 徳原 賢, 貴戸 東, 藤野 廣, 薬師神 重二, 城戸 浩三, 渡辺 征夫, 後藤 純雄
    1997 年 7 巻 4 号 p. 809-819
    発行日: 1997/12/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    発がん関連物質を含む15種のVOCs (ハロゲン化炭化水素9種, 芳香族炭化水素5種, その他1種) の濃度の経時変化を北九州市内の5戸の住宅で調査した。試料空気はグラファイトカーボン吸着剤 (Carbopack B) とカーボンモレキュラーシープ吸着剤 (Carbosieve S II) を充てんした捕集管をオートサンプラーに装着して, 室内と屋外の空気を同時に採取した。採取した試料を加熱脱着し, GC/MS-SIMで各濃度を測定した。その結果, 室内空気で比較的時間変動が大きかった化合物はクロロホルム, 1, 1, 1-トリクロロエタンであったが, p-ジクロロベンゼンとα-ピネンは小さな変動を示した。室内空気で最も高いリスクを与えたのはp-ジクロロベンゼン (1.7×10-5) であった。また, 10物質の経気道暴露による損失寿命を計算すると室内空気で170分となった。
  • 高橋 ゆかり, 雨谷 敬史, 松下 秀鶴
    1997 年 7 巻 4 号 p. 821-829
    発行日: 1997/12/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    本分析法は, 連続自動分析が可能な, 前段濃縮・クリーンアップカラム付き高速液体クロマト/分光蛍光検出システムを採用し, 最初の5分間の操作で前段濃縮・クリーンアップを行うことで, カラム中に大量の試料液を注入しても, その中のPAHをカラム前段に濃縮させ, 極性物質等を除去し, 次の分離操作で濃縮されたPAHを各成分に分離することに成功した。また, 2台の分光蛍光検出器を用い, 分析目的PAHの特性励起・蛍光波長に合わせて検出波長を分析中に自動的に切り替え, 分析目的PAHを高感度かつ選択的に検出することが可能となった。さらに, 本法は抽出及び分析操作が簡便であるため, 一度に多数の試料の処理が必要な一般家庭の室内試料や個人サンプラー試料の分析に適していることを予備的室内調査より確認した。
  • 川田 邦明, 水戸部 英子, 茨木 剛, 田村 良三, 坂井 正昭, 貴船 育英
    1997 年 7 巻 4 号 p. 831-840
    発行日: 1997/12/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    「ナホトカ」から回収した重油を風化させたもの及び新潟県内の海岸に漂着した重油中に含まれるn-アルカン類31化合物, Pri, Phy, アルキルジベンゾチオフェン類8化合物, PAH類22化合物及びアルキルベンゼン類24化合物を同定した。その結果, 比較的分子量の小さいC10~C22は, C23~C40に比べて速やかに消失することがわかった。また, C17/Pri及びC18/Phyから, n-アルカン類の微生物分解の可能性も考えられたが, いずれのアルカンも, 海水への溶解や微生物分解よりも空気中への揮発による消失が早いものと考えられた。アルキルジベンゾチオフェン類及びPAH類はいずれも風化に伴って消失して行き, その速度はC30より大きかった。そして, 海水への溶解や微生物分解よりも空気中への揮発による消失が早いものと考えられた。また, PAH類では光分解による消失も考えられた。さらに, 重油の識別に, C23~C40n-アルカン類, ジメチルジベンゾチオフェン類及びPAH類の組成比の比較を試みたが, いずれも必ずしも有効な手法ではないことがわかった。
    1997年5月~8月に新潟県内の海岸で採取した重油6試料について検討した結果, いずれもは「ナホトカ」から流出した重油でない可能性が高いものと推定された。今後, 「ナホトカ」から流出した重油中の有機化合物類は, 気象条件等により異なるが, 環境中においてより分子量の小さいものほど速やかに消失して行くものと考えられた。
  • ―超音波抽出溶媒の検討と環境試料への適用―
    田辺 顕子
    1997 年 7 巻 4 号 p. 841-849
    発行日: 1997/12/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    大気浮遊粉じん中に存在する多環芳香族炭化水素 (PAH) 8物質及びn-アルカン10物質を対象として, 超音波抽出後, GC/MSで定量するために, 従来用いられている溶媒より有害性の低い抽出溶媒を検討した。16種の溶媒について, ハイボリウムエアサンプラーで石英繊維ろ紙上に採取した浮遊粉じんの実試料を超音波抽出する際の抽出効率を比較した。その結果, エタノール: シクロヘキサン (1: 3) を用いることにより, 従来から用いられているエタノール: ベンゼン (1: 3) に匹敵する良好な結果が得られた。本法によるPAH及びn-アルカンのサロゲートの回収率は83~103%, 相対標準偏差は10%以内であった。新潟県内4地点で浮遊粉じん試料を採取し, PAH及びn-アルカンを測定した結果, ベンゾ [a] アントラセンを除くPAH7種及びn-アルカン10種の合計濃度はそれぞれ0.79~8.0ng・m-3及び7.7~84ng・m-3で, 特に妨害もなく良好に測定することができた。また, 浮遊粉じん中における各物質の比率を比較すると, PAHでは地点による差が小さかったのに対し, n-アルカンでは地点による差が若干認められた。
  • 森 康明, 行谷 義治, 節田 節子, 後藤 純雄, 小野寺 祐夫, 松下 秀鶴
    1997 年 7 巻 4 号 p. 851-857
    発行日: 1997/12/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    空気中の揮発性有機化合物27種類について1997年3月に新築未入居集合住宅で測定した。クロロホルム以外の成分はすべて検出され、その濃度範囲は1, 1, 1-トリクロロエタンの1.2μg/m3からトルエンの1200μg/m3の範囲であった。更に, 室内空気中のVOC測定のためのCarbopack B拡散サンプラーの有用性を検討した。拡散吸着率はヘキサンが0.36±0.06ml/min, エチルベンゼンが0.267±0.04ml/min, ノナンが0.177±0.03ml/min, ジクロロメタンが0.137±0.02m4/minでメチルイソブチルケトンが0.24±0.05ml/minであった。また, ヘプタン, ベンゼンおよびトリクロロエチレンに対する拡散吸着率の相対標準偏差は, それぞれ24%以下であることから, これらのVOCはCarbopack B捕集管による拡散サンプリングにより測定できることが示唆されたが, その他のVOCのCarbopack B捕集管の適用については, 更に検討する余地がある。
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