ナホトカ号重油, その漂着油および油砂について石川県沿岸の現場海水を用いて微生物分解実験やバイオレメデェーションの基礎的実験を行い, また, 同時に沿岸海域における石油分解細菌の分布密度を調査し, 以下の結果を得た。 (1) 石油分解細菌の密度は10
2~10
1MPN/100mlであり, (2) 石油の分解率は海水中の窒素やリン源の濃度によって大きく変化し, 窒素やリンの添加によって約2倍まで増加した。 (3) 重油成分ごとの分解性では, ジクロロメタン抽出物は
n-ヘキサン抽出物に比べて分解されにくい。個々の成分における分解性は炭素数が24以下のn-パラフィン有機硫黄化合物 (ジベンゾチオフェン) , ベンゾ (
a) ピレン, ピレン, フルオランテンが分解されやすく, クリセンやベンゾ (
k) フルオランテンは分解されにくく, 全パラフィン, ジベンゾチオフェン, ベンゾ (
a) ピレン, ピレン, フルオランテンの培養38日における分解率はそれぞれ62%, 100%, 63%, 68%, 81%であった.
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