環境化学
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8 巻, 4 号
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  • 西村 貴司, 多々野 秀二, 鎌田 暁義, 服部 幸和, 牧 定雄
    1998 年 8 巻 4 号 p. 759-767
    発行日: 1998/12/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    環境大気中のダイオキシン類の挙動について検討した。高分解能GC/MSを導入した1996年の調査では, TEQ濃度の同族体構成においては, PCDDs及びPCDFsとも五, 六塩化物の構成比率が高かった。またPCDDs及びPCDFsとも, 採取日の平均風速が1.5~2.0m/sの時に比較的高濃度が検出された。そして都市域においては, 採取日の主風向とPCDDs及びPCDFsの検出濃度の関係において, 都市ごみ焼却場の影響が示唆される地点があった。PCDDsとPCDFs, PCDDs及びPCDFsと浮遊粉じん濃度の関係において, それぞれ良好な相関が見られた。
  • Romeu Ioan FARCASANU, Toshiko YAMAGUCHI, Per MOLDRUP, Lis Wollesen de ...
    1998 年 8 巻 4 号 p. 769-779
    発行日: 1998/12/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    Adsorption and desorption isotherms of Simazine on a decomposed granitic (DG) soil, two natural loam soils, and selected soil particle size fractions were measured in batch experiments. Soil-water content (air-dry compared to oven-dry) markedly influenced the amounts of simazine adsorbed and desorbed on the low-organic DG soil and its soil size fractions while only slight effects were observed for the higher-organic loam soils and their soil size fractions. Decreasing adsorption and increasing desorption with increasing pH was observed for all soils. For both DG and loam, the largest soil size fraction (1.0-2.0 mm) was the most effective adsorber based on unit surface area. The Freundlich isotherm equation well described the measured adsorption and desorption data. The Freundlich adsorption and desorption coefficients (kf, a and kf, d) were both highly correlated with specific surface area for the DG and soil organic matter content for the loam. Also, kf, d was highly correlated with kf, a Three step desorption experiments gave a final desorption of simazine from the DG soil and its size fractions between 91-95 % of the total amount initially adsorbed compared to only 12-22 % for the loam soils and their size fractions. Minor sorption hysteresis was observed for DG. Large hysteresis effects were seen for the loam soils where the hysteresis index was controlled by the soil organic matter content. The difference in sorption characteristics and hysteresis for the two soil types was confirmed in micro-column transport experiments, where significant retardation and tailing of the simazine effluent concentration curve was observed only for the loam soil.
  • 小倉 光夫
    1998 年 8 巻 4 号 p. 781-786
    発行日: 1998/12/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    ICP質量分析法による環境試料中のタリウムの正確で迅速な分析方法を検討した。試料をふっ化水素酸/硝酸/過塩素酸で分解した後, 希硝酸に溶解して試験溶液とした。マトリックス効果を補正するため, 白金を内標準元素として用いた。本法による各種標準試料中のタリウム分析値は, いずれの試料でも保証値, 参考値と良く一致した。ICP質量分析法によるタリウムの定量限界 (10σ) は試料中0.0012μg/gであった。環境試料から0.24~0.47μg/g (底質, 飛灰) , 1.2~1.9μg/g (下水汚泥, 浮遊粉じん) のタリウムが検出された。
  • 小森 正樹, 芹川 俊彦, 庄田 丈夫, 中村 嘉利, 澤田 達郎, 丸山 明彦, 東原 孝規
    1998 年 8 巻 4 号 p. 787-796
    発行日: 1998/12/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    ナホトカ号重油, その漂着油および油砂について石川県沿岸の現場海水を用いて微生物分解実験やバイオレメデェーションの基礎的実験を行い, また, 同時に沿岸海域における石油分解細菌の分布密度を調査し, 以下の結果を得た。 (1) 石油分解細菌の密度は102~101MPN/100mlであり, (2) 石油の分解率は海水中の窒素やリン源の濃度によって大きく変化し, 窒素やリンの添加によって約2倍まで増加した。 (3) 重油成分ごとの分解性では, ジクロロメタン抽出物はn-ヘキサン抽出物に比べて分解されにくい。個々の成分における分解性は炭素数が24以下のn-パラフィン有機硫黄化合物 (ジベンゾチオフェン) , ベンゾ (a) ピレン, ピレン, フルオランテンが分解されやすく, クリセンやベンゾ (k) フルオランテンは分解されにくく, 全パラフィン, ジベンゾチオフェン, ベンゾ (a) ピレン, ピレン, フルオランテンの培養38日における分解率はそれぞれ62%, 100%, 63%, 68%, 81%であった.
  • 浦木 陽子, 鈴木 茂
    1998 年 8 巻 4 号 p. 797-805
    発行日: 1998/12/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    捕集剤として, 石英繊維ろ紙と吸着剤 (Empore Disk) を用いて, ガス状及び粒子状多環芳香族化合物 (PNAs) の分析法を検討した。25℃, 及び40℃で, 石英繊維ろ紙に添加したFluoranthene, Pyrene, Benzo [e] pyrene他, 4環以上の7物質について, ほぼ100%の添加回収率が得られた。Benzo [a] pyrene (B [a] P) の回収率は20%前後であり, 酸化体のB [a] P-Quinoneの生成が確認されたことから, B [a] Pは酸化していると考えられた。そこで捕集剤の前処理を検討したところ, 一部のPNAsの回収率は向上したが, B [a] Pの酸化は抑制出来なかった。また, この方法を用いて, 一般環境と発生源でのPNAsを測定した。
  • 神浦 俊一, 田島 裕子, 中原 武利
    1998 年 8 巻 4 号 p. 807-812
    発行日: 1998/12/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    大気中のクロトンアルデヒドを2, 4-ジニトロヒドラジン (DNPH) 含浸シリカカートリッジで捕集し, GC/MSで定量する分析法を開発した。大気試料はクロトンアルデヒドのオゾンスクラバー上での損失を防ぐために, 使い捨てカイロにより並列につないだオゾンスクラバーを加温しながら採取した。0.1l/minで24時間, 大気を採取した時の検出下限値及び定量下限値はそれぞれ4ng/m3及び14ng/m3であった。本法により実際の大気を測定したところ, 0~0.78μg/m3のクロトンアルデヒドが検出された。また, ホルムアルデヒド及びアセトアルデヒドでも使い捨てカイロによる加温効果が認められた。
  • 杉山 智彦, 平原 悟, 雨谷 敬史, 松下 秀鶴, 相馬 光之, 井上 浩三
    1998 年 8 巻 4 号 p. 813-822
    発行日: 1998/12/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    室内微小浮遊粒子の簡易測定のために, 低流量・小型カスケードインパクターを試作した。本カスケードインパクターは, 3.0l/min及び25l/minでポンプで吸引することにより, 浮遊粒子を10μm以上, 2.5~10μm, 2.5μm以下の3段階に分級捕集するためのインパクターである。本インパクターの測定正確度や精度を室内浮遊粒子濃度およびPAH濃度を指標として, 従来の微小粒子の計測に用いられているTEOM粉塵濃度計と対比することにより検討した結果,
    (1) 本カスケードインパクターによる室内浮遊粒子濃度は, たばこ30本を自然燃焼させて室内浮遊粒子を大量に発生させた場合及び一般的な室内条件の場合のいずれの場合もTEOMによる測定結果と良好な一致を示すことが判った。
    (2) 本カスケードインパクター及びTEOMにより得られた粒子中のPAH濃度を比較した結果, 両者は良好な一致を与えることが判った。また, 本カスケードインパクターにより3段階に捕集された試料中のPAH濃度は2.5μm以下>2.5~10μm>10μm以上となることを認めた。
    (3) 本カスケードインパクターの粒子濃度の測定精度は, 粒子量が50μg程度以上得られれば8.8%以下, PAH濃度の測定精度も8.8%以下と十分実用に耐えうることを認めた。
    以上の結果から, 本研究において試作した低流量・小型カスケードインパクターは, 浮遊粒子及びPAHを精度良く, 且つ粒径別に捕集することが可能であり, 微小粒子の簡易計測法として有効であることが示された。
  • 房家 正博, 雨谷 敬史, 松下 秀鶴, 相馬 光之
    1998 年 8 巻 4 号 p. 823-830
    発行日: 1998/12/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    空気清浄機を作動させた場合のオゾンの発生量と, 停止後の減衰についての検討を行った。市販の14種類の空気清浄機のうち, 電気集塵式やイオン式の機種の一部にオゾンの発生がみられた。オゾンの発生が認められた機種でも, その発生量は機種により異なり, 316μl/hr~5100μl/hrであった。
    このうち発生量の大きい機種を用いて, 夏と冬による発生量の違いや, 脱臭フィルターによる除去効果, 印加電圧による発生量の違い, および試験室と実際の室内でのオゾンの発生量と, 停止後の減衰の相違などについて調査した。この結果, 湿度の多い夏場や脱臭フィルターを装着した場合にオゾン発生量が低くなること, プラスの電圧で放電するよりもマイナスの電圧で放電する方がオゾン濃度が高くなることが認められた。さらに, オゾンは反応性に富んでいるため, チャンバーとくらべて実際の室内での濃度はかなり低くなること, 停止後の減衰もかなり早く進むことが認められた。また, 最大のオゾン発生量を示す機種では, 実際の室内でも一般環境基準の60ppbを超える濃度になることも認められた。
  • 杉本 岩雄, 小川 茂樹, 中村 雅之, 瀬山 倫子, 加藤 忠
    1998 年 8 巻 4 号 p. 831-840
    発行日: 1998/12/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    ポリマー及びアミノ酸の高周波スパッタ膜を感応膜とした水晶振動子式センサ素子のppbレベルにおける石油留分ガスやガソリン, 重油の揮発ガスの検出機能を調べた。ポリエチレン (PE) 多孔質焼結体のスパッタ膜は成膜方法により大きくセンサ機能が影響を受けた。炭化が進んだPE膜センサや残留水分が多い状態で作成したPE膜センサは感度が不十分であった。これに対して, 排気を十分して作成したPE膜や紫外光励起を行って作成したPE膜センサはppbレベルの石油成分ガスに対し十分な感度を有する。この, 紫外光励起効果によりPE膜センサの検出感度は向上し, 炭素数12以上の直鎖状炭化水素ではppt領域の極低濃度なガス検知が十分可能であることが示唆された。しかし, 感応膜中への拡散による吸収・保持過程が検出機構を支配するため, 飽和するまでの時間の長い, 時定数の大きなセンサ応答を示す。
    アミノ酸のスパッタ膜を感応膜としたアミノ酸膜センサはppb領域の濃度域では極めて低い応答しか示さず, フロロポリマー膜センサでは検出能力が認められなかった。また, PE膜センサは水蒸気の影響を受けにくく選択的に有機ガスを高感度に検出できことも確認でき, 環境センシングに有力なセンサ素子と言える。
  • 大久保 忠利, 遠藤 治, 後藤 純雄, 峯木 茂, 渡辺 悦生, 林 哲仁
    1998 年 8 巻 4 号 p. 841-846
    発行日: 1998/12/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    マイクロサスペンジョン法での微量な試料等の変異原性検出能について, 試験菌液濃度やプレインキュベーション時間, 又は水分の蒸発を防ぐための方法について, 大気浮遊粉じん抽出物及びS.typhimuriumTA100株を用いて検討した。
    その結果, 試験菌液濃度が通常のAmes法の0.5倍から100倍の範囲では, 菌液濃度の上昇に伴って変異原性検出能が高くなることが認められた。また, 菌濃度が高い場合には, プレインキュベーション時間を長くすることにより, 高い変異原性検出能を示すようになることが認められた。更に菌液濃度を技術的限界に近い100倍と高くした場合でも, マイクロバイアルを用いることにより水分蒸発が抑制され, 改善されることも判った。
  • 岩本 明美, 佐々木 左宇介, 秋山 賢一
    1998 年 8 巻 4 号 p. 847-855
    発行日: 1998/12/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    Nowadays, automotive exhaust carbonyls are collected as 2, 4-Dinitrophenylhydrazine (DNPH) derivertives and mostly analysed by high performance liquid chromatography with ultra violet detection. In this study, sensitivities, reproducibilities, suitable wavelength for detection, and stability with elapsed time on the sample tray of DNPH-aldehydes analysed by high performance liquid chromatography are investigated.
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