著者らが確立したハロゲン化消毒副生成物の多成分系統分析法を用いて, ある地区の水道原水及び水道水中の34種類のハロゲン化消毒副生成物濃度を調査した。
その結果, 今回調査した水道原水中の総ハロゲン化消毒副生成物濃度は15ng/ml以下であったが, 多くの水道原水は5ng/ml以下であった。ハロゲン化消毒副生成物を類別に見ると, ハロ酢酸濃度は極端に高く, 次に高濃度である類別ハロゲン化消毒副生成物 (ハロアセトン, ハロアセトアルデヒド, トリハロメタン) は原水の特性により, 異なっていた。ハロ酢酸の内, 河川水が水道原水の場合にはジクロロ酢酸・トリクロロ酢酸が高い濃度で, 海水及び排水の影響を受けた河川水の水道原水ではトリブロモ酢酸が高い濃度で検出された。
一方, 本土の特別区及び島嶼のOG地区における水道水中の総ハロゲン化消毒副生成物濃度は約50~約140ng/ml (平均値, 約100ng/ml) であった。ハロゲン化消毒副生成物を類別に見ると, ハロ酢酸, トリハロメタンはメジャー成分であり, それぞれの濃度は約15~約90ng/ml (平均値, 約20~約65ng/ml) であり, ハロアセトニトリル, ハロアセトン, ハロアセトアルデヒドは中間成分であり, それぞれの濃度は約1~約15ng/ml (平均値, 数~15弱ng/ml) であり, ハロニトロメタン・ハロプロピオン酸はマイナー成分であり, それぞれの濃度は2ng/ml以下であった。個々のハロゲン化消毒副生成物は河川水が原水である水道水中のハロゲン化消毒副生成物は主に塩素化消毒副生成物であり, 海水及び排水の影響を受けた河川水及び地下水が原水である水道水中のハロゲン化消毒副生成物は主に臭素化消毒副生成物であった。但し, 高度処理を施した水道水中の全てのハロゲン化消毒副生成物濃度は塩素処理のみの水道水と比べ, 低かった。
同様に, 本土の非特別区及び島嶼のOH地区における水道水中の総ハロゲン化消毒副生成物濃度は約5~約70ng/ml (平均値, 約25ng/ml) であった。ハロゲン化消毒副生成物を類別に見ると, ハロ酢酸, トリハロメタンはメジャー成分であり, それぞれの濃度は0.5~約40ng/ml (平均値, 約3~約20ng/ml) であり, ハロアセトニトリル, ハロアセトン, ハロアセトアルデヒドは中間成分であり, それぞれの濃度は検出せず~約30ng/ml (平均値, 約0.5~約3ng/ml) であり, ハロニトロメタン・ハロプロピオン酸はマイナー成分はであり, それぞれの濃度は1ng/ml以下であった。個々のハロゲン化消毒副生成物は河川水が原水である水道水中のハロゲン化消毒副生成物は主に塩素化消毒副生成物であり, 海水及び排水の影響を受けた河川水及び地下水が原水である水道水中のハロゲン化消毒副生成物は主に臭素化消毒副生成物であった。
なお, 本土の特別区及び島嶼のOG地区における水道水中と水道原水中のハロゲン化消毒副生成物の濃度差は非常に大きかった。しかし, 本土の特別区及び島嶼のOG地区の水道水に比べ, 本土の非特別区及び島嶼のOH地区における水道水中と水道原水中のハロゲン化消毒副生成物の濃度差は大きくなかった。
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