墜落外傷は故意・偶発的にかかわらず多発外傷を引き起こす可能性が高く,緊急の処置を要する場合が多い.当院における墜落外傷患者を検討し,受傷機転と四肢骨折の特徴について検討した.自殺企図群では下肢骨折の割合が高く,事故群では上肢骨折の割合が高いことが示唆された.
墜落外傷では外傷部位が複数箇所に及ぶ可能性が高く,患者背景や受傷機転を把握し外傷部位を予想することで,早期治療介入の一助になると考えられた.
腰部脊柱管狭窄症患者のQOLが肥満の有無で違いがあるかJOABPEQを用いて検討した.本研究の結果から,肥満のある例では術前にJOABPEQで評価した腰椎機能障害が有意に悪化していることがわかった.特に体幹前屈を伴う動作の障害が肥満のある例で,より重篤であった.したがって腰部脊柱管狭窄症患者で肥満のある例では腰椎機能障害の悪化によってQOLが低下していると考えられた.
側方侵入椎体間固定術(LLIF)を施行した120例を年代別に分け,合併症と臨床成績を比較した.Cage subsidence,pedicle screwの弛み,大腿神経障害,骨癒合率,臨床成績に有意差は認めなかった.さらに骨粗鬆症治療介入の有無で比較し,治療介入群は非介入群より高齢かつ女性が多かったが,合併症,骨癒合率,臨床成績に有意差は認めなかった.
膝窩嚢胞に対する鏡視下交通路拡大術後の嚢胞サイズの経時的変化を,関節腔との交通を有する交通群34膝と,交通がなかった非交通群26膝の計60膝で検討した.MRIで術前,術後1ヵ月から1年の嚢胞断面積を測定した.両群とも術後に著明な縮小を示し,1年後には術前の約1/30に減少した.交通の有無による嚢胞サイズ,関節液量,年齢,関節内所見の差はなかった.本術式は両群であっても共通して有効な治療法であることが示された.
化膿性脊椎炎は近年増加傾向にあり,透析はその危険因子の一つとされる.透析患者は反復する血管穿刺により感染を起こしやすく,化膿性脊椎炎では死亡率も高い.しかし,その詳細な報告は依然として少ない.本検討では,当院で経験した透析患者11例を後方視的に解析した.感染源や起炎菌は血管穿刺の関与が示唆され,死亡率も高率であった.透析患者における化膿性脊椎炎は予後不良であり,きわめて重要な課題と考えられる.
遠位骨片が比較的小さな上腕骨遠位骨幹部骨折5例に対し,近位と遠位を反転したPHILOSを用いて固定した症例の治療成績を検討した.骨折型はAO-OTA分類12A1が1例,12B2が4例であった.全例で術後転位なく骨癒合した.PHILOSを反転して使用することにより遠位骨片に多方向のスクリュー挿入が可能であり,本骨折に対して選択可能な治療法の一つであると考える.
2024年度より医師の働き方改革が施行された.本研究では,三次救急病院である当院での整形外科医の勤務実態を,2023年度と2024年度の働き方改革前後で比較した.整形外科は残業時間・時間外患者診察数・救急車件数と入院件数・臨時緊急手術件数のいずれにおいても,他診療科と比較して高順位であり,働き方改革後も有意な負担軽減は認められなかった.タスクシフト等によるさらなる改革が必要と考えられる.
わずかに転位した母指ベネット骨折の保存治療後に有痛性の症状が生じ,矯正骨切り術を施行した症例を経験したため報告する.症例は24歳男性,ラグビーで受傷した.Step off 0.86 mmの母指ベネット骨折を認め,保存加療を行った.外固定終了後骨折部で有痛性のクリックを認め,新しい骨切り線での矯正骨切り術を施行した.術後6ヵ月時点でDASH score 0点でラグビー競技に完全復帰と良好な成績が得られた.
症例は64歳女性,糖尿病の既往がある.右踵部の潰瘍に対し前医で複数回デブリードマンを行うも創治癒が得られず当科紹介となった.軟部組織欠損を伴う踵骨骨髄炎に対し踵骨亜全摘術を施行した.創閉鎖と感染の鎮静化が得られ,現在術後約2年で独歩可能と経過は良好である.本法は皮弁による軟部再建が困難な症例に対し,下肢切断を回避し歩行機能の温存が可能な治療法の一つと考えられる.
野球クラブに所属する11歳男児.自転車乗車中に転倒し受傷.初診時単純X線像にて両側脛骨の前方骨皮質の著明な肥厚を認め,また右脛骨骨幹部は同部位で完全骨折をきたしていた.跳躍型疲労骨折を基盤とした脛骨骨幹部骨折と診断し,完全骨折した側はプレート固定,もう一方はドリリングを行った.両側とも前方骨皮質の癒合を得ることができなかったため偽関節手術,骨移植術を施行することで骨癒合にいたった.
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