日本肘関節学会雑誌
Online ISSN : 2434-2262
Print ISSN : 1349-7324
27 巻, 2 号
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I. 基礎
  • 古屋 貫治, 松久 孝行, 鈴木 昌, 小原 賢司, 磯崎 雄一, 大澤 一誉, 田鹿 佑太朗, 木村 亮介, 西中 直也
    2020 年 27 巻 2 号 p. 1-3
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/03/16
    ジャーナル フリー
     上腕骨小頭離断性骨軟骨炎(OCD)の病変は上腕骨小頭に限局するため,単純X線では肘屈曲45度撮影による病変の描出が有用である.通常の単純CTでは上腕骨軸に合わせてMPR像を作成するが,上腕骨小頭軸に合わせた撮像の方がより正確に病変を描出できるのではないかと仮定した.当院でOCDの診断がつき,通常の単純CT撮影に加えて上腕骨小頭軸に合わせた撮影も行った7名を対象とした.上腕骨軸の冠状断像をC群、上腕骨小頭軸の冠状断像(oblique-coronal imaging; OCI撮影)をOC群とし、病変サイズを両群間で比較した.結果は,横幅でOC群が有意に大きく,縦幅でOC群が有意に小さかった.病変の軸と撮影軸が近似することで、本来の病変サイズを反映できた結果と考える.OCI撮影は実際の病変サイズを把握できる撮影法と考えられる.
  • 貝沼 雄太, 古島 弘三, 宇良田 大悟, 船越 忠直, 草野 寛, 高橋 啓, 安田 武蔵, 川鍋 慧人, 堀内 行雄, 伊藤 惠康
    2020 年 27 巻 2 号 p. 4-7
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/03/16
    ジャーナル フリー
     超音波画像診断装置(US)で尺側側副靭帯前斜走線維(AOL)直上の尺側手根屈筋(FCU)・浅指屈筋(FDS)の筋厚を測定し検者内・検者間信頼性を検討した.FCU・FDS筋厚とMRIでFCU・FDSのCSA(筋横断面積)の関係性を検討した.対象は男性8名とした. FCU・FDS筋厚はUSで評価し,上腕骨滑車裂隙辺縁部直上(近位部),尺骨鉤状結節辺縁部直上(遠位部)を測定した.またMRIでAOLの走行に対する垂直平面におけるFCU・FDSのCSAを測定した.US筋厚測定の検者内・検者間信頼性は,近位部ICC(1,1)=0.96,ICC(2,1)=0.96,遠位部ICC(1,1)=0.96,ICC(2,1)=0.97であった.US筋厚とMRIのCSAの相関係数は近位部,遠位部ともにR 2 =0.82であった.USによるAOL直上のFCU・FDS筋厚は,FCU・FDS筋量評価として有用である.
Ⅱ. 先天性疾患
  • 仲宗根 素子, 金城 政樹, 大中 敬子, 大久保 宏貴, 西田 康太郎
    2020 年 27 巻 2 号 p. 8-11
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/03/16
    ジャーナル フリー
     外傷歴の無い内反肘変形に伴う後外側回旋不安定症(PLRI)の治療報告は少ない.両側の非外傷性内反肘で右側にPLRIを認める症例に対し,上腕骨矯正骨切りと靭帯再建術を行った.【症例】14歳男性.外傷歴なく両肘内反変形が出現.肘関節の亜脱臼,自己整復を繰り返していた.左側の亜脱臼は12歳ごろ自然に消失したが,右側は持続し,痛みを認めたため手術を予定した.肘内反角は右14 ° 左5° ,Humerus-Elbow-Wrist angleは右-13° ,左-5° であった.手術では右上腕骨に対し14° の外反矯正骨切り術を行い,長掌筋腱を用いて外側尺側側副靭帯を再建した.術後6か月で不安定性を認めなかった.【考察】本症例は先天性の内反変形が外側支持機構の弛緩を生じPLRIを生じたと考えられた.本症例では靭帯再建術だけでなく上腕骨矯正骨切り術を併用したことで関節不安定性が改善されたと思われた.
  • 畠中 孝則, 西田 淳, 永井 太朗, 立岩 俊之, 山本 謙吾
    2020 年 27 巻 2 号 p. 12-14
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/03/16
    ジャーナル フリー
    【緒言】先天性無痛無汗症患者に生じた上腕骨遠位骨端離開の1例を経験したので報告する.
    【症例】 2 歳 5 か月,女児.歩行中に前のめりに転倒し受傷した.左肘関節の腫脹を認めたが圧痛や動作時痛はなかった.単純 X 線像にて上腕骨外側顆骨折に伴う左肘関節脱臼と判断し同日手術を施行したが,術後 3 日で再転位を認めた. X 線を再評価し上腕骨遠位骨端離開の診断にて同日再固定および 一時的肘関節固定術を施行した.再手術後 1 週で再転位および関節固定部高位での上腕骨顆上骨折を生じたが,転位は軽度であったため保存加療を継続し術後 8 週にて骨癒合が得られた.術後 12か月にて明らかな機能損失は認めない.
    【考察】先天性無痛無汗症患者は疼痛を感じないため局所安静が守れず骨折治療に難渋することも少なくない.本疾患の治療に当たっては手術加療や外固定の工夫を考慮する必要があると考える.
Ⅲ. 外傷・外傷合併症
  • 松浦 充洋, 吉田 史郎, 上野 智規, 坂井 健介, 秋吉 寿
    2020 年 27 巻 2 号 p. 15-17
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/03/16
    ジャーナル フリー
     症例は11歳,男児.バスケットボールの試合中に相手と衝突,転倒受傷し救急搬送となった.来院時には橈骨神経領域の感覚の脱失,下垂手を認め,単純X線写真では上腕骨遠位骨幹・骨幹端metaphyseal-diaphyseal junction(以下MDJ)骨折であった.受傷4時間後に後方アプローチで展開し骨折部を確認したが,神経の挟み込みは認めず,外側筋間中隔で絞扼されていたため剥離し,観血的骨接合術を行った.受傷4か月のX線写真で骨癒合を認め,最終機能評価としてJOA-JESスコアは97点,PREE-Jは1,握力は健側比97%と改善を認め,バスケットボール競技に復帰している.上腕骨遠位端MDJ骨折は不安定性と外側筋間中隔によって麻痺を引き起こす可能性が示唆され,治療法としては上腕骨顆上骨折と区別して検討することが重要で,観血的整復固定術が必要と考える.
  • 久保 卓也, 中川 敬介, 鈴木 啓介, 山中 清孝, 細見 僚, 日高 典昭
    2020 年 27 巻 2 号 p. 18-22
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/03/16
    ジャーナル フリー
     上腕骨遠位骨幹端外側骨片の転位方向を評価することで,簡易に鑑別が可能か後ろ向きに検討した.小児上腕骨外側顆骨折(以下 LCF ),Salter-Harris II 型の上腕骨遠位骨端離開(以下 ES ),ならびに LCF を伴う脱臼骨折(以下 FD )を対象とした.症例は 54 例(男児44 例、女児 10 例)で,年齢は 1-10 歳(平均 5.8 歳)であった.内訳は LCF:38 例,ES:9 例,FD:7 例であった.骨片の転位方向は,LCFでは全例外方-内反転位,ES では全例内方-内反転位,FDでは外方-内反転位が 2 例,内方-内反転位が5例であった.FD を慎重に鑑別した後,骨片が外方-内反転位している場合は LCF の可能性を一番に考え,内方-内反転位している場合は ES の可能性を一番に鑑別に挙げることが,正確な診断に至る一助になると考える.
  • 西脇 正夫, 寺坂 幸倫, 清田 康弘, 久島 雄宇, 稲葉 尚人, 別所 祐貴, 堀内 行雄
    2020 年 27 巻 2 号 p. 23-26
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/03/16
    ジャーナル フリー
     上腕骨外側顆骨折を伴う小児肘関節脱臼はまれな外傷であるが,当科では2015年以降5例(6~11歳,全例男児)経験した.単純X線像では上腕骨小頭核は全例橈骨長軸上にあったが,4例は回転転位があった.回転転位が明らかでない1例は,上腕骨滑車核が未出現であり,上腕骨遠位骨端離解と鑑別できなかった.しかし,全例肘関節屈曲時にばね様抵抗があり,徒手整復で明らかな脱臼整復感とともにばね様抵抗が消失したことから鑑別できた.関節造影では全例外側顆骨片が確認された.全例前外側侵入で関節面を直視下に整復して内固定した.最終調査時の肘関節平均自動可動域は,屈曲134° ,伸展11° であり,全例骨癒合が得られ,fishtail変形はなかったが,外側骨隆起があった.上腕骨外側顆骨折を伴う肘関節脱臼は,上腕骨滑車核出現前は単純 X 線像では上腕骨遠位骨端離解との鑑別困難なことがあるが,理学所見が鑑別に有用であった.
  • 玉置 康之, 田中 康之
    2020 年 27 巻 2 号 p. 27-30
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/03/16
    ジャーナル フリー
    【緒言】非常にまれな滑車骨折を伴った小児上腕骨内側上顆骨折の 1 例を経験したので報告する. 【症例】 11 歳の女児で,バトントワリング練習中に転倒受傷した.上腕骨内側上顆骨折の Watson-Jones Type2 と診断し手術を行った.術前麻酔下で関節不安定性は高度であり,術中に関節内に転位した大きな滑車骨折があることが判明した.滑車骨片,内側上顆骨片をそれぞれ整復固定した.術後経過は良好で,術後 6 か月で疼痛,関節可動域制限なく,運動に完全復帰した.【考察】本症例は Watson-Jones Type2 と診断したが,不安定性高度で滑車骨折を合併していたことから Type3もしくは 4 の自然整復例と推測された.高度の不安定性を有する場合は滑車骨折などの関節内骨折の合併を念頭に置く必要がある.
  • 梅澤 仁, 森田 晃造
    2020 年 27 巻 2 号 p. 31-33
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/03/16
    ジャーナル フリー
     小児上腕骨内側上顆骨折と外側上顆骨折を同時に受傷するのはまれである.今回上腕骨内側上顆骨折と外側上顆骨折を同時に受傷した一例を経験したので報告する.14歳男児.高跳びにて左手で着地後,単純 X 線にて上腕骨内側上顆骨折と外側上顆骨折を認めた.内側上顆骨折の観血的整復固定術施行し外側上顆骨片は不安定性を認めなかったため未処置とした.術後 9 か月時点で関節可動域制限および関節動揺性なく経過良好であった.上腕骨内側上顆骨折に外側上顆骨折を合併したものは渉猟しえた限り本邦で過去7例とまれである.術後成績に関しては上腕骨内側上顆骨折の骨折型の寄与が大きいと報告されており,治療法として上腕骨内側上顆骨折に対する tension band wiring のみにて関節安定性が保たれるとされている.本症例でも同様に内側上顆骨折に対する加療のみで良好な安定性が獲られた.
  • 加藤 知行, 岡崎 真人, 田崎 憲一
    2020 年 27 巻 2 号 p. 34-36
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/03/16
    ジャーナル フリー
     小児上腕骨外側上顆骨折後の偽関節による後外側回旋不安定性に対して手術加療を行 った症例を経験したので報告する.症例は9歳女児で,階段から転倒して受傷し,3か月後に当院紹介された.当院初診時,患側肘関節は自動伸展-25° と制限を認めた.内反肘はなかった.当院初診後3か月で関節可動域は改善したものの,ストレス撮影で骨片に異常可動性があるため偽関節と判断し手術施行した.全身麻酔下でPosterolateral Rotatory Instability(PLRI) Test陽性であった.術後9か月現在,関節可動域制限や疼痛なくQuick DASH score機能障害/症状0点,選択項目0点であった.渉猟し得た範囲では,小児外側上顆偽関節に伴う後外側不安定性に対して手術をおこなった報告は3例だった.外側上顆骨端核出現前後の外側上顆骨折の診断および経過観察には慎重であるべきと考えられた.
  • 千馬 誠悦, 成田 裕一郎
    2020 年 27 巻 2 号 p. 37-42
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/03/16
    ジャーナル フリー
     上腕骨通顆骨折手術後の成績不良例の問題点を挙げる.1994年から治療した上腕骨通顆骨折手術後の成績不良の6例を提示する.当科治療時の年齢は65~86歳で,全例が女性であった.成績不良の原因は感染が2例,異所性骨化が2例,変形癒合が2例,偽関節が1例,尺骨神経麻痺が1例であった.内固定材料の抜去を除く手術回数は前医の手術も含め1~4回であった.上腕骨通顆骨折は周囲に軟部組織が乏しく,感染が続発しやすい.骨粗鬆症が基盤にあり,初期の内固定力の弱さで術後の再転位も生じやすい.一方で,強固な固定をめざすあまり侵襲が大きくなって偽関節の危険性が増し,内側に設置するプレートに起因する尺骨神経障害も起こりうる.固定力が強固で術後合併症の少ない固定材料で,より低侵襲な手術方法を選択すべきである.
  • 竹島 稔
    2020 年 27 巻 2 号 p. 43-45
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/03/16
    ジャーナル フリー
     上腕骨通顆骨折4例,92.5(86-97)歳全例女性,を対象として経皮的小侵襲内固定の成績を検討した.検討項目は受傷から手術までの期間,骨癒合率,骨癒合までの期間,外固定期間,最終肘関節可動域,合併症,麻酔方法,手術時間,入院期間とした.手術までの期間は7.0(4-12)日,全例骨癒合し,骨癒合期間は139(80-181)日,外固定期間は36(21-52)日,肘関節可動域は伸展-16.3(-10~-30)° 屈曲123.8(115-135)° ,合併症なく,全身麻酔3例・伝達麻酔1例,手術時間は30.5(25-42)分,入院期間は23(7-50)日であった.上腕骨通顆骨折の手術はプレート固定が主流であるが,超高齢者では手術侵襲や耐術能の懸念がある.経皮的小侵襲内固定は外固定併用を要するが,全例骨癒合が得られ可動域制限も比較的軽度であった.超高齢者の上腕骨通顆骨折に対する選択肢になると考える.
  • 入船 秀仁, 阿久津 祐子
    2020 年 27 巻 2 号 p. 46-49
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/03/16
    ジャーナル フリー
     上腕骨遠位coronal share fractureに対し,buttress plateを併用して治療を行った症例の治療成績を調査した.対象は5例で,男性2例,女性3例,平均年齢は44歳であった.骨折型はDubberley分類で,1B1例,2A1例,2B2例,3B1例であった.これらに対してlag screw固定に加えて前方buutress plateを併用しての手術加療を行った.全例転位無く骨癒合が得られ,治療成績は最終経過観察時平均肘関節可動域が伸展-11° ,屈曲135° で,MEPSは平均94点であった.本法はscrew単独よりも強固に骨片を固定できるため,本骨折に対する内固定として,有用と考えられた.
  • 篠原 孝明, 能登 公俊, 石井 久雄
    2020 年 27 巻 2 号 p. 50-52
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/03/16
    ジャーナル フリー
    【症例】37歳男性.転倒し,左手を地面につき受傷.同日近医受診,受傷3日後に当院紹介受診.単純X線、CT画像で上腕骨小頭coronal shear fracture(Dubberley分類type 1A)と診断,受傷後10日目に伝達麻酔下に鏡視下整復固定術施行.Superomedial portalから骨折部を鏡視し,Anterolateral portalから鈍棒を用いて骨片を解剖学的位置に整復して,透視を併用しながら後方より経皮的に上腕骨小頭に向けてガイドピンを挿入後,Acutrak2 mini screwで固定した.術後3年4か月,5°の伸展制限,スポーツ時の軽度疼痛あるも,日常生活,仕事に支障なく,Hand20は4点であった.【考察】本術式は観血的整復固定法と比べると侵襲が少なく,良好な術後成績も期待できるため,手術適応を厳密に選択すれば,今後考慮されるべき手術法と考えられた.
  • 安岡 寛理
    2020 年 27 巻 2 号 p. 53-58
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/03/16
    ジャーナル フリー
     上腕骨小頭から滑車におよぶ冠状断方向の骨折を含む上腕骨遠位端骨折に対し観血的整復固定術を行った症例を調査し,手術における問題点を検討した.11例,平均年齢69歳を調査対象とした.冠状断方向の骨折型はDubberley分類を用いて分類するとIA:1例,IB:3例,IIIB:7例であった.11例中の6例に術後何らかの合併症を認めたが,合併症を認めなかった5例と比較して骨折型や手術の際のアプローチ方法に明らかな差はなかった.肘関節可動域は合併症のない症例群が優れていた.後方アプローチは小頭から上腕骨滑車に至る広い視野が確保できるが,小頭が複数個に分離している場合,より近位側に存在する骨片の直視下確認は困難である.外側アプローチは小頭全体を直視下に確認することが出来るが,後壁にも粉砕を合併する症例では整復操作に伴う手術侵襲から小頭や外側上顆の骨壊死を術後に生じる危険性があり注意を要する.
  • 大野 公宏, 工藤 文孝, 高山 拓人, 丸野 秀人
    2020 年 27 巻 2 号 p. 59-63
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/03/16
    ジャーナル フリー
     観血的整復固定術を施行した上腕骨遠位端coronal shear fractureの治療成績を検討したので報告する.対象は12例12肘(男性3例,女性9例),平均年齢58歳,平均観察期間19.2か月,骨折型はDubberley分類type 1A:2例,2A:2例,3A:1例,2B:3例,3B:4例で,2例に肘頭骨折を合併していた.手術はheadless bone screwを用いて小頭滑車骨片を固定し,後外側の骨折に対してはtension band wiringを追加した.肘頭骨折に対しては1例に保存加療,もう1例に内固定を施行した.全例で骨癒合が得られ,最終観察時肘関節可動域は伸展-5.7 ± 14.2° ,屈曲140 ± 10.2° ,Grantham評価でExcellent:6例,Good:5例,Fair:1例であった.考察,Dubberley分類type Aではheadless bone screwのみで対応可能であった.Dubberley分類type Bでは,術前CTにて肘頭窩外側の後壁損傷を伴わない場合は前方骨片をheadless bone screwで固定可能で,外側再建にはtension band wiringで対応可能と考えた.また,肘頭骨折を保存加療とした1例はGrantham評価でFairとなったため,合併骨折に対しても適切な処置が必要である.
  • 松浦 充洋, 吉田 史郎, 上野 智規
    2020 年 27 巻 2 号 p. 64-68
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/03/16
    ジャーナル フリー
     症例は64歳男性.剪定中に高さ3mから転落受傷し上腕骨遠位端粉砕骨折を認めた.人工肘関節置換術も考慮したが,比較的活動性の高い60代であり,CTでLateral Colume(以下LC)とMedial Colume(以下MC)の再建が可能と考え,観血的骨接合術を行った.後方アプローチで上腕骨関節面を展開し,LCとMCを可及的にK-wireで仮固定し,VA DHPのダブルプレートで支持を再建した.内固定困難な肘頭窩部(Tie arch)はトリミングした腸骨を移植し,両側よりlocking screwで固定した.一般的にTypeCは遠位骨片を一体にしTypeAにしてplatingを行うが,本症例の様なTie arch部が粉砕している場合はLCとMCをアナトミカルプレートで部分固定後,最後にTie arch部の欠損に対して移植骨を用いて再建することは粉砕例での一つの方法と考えられた.
  • 小杉 健二, 善家 雄吉, 山中 芳亮, 酒井 昭典
    2020 年 27 巻 2 号 p. 69-72
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/03/16
    ジャーナル フリー
     当院で手術治療を行った高齢者上腕骨通顆骨折の内固定方法の違いによる治療成績について検討した.対象は70歳以上の上腕骨通顆骨折15例15肢,平均年齢82歳(70-94歳),術後平均観察期間は7.9か月(3-18か月)であった.外側プレート固定と内側スクリュー固定(SP)群5例,両側プレート固定(DP)群10例で,SP群でスクリューの緩み1例,DP群で偽関節1例,尺骨神経障害を2例に認めた.関節可動域や術後矯正損失の程度に有意差はなかった.上腕骨遠位骨幹部の皮質骨厚cortico-medullar index(CMI)はDP群で小さい傾向にあったが,有意差はなかった.高齢者上腕骨通顆骨折は適切な手術手技により,侵襲の大きいDP法を行わずとも,SP法でもDP法と同等な治療成績が得られた.CMIは骨質の評価に有用である可能性が示唆された.
  • 齋藤 育雄, 小林 由香, 中島 大輔, 石井 崇之, 池田 全良, 渡辺 雅彦
    2020 年 27 巻 2 号 p. 73-76
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/03/16
    ジャーナル フリー
    【はじめに】われわれは,橈骨頭粉砕骨折に対してlow-profile mini-plateによるdual-platingを行い,良好な成績を報告してきた.目的は,plateやHCSで治療した結果を調査し,骨接合術の限界点について検討した.
    【対象と方法】対象は29例29肘,男性18例,女性11例,平均40歳,骨折型はMason-Morrey分類type III 14例とtype IV 15例であった.複合損傷はLCL損傷,terrible triad injury,鉤状突起骨折,Essex-Lopresti injury(E-L)などであった.
    【結果】26例は骨癒合した.3例は偽関節でscrewの緩みやplateの折損を認め,1例はplateの入れ替えと骨移植を行なった.
    【考察】偽関節は3例とも複合損傷であった.原因は,血流不全による骨片壊死やE-Lの長軸方向への不安定性と考えられた.
  • 福山 真人, 恵木 丈
    2020 年 27 巻 2 号 p. 77-80
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/03/16
    ジャーナル フリー
    【対象】肘関節脱臼を伴う橈骨頭骨折に対してAnatomic Radial Head System ®(Acumed社)を用いて人工橈骨頭置換術を施行した4例4肘(男性1例,女性3例).受傷時平均年齢63.5歳(24-86歳),受傷から手術までの平均待機日数は6.5日(4-10日),術後観察期間は平均10.0か月(4-15か月)であった.術後可動域,Mayo Elbow Performance Score(MEPS)を評価した.
    【結果】橈骨頭骨折は全例がMason分類Type 3であった .最終観察時の平均可動域は伸展-7.5度(-25 - 0度),屈曲133.8度(120 -140度),回内88.8度(85-90度),回外88.8度(85 - 90度),MEPSはexcellent 2例,good 2例であった.
    【考察】全例が橈骨頭粉砕骨折症例であったが,良好な短期成績が獲得できた.
  • 飛梅 祥子, 加地 良雄, 中村 修, 山口 幸之助, 山本 哲司
    2020 年 27 巻 2 号 p. 81-84
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/03/16
    ジャーナル フリー
     肘頭骨折に対してtension band wiring(TBW)が広く一般的に行われている.著者らは高齢者の肘頭骨折に対してhook plate(Depuy Synthes Japan社,東京)を用いて内固定を行ったので治療経験を報告する.対象は女性 6例,平均年齢77歳で骨折型はMayo分類 typeII-A 4例,Type II-B2例であった.結果,平均可動域は屈曲124.2度,伸展 -12.5度であった.1例に術後1週に骨折部転位を確認したためTBW法にて再手術を施行した.最終的には全例骨癒合を得た.肘頭骨折に対するhook plateの適応について考察を加え,当院での治療経験について報告する.
  • 岡崎 真人, 田崎 憲一, 加藤 知行
    2020 年 27 巻 2 号 p. 85-88
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/03/16
    ジャーナル フリー
     新鮮尺骨肘頭骨折に対する観血的整復固定術を施行した症例110例110骨折を対象とし,追加手術を施行した症例を中心に本骨折の術後成績を調査した.年齢14-98歳(平均62歳),Colton分類type1: 10,2A: 36,2B: 3,2C: 30,2D: 24,3: 7で,手術は鋼線締結法(以下TBW)100例,プレート固定(併用含む)8例,その他2例で,43例で人工骨充填を追加した.14例(12.7%)で抜釘以外の追加手術が行われ,内訳は術後転位・遷延癒合にともなう再骨接合術5例,尺骨神経障害に対する処置4例,観血的関節授動術3例,滑液包炎・感染に対する処置3例,回内外制限に伴う鋼線短縮2例だった(重複あり).術後再転位や回内外制限は適切に対処すれば最終成績に影響を及ぼさなかった.尺骨神経障害および関節拘縮を残すと臨床評価も悪かった.
  • 亀山 貞, 有光 小百合, 正富 隆
    2020 年 27 巻 2 号 p. 89-92
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/03/16
    ジャーナル フリー
     肘頭骨折に対するtension band wiring法(以下,TBW法)は優れた手術方法であるが,Kirshner鋼線の移動・逸脱に伴う皮膚の症状,固定力の不足や稀ではあるが神経血管障害や前腕の回内外制限といった問題が報告されてきた.
     今回,リングピンを用いてTBW法で治療を行った肘頭骨折25例について骨癒合,術後臨床成績,X線評価を検討した.
     結果,25例中23例に骨癒合を認め,最終診察時の平均可動域は屈曲134.2° ,伸展-4.2° でMayo elbow performance scoreは平均97.2点と良好だった.また,経過中back outを起こさず,整復位を保持することが可能であった.
     本法は尺骨の髄内に挿入するため,前方皮質骨を貫通することによって起こりうる神経血管障害や前腕の回旋障害といった合併症を起こす可能性はなく,良好な成績が得られ有用な方法と考えられる.
  • 畑下 智, 佐藤 俊介, 増子 遼介, 水野 洋佑, 伊藤 雅之
    2020 年 27 巻 2 号 p. 93-100
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/03/16
    ジャーナル フリー
     肘頭骨折に上腕骨小頭骨折を合併した,稀な重傷肘外傷を3例経験した.
     【症例1】50才男性.肘頭脱臼骨折と上腕骨小頭(滑車,外側顆)骨折.肘頭骨折部を用いた後方アプローチで小頭(滑車,外側顆)を固定後,肘頭をtension band wiring(TBW)で固定した.しかし術後肘頭骨片が転位し再手術(プレート固定)を要した.【症例2】68才女性.尺骨肘頭~近位骨幹部粉砕骨折(Gustilo III B),橈骨近位骨幹部骨折と上腕骨小頭骨折.まず前外側アプローチで橈骨と小頭を固定後,後方アプローチで尺骨をプレート固定し,橈側前腕皮弁で被覆した.【症例3】65才女性.肘頭骨折と上腕骨小頭(滑車)骨折.肘頭骨折部を用いた後方アプローチで,小頭(滑車)を固定後,肘頭をTBWで固定した.
     本外傷は肘頭骨折部を用いた後方アプローチが有用であった.肘頭粉砕骨折や肘頭脱臼骨折はプレート固定を選択すべきである.
  • 國分 直樹, 松山 優実, 辻井 雅也
    2020 年 27 巻 2 号 p. 101-105
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/03/16
    ジャーナル フリー
     肘頭骨折に対する手術は鋼線締結法やプレート固定が一般的だが,鋼線トラブルや皮膚刺激症状が問題となる.我々は肘頭骨折に対しHCS(Depuy Synthes)を用いておりその手術成績について報告する.症例は10例で平均年齢71歳,骨折型はMayo分類TypeII A:5例,II B:3例,III B:2例であった.手術は骨折部を整復後,骨折型に応じ尺骨前方か後方の骨皮質を貫通するようHCSを2本挿入し,fiber wireによる8の字締結を追加した.結果は全例で骨癒合得られ,スクリュー挿入部の皮膚刺激症状は認めず,MEPSはexcellent:8例,good:2例あった.高齢者のType III Bの1例のみ,後方皮質を貫通したスクリュー先端部のルースニングと突出を認め抜釘した.本術式は侵襲も鋼線締結法と同等で,術後成績も良好で抜釘率も低かったことから,肘頭骨折に対する有用な治療法と考えられた.
  • 大塚 純子, 堀井 恵美子, 洪 淑貴
    2020 年 27 巻 2 号 p. 106-109
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/03/16
    ジャーナル フリー
     MAYO type2肘頭骨折の治療成績は良好なことが多いが,時に術後関節拘縮例が存在する.われわれは拘縮症例についてその原因を調査した.骨接合術後に授動術を施行した8例を対象とした.受傷時平均年齢は46歳,骨接合術から授動術までは平均5か月,授動術後観察期間は平均9か月であった.術前の屈伸可動域は平均46度,回内外可動域制限は3例に認めた.疼痛は,RSD様の1例を除いた7例は屈曲時の疼痛で,そのうち3例は肘内側の疼痛であった.4例がしびれを訴えたが,麻痺に至った症例はなか った.術中,尺骨神経は1例を除き,圧迫や癒着が高度で,神経剥離・皮下前方移動を施行した.術後の屈伸可動域は平均121度,回内外制限は改善した.拘縮の原因として2例は橈骨粗面に鋼線が干渉しており,上腕二頭筋腱停止部への刺激症状で,屈伸可動域制限が出現した可能性が考えられた.6例は尺骨神経障害が原因であると考えられた.
  • 寺浦 英俊, 信貴 政人, 斉藤 公亮
    2020 年 27 巻 2 号 p. 110-115
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/03/16
    ジャーナル フリー
     高齢者肘頭骨折に対してロッキングプレート固定は有用だが術後の近位骨片転位proximal cutout(PC)が生じることがある.治療成績を報告し,3例のPC症例を検討した.対象は65歳以上で6か月以上経過観察した13例,男性5例,女性8例,年齢74.8歳,経過観察期間10か月,Colton group1:1例,group2 stage b:2例,stage c:9例,stage d:1例であった.転位の1例を除いて骨癒合を得た.最終時ROMは伸展-14° ,屈曲134° ,JOA-JESスコア92点,MEPS 98点であった.PCは全例group2 stage c,いずれも術前CTを正確に評価出来ておらず手技的要因でPCが生じた.予防には術前CTの正確な評価,ロッキングスクリューを肘頭先端まで挿入すること,上腕三頭筋のプレートへの縫合などが重要である.
  • 山田 哲也, 野本 栄
    2020 年 27 巻 2 号 p. 116-119
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/03/16
    ジャーナル フリー
     Over the topアプローチ(O法)は関節授動術の方法として報告され尺骨鉤状突起のアプローチとしても用いられている.屈筋腱共同起始群に対する侵襲が大きく術後成績が劣るとの報告があるものの,良好な視野が得られるためO法の手術成績を検討した.2016年1月から2018年6月に当院で治療した肘脱臼骨折のうち鉤状突起骨折に対してO法を用いた6例を対象とした.一般的にO法が用いられるtype2や3に加えて内側側副靭帯修復時に同じ皮切を利用できる場合や経肘頭の鉤状突起粉砕例にも用いた.全例で術後転位もなく骨癒合が得られた.術後平均可動域は伸展-5.8°(0~-20°),屈曲134.2°(125~140°),MEPSは97.5(85~100)であった.Type2や3に加えて内側側副靭帯修復時や経肘頭の粉砕例など症例を選べばO法は有用な方法と考えられた.
  • 森田 晃造, 梅澤 仁
    2020 年 27 巻 2 号 p. 120-122
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/03/16
    ジャーナル フリー
     肘関節後方不安定性において重要な骨性要素である尺骨鉤状突起骨折に対し専用のロッキングプレートを用いて内固定を行った症例の治療成績につき検討した.対象は 5例 5 肘,平均年齢 43.2 歳,平均観察期間16か月,骨折型は Regan分類 type2 4 例,type3 1 例,O'driscoll 分類 Anteromedial subtype2 2例, subtype3 2例,Basal subtype1 1例であった.全例骨癒合を認め平均肘関節可動域は伸展 0 度,屈曲 135 度 ,回内 88 度,回外 90 度,JOA-JESスコアは平均 96.6 点で良好な成績が得られた.本プレートは骨片を面で支持固定することが可能であり治療に難渋しやすい粉砕骨片の症例や骨片の大小に関わらずスクリューのみでの内固定では不安な症例では早期から良好な固定性が得られ有用な内固定材と考える.
  • 土肥 義浩
    2020 年 27 巻 2 号 p. 123-126
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/03/16
    ジャーナル フリー
     尺骨鈎状突起骨折と前方関節包に対するsuture button repairを行なったので報告する.肘関節脱臼に鈎状突起骨折を伴った3例に対して前方アプローチで鈎状突起骨片を前方関節包ごとsuture buttonでpull out固定した.合併する靱帯損傷や骨折もそれぞれ修復した.外側側副靱帯損傷合併の2例はその修復と前方関節包および鈎状突起骨片の整復固定で関節は安定した.terrible triadの1例は橈骨頭内固定と外側側副靱帯損傷,前方関節包および鈎状突起骨片の固定で関節は安定せず内側側副靱帯も修復した.前方アプローチでの前方関節包および鈎状突起骨片のsuture button repairは比較的簡便な手技であり内側側副靱帯損傷のない症例では外側側副靱帯損傷の修復とあわせて施行することで関節の安定化を得た.
  • 川崎 恵吉, 酒井 健, 諸星 明湖, 筒井 完明, 西川 洋生, 安田 知弘, 久保 和俊, 池田 純, 富田 一誠, 稲垣 克記
    2020 年 27 巻 2 号 p. 127-130
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/03/16
    ジャーナル フリー
     鉤状突起骨折を伴う肘関節脱臼骨折のうち,内固定後も不安定性の残存が危惧された症例に対して鋼線による一時的関節固定を行った6例の治療成績を,後ろ向きに調査した.平均年齢は49.3歳,男性は4例,女性は2例,受傷から手術までの期間の平均は9.8日,平均経過観察期間は15.3か月であった.鈎状突起骨折は,O'Driscoll分類でTip-2が4例,Basal-1が2例で,4例で橈骨頚部や肘頭骨折を合併していた.手術は,術中の脱臼の整復位の保持のために鋼線による関節固定を行った.鋼線は術後平均2.3週で抜去した.最終診察時の平均可動域は屈曲が133.3° ,伸展が-6.7° ,全例疼痛や不安定性はなかった.合併症として,異所性骨化と軽度の関節列隙の狭小化を各1例ずつに認めた.本骨折に対する鋼線による一時的関節固定は,短期の治療成績は良好であったが,創外固定が存在する現在ではその使用は限定的と思われる.
  • 木村 亮介, 古屋 貫治, 尾崎 尚代, 鈴木 昌, 田鹿 佑太朗, 西中 直也
    2020 年 27 巻 2 号 p. 131-134
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/03/16
    ジャーナル フリー
    【緒言】尺骨鉤状結節剥離骨折後の内側側副靱帯(MCL)機能不全は稀であり手術法は確立していない.投球による尺骨鉤状結節剥離骨折癒合不全にsuture anchorを用いた骨接合術を施行した2例を報告する.
    【症例1】16歳男性.投球時に右肘内側部痛が出現し,近医で尺骨鉤状結節剥離骨折の診断となり保存加療が無効のため紹介受診となった.尺骨鉤状結節にCTで骨硬化,MRIで高輝度領域を認め,骨癒合は困難と判断しsuture anchorでMCLを骨片ごと縫着した.術後6か月で投球再開した.
    【症例2】16歳男性.投球後に肘内側部痛が出現し,投球時痛が残存するため5か月後に当院受診となった.症例1と同様の画像所見から手術を行い,術後6か月で投球再開した.
    【考察】15~16歳頃では尺骨鉤状結節部が最脆弱部のため剥離骨折が発生する.癒合不全例は手術により良好な経過が得られるが,初期治療から注意すべきである.
  • 佐野 栄, 品田 良之, 阿部 圭宏, 斉藤 忍
    2020 年 27 巻 2 号 p. 135-137
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/03/16
    ジャーナル フリー
    【症例】8才,男児.バスケットボール中に手をついて受傷.他院より左上腕骨内側上顆骨折の診断にて紹介受診.レントゲンでさらに橈骨頭亜脱臼と尺骨bowing,CTにて橈骨頚部骨折,肘頭骨折を認め,Monteggia type I equivalent損傷に伴うJeffery型骨折と診断した.受傷6日後に尺骨bowingの徒手整復と内側上顆骨折のアンカー固定を行った.最終経過観察時,JOA-JES scoreは 96点であった.【考察】我々が渉猟し得た範囲では本骨折の報告は海外を含めこれまでない.しかしながら小児では正確な画像診断が困難であり,このような症例の診断には特に注意が必要である.受傷機転は手肘関節伸展位で手をつき肘外反位となりJeffery型骨折を受傷,その後回内ストレスが前腕にかかり橈骨頭脱臼に続き尺骨のbowingを生じたと推定した.今後長期に渡る経過観察が必要である.
  • 橋村 卓実, 藤田 俊史
    2020 年 27 巻 2 号 p. 138-142
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/03/16
    ジャーナル フリー
     高エネルギー外傷によりMonteggia骨折に広範な骨間膜損傷を合併した稀な一例を経験したので報告する.症例は48歳男性.駐車中にドアと支柱の間に右上肢を挟み込んで受傷.Monteggia骨折 (Bado Type II 型,Gustilo分類 Type III A)に対して受傷同日に整復とピンニング固定,その術後9日目に尺骨骨折のプレート固定を行ったが,その術後3日目に橈骨頭の再脱臼を来し,同時に遠位橈尺関節(DRUJ)の脱臼も認めた .再脱臼後3日目に尺骨の解剖学的アライメントに留意したプレート再固定と,骨間膜損傷に対するsuture-buttonを用いた再建を併施したところ,安定した画像および臨床経過を得た. Monteggia骨折の治療の原則は尺骨骨折部の解剖学的整復固定であることを再認識した.また,suture-button reconstructionは骨間膜再建の一助となると考えられた.
  • 日比野 直仁, 佐藤 亮祐, 寺井 智也, 濱 紳悟, 喜多 健一郎, 高橋 芳徳, 山崎 悠平, 辺見 達彦, 浜田 佳孝
    2020 年 27 巻 2 号 p. 143-147
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/03/16
    ジャーナル フリー
     陳旧性モンテジア骨折の 1 例に,矯正骨切り術および輪状靱帯再建を施行した症例を報告する. 39 歳の男性がバイク走行中に転倒し右肘関節を受傷した.近医を受診し,非転位性尺骨骨幹部骨折と診断され保存療法を開始した.以後,骨折部の転位と橈骨頭前方脱臼を認め,受傷後 8.5 カ月時,右モンテジア骨折の診断にて当院紹介となった.手術加療を選択し,輪状靭帯の再建を上腕三頭筋腱を用いた. 術後 1 年時,画像および臨床的に異常なく,消防士として現職復帰している.同一術野で採取可能な上腕三頭筋腱を用いた輪状靱帯の再建も有用と思われた.
  • 伊藤 博紀
    2020 年 27 巻 2 号 p. 148-150
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/03/16
    ジャーナル フリー
     成人Monteggia骨折は,high energy traumaを受傷機転とするケースが多く,尺骨骨折部は粉砕骨折など複雑な形態を呈する割合が高いことから,治療に難渋することが多い.症例は,30歳,男性で交通外傷により尺骨骨幹部中央1/3および近位1/3における重複骨折および橈骨頭の前方脱臼を認め,Monteggia骨折(Bado Type I)と診断した.手術は尺骨背側アプローチにより両骨折部を直視下に整復し,それぞれ3.5mm LC-LCP(Depuy Synthes ®)による内固定を行なった.最終観察時,日整会-日肘会 肘機能スコア96点と良好な治療成績が得られた.
  • 永井 修平, 原田 洋平, 梶田 幸宏, 岩堀 裕介, 堀井 恵美子
    2020 年 27 巻 2 号 p. 151-154
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/03/16
    ジャーナル フリー
     11才男児.サッカーの試合中に左手をつき受傷し,左肘関節の疼痛および運動制限を主訴に同日当院救急外来受診.肘関節単純X線像にてMonteggia骨折(Bado Type III)と診断した.静脈麻酔下にて徒手整復を行ったが,尺骨近位部の内反変形は完全には整復できず,橈骨頭の外側亜脱臼が遺残したため,創外固定を用いて骨折部の内反変形を整復した.術翌日より肘関節の自動可動域訓練を開始し,術後6週で創外固定を抜去.術後1年現在,尺骨アライメントも良好で,橈骨頭も整復位の保持が得られている.本症例のように徒手整復にて尺骨骨折部の矯正ができず橈骨頭の外側亜脱臼が遺残した場合,尺骨の観血的整復術や尺骨骨切り術を積極的に施行し橈骨頭の整復を得るべきであるという論文が散見される.今回はより低侵襲な治療法として創外固定を用い,尺骨骨折部の整復と橈骨頭の整復を得た.Monteggia骨折Bado type IIIに対する創外固定は有効な治療法と考えるが,長期経過を見ていく必要がある.
  • 洪 淑貴, 大塚 純子, 堀井 恵美子
    2020 年 27 巻 2 号 p. 155-158
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/03/16
    ジャーナル フリー
     小児新鮮Monteggia脱臼骨折は,橈骨頭脱臼が陳旧化すると成績不良となる.われわれは整復後,透視下肘屈曲位で腕橈関節の適合性を確認し,回外位で適合性良好なら橈骨頭脱臼は保存加療を原則とした.2009~19年に治療した16例(男9,女7,平均年齢8.5歳,経過観察期間平均28か月)中,腕橈関節を外側から展開したのは4例であった.前方脱臼2例では回外位で橈骨頭が脱臼位で,輪状靭帯が関節内に陥頓し整復阻害因子となっていた.回外位で適合性は良好であったが腕橈関節を展開した外側脱臼の2例では,輪状靱帯損傷および関節内介在物を認めず,結果として展開は不要であった.整復後,回外位で適合性が良好で回内位では不良であった9例は,1週間回外位で外固定した後,肘屈曲位のシリンダーギプスで前腕自動運動を開始した.最終診察時,全例橈骨頭は整復位で,疼痛・可動域制限を認めなかった.
  • 岡田 恭彰, 高橋 啓, 伊藤 雄也, 草野 寛, 古島 弘三, 船越 忠直, 堀内 行雄, 伊藤 恵康
    2020 年 27 巻 2 号 p. 159-165
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/03/16
    ジャーナル フリー
     陳旧性Monteggia骨折の治療成績を検討した.【対象および方法】平均年齢13歳,受傷から手術までの期間は平均69か月,Bado分類I型15例,Ⅲ型3例であった.手術は肘関節外側切開より橈骨頭の整復経路を整備し,橈骨頭が容易に整復される事を確認してから尺骨矯正骨切りを行なった.【結果】12歳以上や受傷後3年以上の症例でも良好な臨床成績が得られていたが,画像評価では腕橈関節にOA変化を認めた.再脱臼は4例にみられ,全例再手術を行った.【考察】陳旧性Monteggia骨折に対する手術治療の成績不良因子として,手術年齢12歳以上,受傷後3年以上と報告されているが,本研究ではこれらの症例でも良好な臨床成績を得られていた.成績不良例は初期治療で高度の尺骨変形が残存した症例や,複数回の手術後に受診した症例であり,初期治療では橈骨頭脱臼を見逃さないだけでなく,診断後に適切な治療を行うことが重要である.
  • 小川 興, 石河 利広
    2020 年 27 巻 2 号 p. 166-171
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/03/16
    ジャーナル フリー
     60歳,男性,運転中のトラックが横転し,右上肢をドアと路面の間に挟まれて受傷した.肘窩部から手部にかけて高度な皮膚軟部組織損傷を認め,肘関節は後方脱臼し上腕骨遠位端は外側3分の2程度が欠損していた.受傷当日,デブリードマンを行い,骨セメントで骨欠損を補填して肘関節を整復した.上腕動脈,正中神経の修復も同時に行った.受傷後2か月で右腸骨自家骨移植と中間膜挿入関節形成術により肘関節を再建した.ヒンジ付き創外固定器を装着し肘関節屈伸訓練を行った.受傷後8か月で高位正中神経麻痺に対して腱移行術による運動機能再建を行った.受傷より約2年で肘関節可動域は伸展-20度・屈曲90度である.移植骨の吸収を認めるが疼痛や再脱臼・動揺性などの問題はない.
  • 森本 友紀子, 曽我部 祐輔, 川端 確, 高松 聖仁
    2020 年 27 巻 2 号 p. 172-176
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/03/16
    ジャーナル フリー
     手術加療を行った肘関節脱臼骨折の成績不良例について検討したので報告する.手術加療を要した肘関節脱臼骨折15例を対象とした.症例の内訳は14例は後方脱臼,1例は分散脱臼であった.骨折の内訳はterrible triadが3例,肘頭脱臼骨折が2例,尺骨鉤状突起骨折が5例,橈骨頭頚部骨折が2例,その他の肘周囲骨折が3例であった.全例で骨癒合が得られた.最終診察時の平均屈伸可動域は117度(65-145度),Mayo elbow performance score(以下MEPS)は平均88.7点, 日本整形外科学会-日本肘関節学会肘機能スコア(外傷)は平均85.4点であった.MEPSにてfairとなる74点以下の症例は3例あり,肘頭脱臼骨折2例,橈骨骨幹部まで及ぶ橈骨頭骨折1例であった.概ね成績良好であったが,肘頭脱臼骨折,橈骨骨幹部まで及ぶ骨折を有する場合には注意が必要である.
  • 中村 修, 加地 良雄, 山口 幸之助, 岡 邦彦, 山本 哲司, 川崎 浩二郎
    2020 年 27 巻 2 号 p. 177-179
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/03/16
    ジャーナル フリー
     肘関節脱臼に伴う新鮮肘側副靭帯損傷に対し,縫合糸素材の小径JuggerKnot Soft Anchorを用いた靭帯修復術を積極的に施行し,術後は早期にリハビリテーションを開始した15例15肘の術後成績を報告する.術後成績は,橈骨頭粉砕骨折を合併した1例に可動域制限が残存したが,概ね良好な成績が得られ,不安定症や合併症を生じた症例は無かった.JuggerKnot Soft Anchorによる新鮮肘靭帯修復術は,以前の金属製anchorに比べ,ドリル孔が小さいため引き抜き強度が強く,更に複数本のanchorの設置が可能となるため,強固な固定が可能となり,早期運動療法にも耐え得る利点があると思われた.
  • 船越 忠直, 古島 弘三, 草野 寛, 伊藤 雄也, 岡田 恭彰, 高橋 啓, 堀内 行雄, 伊藤 恵康
    2020 年 27 巻 2 号 p. 180-183
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/03/16
    ジャーナル フリー
    【背景】肘外側側副靭帯(LCL)損傷は主に後外側回旋不安定性(PLRI)を伴うものとして知られている.本研究の目的はPLRIを伴わない肘LCL複合体損傷に対する修復術または再建術を後ろ向きに調査することである.
    【対象と方法】対象はPLRIを伴わない肘LCL複合体損傷に対して靭帯修復術または再建術を施行した11例12肘(男8例,女3例,平均年齢27.3才)で,著明な内反肘を伴い矯正骨切り術を施行した例は除外した.外傷歴は5肘,全例スポーツ症例,ステロイド注射の既往は7肘であった.手術はLCL修復した4肘(修復群)と再建した8肘(再建群)であり,Mayo scoreを検討した.
    【結果と考察】全例術前の症状は改善し,スポーツに復帰した.肘外側側副靱帯複合体に対する修復術および再建術は共に満足すべき成績であった.
  • 町田 周平, 助川 浩士, 小沼 賢治, 大竹 悠哉, 見目 智紀, 髙相 晶士
    2020 年 27 巻 2 号 p. 184-188
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/03/16
    ジャーナル フリー
    【目的】20年以上不安定性を有し,変形性肘関節症及び異所性骨化を伴った陳旧性肘関節後外側回旋不安定症(以下PLRI)に対し,骨化摘出及び長掌筋腱と肘筋弁を用いて肘関節を再建した1例を報告する.
    【症例】47歳,男性.20年以上前にサッカー中に転倒し受傷した.1年前より左肘関節痛と不安定感に加え,肘関節外側隆起が増大,肘関節ロッキングの頻度が増加したため当科を受診した.変形性肘関節症及び異所性骨化を伴うStage 2(perched)のPLRIの診断で,骨化摘出,長掌筋腱を用いた外側尺側側副靱帯の再建,肘筋弁を用いた関節包の再建,再建靱帯床の作成,再建靱帯の補強を行った.術後1年で可動域制限,疼痛はなく,安定性は維持されている.
    【考察】PLRIは,適切な治療がなされかった場合,変形性肘関節症の原因となりうる.早期の診断,治療のため疾患概念を正しく理解することが重要である.肘筋弁は関節包の再建,再建靱帯床の作成,再建靱帯の補強に有用である.
  • 大久保 宏貴, 大中 敬子, 仲宗根 素子, 金城 政樹, 西田 康太郎
    2020 年 27 巻 2 号 p. 189-192
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/03/16
    ジャーナル フリー
     上腕二頭筋腱遠位皮下断裂は稀な外傷で,保存療法では肘屈曲力と前腕回外力が低下するため手術療法が推奨される.【対象と方法】症例は4例の男性で,年齢は平均54歳であった.手術は2-incision法にて施行し術後観察期間は平均7か月であった.手術待機期間, MRI矢状断画像での上腕骨小頭遠位端から腱断端までの距離,一次縫着の可否,最終観察時の肘関節可動域と筋力,術後合併症を調査した.【結果】待機期間は平均21.2日,腱短縮距離は平均6.2cmであった.3例は一次縫着が可能であったが ,1例に腱移植を用いた再建術を施行した.全例において肘関節可動域と屈曲力は健側と同等であった.前腕回外力はMMT4であったが日常生活や仕事に支障はなかった.1例に後骨間神経麻痺を認めたが完全回復した.【まとめ】2-incisionでの修復術,再建術は共に短期成績は良好であった.
  • 土屋 良真, 加藤 博之, 北村 陽, 西村 匡博, 宮岡 俊輔, 岩川 紘子, 林 正徳, 高橋 淳
    2020 年 27 巻 2 号 p. 193-195
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/03/16
    ジャーナル フリー
     上腕二頭筋遠位腱部分断裂に対し断裂腱をアンカーにより橈骨粗面に縫着し良好な結果を得た1例を報告する.症例は53歳の男性で,精肉業に従事している.主訴は左肘運動時痛である.2年前より主訴が出現し,2か月前に左手を突いてから増悪した.受診時,左肘の肘窩に腫脹と圧痛を認め,屈曲,回外の筋力は低下していた.単純X線像で橈骨粗面に骨隆起を認め,MRIでは遠位腱内部,周囲に信号変化を認めた.手術では,遠位腱の後方成分が橈骨粗面より断裂していた.断裂した腱遠位断端をアンカー2個で橈骨粗面に縫着し,さらに健常腱と側々吻合した.術後3か月で復職した.術後19か月の観察時,左肘に愁訴は無く,可動域制限も無い.JOAスコアは術前82点から92点に,DASH(work)スコアは術前10点から0点に,PREEスコアは術前29.3点から1.0点にいずれも改善した.
  • 仲 拓磨, 坂野 裕昭, 石井 克志
    2020 年 27 巻 2 号 p. 196-198
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/03/16
    ジャーナル フリー
     肘関節脱臼に伴う上腕筋断裂の2例を報告する.症例1は31歳男性,スケートボードで転倒し,左肘に脱臼感があり自己整復後に当科受診した. MRI にて内外側側副靭帯損傷と上腕筋断裂を認め,内外側の靭帯縫合を行い上腕筋断裂は保存的に加療した.最終調査時,疼痛,可動域制限はなく JOA スコア 100 点であった.症例2は14歳女性,ソフトボール中に転倒して受傷した.左肘関節後方脱臼の診断で徒手整復後に当科紹介となった. MRI にて内側側副靭帯断裂と上腕筋断裂を認め,靭帯縫合術を行い上腕筋断裂は保存的に加療した.最終調査時,疼痛や可動域の制限はなく,JOA スコア 100 点であった.上腕筋は肘関節のすぐ前面に位置し脱臼時に損傷するリスクがあり,脱臼時は上腕筋断裂の可能性を考慮する必要がある.本損傷に対し靭帯修復術と上腕筋断裂は保存加療を行い良好な成績が得られ,有効な治療法であると考えた.
  • 本田 宗一郎, 山内 大輔
    2020 年 27 巻 2 号 p. 199-203
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/03/16
    ジャーナル フリー
     遠位上腕二頭筋腱断裂は高齢女性においては不全断裂を生じて肘窩部の遷延する疼痛が特徴であるが,筋力低下は問題とならない事が多い.そこでわれわれは,遠位上腕二頭筋腱部分断裂を受傷した高齢女性に対して、早期の除痛を目的とした腱切除術を行いその治療成績を検討した.対象は女性3例(76,76,83歳),肘周囲の遷延する強い疼痛を主訴に受診した.MRIでは橈骨粗面における上腕二頭筋腱の信号変化を認めた.手術では橈骨粗面における遠位上腕二頭筋腱の部分断裂を確認し,腱付着部を切除した.術後は制限を行わず疼痛は自制内の範囲で可動域訓練を行った.術後早期に疼痛は改善しており,筋力低下を自覚している症例はなかった.また,術後平均6週以内で日常生活復帰を果たしたことから,遠位上腕二頭筋腱部分断裂を受傷した高齢女性に対しては,腱切除術を選択肢の一つとして考慮して良いと考えた.
  • 中島 大輔, 池田 全良, 石井 崇之, 小林 由香, 齋藤 育雄, 渡辺 雅彦
    2020 年 27 巻 2 号 p. 204-207
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/03/16
    ジャーナル フリー
     上腕三頭筋腱の肘頭裂離骨折は比較的稀である.著者らは本症を受傷した骨粗鬆症を伴う中高年の女性に対し, suture bridge 法による手術を行った 2 症例を経験したので報告する.症例 1 .88 歳,女性.転倒し右肘を打って受傷した.肘関節の自動伸展が困難であった.単純 X-P にて肘頭の小骨片( flake sign ), MRI にて裂離骨折と上腕三頭筋腱の短縮を認めた.右上腕三頭筋付着部裂離骨折の診断にて suture bridge 法による手術を行い,肘関節機能は改善した.症例 2 .63 歳,女性.転倒受傷し,肘伸展障害を主訴に当院を受診.右上腕三頭筋付着部裂離骨の診断となり suture bridge法による手術を行い,肘関節機能は改善した.suture bridge 法は解剖学的な修復が可能であり,骨粗鬆症のある中高年女性に対しても良好な成績が得られた.
  • 大中 敬子, 大久保 宏貴, 金城 政樹, 仲宗根 素子, 池間 正英, 西田 康太郎
    2020 年 27 巻 2 号 p. 208-211
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/03/16
    ジャーナル フリー
    【はじめに】小児内反肘変形に対するカスタムメイドガイドは,健側CT鏡像から作成されたデバイスを用いることで三次元の矯正が可能であり,手技も簡易化する.当科では2019年1月より本法を施行しており,従来法と比較した.
    【方法】対象は 6例 6肘.カスタムメイドガイド使用群(Guide群) 3肘,従来法群(C群) 3肘.両群間における手術時間,出血量,術直後の矯正角度,術後合併症を比較,検討した.
    【結果】平均手術時間は短い傾向にあった.出血量,術直後矯正角度は同等であった.術後合併症は Guide群で K鋼線 back out を 1 肘,C群は一過性尺骨神経麻痺,lateral prominence を各 1 肘に認めた.
    【まとめ】本法を導入したばかりだが従来法と比べて手術時間が短い傾向にあった.
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