日本肘関節学会雑誌
Online ISSN : 2434-2262
Print ISSN : 1349-7324
28 巻 , 2 号
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Ⅲ. 外傷・外傷合併症
  • 原 静音, 栗山 幸治, 島田 俊樹, 阿部 真悟
    2021 年 28 巻 2 号 p. 1-3
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/11/26
    ジャーナル フリー
    はじめに:当院の経験した小児上腕骨顆上骨折のうち,まれな屈曲型症例について報告する.
    症例1:8歳女児,左肘をついて転倒し受傷.後方縦切開でのピンニングとテンションバンド固定を行った.術後12か月での最終可動域は屈曲140度,伸展0度であった.
    症例2:6歳女児,右肘をついて転倒し受傷.内側アプローチでのピンニング固定を行った.骨折部に後方骨膜と上腕三頭筋内側頭の一部の嵌頓を認めた.術後10か月での最終可動域は屈曲140度,伸展0度であった.
    考察:小児上腕骨顆上骨折の多くは伸展型骨折であり,屈曲型は珍しい.屈曲型骨折では骨片間に上腕三頭筋が嵌頓することがあり徒手整復は困難な上に,尺骨神経がけん引され尺骨神経麻痺を生じる可能性がある.観血的に尺骨神経を同定し整復することで良好な整復位を保ち,術後合併症を防ぐことができる.
  • 大塚 純子, 堀井 恵美子, 洪 淑貴
    2021 年 28 巻 2 号 p. 4-6
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/11/26
    ジャーナル フリー
     5歳,女児.転倒して受傷.受傷時単純レントゲン像で2mm以下の転位でありギプス固定された.経過中,側方転位が進行していたがギプス固定が継続された.受傷6週で骨癒合は得られていなかったがギプスは除去され,その後も骨癒合しなかったため,受傷16週に当院を受診した.骨片は側方に転位していたが,内外反肘変形は認めなかった.支柱付きスプリントを装着し,自動屈伸運動は制限しなかった.受傷2年で骨癒合を認めた.受傷7年8か月時,肘関節可動域は屈曲140度,伸展0度で疼痛や不安定性を認めず,骨端の変形なく骨成長は終了した.小児期における偽関節手術の良好な治療成績が報告されているが,手術を選択すれば確実な骨癒合が必須であり,リスクとして骨端線の早期閉鎖,無腐性骨壊死や可動域低下などの可能性がある.本症例のように遷延癒合する症例もあるため,手術の侵襲の大きさも考え,慎重に手術適応を考えるべきである.
  • 今野 雄太, 助川 浩士, 小沼 賢治, 大竹 悠哉, 髙相 晶士
    2021 年 28 巻 2 号 p. 7-10
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/11/26
    ジャーナル フリー
    はじめに:肘関節後外側回旋不安定症(PLRI)を伴った小児上腕骨外側顆sleeve骨折の1例を報告する.
    症例:8歳女児.友人と遊んでいる際に転倒し受傷した.受傷後16日目に当院に紹介され受診した.単純X線正面像及び3D‐CT像で上腕骨外側顆sleeve骨折と診断し ,単純X線側面像で腕頭関節の亜脱臼を認め,PLRIの存在が示唆された.術中所見では,骨軟骨片に関節包,肘関節外側側副靱帯複合体,前腕伸筋群が付着しており,小頭骨片の広範囲に関節軟骨が伴っていた.肘関節伸展位で前腕を回外させると容易に脱臼した.引き寄せ鋼線締結法で固定し,不安定性が消失した.術後1年の経過で可動域制限,不安定性は認めない.
    考察:骨軟骨片には軟部組織が付着しており,付着部ごと裂離するためPLRIを来すと考えた.診断には3D‐CT像が最も有用で,治療法は手術治療が望ましい.
  • 大塚 純子, 堀井 恵美子, 洪 淑貴
    2021 年 28 巻 2 号 p. 11-13
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/11/26
    ジャーナル フリー
     骨折の治療で手術操作のしやすさや合併症を軽減するため,手術体位は一つの鍵であるが,小児上腕骨内側上顆骨折では一般的には仰臥位の報告が多い.当院でも以前は仰臥位で行ってきたが,最近は側臥位または腹臥位で行っている.仰臥位と側・腹臥位の体位の違いで治療成績に差があるか検討した.2009年1月から2020年2月までに手術加療を行った21例を対象とした.仰臥位は10例,側・腹臥位は11例で手術時間,手術室滞在時間,骨癒合の有無,手術合併症,最終経過観察時の肘関節可動域を調査した.手術時間は側・腹臥位では66分と仰臥位と比較して有意に手術時間は短かった.仰臥位では2例が偽関節となった.体位によるものも含めて手術合併症はなかった.肘関節可動域は伸展制限を若干残す症例もあったが両群ともに良好であった.側腹臥位は仰臥位と比較して手術時間が短く,整復操作が容易で手術成績の向上につながる可能性がある.
  • 筋野 朝陽, 梅澤 仁, 森田 晃造
    2021 年 28 巻 2 号 p. 14-16
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/11/26
    ジャーナル フリー
     血液透析患者シャント肢での駆血帯使用はシャント不全リスクのため従来禁忌とされているが,未使用下の手術は出血により難渋する.今回シャント肢に生じた上腕骨遠位端関節内粉砕骨折に対し長時間駆血下手術にも関わらずシャント不全を回避し得た症例を経験したので報告する.症例は63歳女性,転倒しシャント肢である左肘関節を受傷.左上腕骨遠位端coronal shear fracture(Dubberley分類type3A)を認め,受傷9日後に全身麻酔下にEsmarch駆血帯未使用で駆血施行後に骨折観血的手術を実施した.駆血時間は計2時間40分だったが合併症を生じず,術後1年時の日整会-日肘会肘機能スコアは96点であり経過良好である.シャント肢の駆血帯使用下の上肢手術報告の多くは短時間の手術だが,本症例は長時間駆血にも関わらず駆血法の工夫により合併症なく手術可能であった.
  • 川崎 恵吉, 酒井 健, 坂本 和歌子, 津澤 佳代, 西川 洋生, 筒井 完明, 新妻 学, 久保 和俊, 富田 一誠, 稲垣 克記
    2021 年 28 巻 2 号 p. 17-20
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/11/26
    ジャーナル フリー
     2015年以降当科でVA-LCPDHPのタブ付きの後外側プレート(本プレート)を用いてdouble plate固定した上腕骨顆部骨折の12例の治療成績を検討した.平均年齢は59.5歳,平均経過観察期間は13.5カ月で,骨折型はAO分類A型とC型が6例ずつであった.全例で骨癒合が得られたが,外側顆骨片の再転位を1例に認めた.最終診察時の平均可動域の屈曲/伸展が118.3° /-16.0° ,MEPSは85.8点であった.また,術前の顆部の骨折線の位置と,模擬骨に設置した本プレートの最遠位のスクリュー孔の位置を比較検討した結果,外側顆の骨折線がプレートのタブ部の位置より遠位であり,タブによるサポートは不十分であることが判明した.VA-LCPDHPのタブ付きプレートを用いたdouble plate固定術は上腕骨顆部骨折の固定に有用であるが,高齢者の外側顆の骨片が小さいC型では,固定性に不安が残った.
  • 片岡 利行, 小西 克侑, 安井 行彦, 難波 二郎
    2021 年 28 巻 2 号 p. 21-25
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/11/26
    ジャーナル フリー
     肘関節脱臼に上腕骨小頭~外側上顆骨折を合併することはまれである.今回,われわれが経験した3例について報告する.受傷時年齢は71歳と83歳と77歳で,3例とも肘関節後方脱臼,上腕骨小頭~外側上顆骨折,内側側副靭帯断裂を認めた.上腕骨小頭~外側上顆骨折に対しては粉砕の程度に応じて,吸収ピン,スクリュー,プレート,移植骨,アンカーを用いて固定した.内側側副靭帯に対しては全例アンカーを用いて修復した.最終経過観察時,疼痛や動揺性を認めなかった.可動域は異所性骨化を来した1例が伸展-35度,屈曲105度と制限を認めたが,残りは伸展-5度,-20度,屈曲135度 ,130度と良好であった.肘関節脱臼に合併する上腕骨小頭~外側上顆骨折に対しては粉砕の程度に合わせた固定方法が必要であり,概ね良好な臨床成績を得ることができた.
  • 西脇 正夫, 石倉 佳代子, 歌島 淳, 寺坂 幸倫, 清田 康弘, 久島 雄宇, 稲葉 尚人, 堀内 行雄
    2021 年 28 巻 2 号 p. 26-31
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/11/26
    ジャーナル フリー
     上腕骨遠位端coronal shear fracture 11例12肘の治療成績を後向きに調査した.Dubberley分類type 1A,2Aは拡大外側アプローチでheadless screwで固定し,type 3Bで粉砕高度な場合は肘頭骨切りによる後方進入でplate,screw,Kirschner鋼線等を組み合わせて固定した.最終調査時の肘関節平均自動屈曲130° ,伸展-13° ,JOA-JES score平均92点であった.変形が残った6肘はすべてtype 2B,3Bであり, 4肘は小頭が中枢に転位して癒合し,1肘は偽関節,1肘は小頭と滑車の一部が壊死して関節症変化を生じた.Type Aはheadless screw固定が有用であったが,type 3Bではheadless screwは剪断力で傾き,plate固定ではscrewが薄い骨片を把持できず,良好な固定性獲得は困難であった.
  • 國分 直樹
    2021 年 28 巻 2 号 p. 32-35
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/11/26
    ジャーナル フリー
     症例は7歳女児,階段より転落し左肘関節を受傷,左橈骨近位骨端部が後方に約90度脱転しておりWilkins分類 type D と診断し同日手術を行った.非観血的整復は不可能と判断し外側を展開すると,関節外に脱転した橈骨頭が確認でき,骨幹部との軟部組織による連続性はわずかであった.それを温存するよう愛護的に整復し,骨片が不安定であったために鋼線固定を追加した.術後は3週間で鋼線を抜去し,現在術後16か月で疼痛・可動域制限なく,骨頭壊死も認めていない.転位のある小児橈骨近位端骨折では経皮的手技が推奨されるが,本例のような高度転位例では経皮的手技による整復は困難であり,また繰り返す整復操作は軟部組織損傷を重傷化する可能性がある.高度転位例では経皮的手技にこだわりすぎずに観血的手術を選択し,また重篤な合併症である骨頭壊死を回避するためには早期手術と愛護的操作による軟部組織の温存・修復が重要と考える.
  • 清田 康弘, 中山 政憲, 堀内 孝一, 鎌田 雄策, 有野 浩司, 石井 賢
    2021 年 28 巻 2 号 p. 36-38
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/11/26
    ジャーナル フリー
     経肘頭脱臼骨折は定義や分類が様々あり,標準的治療は未だ確立されていない.われわれは経肘頭脱臼骨折の治療経験について検討した.対象は3例(男性2例,女性1例 ),平均年齢は65 (57~74)歳,Mayo分類骨折型は2例がIIIA,1例がIIIBであった.脱臼方向は前方が2例,後方が1例であり,1例は橈骨頭骨折,尺骨鉤状突起骨折,外側側副靭帯損傷を合併していた.内固定法は2例がtension band wiring(TBW),1例がプレート固定で,TBWを施行した2例のうち1例は遷延癒合,1例は偽関節を生じた.最終経過観察時の肘関節平均可動域は,屈曲130(120~140)° ,伸展-15(-20~-10)° であ った.骨癒合不良の2例は,内固定力不足が原因であると考えられた.経肘頭脱臼骨折の治療では,軟部組織損傷が高度であることを念頭において,強固な骨性支持が得られる内固定を行うことが必要である.
  • 飯ヶ谷 るり子, 吉川 康弘
    2021 年 28 巻 2 号 p. 39-41
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/11/26
    ジャーナル フリー
    はじめに:肘頭骨折に対するtension band wiring(TBW)法はしばしばKirschner鋼線(K-wire)のback outを認める.そこで当院ではback outの防止のため軟鋼線をdouble twistで締結し,締結部分でK-wire端を上から抑え込む形のback out防止対策を行っている.今回本法の術後成績およびK-wireの移動距離を検討したので報告する.
    対象及び方法:本法を施行した14例14肘を対象とした.K-wireの移動距離は,単純レントゲン側面像でのK-wire端の術直後と最終調査時の移動距離とした.
    結果:全例で骨癒合を認め,back out発生率は1鋼線/28鋼線(3.6%),1肘/14肘(7.1%)であった.
    考察:本法は簡便な操作で,TBW法の骨折部への圧迫力を高める効果を有するうえ, back outの防止効果もある有用な方法と考えられた.
  • 山田 哲也
    2021 年 28 巻 2 号 p. 42-45
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/11/26
    ジャーナル フリー
     尺骨鉤状突起骨折の分類に前外側部骨折の記載はない.成人内反肘に脱臼を伴わずに生じた尺骨鉤状突起前外側部骨折の症例を報告する.症例は79歳女性.主訴は左肘痛.屋外で転倒受傷した.内反肘と鉤状突起前外側部骨折を認めたが明らかな脱臼はなかった.骨折は橈骨切痕の大部分を含む前後方向に長い骨折線であった.外反ストレスで鉤状突起前外側部が上腕骨と衝突して骨折部は不安定であったが骨折部を内固定すると肘関節は安定した.内反肘の合併症として後外側回旋不安定性が知られており本例もその存在下にTerrible triad injuryと同様な外反後外側回旋力がはたらき骨折を生じたと推察された.内反肘で上腕骨遠位関節面は内側に傾斜しており鉤状突起前外側部は傾斜した上腕骨と衝突して脱臼を生じず前後方向に骨折したと考えられた.
  • 大津 洋和, 森澤 妥
    2021 年 28 巻 2 号 p. 46-48
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/11/26
    ジャーナル フリー
     25歳男性.13歳の時に交通外傷で左肘モンテジア骨折を受傷し保存的治療を受けた.その後,肘の可動域制限,痛みは時折あったが放置していた.最近,仕事中,同症状が悪化し当院受診した.初診時,肘伸展時に左肘関節外側に轢音,痛み,内反肘を認めた.単純X線像で橈骨頭の後外側脱臼,尺骨変形を認めた.手術は橈骨頭切除に加えて外側側副靭帯縫縮を実施した.術後3か月で痛み,可動域は改善し仕事復帰した.本症例では橈骨頭の脱臼・肥大により伸展制限・痛みが生じ,経過も長く尺骨矯正骨切りでの整復は困難で仮に整復し得たとしても可動域制限が生じる可能性が危惧される.また,尺骨の変形があるため橈骨頭切除後に人工橈骨頭を挿入しても上腕骨小頭との適合不良が考えられた.そこで,橈骨頭切除後に緩んでいた外側側副靭帯の縫縮を追加した.短期的には良好な結果を得たが今後の肘関節・手関節の変形性変化を含め長期の経過観察が必要である.
  • 岡田 恭彰, 高橋 啓, 伊藤 雄也, 草野 寛, 及川 昇, 古島 弘三, 船越 忠直, 堀内 行雄, 伊藤 恵康
    2021 年 28 巻 2 号 p. 49-54
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/11/26
    ジャーナル フリー
    尺骨の急性塑性変形(APB)を伴う小児Monteggia骨折7例の急性期治療を検討した.
    対象および方法:平均年齢9歳,受傷から手術までの平均期間11日,平均Maximum Ulna Bowは4.5mmであった.治療は全身麻酔下で尺骨APBを可及的に徒手矯正し,続いて橈骨頭の徒手整復を行った.徒手整復で安定しなければ腕橈関節を展開した.整復阻害因子を除去しても橈骨頭の安定性が得られなければ尺骨矯正骨切りを行った.
    結果:徒手整復のみで橈骨頭の安定を得たのは2/7例,橈骨頭の観血的整復を要したのは5/7例で,整復阻害因子は全例で腕橈関節に介在した輪状靱帯であった.整復阻害因子を除去しても橈骨頭の安定性が得られず,尺骨矯正骨切りを要したのは2/5例であった.
    考察:尺骨APBを伴う小児Monteggia骨折の急性期治療では尺骨の徒手矯正と橈骨頭の徒手整復で橈骨頭の安定性が得られない場合,腕橈関節の整復阻害因子を解除して橈骨頭の整復を試み,それでも安定性が担保出来ない場合のみ尺骨矯正骨切りを行っても良好な成績が獲得でき,必ずしも尺骨矯正骨切りの必要はないと考えられた.
  • 吉田 史郎, 吉田 健治, 坂井 健介, 松浦 充洋, 上野 智規, 高田 寛史
    2021 年 28 巻 2 号 p. 55-58
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/11/26
    ジャーナル フリー
     小児Monteggia骨折51例を調査し本外傷に対する治療成績,治療法,合併症,術中観血的に腕橈関節の展開の有無を調査した.手術時平均年齢は平均7歳,経過観察期間は平均14.3か月であった.Bado分類 type I:II:IIIがそれぞれ27:2:22例で,その中で陳旧例は 4例で全例Bado 分類type Iであった.治療法は急性期はシーネ固定:11例 ,経皮的髄内単独固定:30例,髄内釘に鋼線による一時的関節追加固定:4例,プレ ート固定:2例で,陳旧例4例中3例には尺骨骨切り術を行った.急性期は全例治療法 ,骨折型に関わらず良好な成績が得られた.観血的脱臼整復術を行っていたのは51例中1例(1.9 %)のみであった.合併症として神経障害も6例にみられたが自然軽快した.本結果から急性期に腕橈関節の観血的整復はほとんど必要なかった.また骨折型および治療法による差はなかった.
  • 小川 健, 岩渕 翔, 池田 和大
    2021 年 28 巻 2 号 p. 59-63
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/11/26
    ジャーナル フリー
    目的:肘関節terrible triad injuryに対する治療成績をまとめ,治療戦略を考察する.
    対象と方法:2015年以降TTIに対し当院で手術を行った12例13肘を後ろ向きに調査した.手術時年齢は平均57.5歳,経過観察期間は平均35.2ヶ月.手術の基本方針は ,1)外側支持機構の修復,2)前方支持機構の修復,3)内側靭帯修復,4)ヒンジ付創外固定の順とした.評価は可動域,Mayo Elbow Performance Score(MEPS)とDASHを調査した.
    結果:平均可動域は,伸展 -18,屈曲130度,MEPSは平均92 点,DASHは平均32点であった.再脱臼は3肘に認め,その要因はそれぞれ橈骨頭骨折の修復不良,鈎状突起の修復不全,外側靭帯修復の破綻であった.
    考察:前方要素の修復は症例に応じた対応が必要であり,創外固定の併用も積極的に行って良いと考えられた.
  • 原口 敏昭, 吉田 史郎, 松浦 充洋
    2021 年 28 巻 2 号 p. 64-68
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/11/26
    ジャーナル フリー
    腕橈関節・腕尺関節・近位橈尺関節が同時に脱臼する肘関節分散脱臼はまれである.本脱臼を生じた3例を経験したので報告する.
    症例1:7歳女児.転倒受傷し右橈骨頸部骨折を伴う集合脱臼と診断した.非観血的整復では整復位不十分であり観血的に整復固定を施行した.
    症例2:6歳男児.転倒受傷し左尺骨近位端骨折・尺骨鉤状突起骨折を伴う横分散脱臼と診断し非観血的に脱臼整復を行い外固定による治療を行った.
    症例3:6歳男児.ブランコから転落受傷し左肘関節横分散脱臼を認め,非観血的に脱臼整復を行い外固定による治療を行った.3例とも不安定性みられず可動域制限なく経過良好である.
    小児の肘外傷は正確なX線撮影が困難であり診断に苦慮することも少なくない.肘関節脱臼の際は分散脱臼や骨折の合併の可能性も考え診断・治療を行う必要がある.
  • 武谷 博明, 鈴木 拓, 木村 洋朗, 佐藤 和毅, 岩本 卓士
    2021 年 28 巻 2 号 p. 69-71
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/11/26
    ジャーナル フリー
    目的:上腕骨外側上顆炎へのステロイド局所注射が原因であると考えられる外側側副靭帯損傷の症例に対して長掌筋腱を用いた靭帯再建術を行い,良好な結果を得たために報告する.
    方法:上腕骨外側上顆炎に対してステロイド局所注射後に,外側側副靭帯損傷を生じた3症例(平均年齢52歳,男性3例)を対象とした.評価は,術前注射回数,術後疼痛,不安定性の有無,肘関節自動運動可動域について調査した.
    結果:術前注射回数は平均5.3(3~5)回であった.全例で術前に認めていた肘関節外側部痛や不安定性は術後に消失し,可動域制限も認めなかった.
    考察:上腕骨外側上顆炎へのステロイド局所注射による外側側副靭帯損傷は注射回数が3回以上を損傷リスクとする報告もある.上腕骨外側上顆炎に対しての多数回のステロイド局所注射は,外側側副靭帯断裂の原因となる可能性があることに留意が必要である.
  • 岡本 道雄
    2021 年 28 巻 2 号 p. 72-76
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/11/26
    ジャーナル フリー
    はじめに:外傷性肘関節靱帯損傷のスポーツ,労働復帰の決定には明確な基準がなく,その判断に苦慮する.また保存治療中の靱帯修復過程を超音波検査で評価した報告は少ない.今回,われわれは外傷性肘関節靱帯損傷に対して保存治療を行い,超音波検査にて経時的に評価したので報告する.
    対象と方法:外傷性肘関節靱帯損傷7症例を対象とした.平均年齢は23.1歳.6例がコンタクトスポーツをしていた.保存治療内容は前腕中間位,肘関節90度で副子固定を2~3週間行い,関節可動域訓練を開始した.靱帯の評価として超音波検査を1-2か月毎に施行した.
    結果:肘関節屈曲144度,伸展-2度,Mayo Elbow Performance Scoreは平均97.9点であった.パワードプラ超音波検査では靱帯完全断裂2症例で靱帯内血流が高度な時期が2か月以上確認できた.
    考察:靱帯内血流は完全断裂症例において長く続く傾向であった.
  • 栗山 幸治, 安井 行彦, 阿部 真悟, 冨山 陽平, 原 静音
    2021 年 28 巻 2 号 p. 77-79
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/11/26
    ジャーナル フリー
     遠位上腕二頭筋腱断裂は比較的まれな外傷である.cortical buttonとinterference screwを用いて修復術を行った1例を報告する.症例は63歳男性.左遠位上腕二頭筋腱断裂に対し,single incision techniqueで手術を行った.橈骨粗面に作成した骨孔にcortical buttonを用いて修復した.さらにinterference screwを腱の橈側に挿入し,interference screw上で糸を結紮した.回外,肘関節90° 屈曲位で1週間のシャーレ固定の後自動運動開始,術後3週間は三角巾使用とした.術後18ヶ月の最終観察時,前腕外側部のわずかな知覚鈍麻が残存するが肘関節屈曲:136° ,伸展:4° 前腕回内 :75° ,回外:80° ,握力:31kg(健側比 94%),肘屈曲,回外筋力はいずれもMMT:5レベルと比較的良好な結果を得た.
  • 土屋 匡央, 佐竹 寛史, 髙木 理彰
    2021 年 28 巻 2 号 p. 80-83
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/11/26
    ジャーナル フリー
     16 歳,男性.階段から転倒し,受傷後12 週にMRIで上腕三頭筋腱皮下断裂を指摘された.左肘頭近位に陥凹を触知し,単純X線とCTで上腕骨遠位後方に裂離骨片を認めた.上肢機能評価(QuickDASH-JSSH)は15.9 点,スポーツ93.8 点と障害の程度が強く,受傷後15 週で手術を行った.上腕三頭筋腱は肘頭停止部と3 cmの間隙があり,肘頭に仮縫合したところ肘関節は90 度以上屈曲が不能となったため腱移植を選択した.大腿筋膜張筋を用い肘頭と面で接触するようにパッチ状に移植した.術後40 週でQuickDASH-JSSH 0 点,スポーツ6.25 点と機能評価は改善し,日常生活およびスポーツ活動に支障はなかった.大腿筋膜張筋を再建材料として,肘頭にパッチ状に縫合した後に上腕三頭筋の緊張度を確認しながら移植長を設定することで良好な結果が得られた.
  • 三好 祐史, 轉法輪 光, 島田 幸造
    2021 年 28 巻 2 号 p. 84-86
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/11/26
    ジャーナル フリー
     56歳男性.ステロイドパルス加療後にプレドニン内服を継続している.両肩・股・膝関節の骨壊死を発症し,人工関節手術歴がある.2 か月前から誘引なく右肘関節に軽度可動域制限,動作時痛,引っかかり感を自覚した.画像上,小頭から滑車外側部に及ぶ縦20mm ×横30mm の骨壊死像を認めた.壮年患者であり,関節再建術を選択した.骨壊死部を掻爬すると広範な骨軟骨欠損を認めた.第5,第6肋骨の2本から採取した肋骨骨軟骨柱を移植し関節面を再建した.術後1年で肘関節痛はなく,Mayo Elbow Performance Indexは100点のexcellentであった.画像上,骨の生着が得られ,関節面の適合性は良好である.広範な骨軟骨欠損を有する上腕骨遠位部壊死症例に対して,肋骨骨軟骨柱移植を行うことで関節面の再建と関節機能の再獲得が可能であった.
  • 森谷 史朗, 近藤 秀則, 楢崎 慎二, 今谷 潤也
    2021 年 28 巻 2 号 p. 87-89
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/11/26
    ジャーナル フリー
     上腕骨遠位端骨折に対して最小侵襲尺骨神経移動法(以下MIUT法)を併用してダブルプレート固定術を行った症例のプレート抜釘時に,尺骨神経の術中所見を評価した.対象は2014年4月から2020年6月までに手術を行った19例(男性4例,女性15例,平均73歳)で,術後経過観察期間は平均12.8か月(6~24か月)であった.19例中1例(5.3%)に術後尺骨神経障害を認めたが,経過観察のみで軽快した.抜釘を行った4例(全例術後尺骨神経障害なし)の術中所見では,全例,初回内固定時に展開したどの領域においても周囲組織やプレートとの明らかな癒着・係留はなかった.また伴走血管も温存され,走行床上で良好な可動性と伸長性を認めた.MIUT法は術後尺骨神経障害の発症率を低下させるとともに,プレート抜釘時の尺骨神経損傷のリスクを軽減できる可能性がある.
  • 大中 敬子, 普天間 朝上, 米田 晋, 西田 康太郎
    2021 年 28 巻 2 号 p. 90-93
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/11/26
    ジャーナル フリー
     52歳女性.5か月前に転倒し右肘頭骨折を受傷,他院で骨接合術を施行された.術後外固定は行われず,自動運動を行うように口頭指導されたが,疼痛のためできず肘屈曲位で保持していた.初回術後5週で近医を受診し,リハビリを開始されたが改善しなかったため,初回術後4か月で当院を紹介された.上腕二頭筋の防御性筋収縮を認め,肘関節可動域(伸展/屈曲)は -65°/70°であった.全身麻酔,腕神経叢ブロック下(持続カテーテルチューブ留置)に,抜釘後,内側進入で前方・後方関節包を切離 ,内側側副靱帯後斜走繊維を切除した.術中最終可動域は,重力を利用した屈伸では -5°/130°,他動負荷下では 0°/145°であった.術翌日より,筋の防御性収縮を避けながら,自動運動,自重による可動域訓練を行った.持続的他動運動装置も使用した.術後3週で退院,通院リハビリを継続した.術後6か月で 0°/140°,疼痛もなかった.
Ⅳ. スポーツ障害
  • 小禄 純平, 上原 大志, 白瀬 統星, 堀切 健士
    2021 年 28 巻 2 号 p. 94-96
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/11/26
    ジャーナル フリー
    症例:11歳男児,捕手.3ヶ月前から右肘痛が徐々に増悪し,投球困難となり受診.上腕骨小頭に圧痛と肘後方に伸展時痛を認め,屈曲130° ,伸展-30° であった.単純X線とCTで小頭の骨端線は未閉鎖で,外側壁を含む広範囲に不整像と,関節内に直径 15mmの遊離骨軟骨片が確認できた.広範囲遊離期巣外型OCDの診断で手術を選択した.外側アプローチで進入し,関節内に15mm大の遊離体を確認.骨組織の付着はほとんどなく,軟骨の変性はみられなかった.母床部を新鮮化し,0.5mm 軟鋼線を用いて鋼線締結法で強固に固定した.3週間のギプス固定ののち,可動域訓練を開始した.術後4か月で抜釘を行った際,軟骨面に不安定性はなく癒合が得られていた.その後投球を再開し初回術後6か月で完全復帰した.
    結語:骨端線未閉鎖のOCDにおいて,骨組織に乏しい骨軟骨片であっても鋼線締結法は治療法のひとつとなり得る.
  • 原田 洋平, 岩堀 裕介, 梶田 幸宏, 高橋 亮介, 安達 伸生
    2021 年 28 巻 2 号 p. 97-101
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/11/26
    ジャーナル フリー
     上腕骨小頭離断性骨軟骨炎(OCD)に対する骨軟骨柱移植術後に,上腕骨小頭の圧壊と著明な変形性関節症を来した2例を経験したので報告する.症例1.12歳男子,野球選手.他院で右上腕骨小頭OCDに対して骨軟骨柱移植術を受け,術後3ヵ月で当院を受診.MRIで移植した骨軟骨柱は生着していたものの関節内水腫を認めた.その後徐々に上腕骨小頭の圧壊と,関節症変化が進行した.症例2.13歳男子,野球選手.当院で右上腕骨小頭OCDと診断し骨軟骨柱移植術を施行するも,術後半年にわたり関節面と骨軟骨柱の連続性が保たれたまま急速に上腕骨小頭の圧壊と腕橈関節の変形が進行した.上腕骨小頭OCDに対する自家骨軟骨柱移植術は良好な成績が報告されているが,様々な術後経過をたどることがあることを留意すべきである.
  • 道信 龍平, 小川 健, 原 友紀, 吉井 雄一, 十時 靖和, 柘植 弘光, 山崎 正志
    2021 年 28 巻 2 号 p. 102-104
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/11/26
    ジャーナル フリー
    目的:大学野球選手における投球側上腕骨内側上顆下端の異常所見と学齢期練習量との関係を調査すること.
    対象と方法:大学硬式野球部に所属する選手59名を対象とし,全選手に超音波検査を行い,投球側上腕骨内側上顆下端に不整または裂離を認めるものを異常所見あり(A群),認めないものを異常所見なし(N群)とした.アンケート調査より小学生,中学生,高校生での週平均練習時間と週平均投球数,競技開始年齢および初発肘痛時期を取得し,両群を比較検討した.
    結果:A群40名,N群19名だった.中学生での週平均練習時間がA群で有意に長かった.A群の中にも肘痛歴のない選手が15名(37.5%)いた.
    考察:大学野球選手における内側上顆下端の異常所見は主に骨端線閉鎖前の骨端症を反映していると考えられ,中学生での練習量の急激な増加が影響した可能性が示唆された.また,無症候性に異常所見をきたす選手が少なくないと推測された.
  • 柘植 弘光, 原 友紀, 道信 龍平, 池田 和大, 十時 靖和, 井汲 彰, 小川 健, 西浦 康正, 吉井 雄一, 山崎 正志
    2021 年 28 巻 2 号 p. 105-107
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/11/26
    ジャーナル フリー
    目的:大学硬式野球部員59名にメディカルチェックを実施し,肘スポーツ障害の特徴について検討した.
    方法:問診票で現在の症状の有無や既往歴を確認し,検診では上下肢体幹の可動域,筋力に加え,肩肘について圧痛,moving valgus test,尺骨神経の診察などを行った.55例に肘のMRIを実施し,UCL損傷を調査した.MRIでUCL損傷ありと判断された選手の肘内側障害や肩障害にについて解析した.
    結果:肘のMRIで70.1%にUCL損傷を認め,そのうち69.2%は無症状であった.肘内側症状のあるUCL損傷群は,それ以外の選手群と比較して肩外旋可動域の制限や肩甲下筋筋力の低下がある傾向があり,肩のインピンジメント徴候が多い傾向があった.
    考察:大学野球選手には無症候性UCL損傷所見が多くみられた.また有症状のUCL損傷群は肩の不調を併発する傾向がみられた.
  • 川鍋 慧人, 古島 弘三, 宇良田 大悟, 貝沼 雄太, 近藤 亮太, 佐久間 健太郎, 綿貫 大佑, 船越 忠直, 草野 寛, 高橋 啓, ...
    2021 年 28 巻 2 号 p. 108-110
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/11/26
    ジャーナル フリー
     投球中の肘動的外反制動機能としてFDSの機能が重要であり,解剖学的研究において,示・小指のFDSがAOLから起始することが報告されているが,その機能を生体で検討した報告は少ない.目的は,FDS収縮時のAOLの組織弾性を検討することである.対象は健常男性8名16肘.Shear-wave elastography にて,安静時,全指,中・環指,示・小指,示・中指,示指単独,小指単独のPIP屈曲時のAOL組織弾性値を測定した.安静時のAOLの組織弾性値は45.9 ± 17.5kPa,FDSを収縮させた際の組織弾性値は全指97.0 ± 40.3kPa,示・小指101.8 ± 35.4kPa,示・中指100.9 ± 39.0kPa,小指単独92.9 ± 40.0kPaで安静時と比較し有意に高値を示した.投球における肘動的外反制動機能は示・小指,示・中指,小指単独のFDS機能が重要である可能性が示唆された.
  • 佐藤 力, 高原 政利, 三田地 亮, 小野 秀俊, 宇野 智洋
    2021 年 28 巻 2 号 p. 111-116
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/11/26
    ジャーナル フリー
     上腕骨内側上顆裂離(裂離)のある野球選手100例(平均年齢11.5歳)の保存治療成績を調査した.リハビリテーションでは肩甲胸郭関節,体幹,下肢のコンディショニングを行い,自主トレーニング用パンフレットを配布し,自宅でも継続して行うよう指導した.投球休止は平均53日であった.経過観察期間は平均9.4か月(最低3か月)であった.肘痛の再発は35例にあった.骨癒合は89例に得られ,うち19例では裂離の再発があり,16例では再癒合が得られた.最終調査時の骨癒合は86例であり,うち54例に成熟骨癒合が得られ,スポーツ復帰が91例,仮復帰が8例であり,1例(未復帰)は経過中に離断性骨軟骨炎を発症した.低年齢選手に未癒合が有意に多く,幼若な骨端損傷には慎重に対処すべきである.成熟骨癒合段階まで治癒すると肘痛や裂離の再発が有意に低下したので,成熟骨癒合が治療の指標の一つになる.
  • 三田地 亮, 高原 政利, 佐藤 力, 小野 秀俊, 宇野 智洋
    2021 年 28 巻 2 号 p. 117-121
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/11/26
    ジャーナル フリー
    目的:肘痛と主観的評価,身体所見,および投球動作の関連性を分析すること.
    対象と方法:中学野球選手52名を検診し,肘痛,自己評価式の肘痛スコア(痛みなし:0点~最悪の痛み:40点),投球フォーム自己評価(良:30点~不良:0点 ),身体所見,および投球動作を調査した.
    結果:肘痛は8名にあった.自己評価式の平均は肘痛スコア:4.1点,投球フォーム自己評価:22.2点であり,軸脚の蹴りは肘痛なし群が有意に良好であった.身体所見の陽性率はcombined abduction test:32.7%,horizontal flexion test:25.0%,およびstraight leg rising:20.6%であった.動作解析ではsingle plane:33.3%,アーリーコッキング期軸脚股関節肢位の不良 :92.2%,良:7.8%であった.
    考察:肘痛と軸脚の蹴りには関連性があった.
  • 貝沼 雄太, 古島 弘三, 宇良田 大悟, 川鍋 慧人, 佐久間 健太郎, 船越 忠直, 草野 寛, 高橋 啓, 堀内 行雄, 伊藤 惠康
    2021 年 28 巻 2 号 p. 122-124
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/11/26
    ジャーナル フリー
    目的:臨床場面では,投球側の尺側手根屈筋(FCU)・浅指屈筋(FDS)が萎縮していることを多く経験する.本研究の目的は,尺側側副靭帯(UCL)損傷群と正常群におけるFCU・FDS筋厚を評価・検討することとした.
    方法:対象はUCL損傷と診断された18 名(I 群)と検診でUCL正常であった15名(N 群)とした.超音波画像診断装置(US)を使用し,投球側と非投球側のFCU・FDS筋厚を測定した.測定部位は上腕骨滑車裂隙辺縁部直上(近位部)と尺骨鉤状結節辺縁部直上(遠位部)とした.
    結果:近位部でのFCU・FDS筋厚は I 群の投球側が減少していた(p < 0.05).遠位部でのFCU・FDS筋厚は I 群の投球側が減少していた(p < 0.05).
    結論:I 群では,投球側のFCU・FDS筋厚が減少していた.今後は,UCL損傷者の筋厚回復が症状の改善に繋がるか検討していく必要がある.
  • 阿蘇 卓也, 田村 将希, 尾崎 尚代, 鈴木 昌, 古屋 貫治, 西中 直也
    2021 年 28 巻 2 号 p. 125-129
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/11/26
    ジャーナル フリー
    目的:上腕骨小頭離断性骨軟骨炎(OCD)病変部安定および不安定症例の上肢筋力を比較し,病変部不安定症例の上肢筋力の特徴を検討することを目的とした.
    材料および方法:対象はOCD症例9名とした.病変部はCT矢状断像から西中らの分類に基づき軟骨下骨の状態を評価し,Stage1およびStage2を病変部安定群,Stage3a・3bおよびStage4を病変部不安定群とした.上肢筋力はゼロポジション近似肢位での肩外旋(Zero外旋)および肘伸展(Zero伸展)筋力,僧帽筋中部・下部筋力,前鋸筋筋力を測定し,2群間で比較した.
    結果:Zero伸展筋力は病変部不安定群で低値を示した.他の項目に差はなかった.
    考察:Zero伸展筋力の低下はOCD病変部不安定症例の上肢筋力の特徴の一つである可能性が示唆された.
Ⅴ. 上顆炎・腱付着部炎
  • 尼子 雅敏, 建部 将広, 新井 猛, 池上 博泰, 池田 全良, 射場 浩介, 今田 英明, 岡崎 真人, 金森 章浩, 副島 修, 田中 ...
    2021 年 28 巻 2 号 p. 130-136
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/11/26
    ジャーナル フリー
    上腕骨外側上顆炎診療ガイドライン(改訂第2版)が発刊されて約1年経過し,本疾患に対する診療の実態を明らかにするためにアンケート調査を実施した.
    方法:日本肘関節学会会員に対してWEB上でアンケートを実施した.
    結果:447名から回答が得られた.診断は理学所見を信頼する人が最も多かった.治療法は,薬物療法,ステロイド注射,テニス・エルボー・バンド,理学療法を70%以上が行うと回答し,直視下手術は49%,鏡視下手術は35%であった.まだ保険収載されていない体外衝撃波,多血小板血漿局所注射を行っている人は15%以下と少なかったが,今後行っていきたい治療法として高い関心が示された.
    考察:アンケート結果より,ガイドラインで推奨された治療が多く行われていることが明らかとなった.対外衝撃波や多血小板血漿局所注射の治療に対する関心が高く,改訂第3版のガイドライン策定に反映させていきたい.
  • 今田 英明, 神原 智大, 山﨑 修平
    2021 年 28 巻 2 号 p. 137-141
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/11/26
    ジャーナル フリー
     当科における難治性上腕骨外側上顆炎に対する外側側副靱帯修復術の治療成績を検討した.術後6か月以上経過観察可能であった7名8肘を対象とした.外側側副靱帯修復術の手術適応としては,無麻酔下での肘伸展位,30°屈曲位での内反ストレステストのいずれかもしくは両方において肘外側の著明な疼痛が出現する,無麻酔下での肘伸展位,30°屈曲位での内反ストレステストのいずれかもしくは両方において健側と比較し腕橈関節の開大を認める,MRI にて外側側副靱帯を含めた伸筋群付着部に一部でも高信号像を認める,の3つのすべての条件を満たすものとした.外側側副靱帯補強術を6肘に靱帯再建術を2肘の行った.補強術においては術後VAS, JOA-JES score, Quick DASHが有意に改善していた.Nirschlの成績評価では優3肘,良4肘,可1肘であった.
  • 今田 英明, 神原 智大, 山﨑 修平
    2021 年 28 巻 2 号 p. 142-147
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/11/26
    ジャーナル フリー
     難治性上腕骨外側上顆炎に対して当科で行ってきた直視下病巣切除術後の成績不良例の頻度,経過ならびに対策を検討した.術後1年6か月以上経過観察可能であった20名22肘を対象とした.手術時年齢は中央値46.5歳,術前ステロイド注射回数は中央値5回,術後経過観察期間は中央値27か月であった.最終経過観察時,VAS, JOA-JES scoreは有意に改善し77.3%でNirschlの成績評価における良以上であった.一方,疼痛の再燃を18.2%に認めた.再燃時期は平均24か月であった.術後症状の改善を認めなかった不可1肘に対しては術後7か月で外側側副靱帯補強術を,再発の1肘に対しては術後32か月で橈骨神経管開放術を追加していた.難治性上腕骨外側上顆炎に対する直視下病巣切除術の成績は概ね良好であり,肘不安定性を有する症例以外では術後経過が安定しなくても2年は保存的に経過をみてもよいと考えられた.
  • 鈴木 拓, 早川 克彦, 中根 高志, 武谷 博明, 木村 洋朗, 佐藤 和毅, 岩本 卓士
    2021 年 28 巻 2 号 p. 148-149
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/11/26
    ジャーナル フリー
    目的:上腕骨内側上顆炎に対する直視下手術の成績について報告する.
    対象と方法:保存加療に抵抗性の上腕骨内側上顆炎に対して直視下手術を施行した7例(男性5例,女性2例,平均年齢54歳)を対象とした.術前に尺骨神経の症状を呈していた症例は5例であった.手術は,全例,屈筋共同腱のデブリドマン,尺骨神経剥離,内側上顆部分切除,内側上顆のドリリングを施行した.評価は,術前,術後1年における疼痛(VAS),握力健側比に関して調査した.
    結果:平均VASは術前81(55-100)であったのに対して,術後1年では15(0-40)と有意に低下した.平均握力健側比も術前で 64(26-71)%であったのに対して,最終観察時には 95(84-100)%と有意に改善した.
    考察:上腕骨内側上顆炎に対する直視下手術は,有用であった.
  • 森澤 妥, 大津 洋和
    2021 年 28 巻 2 号 p. 150-152
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/11/26
    ジャーナル フリー
     上腕骨内側上顆炎の30%に尺骨神経障害を合併している.術前に尺骨神経障害の関与の有無・程度の把握は困難である.今回,病巣掻爬に加えて尺骨神経の処置も併施した直視下手術の治療成績を報告する.対象は11例11肘,男性3例女性8例,手術時年齢は平均54歳,術後経過観察期間は18か月であった.
     手術は回内屈曲筋群付着部の掻爬・ドリリングに加え神経の除圧,内側上顆部分切除,皮下前方移所を施行した.結果は全例で症状は軽快し,VAS平均は術前8.6から0.7,JOA-JESスコア平均は術前29.7から96.2と改善した.今回の結果から本術式はおおむね良好な結果が得られた.難治性上腕骨内側上顆炎は術前に尺骨神経障害合併の関与の判別が困難で病巣掻爬に加えて尺骨神経の処置を併施するのも一つの選択肢と考えられた.
Ⅵ. 神経疾患
  • 丸川 雄大, 杉田 憲彦, 本田 祐造
    2021 年 28 巻 2 号 p. 153-155
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/11/26
    ジャーナル フリー
     滑膜軟骨腫症(Synovial Chondromatosis)は関節・腱鞘・滑液包に生じる滑膜の異形成で,内部に無数の骨軟骨体を形成する良性腫瘍である. 20-40歳代の男性に好発する比較的まれな疾患で,多くは単関節性で膝関節発生が最も頻度が高く,他は股関節や肘関節の報告も見られる.肘関節に発生し他院で切除後再発,尺骨神経症状を伴ったまれな1例を経験したので報告する.
  • 野口 亮介, 手島 昌之
    2021 年 28 巻 2 号 p. 156-158
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/11/26
    ジャーナル フリー
     上腕動脈穿刺カテーテル後に正中神経麻痺を生じた2例につき報告する.症例1,61歳男性.脳外科による検査後に生じた仮性動脈瘤による正中神経麻痺.母指対立は不能でSWTは赤であった.超音波検査にて正中神経の著明な圧排を認め,穿刺後79日目に仮性動脈瘤摘出術施行.術後24か月時,母指対立可能となりSWT紫まで改善.症例2,循環器内科での検査後に仮性動脈瘤を生じた.当該科で圧迫法・トロンビン注入法されたが,正中神経麻痺出現.母指対立はかろうじて可能,SWTは赤であった.仮性動脈瘤破裂後の血腫を認め,穿刺後21日目に血腫除去術施行.術後12か月時,運動麻痺は回復したが,SWT紫であった.麻痺発症後,手術までに時間を要する原因としては,カテーテル後の麻痺が稀であることや麻痺の発症が緩徐に起こることなどが挙げられる.手術までの期間が長いと運動麻痺が残存してしまうため,可及的早期に対処する必要がある.
  • 辰尾 秋斗, 古屋 貫治, 鈴木 昌, 磯崎 雄一, 大澤 一誉, 田鹿 佑太朗, 木村 亮介, 田村 将希, 尾﨑 尚代, 神﨑 浩二, ...
    2021 年 28 巻 2 号 p. 159-162
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/11/26
    ジャーナル フリー
    緒言:神経病性肘関節症の基本は保存療法であるが,関節破壊が進行し関節水腫を伴うものでは手術療法も選択される.渉猟しうる限り鏡視下に手術を行った報告はなかった.今回われわれは,本疾患に対して関節腫脹改善目的に鏡視下手術を行った1例について報告する.
    症例:41歳男性.左肘関節腫脹を主訴に当院を紹介受診.単純X線で腕頭関節の骨破壊,異所性骨化像を多数認めた.関節腫脹改善目的に鏡視下滑膜切除術を施行した.関節内は著明な滑膜増生と関節破壊が進行していた.術後4年の経過で関節破壊は進行し脱臼位となっているが,可動域と関節腫脹は徐々に改善し,ADL上の支障はない.
    考察:本症例は関節破壊が進行している最中であったが鏡視下手術を行った.術後も関節破壊は進行したため手術時期は議論の余地があるが,可動域と関節腫脹は軽快した.直視下手術よりも軟部組織侵襲が少ない鏡視下手術も選択肢の一つと考えられる.
Ⅶ. 炎症・感染
  • 高岡 純一, 小沼 賢治, 助川 浩士, 大竹 悠哉, 髙相 晶士
    2021 年 28 巻 2 号 p. 163-166
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/11/26
    ジャーナル フリー
     Impaction bone grafting(IBG)法によるCoonrad-Morrey(CM)型人工肘関節再置換術を経験したので報告する.症例:58歳,女性.38歳時に関節リウマチと診断され, 44歳時に当院で左CM型人工肘関節置換術を施行した.術後13年の単純X線にて上腕骨インプラントの緩みを確認し,その4カ月後に左肘痛が増強した.画像検査にて上腕骨骨折を認めた.骨折に対しては保存的に加療した.Campbell approachにて展開した.上腕骨側インプラントは容易に抜去された.北里大学骨バンクより入手した同種大腿骨骨頭を4個を使用し,IBG法にて再置換術を施行した.術後,2年の現在,左肘関節痛やインプラントの緩みはなく経過良好である.本邦ではIBG法を用いたCM型人工肘関節の再置換術の報告は少ない.今後,再置換術症例が増加することが予想されるが,地域骨バンクとの連携が重要である.
Ⅹ. 治療法
  • 黒岩 宇, 河野 友祐, 前田 篤志, 船橋 拓哉, 志津 香苗, 藤田 順之, 鈴木 克侍
    2021 年 28 巻 2 号 p. 167-171
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/11/26
    ジャーナル フリー
     AO分類typeC上腕骨遠位端骨折に対し,olecranon osteotomy (OO)とlateral para-olecranon (LPO)の臨床成績を比較検討した.対象は手術加療を行なった19例(男性9例,女性10例)で,手術時平均年齢59.2歳であった.骨折型はC1 5例,C2 10例,C3 4例であった.検討項目は,手術時間,外固定期間,合併症,最終観察時の肘関節可動域とした.LPO群で年齢が有意に若く,arcが有意に良好であった.合併症はOO群において,上腕骨側の合併症4例と肘頭側の合併症3例を認めた.本検討では肘頭骨切り部の合併症を10例中3例に認め,肘頭骨切り部の合併症の予防には,肘頭骨切り部の固定の工夫やインプラントの変更を考慮する必要がある.LPOはC1 C2において,OOに比べ合併症が少なく,臨床成績は良好であった.
  • 綿貫 大佑, 宇良田 大悟, 古島 弘三, 貝沼 雄太, 川鍋 慧人, 近藤 亮太, 佐久間 健太郎, 船越 忠直, 草野 寛, 高橋 啓, ...
    2021 年 28 巻 2 号 p. 172-175
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/11/26
    ジャーナル フリー
    肘動的外反制動機能として,尺側手根屈筋(FCU)の重要性が報告されている.FCUのトレーニングはどの方法で行うのが有効なのかは不明である.本研究の目的は,FCUのトレーニング方法を比較検討することである.健常成人11名を対象とし,被験筋はFCUとした.測定肢位は肘90° 回外掌屈,肘伸展回内掌屈,肘伸展回外掌屈,肘伸展尺屈,肩90° 外転外旋位肘90° 掌屈,肩外転140° 掌屈とした.MVCの筋電図積分値を100%とし,各肢位の%MVCを測定した.統計処理は,多重比較法を用いた(有意水準:5%).肘伸展0° 回内での掌屈が,他の肢位と比較し有意に筋活動が増加した(P < 0.01).また,肘屈曲90° 回外掌屈と比較し,リリース位置での掌屈において筋活動が有意に増加した(P < 0.05).FCUのトレーニングには肘屈曲位で行う掌屈と比較し,肘伸展前腕回内位で行う掌屈が有効な方法であることが示唆された.
  • 岩堀 裕介, 梶田 幸宏, 伊藤 岳史, 原田 洋平
    2021 年 28 巻 2 号 p. 176-179
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/11/26
    ジャーナル フリー
     軟部組織要素による肘関節拘縮例に対して従来の理学療法と拡散型圧力波療法(RPW)を併用し,その臨床効果を調査した.
     肘関節拘縮10例10肘(年齢は平均18.8歳,男性8例・女性2例,外傷後3肘・術後7肘 )を対象とした.RPWの治療期間は平均3.3ヶ月であった.
     合併症は皮下出血1肘のみであった.治療前/後の平均肘関節可動域は,屈曲102/129,伸展 -37/-15,回外88/89,回内 84/85と屈曲と伸展が有意に改善し,平均疼痛VASは夜間 34/12,安静時 18/15,運動時 58/18と夜間と運動時が有意に軽減し,JOA-JESスコアは64/88と有意に改善した.RPWは従来の理学療法と併用することにより肘関節拘縮の疼痛や可動域制限の改善に有用な可能性が示唆された保存療法になりうる.
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