生態心理学研究
Online ISSN : 2434-012X
Print ISSN : 1349-0443
4 巻, 1 号
生態心理学研究
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
特集:マイクロスリップ
  • 廣瀬 直哉
    2009 年 4 巻 1 号 p. 3-5
    発行日: 2009/01/20
    公開日: 2021/10/05
    ジャーナル フリー
  • 栗原 一貴
    2009 年 4 巻 1 号 p. 7-13
    発行日: 2009/01/20
    公開日: 2021/10/05
    ジャーナル フリー

     本論文ではHCI(Human Computer Interaction)研究者の立場から,現象としてのマイクロスリップを計測することを出発点として,それをどのように応用してインタフェースデザインに生かすかを2つの可能性から考察する.ひとつはマイクロスリップを許容したインタフェース,もうひとつはマイクロスリップ検出を積極的に活用したインタフェースである.これらを通じて,HCI研究におけるマイクロスリップの重要性を指摘し今後の研究展望を示すことが本論文の目的である.

  • 南 誠一, 鍛治 秀生, 末宗 梓, 小林 真紀, 古澤 正道, 烏瀬 義知, 堀 健寿, 寺井 淳
    2009 年 4 巻 1 号 p. 15-24
    発行日: 2009/01/20
    公開日: 2021/10/05
    ジャーナル フリー

     物品操作に伴い出現するマイクロスリップは,行為の適応性を示す現象とされる.本研究の目的は,適応的な系列が構成されない脳卒中後遺症者において,その回復を示す一指標としてマイクロスリップの生起の意味を実証的に位置付けるとともに,定量化を試み治療への手掛かりを検討することである.回復経過ではマイクロスリップの増減や,その中でも軌道の変化,手の形の変化の増加が特徴としてみられ,見通しを持った効率良い探索活動への移行の必要性が確認された.治療的介入ではリーチ後の操作に対する手の構えや操作を直接誘導し,探索反応としてのマイクロスリップへの移行を援助して,物品間の関連性の改善を促すことが有効であると考えられる.

  • 安田 哲也, 小林 春美
    2009 年 4 巻 1 号 p. 25-30
    発行日: 2009/01/20
    公開日: 2021/10/05
    ジャーナル フリー

     作業を繰り返し熟達したときにマイクロスリップの生起に変化が生じるかについて,実験場面を撮影したデジタルビデオ映像を1フレームごとに分析する方法により調べた.作業はインスタント・コーヒー作りとし,試行の間に1分間の休憩を挟み10試行を成人の実験参加者に行ってもらった.熟達が起こったかについて,各試行における作業時間を調べ,熟達が起こっていたことを確認した.1杯作成するときに起こるマイクロスリップ生起頻度は試行を重ねるにつれて全体的に減少した.マイクロスリップのうちの1秒未満の躊躇(操作の対象物に向けられた手の動きの小停止)について,各停止時間(躊躇の生起時間)間隔における頻度と試行回数との関係を調べたところ,1,2杯目では停止時間が1秒近くと長いものから0.1秒近くと短いものまで幅広く分布していた.9,10杯目では停止時間が長いものは皆無となり,短い時間のものだけとなっていた.これらの結果から,熟達が進むとマイクロスリップの頻度は減少すること,特に停止時間の長い躊躇が減少する一方,停止時間の短い躊躇は試行を重ねても残ることが確かめられた.

  • 松田 哲也, 谷 星子, 鈴木 牧彦
    2009 年 4 巻 1 号 p. 31-38
    発行日: 2009/01/20
    公開日: 2021/10/05
    ジャーナル フリー

     本研究は知覚の制限によって起こる行為の変化について,マイクロスリップを通して検討することを目的とした.健常成人男女10名を被験者とし,両眼視野狭窄眼鏡(視野10度)を装着して課題を遂行する実験群(狭窄群)と,正常視野にて課題を遂行する統制群に5名ずつ無作為に振り分けた.ベースライン試行として,両群とも正常視野にてインスタントコーヒーを入れる課題を遂行し,本試行としてそれぞれの視野条件のもとで,同じ課題を実施した.ベースライン試行から本試行にかけての課題遂行時間,右手リーチング時間,左手リーチング時間,マイクロスリップ出現頻度の増減について,狭窄群では増大,統制群では減少し,両群間に有意な差が認められた.特に,狭窄群では「手の形の変化」が著しく増加した.リーチング時の姿勢に関しても狭窄群にのみ変化が認められた.行為者の「運動制御‐情報探索」の局所における変化がマイクロスリップの生起に関与する可能性があること,視覚制限下においても,能動的な運動が可能であれば,運動形成に有用な知覚情報が探索され,失敗に至る前に修正を起こす無自覚な「気付き」としてマイクロスリップを生起させ,行為を繋いでいることが示唆された.

  • 大海 悠太, 池上 高志
    2009 年 4 巻 1 号 p. 39-50
    発行日: 2009/01/20
    公開日: 2021/10/05
    ジャーナル フリー

     マイクロスリップのコンピュータシミュレーションによるアプローチを提案し,そのモデルを解析する.このモデルでは,エージェントが運動を切り替えながらフィールドの上の2つのオブジェクトに接近し選択する.エージェントはニューラルネットワークによって動作し,そのネットワークは遺伝的アルゴリズムによって進化されたものである.エージェントの挙動を解析した結果,その運動モジュールの関係はヘテラルキーな構造をしており,その運動選択は複雑なベイスン構造になっていることが分かった.このような結果から実際のマイクロスリップに関し理論的に予測し,いくつかの議論と提案を行なう.

  • Edward S. Reed, Carolyn F. Palmer, Denise Schoenherr
    2009 年 4 巻 1 号 p. 51-66
    発行日: 2009/01/20
    公開日: 2021/10/05
    ジャーナル フリー

     Psychologists have traditionally made a strong distinction between behavior that is under voluntary, conscious control and behavior that is habitual or automatic. This distinction is supposed to emerge from experience and/or practice: early on in learning a task, an actor is supposed to require conscious, deliberate control for successful performance; whereas, after mastery of the skill is achieved, control appears to be smooth and relatively effortless. In the first case (conscious control) errors in performance are attributed to an inability to plan or organize the action adequately; in the second case (automatic control) errors are supposed to be the consequence of a lapse of attention and control, so-called action slips. The two studies reported here show that the control of everyday habitual skills is not by any means as smooth as it is assumed to be. In the two skills studied here, making a cup of coffee and brushing one's teeth, significant discontinuities were observed even in naturalistic unconstrained performance. These discontinuities, which we dub "microslips" undermine the classical distinction between conscious and automatic control, and also call into question a number of ideas about cognition in action based on that distinction.

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