理療教育研究
Online ISSN : 2434-2297
Print ISSN : 1349-8401
40 巻
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  • ―施術実績に基づく制度評価の試み―
    福島 正也, 近藤 宏, 佐々木 健, 藤井 亮輔, 緒方 昭広
    2018 年40 巻 p. 25-31
    発行日: 2018年
    公開日: 2020/01/08
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】筑波技術大学保健科学部附属東西医学統合医療センター(以下、当センター) における研修生の施術実績を分析し、卒後臨床研修制度について考察する。【方法】調 査対象は2012 ~ 2014年度にレジデントコースへ入所した研修生12名とし、研修生 の基本属性、研修24 ヶ月目までに担当した患者数および初診患者の愁訴を調査した。 【結果・考察】研修生の大部分は新卒者で、学校教育段階から自分の臨床能力の不足を 自覚している者が多いと考えられた。調査期間内の平均患者数は818±163人、平均 新患数は78±25人であった。患者数の推移から、研修1年目では新患を中心とした多 様な症例への施術、研修2年目では担当する再診患者への継続的な施術が中心になって いると考えられた。愁訴では、①腰痛、②下肢痛、③頚肩部のこり・張りが上位を占め た。これらは、鍼灸臨床での遭遇頻度が高い愁訴であり、効率的な臨床能力の向上につ ながっていると考えられた。施術実績の推移から、当センターの卒後鍼灸臨床研修は、 一定水準以上の臨床実績を満たして実施されており、①導入期、②発展期、③継続期、 ④移行期の4フェーズに分類されると考えられた。
  • 古瀬 暢達, 鶴 浩幸
    2018 年40 巻 p. 33-37
    発行日: 2018年
    公開日: 2020/01/08
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】風邪をひいた後に嗅覚鈍麻が持続した症例の鍼治療について報告する。 【症例】60歳女性、約1 ヶ月半前に風邪をひき、においを感じなくなった。舌診:胖大・ 淡紅舌・薄白苔。脈診:沈・緩、臓腑弁証:肺気虚弱。鍼灸針は直径0.16mmを用い、 以下の経穴に治療を行った。治療は①通竅:上星・迎香・合谷・風池・肺兪・列欠、② 清頭目:脳戸、③腰部の筋緊張緩和・筋血流改善:腎兪・大腸兪などとした。鼻症状は VAS(visual analogue scale)にて評価した。 【結果】約2ヶ月間に6回の治療を行った結果、VASは90mmから40mmへと改善し、 「様々なにおいを感じるようになった。」とのコメントが患者から得られた。 【考察・結語】本症例の嗅覚鈍麻に対して鍼治療が有効であった可能性が示唆された。 先行研究では鍼治療により鼻閉・鼻汁などの鼻症状や鼻腔通気度が改善される現象、鍼 治療が抗炎症作用を有することなどが報告されており、これらの作用が症状の改善に何 らかの影響を及ぼした可能性も考えられた。今後の課題として、嗅覚に対する鍼治療の 効果について臨床研究を含めて詳細に検討していくことが重要と考えられた。
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