競走馬の運動処方の指標として, %HR maxを用いるために, また最大血中乳酸濃度とパフォーマンスの関係を調べるために, 競走馬の最大心拍数, 最大血中乳酸濃度が得られる運動方法について検討した. 供試馬として満2歳, 雄の6頭の競走馬を用いた. これらの馬に4種類の最大運動負荷, すなわち, 200m走, 1000m走, 1600m走, オールアウト走 (700m/分の一定速度で走らせ, その速度が維持できなくなるまで) を行い, その間の心電図をテープ心電計で記録し, 心拍数を測定した. また, 運動負荷終了後3分を経過してから, 頸静脈血を採取し, 血中乳酸濃度を酵素法により測定した. その結果, 4種類の最大運動負荷の中でオールアウト走の途中, 運動開始後約5分のところで最大心拍数が得られた. その時の値は, 平均233±7拍/分で安静時の約7倍であった. また, 最大血中乳酸濃度は4種類の最大運動負荷のうち1600m走において得られた. その時の値は平均24.50±3.35mmol/lであり, 1-2分前後の最大運動の時に得られることが示唆された. 今回得られた個々の馬の最大心拍数および最大血中乳酸濃度と各テストの走行タイムおよび走行距離との関係を調べたところ, 1600m走の走行タイムと最大血中乳酸濃度との間に, 走行タイムのよいものほど低い値を示す傾向がうかがわれた.
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