日本中央競馬会競走馬総合研究所報告
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1988 巻, 25 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
  • 沖 博憲, 市川 文克, 久保 勝義
    1988 年 1988 巻 25 号 p. 1-5
    発行日: 1988/12/18
    公開日: 2010/08/10
    ジャーナル フリー
    競走馬の体形を三次元で推量するため, ステレオカメラで撮影後, 三次元データ化したものからパーソナルコンピューターで解析する方法を開発した。同時に, このシステムを用いて得られた0歳から9歳のサラブレッド種13頭の体高および17頭の胸囲の値を実測値と比較したところ, 相関係数は体高で0.92, 胸囲で0.99を示した。この2部位における本システムと実測値の平均値の間には, 有意水準に達する差は認められなかった (P>0.05)。しかし, 胸囲では本システムでの値は実測値よりも大きくなる傾向を示した。さらに, このシステムによって得られた体幹部の体積を水置換法による実測値を2頭, 3部位について比較したところ, 統計的には評価できないが, 本システムによる値を水置換法での値で除したときの百分率は, 98%から107%を示し, 両者に大きな差は認められなかった。
  • 長谷川 充弘, 兼子 樹広, 及川 正明, 吉原 豊彦, 和田 隆一
    1988 年 1988 巻 25 号 p. 6-14
    発行日: 1988/12/18
    公開日: 2010/08/10
    ジャーナル フリー
    競走馬における脛骨遠位1/3尾側面に発生した骨折の病理形態を調べ, その骨折発生の背景に関して考察した。材料は2歳5ヵ月から3歳6ヵ月の若齢競走馬及び幼駒で, うち脛骨骨折例は3頭, 脛骨非骨折例は9頭であった。
    その結果, 1) 遠位1/3尾側の緻密骨は骨硬化を伴った内骨膜性骨増生及び添加骨からなっていた。それは, 尾側緻密骨が外骨膜側から骨髄腔側への改変 (Structural remodeling) によって起きたと考えられ, この緻密骨構造は力学的対応力に乏しいことを示し, 骨折の背景になっていることが予測された。2) 尾側緻密骨において, 緻密骨の微細な損傷の修復を示唆する限局性骨改築像 (Internal remodeling) 及び骨梁の微小骨折を示唆する限局性骨梁増生が認められた。これらの所見は, 疲労性骨折に見られるものと一致した。
  • 杉浦 健夫, 松村 富夫, 平野 司郎
    1988 年 1988 巻 25 号 p. 15-19
    発行日: 1988/12/18
    公開日: 2010/08/10
    ジャーナル フリー
    寒天ゲル内沈降反応を使用して, 本ウイルスの疫学調査を大規模に集中管理された競走馬群において実施した。1982年10月から翌年3月まで, 継続的に在厩した競走馬の沈降抗体のレベルを比較したところ, 736頭中292頭 (39.7%) で有意の上昇が観察された。これらのうち, 発熱と抗体の上昇によりEHV-1感染があったと診断されたのは13頭 (1.8%) であった。さらに, 1983年10月から翌年3月までの調査では, 646頭中314頭 (48.6%) が抗体レベルの上昇を示したが, 臨床的に発熱を伴なう感染を受けていたのは8頭 (1.2%) のみであった。これらのことから, 競走馬におけるEHV-1の自然感染で不顕性感染が多いことが明らかとなった。
    EHV-1感染により発熱を示し, 有意な抗体レベルの上昇が観察された153頭について発熱時の沈降抗体レベルを調べたところ, -が61頭 (39.9%), +が83頭 (54.2%), ++が9頭 (5.9%) であった。このことから, ++以上の沈降抗体を保有している馬はEHV-1感染により発熱を免れる可能性が高いと推測された。
  • 及川 正明, 大石 秀夫, 吉原 豊彦, 兼子 樹広, 浦野 啓治
    1988 年 1988 巻 25 号 p. 20-24
    発行日: 1988/12/18
    公開日: 2010/08/10
    ジャーナル フリー
    エチジウムブロマイド螢光法を用いたウマのリンパ球幼若化反応の至適測定条件を検討した。その結果, 1. 培養液には20%非動化馬血清の添加が必要であった。2. 至適マイトージェン濃度は0.0125% (PHA), あるいは500ng/ml (PWA) であった。3. 至適培養時間は96時間であった。
  • 吉原 豊彦, 及川 正明, 和田 隆一, 長谷川 充弘, 富岡 義雄, 兼子 樹広
    1988 年 1988 巻 25 号 p. 25-28
    発行日: 1988/12/18
    公開日: 2010/08/10
    ジャーナル フリー
    主に関東地方で繋養され, 1979年1月から1987年4月の間に剖検されたサラブレッド種262例およびアングロ・アラブ種43例の馬の腹腔内糸状虫について, 寄生虫学的および病理組織学的に検索した。糸状虫は66例の馬の腹腔内より256匹検出され, その寄生率は21.6%であった。1個体より見出された虫体は1-26匹の範囲で, 平均3.9匹であった。腹腔内糸状虫はS. equinaの雄45匹, 雌210匹およびS. marshalliの雌1匹に鑑別し得た。また, 出血巣あるいは肥厚した腹膜の肉芽腫病変より10例の糸状虫体が検出され, それらはいずれもS. equinaの雌と同定された。
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