小中連携リンクユニットとは, 小学校外国語活動で音声として慣れ親しんだ「ひとかたまりの表現」を, 中学校外国語科での文構造, 文法規則などの理解に繋ぐことをねらいとし, そのねらい達成のための効果的な指導方法を用いて行う指導過程のことである。理論面では, アイテム学習における児童の「ひとまとまりの表現」の蓄積と音声面からの「文のパターン」の発見について述べ, 教師の構造化されたインプット(structured input)等で言葉の仕組みに気づかせる手立ての提案を行う。実践面では, 小学校6 年生と中学校1 年生で, 同じ言語材料「I can swim」を扱う単元をリンクする授業実践におけるリスニング調査を実施し, 児童が「can の用法」や動詞フレーズの音声と意味を繋いでいること, 非文に対する違和感や語順への感覚を持ちつつあることが分かった。また「I can swim」の単元を発展させ, 内容言語統合型学習(CLIL)の視点から「環境問題」を扱った実践においては, 母語の背景知識と内容に関する思考が, 言語使用と深く結びつく傾向を観察した。
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