小学校英語教育学会誌
Online ISSN : 2424-1768
Print ISSN : 1348-9275
ISSN-L : 2188-5966
16 巻, 01 号
PART1
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実践報告
  • -青い目の人形を題材にして-
    折橋 晃美
    2016 年 16 巻 01 号 p. 1-17
    発行日: 2016/03/20
    公開日: 2018/08/02
    ジャーナル フリー

    本稿の目的は,小学校で英語の教科化が検討されるなか,小学校英語における言語コミュニケーションの伸長を図るための言語活動の在り方について,具体的実践を通して模索し,今後の教育開発に必要な視点を明らかにすることである。本稿の対象となる実践では,小学校の英語教育において,文の「定型」に関する知識や技能を教えるのではなく,子どもが自己肯定感をもち本気で「語りたくなる」という「発話動機」を引き出すことを主眼にした授業の可能性について述べる。平成24 年度,当時の筆者の在籍校であった,長野県の東信地方,A 中学校(市街地区)の学区にあるB 小学校(小規模校),C 小学校(小規模校),D 小学校(中規模校)の6年生の英語の出前授業を行った。その授業では題材に「青い目の人形」をとりあげた。それは,1927 年(昭和2 年),友好と平和を願い,来日したが,第2 次世界大戦中は竹やり訓練の標的にされた人形がほとんどで,戦禍を潜り抜け,発見された人形が偶然にもB 小学校にあった。その人形を教室に設置し,子どもが質問を人形に英語で投げ かけ,人形の後ろに隠れたALT が子どもたちの質問に英語で答える,という「対話」を引き出した。 この実践から,子どもが相手に問いかけたいという「発話動機」が強く生まれていたことが子どもたちの発言や英作文からわかった。その際,子どもが「現在の自分のありのままを出す」ことに自信をもつケースが多く見られ,「自己肯定感」が育ったと考えられた。子どもが英語で「語り出す」ため

  • 岡田 信一 , 濱田 彰
    2016 年 16 巻 01 号 p. 18-33
    発行日: 2016/03/20
    公開日: 2018/08/02
    ジャーナル フリー

    本稿では,外国語活動のふり返りとして「文字と音を対応させるICT ポートフォリオ」を児童がどのように使い,文字への意識や,文字と音のつながりに対する感覚がどの程度育ったかを報告する。 実践1 では5 年生4 名,6 年生7 名がどのようにICT ポートフォリオを活用するのか調べた。児童はタスクの遂行に必要な表現を授業中に探して発表の準備をし,準備内容を授業者がICT ポートフォリオに記録した。児童はポートフォリオを持ち帰って発表のリハーサルをし,次の授業でタスクの成果を発表した。このサイクルを4 単元くり返した結果,児童はICT ポートフォリオを使って活動の成果を文字と音で確認し,学んだ表現や活動内容を発表や他の活動に応用できるようになった。一方,文字を読むことの難しさや英語を家庭で学習する負担感からICT ポートフォリオを利用しないケースも見られた。そこで実践2 では6 年生53 名を外国語活動に対する苦手意識の高い・低い児童に分け,どの児童に対してポートフォリオが機能するのかを調べた。授業にICT ポートフォリオのふり返りを組み込んだことで,どちらのグループも文字への関心,文字と音の一致に対する意識が指導前より向上し,それはポートフォリオの活用度と関連していた。さらに,ICT ポートフォリオを活用させることで,外国語活動の苦手意識に関わらず,文字を音にする感覚的な力を伸ばすことができていた

  • 畑江 美佳, 段本 みのり
    2016 年 16 巻 01 号 p. 34-49
    発行日: 2016/03/20
    公開日: 2018/08/02
    ジャーナル フリー

    次期学習指導要領において,小学56 年生の外国語が教科となり,「読む」「書く」ことが学習内容に含まれるとされる。今後,日本の小学校でアルファベット大文字・小文字の読み書きや,英語の「音」の指導が始まるであろう。しかし,小学校でこのように「読む」ための素地が築かれた場合でも,中学校からの本格的な「読む」学習に段差なく繋げるためには,まだ何か橋渡しとなる指導が必要であると考える。フォニックスの指導もその一つであるが,英語にはそのルールから外れるものも多く,不規則な読み方をする単語や,単独では殆ど意味を伴わない機能語も多く含まれる。これらはサイト・ワード(Sight Word)と呼ばれ,英語圏の子ども達が母語を正しく読み書きできるようになるためには,学校や家庭において幼児期からこの学習が必須であるという。 本研究では,日本の英語教育の中ではまだあまり馴染みのないサイト・ワードについての理解を深め,小学校外国語活動への導入を検討した。アルファベットと音素の認知がある程度進んだ小学6 年生に,1 ページに絵と1 文が載るシンプルなサイト・ワード絵本を利用してなぞり読みをさせたところ,それまでの学習では扱わなかった音韻を含む単語の認知及び英文の意味理解に繋がったと考えられ,「一人で読めた」という経験が「読む」ことや「書く」ことへの興味・意欲を高める結果となった

  • Hi,friends! Can-Do リスト試案に基づいて―
    泉 惠美子, 長沼 君主, 島崎 貴代 , 森本 レイト 敦子
    2016 年 16 巻 01 号 p. 50-65
    発行日: 2016/03/20
    公開日: 2018/08/02
    ジャーナル フリー

    Hi, friends! 1, 2 に基づいてCan-Do リスト試案の開発を行い,『小学校英語Can-Do 評価尺度活用マニュ アル―Hi, friends! 1&2 Can-Do リスト試案』を作成した。その際,観点別評価として慣れ親しみに関して「できるようになりつつある」過程を示し,自律性を促進し,「できる感」すなわち自己効力を育て 本稿の研究においては,まず,小学校外国語活動で共通教材として広く公立学校で用いられていることを目指した。具体的なCan-Do リスト作成には,指導と活動,評価の一体化を考慮し,評価尺度概要,単元計画と評価活動,評価尺度,1時間毎の目標,Can-Do 評価,使用教材,活動説明,尺度説明なども記した。さらに,教師用リフレクションシート,児童用振り返りシートも作成した。 次に,公立・私立小学校で外国語(英語)活動を担当している指導者が,実際にCan-Do リストを用いて授業と評価を実施し,児童の様子を観察し,振り返りシートを分析するとともに,教師用リフレクションシートにも記入をし,授業を省察した。その結果,Can-Do リストが児童の自律的な学びにも教師の成長や授業改善にも寄与できることが明らかになった。今後は,マニュアルを参考にしつつも指導者がそれぞれの文脈や児童のニーズに添った単元計画を作成し,各時間の到達目標を明確にし,活動を精選・準備し,児童に習得させたい力を意識したCan-Do 項目を熟考する必要があると考えられる

研究論文
  • カレイラ松崎 順子 , 執行 智子 , 宮城 まなみ
    2016 年 16 巻 01 号 p. 68-83
    発行日: 2016/03/20
    公開日: 2018/08/02
    ジャーナル フリー

    本研究では韓国の小学3 年生の英語の教科書に付随したデジタル教材「ELEMENTARY SCHOOL ENGLISH3 e-教科書」と日本の外国語活動のテキストである「Hi, friends!1」のデジタル教材を語彙お よびコンテクストの面から調べ,以下のことを明らかにした。第一に,「ELEMENTARY SCHOOL ENGLISH3 e-教科書」のS-TTR の値は「Hi, friends!1」よりも低かったことから,「ELEMENTARY SCHOOL ENGLISH3 e-教科書」のほうが同じ語彙を何度も繰り返していることが明らかになった。第 二に,発話当時者の国籍については,「ELEMENTARY SCHOOL ENGLISH3 e-教科書」はほとんど不明がなくコンテクストが把握しやすい一方,「Hi, friends!1」では約3 割が不明であり,コンテクストを特定化しにくいことが明らかになった。発話場所においても「ELEMENTARY SCHOOL ENGLISH3 e-教科書」では,若干の偏りはあるものの学校,戸外,家の場面が万遍なく登場し偏り がなかった。一方,「Hi, friends!1」では対話がどのようなコンテクストで起こっているかの場面設定がわかりにくかった。第三に,対話を構成するターン数に関しては「ELEMENTARY SCHOOL ENGLISH3 e-教科書」は「Hi, friends!1」よりはるかに多い一方,総じてターンを構成する発話の種 類の割合はあまり差が見られかった。しかし,各レッスンにおいては前者では各項目のターンの構成が一定であったが,後者では一定ではなかった

  • Sayuri TAKAHASHI, Yasuhiro FUJIWARA
    2016 年 16 巻 01 号 p. 84-99
    発行日: 2016/03/20
    公開日: 2018/08/02
    ジャーナル フリー

    This study explores the effects of a method based on data-driven learning (DDL) for elementary school children learning English. Participants were two separate classes of sixth grade elementary school students in Japan. One class was assigned as the oral-practice group and the other the DDL group with oral practice. To investigate the effects of DDL, both groups’ pretest, posttest, and delayed posttest scores were statistically compared. The results showed that the activity based on DDL significantly improved their knowledge of plural affix -(e)s usage between countable and uncountable nouns, and they successfully retained this knowledge even after more than two weeks. In addition to these gains, the participants generally gave favorable responses to the DDL-based activity, which was probably due to its game-like format with group members. These results highlight the great potential of inductive learning based on DDL principles as an effective method for elementary school English curriculum planning.

  • Harumi HOOD
    2016 年 16 巻 01 号 p. 100-115
    発行日: 2016/03/20
    公開日: 2018/08/02
    ジャーナル フリー

    To seek ways of improving training programmes for elementary school English teachers, the author looked at training programmes for practicing primary school teachers in Switzerland when English was introduced at primary school level. Interviews, email exchanges, primary school class observations and a survey were carried out. The two in-service training programmes observed here, which required a high English language proficiency (C1 level), training in thorough language teaching methodology geared for primary pupils and several weeks of assistant teachership in English speaking countries, are showing favourable outcomes at schools. The implications for Japan will include the desirability of language proficiency training, teaching methodology training, continuity from elementary English to junior and senior high school, and financial and labour support from administration and the government.

  • ― 日本語音韻構造の影響 ―
    池田 周
    2016 年 16 巻 01 号 p. 116-131
    発行日: 2016/03/20
    公開日: 2018/08/02
    ジャーナル フリー

    リテラシー獲得において音韻認識が果たす役割について,近年,特に英語母語習得の分野で様々な観点から研究が行われてきた。音韻認識の発達と初期の読み技能習得は相互に促進関係にあり,就学時の音韻認識が,その後の読み技能発達を予測する指標となることも指摘されている。しかし,L1 習得の過程で発達した音韻認識のL2 習得への転移可能性については,まだ見解が一致していない。日本語の読み技能習得において発達する音韻認識は,主として比較的大きな音韻単位であるモーラレベルのものである。日本語を母語とする英語学習者が,文字と音の対応が不規則な英語の読み技能を習得する場合,日本語には見られないオンセット・ライムから最小音韻単位の音素まで様々な音韻レベルの認識を柔軟に用いる能力の発達が必要になる。本研究では,小学校3年から6年の児童が音韻認識をどれだけ発達させているかを明らかにするため,英語タスクを用いる3つの音韻認識テストを実施した。その結果,3年生も少なからず音素レベルの小さな音韻単位の認識を発達させており,学年が上がるにつれテスト得点も高まることが分かった。一方,C1VC2 語からC2 よりもC1 を切り離して分析することが困難である傾向が見受けられ,これはCV をひとつの音まとまりとして把握する日本語のモーラ認識の影響と考察された。これらを踏まえ,英語の文字やリテラシー技能導入のレディネスとして,英語の読み技能習得に必要なレベルの音韻認識を明示的に指導することの意義を主張した

課題研究
  • -その構造と変遷-
    米崎 里, 多良 静也, 佃 由紀子
    2016 年 16 巻 01 号 p. 132-146
    発行日: 2016/03/20
    公開日: 2018/08/02
    ジャーナル フリー

    本研究は,数年後に迫る小学校外国語活動の教科化および低学年化に対して,小学校教員は現在どのような不安を抱いているのか,そして,その不安はこれまでの教員の意識調査で明らかになった不安とどのように異なるのかを明らかにし,小学校外国語活動・英語教育をサポートするための教員研修のあり方について提案することを目的とする。これまでの意識調査で用いられてきた質問形式は主に多肢選択式が多く,質問項目が調査側の視点や思いに偏る傾向になるため,本研究では,自由記述式を採用し,教員の心情をそのまま表現できるように工夫した。そして計量テキスト分析を通して,小学校教員の外国語活動の教科化および低学年化への不安の構造化を試みた。その結果,教科化およ低学年化には「教員の英語力・指導力」「国語や他教科とのバランス」「児童の負担・混乱」に関する共通の不安が抽出され,また教科化のみの不安として「評価への不安」が,また低学年化のみの不安として教員の「小学校英語教育の本質の理解」が抽出された。「教員の英語力・指導力」に関する不安は,20 年前の小学校英語導入期から課題として長年指摘されてきたものであるが,相も変わらず,その課題は教員の心の中から払拭されず未解決のままであり,そして,「低学年化する本質的な理由がわからない」といった新たな不安も加わり,外国語活動の新たな政策が実施されようとしている

  • -その実践と検証-
    川村 一代 , 岡村 里香
    2016 年 16 巻 01 号 p. 147-162
    発行日: 2016/03/20
    公開日: 2018/08/02
    ジャーナル フリー

    平成32 年度から小学校5・6 年生において教科としての英語が完全実施されるにあたり,「短時間学習」の導入が提案されている。短時間学習は,「知識・技術の定着等を図るため10~15 分の短い時間を単位として繰り返し教科指導を行う」授業形態で,教科化後,現行の外国語活動より増加した授業時間分を短時間学習で充てるという可能性が専門的に検討されることになっている。 短時間学習は一部の小学校ですでに実施されているが,その効果はほとんど報告されていない。そこで本研究では短時間学習の実践を行い,その効果を検証してみた。英語の知識がほとんどない小学 4 年生を対象に複数形の理解と習得を目的とした短時間学習を実践した結果,その大半が複数形の規則を児童自ら発見し,約半数の児童が基本的な複数形の知識を内在化させた。 45 分授業では文脈の中で英語の知識を学び,短時間学習では45 分授業で理解した知識を繰り返し反復し定着させる。そして,短時間学習で定着した表現を使って意味のあるやり取りを45 分授業で行えば,相手意識を持った意味のあるやり取りがより確実に英語で行えるようになり,コミュニケーション能力の素地のより効果的な育成につながるであろう

  • 田中 真紀子, 河合 裕美
    2016 年 16 巻 01 号 p. 163-178
    発行日: 2016/03/20
    公開日: 2018/08/02
    ジャーナル フリー

    本研究は,小学校外国語活動を担当する小学校中核教員が文字指導においてどのような考えや意識を持っているのかを明らかにするために,アルファベットの文字の名前や音,基礎的な単語の読みを教えるのにふさわしいと考える学習開始時期をアンケート用紙に回答してもらい,その分析結果を基に,教員研修における文字指導のあり方についての示唆を試みたものである。研修対象者は千葉県教育委員会主催の「小学校外国語活動中核教員養成研修」を受けた小学校教員92 名で, アンケート調査の統計分析,及び,その結果を基に行ったインタビュー調査より,教員間で「文字指導」についての解釈が一定しておらず,文字指導を「書くこと」だとか, 文字指導は英語嫌いを招く恐れがあると考えている教員もいることが判明した。また, アルファベットの名前と音を教える時期については,大文字・小文字ともに名前は3 年生,しかし音については5 年生で教えるのがふさわしいと名前と音を切り離して考えている傾向があることがわかった。これらの傾向から入門期の英語学習者に対する文字指導のあり方を再考し,小学校教員の文字指導に 対する意識を抜本的に変えていく必要性があることが明らかとなった。

  • Shunsuke UCHINO
    2016 年 16 巻 01 号 p. 179-194
    発行日: 2016/03/20
    公開日: 2018/08/02
    ジャーナル フリー

    In order to investigate whether the picture card sets adequately contain the words that pupils want to use, the contents of six picture card sets were compared with the results of the questionnaire asking pupils’ favorite things. The analysis revealed that no more than 27.71% of the words that pupils want to use are contained in picture card sets on average, and vocabulary of pupils’ favorite drinks especially tended not to be picturized. Also, three kinds of vocabularies –school-related things, the things unique to Japanese culture, and subordinate ideas – were found less likely to be contained in picture card sets. Considering the results, it is found that picture card sets do not adequately contain what pupils want to use, and thus it is assumed that they are not substantially used in primary English classes. It is suggested that to teach pupil-centered lessons, teachers should not use picture cards without consideration; rather, they should decide what word to use based on their pupils’ interests.

  • 松宮 奈賀子, 森田 愛子
    2016 年 16 巻 01 号 p. 196-210
    発行日: 2016/03/20
    公開日: 2018/08/02
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は,教員養成課程で学ぶ大学生を対象に,英語母語話者とのティーム・ティーチング(以下T.T.)形式での模擬授業の効果を「指導への自信」「不安」「具体的な学び」の3 観点から検討することである。外国語活動の指導法を学ぶ演習科目を履修した大学生131 名を対象として,ALT との模擬授業の実施前後における「指導への自信」の変容,「指導への不安」の実態,「ALT との模擬授業からの学びの具体」を質問紙により調査した。その結果,模擬授業前の段階で特に学生が「自信がない」と評価したのがALT との指導に関する事項であり,事後には自信に関する質問項目すべてにおいて,得点の向上が見られた。また,ALT との模擬授業は全員が実施したのではなく,実施した学生と,それを観察したのみの学生がいたが,この2 群間に自信の向上に関する差異は見られず,観察によっても一定の学びを得ることができることが明らかになった。具体的には,打合せの重要性や打合せを効率的に実施する方法,授業内でのALT の役割等についての学びがあったことが自由記述より明らかになった。このようにALT とのT.T.に関し,一定の学びを得,指導への自信は高まったものの,英語力に関する不安が依然として残ることも明らかになった。そのため,ALT との模擬授業から授業づくりや協同して指導にあたる方法を学ぶことは有効であるが,合わせて英語力の向上を目指すことがALT とのT.T.指導への自信に繋がるであろうことが明らかになった

  • 板垣 信哉 , 鈴木 渉 , リース エイドリアン, 栄利 滋人 , 千葉 和江
    2016 年 16 巻 01 号 p. 212-227
    発行日: 2016/03/20
    公開日: 2018/08/02
    ジャーナル フリー

    本稿では,小学生児童による外国語活動の振り返りの理論的論考に基づいて,児童による実際の自由記述形式の振り返りの定量分析結果を報告し,小学校外国語活動の在り方を議論する。理論的には,児童の振り返りをメタ認知理論と第二言語習得モデルの意識高揚の観点から捉えることを提唱する。 定量的分析として,宮城県内の2 つの小学校の5 年生と6 年生児童の一年間の振り返りデータを分析し,考察する。分析方法は,『計量テキスト分析(テキストマイニング)』を用いた。結果は,小学校外国語活動の3 つの評価観点である「外国語活動の音声や基本的表現に慣れ親しませる」と「言語や文化について体験的に理解を深める」においては,分析結果は目標達成を示唆しているが,「積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度の育成」の達成は課題が多いことを示している。音声中心の基本表現のインプット処理および文化面での理解処理は,児童個人内の認知活動と考えられるが,積極的なコミュニケーション活動は児童間の社会的言語交渉であり,それらを内省できるより高度なタ認知活動が必要なのかもしれない

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