小学校英語教育学会誌
Online ISSN : 2424-1768
Print ISSN : 1348-9275
ISSN-L : 2188-5966
19 巻, 01 号
PART I
選択された号の論文の14件中1~14を表示しています
実践報告
  • 白土 厚子
    原稿種別: 研究論文
    2019 年 19 巻 01 号 p. 4-
    発行日: 2019/03/20
    公開日: 2020/04/10
    ジャーナル フリー

    本研究は、2018 年度 1 学期に We Can! 2(文部科学省、2018)を活用し、移行期のため 5 年時未習の語彙や表現を音声で丁寧に扱いながら、ゴール達成を目指すプロジェクト重視の英語学習 1 がどのように参加児童の 4 技能への意欲や自信、さらにアルファベット文字認識に影聾を与えたかを考察するものである。参加した東京都の公立小学校6 年生87 人は、担任とAssistant Language Teacher (ALT) や著者が担当する Japanese Teacher of English (JTE) とのティームティーチング中心の指導環境で、We Can! 2 の 3 つのUnit の言語材料と学習内容を生かし、初めて小学校を訪間した留学生との交流会で、プロジェクトのゴールとして班毎に日本や地域のお勧めの行事、食べ物、場所等を英語で紹介した。 量的分析結果から、参加児童の 4 技能に対する自信と「読む・書く」への肯定的影聾が明らかになった。また質的分析結果から、プロジェクト重視の英語学習の基となる Project-Based Approach (PBA) の特徴である意欲や満足感、達成感が読み取れた。但し、移行期児童への We Can! 2 の活用方法には、まだ課題があることも示唆された。

  • 授業者の信念との関連に焦点をあてて
    和田 あずさ
    原稿種別: 研究論文
    2019 年 19 巻 01 号 p. 20-
    発行日: 2019/03/20
    公開日: 2020/04/10
    ジャーナル フリー

    本研究は,小学校の初任専科教員を対象に,ライフストーリーのインタビューと授業の参与観察ならびに事後検討会を実施し,授業者の信念と授業実践経験との関わりの中で,英語音声指導が変容していく過程を描述した。その結果,授業者にとって「中学校以降の英語学習に対する動機付けのために楽しい授業を行う」ことと授業規律に関する指導を行うことが対立したものとして位置付けられている期間は,安定した授業運営を行えないために十分な音声指導が行われなかったことが導出された。 そして,「児童の学習機会を保障する」という点から両者が整理され,具体的な音声指導を実践できるようになるにしたがい,「わかる楽しさ」や「できる楽しさ」がより重視されるようになるとともに, 英語音声の習得や指導に関する信念が,指導に対する児童の反応を拠り所として強化されたことが明らかになった。しかし,歌教材の選択と活用については,音声指導,学習内容,児童の英語習得段階などの調和に関する課題を解決するに至るだけの実践知が得られなかったことが見出された。

  • 大山 万容
    原稿種別: 研究論文
    2019 年 19 巻 01 号 p. 36-
    発行日: 2019/03/20
    公開日: 2020/04/10
    ジャーナル フリー

    本稿は,社会言語学的知見に基づき,できるだけたくさんの言語変種を扱う小学校英語教育の方策 として,複言語教育の一つである「言語への目覚め活動」に注目し,大学における小学校教員養成の 文脈でそれを用いた実践を報告する。15 週の授業のうち,前半を小学校外国語教育の課題を検討することに,後半を言語への目覚め活動に当てた。授業担当者のノートと参加者のコメントから,フラン スやスイスで出版された教科書の翻訳を用いて複言語教育を日本に導入する際のいくつかの障壁が明らかになった。すなわち,(1)英語以外のヨーロッパの言語一般との接触が少ないこと(2)世界の国名や地理についての知識が少ないこと(3)アルファベットの発展についての基礎知識が欠けていること(4)「言語名と国名が一致しない」という基礎知識が欠けていること,である。このようにフランス語圏で開発された教授法との前提知識の差を知ることを通して,日本の小学校英語教育をさら に豊かにしうる領域が特定できた,と見ることができる。

  • カリキュラム編成と課題
    宮本 由美子, 折橋 晃美, 井口 奈穂美
    原稿種別: 研究論文
    2019 年 19 巻 01 号 p. 52-
    発行日: 2019/03/20
    公開日: 2020/04/10
    ジャーナル フリー

    2020 年に全面実施される小学校新学習指導要領(以下新 CS)では,新たに小学校高学年において従来の外国語活動が外国語 (以下英語) 科として教科化される。それにともない,小学校英語教育のカリキュラム編成のあり方を検討することが急務となっている。しかしながら,今まで英語を教えたことのない担任教師 (Home Room Teacher, 以下HRT) の多くは英語の授業に具体的な構想が持てず, 不安と負担を感じていることが各種調査 (ベネッセ教育総合研究所, 2011; 英語教育研究センター, 2012) で報告されている。加えて,小学校英語教育の現場では,授業を担当する教師自らが英語教育のカリキュラムを開発する経験をほとんどもって来なかった。各小学校では新CS で定められた目的, 目標,指導内容,指導計画などの編成基準をふまえながらも,編成主体として弾力的に地域,学校, 児童の実態に合わせた特徴あるカリキュラムを開発,評価,改善しようとする視点を持った取り組み がのぞまれるところである(田中, 2017)。本稿では,小学校英語の研究開発学校 (以下研発校)に指定されたB 市で編成された「B 市カリキュラム」に基づいた日常的な授業改善を通して児童の英語の学習過程や指導原則を検討し,小学校英語 教育におけるカリキュラム編成のあり方と課題を検討する。

研究論文
  • Clustering English Story Materials for Japanese Elementary School Students Based on Their Linguistic Features:A Multidimensional Approach Using a Text Mining Tool
    名畑目 真吾, 木村 雪乃
    原稿種別: 研究論文
    2019 年 19 巻 01 号 p. 70-
    発行日: 2019/03/20
    公開日: 2020/04/10
    ジャーナル フリー

    小学校英語教育における絵本や物語文(ストーリー)教材に対する関心度は近年ますます高まって いる。これまでストーリー教材を用いた英語の指導法やその成果,教材選定の基準などを報告した研 究は多く行われてきたが,ストーリー教材の特徴を客観的な指標を以って分析・評価した研究は非常 に限られている。そこで本研究では,コンピューター上で機能する英文解析プログラムを援用し,小 学生向けの英語ストーリー教材を様々な言語的特徴の観点から分析することを試みた。日本人の小学 生向けに作成された 12 のストーリー教材を対象とし,各教材に含まれるテキストの表層的な特徴(総語数など)に加え,語彙(具体性など),文(統語的な複雑さなど),結束性(文間の名詞の重複など) に関する複数の指標を英文解析プログラムによって算出した。これらの指標を縮約した変数に基づい てストーリー教材を統計的に分類し,言語的特徴の観点から教材間の類似性や相違点について考察を加えた。この結果及び考察に基づき,各教材がどのような指導目的・場面において有効に活用できるのか,また指導の際にどのような点に留意すべきかについて示唆を述べた。

  • 児童の混乱要因
    岡本 真砂夫
    原稿種別: 研究論文
    2019 年 19 巻 01 号 p. 86-
    発行日: 2019/03/20
    公開日: 2020/04/10
    ジャーナル フリー

    "Left" "Right" は,日本語で「レフト」「ライト」としても定着しており,児童に馴染みが深い。JTE(日本人英語教師)の "Left" "Right" を聞き分けられるようになった小学校 6 年生児童に,ALT(外国語指導助手)の音声で命令文 "turn left" "turn right" を用いたゲームに取り組ませたところ,弁別できず混乱した児童が多くいた。英語母語話者の声になった途端区別ができなくなるのはなぜか,原因 を分析することにした。6 年生で行った授業の様子を,3 台のビデオカメラと 6 台の小型ボイスレコーダーで観察した。 "Left" "Right" の音の特徴を分析するため,日本語母語話者 1 名と英語母語話者(アメリカ出身)3 名,並びにデジタル教材 (Hi, friends! We can!)から,単語 "Left" "Right" 並びに命令文 "Turn left" "Turn right" を録音した。音声分析ソフトウェアPraat を用いて分析した結果, "Left" "Right" は,母音[E]と[a ]におけるフォルマントの,最も周波数が低いスペクトル包絡の山である F1, 2 番目に周波数が低いスペクトル包絡の山である F2 の数値・変遷が似ていることが確認された。また,onset である[l] [r]がどちらも流音であり, 3 番目に周波数が低いフォルマントのスペクトル包絡の山である F3 に違いが確認された。これらが児童の混乱の原因だと考えられる。 "Turn left" "Turn right" に関しては,Prosogram を活用し,ピッチ変化を比較した。英語母語話者はピッチ変化が少なかったが,デジタル教材の音声には大きなピッチ変化がつけられていた。また,[E]と[a ]の F1, F2 の差が大きかった。 "Left"と "Right" は二者択一で用いられるので聞き分けが重要である。日本語母語話者には F3 の発音が難しいため, "Left" "Right" を取り入れた授業を英語母語話者であるALT と行う意義は大きいといえる。

  • 児童の自己評価に影聾している要因は何か
    河合 裕美, 田中 真紀子
    原稿種別: 研究論文
    2019 年 19 巻 01 号 p. 101-
    発行日: 2019/03/20
    公開日: 2020/04/10
    ジャーナル フリー

    本研究は,小学校1年次から教科として英語授業を受けた高学年児童の英語能力,及び,英語授業に対する意識の変化とそれらの関係性を明らかにし,児童の自己評価に影聾している要因を探ったも のである。千葉県船橋市内の小学校に在籍する 5 年生児童(約 5,300 名)の約 30%にあたる約 1,600名に 2 種類の英語能力テスト(①語彙テスト,②音ー文字一致認識テスト)を受けてもらい,同時に英語の授業に対する態度・英語能力の自己評価・身に付けたい英語能力などを尋ねる項目からなる質 間紙に答えてもらった。テストの結果から参加校を 3 層(上位 / 中位 / 下位)に分け,1 年後各層10 校から同じ児童(約 800 名)に同一テストを受け,同一質間紙に答えてもらった。質間紙項目から特定できた 3 因子(③英語能力の向上心,④英語授業への関心,⑤英語能力の自己評価)と 2 つのテストの合計 5 つの変数で統計分析を実施した結果,2 種類の英語能力テスト①②と因子中の⑤英語能力の自己評価は有意に向上した一方で,④英語授業への関心は有意に下がっていた。1 年目・2 年目とも,英語能力の自己評価と英語能力テスト①②,④英語授業への関心の変数間で比較的強い正の相関 が見られた。5 年次で英語能力と英語授業への関心が自己評価に影聾を与えており,6 年次では,これに加えて③英語能力の向上心も自己評価に影聾していることが明らかとなった。このことは,もっと 読んだり書いたりできるようになりたいという思いが自分の読み書き能力の評価に関係していること を意味し,6 年次でこの傾向が分析結果に現れたことは,特筆するに値する。

  • 日本語と英語の語義の比較分析を通して
    星野 由子, 清水 遥
    原稿種別: 研究論文
    2019 年 19 巻 01 号 p. 117-
    発行日: 2019/03/20
    公開日: 2020/04/10
    ジャーナル フリー

    2018 年度より小学校高学年を対象とした We Can! および中学年を対象とした Let's Try! が使われ始めている。本研究の目的は,これらの教材にどの程度の割合でカタカナ語が含まれているかを調べることである。また,それらの語が We Can! と Let's Try! の中でどのような意味で用いられており, その意味が日本語としてカタカナ語辞典に掲載されている意味と同じなのかについて明らかにすることも目的とした。本研究では,参照した 3 冊のカタカナ語辞典のうち 2 冊以上に載っていた場合にカタカナ語と見なすこととした。その結果,教科書に文字として掲載されている「見る語彙」については 7 割以上の単語がカタカナ語として辞典に掲載されていた。一方,リスニングとして「聞く語彙」についてはその割合が減少し,5 割程度であった。次に,カタカナ語での意味と We Can! や Let's Try! で現れる意味が一致しているのかという調査については,「見る語彙」については頻度 10 以上,「聞く語彙」については頻度 30 以上の語を対象とし,English Vocabulary Profile で示されている意味と比較を行った。その結果,「見る語彙」では 75%程度,「聞く語彙」では 60%程度の意味がカタカナ語辞典に掲載されていた。以上から,使用されていた多くのカタカナ語の意味がすでに児童にとってなじみのあるものである可能性が高いことが示された。カタカナ語と英語の意味が一致している単語は児童に とって意味はなじみがある分,日本語と英語の音の違いに気づかせるような指導が必要であろう。一 方,カタカナ語と英語で意味が一致していない単語については,文脈や場面を通して意味のギャップ に気づかせる指導の工夫が必要だと考えられる。

  • Developing a Vocabulary Size Test for Japanese Elementary School Students
    佐藤 剛
    原稿種別: 研究論文
    2019 年 19 巻 01 号 p. 130-
    発行日: 2019/03/20
    公開日: 2020/04/10
    ジャーナル フリー

    本研究は,小学生を対象とした語彙サイズテストの開発過程を報告するものである。佐藤(2018) で作成された,Hi, friends!をはじめ小学生を対象とした様々な教材の言語データを基にした語彙リストから作成された試行テストを公立小学校に通う6年生を対象に実施し,その結果をラッシュモデルを援用し分析することで,項目難度のバランスや,基になるリストとの関連,モデルとの適合度を観 察した。その結果,開発したテストには項目難度やフィット値の点で改善するべきテスト項目が含ま れることが明らかになった。今後はより大規模な被験者を対象に,幅広いバックグラウンドを持つ児 童を対象にしたテストの試行と分析を繰り返し,テストそのものの信頼性と妥当性を高めることおよ び,ラッシュモデルを用いた分析から得られた語彙の難度を反映させることで,児童の感じる難度に より近い形で配列されたリストを作成することの必要性が示唆された。

  • 佐久間 康之, 高木 修一
    原稿種別: 研究論文
    2019 年 19 巻 01 号 p. 146-
    発行日: 2019/03/20
    公開日: 2020/04/10
    ジャーナル フリー

    本研究は,言語性短期記憶の観点から日本人小学生の音韻認識と音声産出の特徴を検証した。言語 性短期記憶は語彙習得に関わっているとされ,非単語反復課題を用いた実証が行われてきた (e.g., Gathercole, Willis, Emslie, & Baddeley, 1992; Sakuma, 2017, 2018; 高木・佐久間, 2017; 湯澤・湯澤・関口・李, 2012)。これらの先行研究では,音節数および子音連結が多い非単語ほど認知的な負荷が大きく, 処理が困難であることが示されてきた。しかし,これまでの研究においては音韻認識と音声産出が一 括りに扱われており,それぞれのメカニズムは個別に検証されてこなかった。そこで本研究では,公 立小学校で2年間英語を学習した日本人小学6年生 107 名と 91 名を協力者として,非単語反復課題に取り組ませ,それぞれから音韻認識と音声産出のデータを収集した。非単語の音節数および子音連結 が音韻認識と音声産出に与える影聾を検証するため,一般化線形混合モデルによる分析を行った。そ の結果,非単語の音節数の増加は音韻認識と音声産出の両方を阻害した一方で,非単語に含まれる子 音連結数の増加は音声産出のみを阻害し,音韻認識には影聾しなかった。このことから,日本人児童 にとって音節数の多い単語の学習は音韻認識の段階で困難であるのに対し,子音連結の多い単語の学 習は音韻認識の段階ではなく,音声産出の段階で困難が生じる可能性が示唆された。

  • 文法性判断課題,メタ言語知識課題の結果から
    内野 駿介
    原稿種別: 研究論文
    2019 年 19 巻 01 号 p. 162-
    発行日: 2019/03/20
    公開日: 2020/04/10
    ジャーナル フリー

    第二言語習得研究において文法知識は暗示的知識と明示的知識の総体であると捉えられる。これまでの中学校以降の英語教育では明示的知識の獲得とその自動化が目指されてきたが,小学校段階では定型表現依存型の暗示的文法知識の獲得を目指すべきである (板垣, 2017)。しかしながら日本人小学生の文法知識を対象にした実証研究はこれまでにほとんど行われておらず,少ない先行研究の中にも明示的知識,暗示的知識の別を明らかにしたものはない。そこで本研究では公立小学校 6 校の小学 5, 6 年生 446 名を対象とし,時間制限付文法性判断課題 (TGJT) とメタ言語知識課題 (MKT) を用いて児童の暗示的知識,明示的知識を測定することを試みた。分析の結果,TGJT の全体正答率は 48.1%でチャンスレートを下回った。この値は先行研究の結果と比べて低く,先行研究で用いられた文法性判断課題においては児童が明示的知識,暗示的知識の両方を活用して回答していた可能性が示唆された。 また MKT の全体正答率は 47.5%であり,暗示的指導が中心の小学校英語教育であっても児童は明示的知識を獲得することが可能であることが示唆された。また各課題の正答率には言語項目によってばらつきがあり,児童が知識を獲得しやすい言語項目とそうでない項目があることが明らかになったほか,各課題の正答率は 5 年生よりも 6 年生のほうが有意に高く,小学校英語教育を通した明示的,暗示的知識の学習可能性が裏付けられた。これらの結果に基づき,小学校段階での文法指導のあり方について示唆を行った。

  • TEA を用いた英語教師へのインタビュー分析
    本田 勝久, 太田 洋, 山本 長紀
    原稿種別: 研究論文
    2019 年 19 巻 01 号 p. 178-
    発行日: 2019/03/20
    公開日: 2020/04/10
    ジャーナル フリー

    東京都A 区の小学校では,音と文字のつながりを学ぶためのリタラシー活動を導入した授業が実践されている。しかし,小学校英語で音に慣れた学習者が,中学校でつまずくことの一つが音と文字の つながりである。本研究では,小中連携を踏まえたリタラシー活動を実施している中学校教員に対す るインタビューから,リタラシー活動を通しての教師の意識の変容を探り,活動の意義を報告する。 協力校の英語科教師を研究協力者としてインタビューを実施した。研究協力者は,小学校で育った 聞く力を活かし音と文字のつながりを学ばせるため,帯活動として中学校1年生にリタラシー活動を実施している。また筆者は,定期的に授業見学と研究協議を行い,実践助言を行ってきた。インタビ ューは文字起こしをした後,複線径路等至性アプローチ (Trajectory Equifinality Approach: TEA) の手順に従って分析を行った。TEA によりリタラシー活動について教員の選択を描き,時間的変容を捉えることができた。結果として,実践の継続を意識し教師がリタラシー活動に臨んでいること,実践中の学習者の様子からリタラシー活動の意義を実感していること,実践後は導入の意義を省察し,実践を 踏まえながらリタラシー活動のカリキュラム見直しを考えていることなどが明らかとなった。

  • 文法規則発見活動で見られたメタ言語の分析から
    西垣 知佳子, 安部 朋世, 物井 尚子, 神谷 昇, 小山 義徳
    原稿種別: 研究論文
    2019 年 19 巻 01 号 p. 194-
    発行日: 2019/03/20
    公開日: 2020/04/10
    ジャーナル フリー

    次期『小学校学習指導要領(平成 29 年度告示)』のもと 2020 年 4 月より,教科としての小学校外国語科が始まり,英語の文字,語彙,表現,文構造,言語の働き等についての知識の理解が求められるようになる(文部科学省,2017a)。このような学習指導の内容の高度化に対応すべく,本研究では,小学 6年生が英語の文法規則を帰納的に学ぶ際に用いるメタ言語を収集し,「文法用語の活用」という視点から,児童がどのようなメタ言語能力を有しているか,その一端を調査した。また,協働学習を とおして児童が言語に対する思考をどのように深めているのか,その様子についても調査した。調査 の結果,児童が小学校の国語科で身につけた知識を英語の学習に活用したり,適合させたりしながら, 言語の規則を学んでいる様子が確認できた。一方,授業での国語と英語の文法用語には使われ方に差 異があり,児童の中には,両者の知識が混在している者も見受けられた。これらの分析結果を踏まえ, 小学校における外国語科と国語科の連携について考察を加える。

課題研究
  • 東アジア諸国における教科専門科目の位置づけ
    本田 勝久, 建内 高昭, 松宮 奈賀子, 星加 真実, 山本 長紀, 染谷 藤重, 田所 貴大
    原稿種別: 研究論文
    2019 年 19 巻 01 号 p. 212-
    発行日: 2019/03/20
    公開日: 2020/04/10
    ジャーナル フリー

    東アジア諸国では,社会情勢や経済状況の変化に影聾を受けながら,グローバル化に対応した次世 代の人材育成の根幹として小学校からの英語教育が進められている。日本の小学校英語「教科化」に対応するため,英語を母国語としない近隣諸国の小学校英語の現状を把握するとともに,先駆けて英語を教科として導入している中国,韓国,台湾の指導者養成からの知見を得て,小学校英語を担当する質の高い教員を確保するための養成の在り方を模索することは,日本の急務の課題である。

    本研究では,外国語としての英語教育 (English as a Foreign Language) という共通の言語社会環境を有する中国,韓国,台湾の初等教員養成システムを参照し,日本の担任養成カリキュラムを生かし,小学校英語教員養成の高度化に関するカリキュラムを提案する。特に,初等教育課程における専科教員養成に関連する中国,韓国,台湾の教科専門科目の枠組みを紹介し,日本の小学校英語教員養成での教科専門科目の位置づけを模索するとともに,プラス・アルファ(+a)プログラムを提案する。

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